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第11章-1:CVP分析の概要と損益分岐点



CVP分析とは?

企業経営の最大の目的は利益を獲得することにあります。そのためには、「いかに原価を削減するか?」という原価管理を目的とした標準原価計算だけでは不十分です。

なぜなら、原価管理はより多くの利益を獲得するための手段の1つにすぎないからです。利益は原価だけでなく、生産・販売量や販売価格など様々な諸要因によって影響されます。

そのため、多くの企業では、ただ闇雲に製品を生産しているわけではなく、あらかじめ目標とする利益を設定し、その目標利益を獲得するためにはどれだけの製品を生産し、いくらで販売すればいいのか?といったことなどを予測します。

そして、それらを予測するためには、原価や操業度、さらに利益が相互にどのような関係にあり、どう影響し合うのかといったことなどを把握・分析することが重要となります。

その手段として、目標とする利益を獲得するために、原価(Cost:コスト)操業度(Volume:ボリューム)利益(Profit:プロフィット)の関係を把握し分析するための手法がCVP分析なのです。

※ここでの操業度とは、生産販売量などを尺度とした経営活動の大きさのことを意味します。


原価の分類

CVP分析では、原価を操業度との関連から次のように変動費と固定費に分類します。

変動費

直接材料費や直接労務費などは、製品をたくさん作れば作るほど多く発生します。このように、操業度(生産販売量)の変化に比例して増減する原価を変動費といいます

変動費

固定費

減価償却費や保険料などは、製品をたくさん作ったからといって増えるものではありません。このように、操業度(生産販売量)の変化にかかわらず一定額発生する原価を固定費といいます

固定費

損益分岐点とは?

売上高と総原価

売上高は生産販売量に比例するものなので、図にすると以下のように、@販売価格(販売単価)を傾きとして原点から始まる直線になります。

売上高

一方、総原価は生産販売量がゼロだとしてもゼロにはなりません。上述したように、原価は変動費と固定費から構成されており、生産販売量がゼロでも固定費が一定額発生するからです。

これを図にすると、固定費額を切片とし、製品単位あたり変動費(@変動費)を傾きとした直線になります。

総原価

損益分岐点図表

上の売上高の図と原価の図を重ね合わせたものを損益分岐点図表(またはCVP図表)といいます。

損益分岐点図表(CVP図表)

生産販売量がゼロの時は、売上高も変動費も発生しませんが固定費は一定額が発生するので、固定費分が全額損失となります。

通常、製品単位あたり変動費(@変動費)よりも製品単位あたり販売価格(@販売価格)の方が大きいので、変動費の直線の傾きよりも売上高の直線の傾きの方が大きくなります。

そのため、生産販売量が増えていくと損失は徐々に小さくなっていき、生産販売量がある程度まで来ると、売上高の線と原価の線が交わります。

このとき売上高と原価が同じになるので、利益も損失も発生しないこととなりますが、この点を損益分岐点(BEP:Break Even Point)といいます。

そして、損益分岐点よりも生産販売量が増えるつれて利益も増えていきます。つまり、会社が利益を獲得するためには、最低でも損益分岐点における生産販売量を上回る必要があるということを意味しています。




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INDEX

 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
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