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第12章-1:本社工場会計とは



本社工場会計の概要

工場が本社の遠隔地にあったりその規模が大きくなった場合には、工場での製造活動に関する経理は工場で行い、本社での購買活動や販売活動等に関する経理は本社で行うことによって会計事務を分担したほうが効率的です。

そこで、工場にも経理部門を設けて、工場の会計を本社の会計から独立させることがありますが、これを本社工場会計といいます。

工場会計を独立させた場合、工場に独自の帳簿を設けて、製造活動に関する勘定を本社の帳簿から切り離してこれに移します。

このとき、工場に設けられる帳簿のことを工場元帳といい、本社に設けられる帳簿のことを本社元帳または一般元帳といいます。

工場元帳と本社元帳(一般元帳)
ボキタロー なるほど。工場と本社それぞれの活動に応じて勘定を分けるわけか。

はい。ただし、製品勘定差異勘定については工場元帳に設けられるケースのほかにも、本社元帳に設けられたり、工場と本社の両方に設けられる場合もあります。


本社工場間取引の処理方法

工場会計を本社から独立させた場合、本社と工場との間で発生する取引(本社工場間取引)が問題となります。次はこの本社工場間取引の処理方法について順番に見ていきますが、工場元帳には「本社」「材料」「賃金」「仕掛品」「製品」の各勘定が設けられているとします。

材料購入時の処理

例題 材料¥100,000を掛けで購入した。なお、材料の購入に関する支払いはすべて本社が行っている。

・工場側の処理

ボキタロー 工場には買掛金勘定がないんだよね。じゃあ、貸方はどうなるの?

はい。本社と工場にまたがる取引の場合、工場側では本社勘定、本社側では工場勘定を使って処理をします。

借方科目 金額 貸方科目 金額
材料 100,000 本社 100,000
ボキタロー 本来、貸方「買掛金」のところが「本社」になるんだね。

・本社側の処理

材料勘定は工場元帳に設けられており、本社側には材料勘定がありませんので、借方は工場勘定で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
工場 100,000 買掛金 100,000

なお、本社勘定と工場勘定は貸借を逆にして必ず一致します。このようなものを照合勘定といいます。

ボキタロー ぼく気づいちゃった。上の2つの仕訳を合算して本社勘定と工場勘定を相殺すると通常の仕訳になるよね。

はい、そのとおりです。つまり、本社勘定と工場勘定は工場元帳と本社元帳をつなぐ役割を果たしているということができます。

工場元帳と本社元帳のつながり

賃金等の支払時の処理

例題 工場従業員の給与¥300,000を当座預金から振り替えて支払った。なお、賃金等の支払いはすべて本社が行っている。

賃金や経費を支払ったときの処理も基本的には先ほどと同じです。

・工場側の処理

支払はすべて本社が行っており、当座預金勘定は本社元帳に存在するため、貸方は「本社」とします。

借方科目 金額 貸方科目 金額
賃金 300,000 本社 300,000

・本社側の処理

賃金勘定は工場元帳に設けられているため、借方は「工場」となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
工場 300,000 当座預金 300,000

製品完成時の処理

例題 製品¥1,000,000が完成し、倉庫に納入した。

・工場側の処理

借方科目 金額 貸方科目 金額
製品 1,000,000 仕掛品 1,000,000
ボキタロー あれ?工場元帳には製品勘定があるんだから、これって本社工場間取引じゃないよね?

はい。本社勘定または工場勘定を用いるのは工場元帳と本社元帳にまたがる取引であり、工場または本社の帳簿内での取引については通常の仕訳となります。したがって、工場元帳に製品勘定がある場合は本社側の仕訳はなしということになります。

ただし先ほど言ったように、製品勘定については本社側に設けられることもあります。

仮に、製品勘定が本社元帳にある場合は次のような仕訳になります。

  借方科目 金額 貸方科目 金額
 工場側の処理 本社 1,000,000 仕掛品 1,000,000
 本社側の処理 製品 1,000,000 工場 1,000,000



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INDEX

 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
 第12章:本社工場会計
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