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第10章-4:製造間接費の差異分析



能率差異とは?

第10章-2:標準原価計算の一連の手続」では、製造間接費に係る標準原価差異について、その総額のみを計算しましたが、今回はそれをさらに詳しく分析していこうと思います。

標準製造間接費¥88,000-実際製造間接費¥90,000=-¥2,000(不利差異)

実際原価計算との違い

ボキタロー 製造間接費の差異分析は第3章でも学習したよね。それと何が違うの?

実際原価計算における製造間接費の予定配賦の場合は予定配賦額(予定配賦率×実際操業度)と実際発生額とを比較して、両者の差額を予算差異と操業度差異に分析しました。

実際原価計算における製造間接費の予定配賦

これに対して標準原価計算では、製造間接費の標準原価、すなわち標準配賦額(標準配賦率×標準操業度)と実際発生額とを比較して、製造間接費の標準原価差異を計算します。

したがって、予算差異と操業度差異に加えて、標準操業度と実際操業度とのずれから発生する差異が新たに生じるわけですが、これを能率差異として把握します。

標準原価計算における製造間接費差異の分析

能率差異の意味と計算方法

能率差異は作業能率の良否を示す差異であり、標準操業度と実際操業度との差に標準配賦率を掛けて計算します。

標準配賦率(=変動費率+固定費率)×(標準操業度ー実際操業度)

能率差異がマイナス(標準操業度<実際操業度)の場合は、作業時間が目標値(標準操業度)よりも多くかかり過ぎたことを表すので不利差異となります。

逆に、能率差異がプラス(標準操業度>実際操業度)の場合は、作業時間を目標値よりも少なく抑えることができたことを表すので有利差異となります。

なお、能率差異を変動費部分から生じるもの(変動費能率差異)と固定費部分から生じるもの(固定費能率差異)に分けて把握する方法もあります。

変動費能率差異=変動費率×(標準操業度ー実際操業度)
固定費能率差異=固定費率×(標準操業度ー実際操業度)


予算差異・操業度差異の意味と計算方法(おさらい)

予算差異と操業度差異については「第3章:製造間接費の予定配賦」で学習した内容と同じなので、詳しくはそちらを参照してください。ここでは簡単におさらいしておきます。

予算差異

製造間接費の浪費(節約)による差異。予算許容額(実際操業度における予算額)と実際発生額との差で計算します。

予算許容額(変動費率×実際操業度+固定費予算額)ー製造間接費実際発生額

予算差異がマイナス(予算許容額<実際発生額)の場合は、補助材料や電気・水道などを浪費したことを表すので不利差異となります。逆に、予算差異がプラス(予算許容額>実際発生額)の場合は、これらを節約できたことを表すので有利差異となります。

操業度差異

実際操業度が基準操業度を下回った(上回った)ために生じた製造間接費の配賦不足(超過)を示す差異。実際操業度と基準操業度との差に固定費率を掛けて計算します。

固定費率×(実際操業度ー基準操業度)

操業度差異がマイナス(実際操業度<基準操業度)の場合は、不景気による需要の減少や機械の故障による生産停止などによって、製造間接費の配賦不足が生じたことを表すので不利差異となります。

逆に、操業度差異がプラス(実際操業度>基準操業度)の場合は、好景気による需要の増加などによって、製造間接費の配賦超過が生じたことを表すので有利差異となります。


シュラッター図による製造間接費の差異分析

第10章-2:標準原価計算の一連の手続」の例題では、製造間接費の標準は公式法変動予算として設定されているので、実際原価計算で学習した製造間接費の予定配賦と同様にシュラッター図を書いて分析していきます。

慣れてくれば、図から計算式を導けるようになるので、上で示した各差異の計算式は丸暗記する必要はありません。計算式は参考程度に考え、図の書き方だけマスターすれば大丈夫です。

シュラッター図による製造間接費の差異分析

※固定費予算額と基準操業度は1か月あたりの数値です。

・固定費予算額¥57,000=¥684,000÷12か月

・基準操業度190時間=2,280時間÷12か月

予算差異の計算

予算許容額¥93,000ー製造間接費実際発生額¥90,000
+¥3,000(有利差異)

※予算許容額:変動費率@¥200×実際操業度180時間+固定費予算額¥57,000

能率差異の計算

変動費能率差異:変動費率@¥200×(標準操業度176時間ー実際操業度180時間)
-¥800(不利差異)
固定費能率差異:固定費率@¥300×(標準操業度176時間ー実際操業度180時間)
-¥1,200(不利差異)

操業度差異の計算

固定費率@¥300×(実際操業度180時間ー基準操業度190時間)
ー¥3,000(不利差異)


標準製造間接費の分析方法

上で行った分析方法(四分法)のほかに、標準製造間接費の分析方法には次のようなものがあります。

四分法 三分法(1) 三分法(2) 二分法
予算差異:
(+)¥3,000
予算差異:
(+)¥3,000
予算差異:
(+)¥3,000
管理可能差異:
(+)¥2,200
変動費能率差異:
(ー)¥800
能率差異:
(ー)¥2,000
能率差異:
(ー)¥800
固定費能率差異:
(ー)¥1,200
操業度差異:
(ー)¥4,200
管理不能差異:
(ー)¥4,200
操業度差異:
(ー)¥3,000
操業度差異:
(ー)¥3,000

※四分法における予算差異は消費差異、操業度差異は不働能力差異ともいいます。

※二分法は日商簿記2級の試験とは関係ないと思われるので説明は省略します。

三分法(1)について

変動費能率差異と固定費能率差異を区分せずに、両者の合計を能率差異として把握します。日商簿記試験では最も多く出題されている方法です。

三分法(2)について

四分法や三分法(1)では、固定費からも能率差異を計算しています。しかし、固定費は能率の良し悪しに関係なく一定額発生するものであり、作業時間を短縮したからといって削減できるものではありません。削減できるのは変動費のみです。

したがって、変動費部分のみを能率差異として把握し、固定費部分は操業度差異に含めて把握するというのがこの方法です。

固定費能率差異を操業度差異に含める場合



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INDEX

 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
 第12章:本社工場会計
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