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第4章-6:製造間接費の部門別予定配賦①



部門別予定配賦とは?

部門別予定配賦の意味とそのメリット

ボキタロー はい質問。今までは製造間接費の実際額を部門別に配賦してきたよね。でも第3章で習ったように実際配賦には計算が遅れるっていう問題がなかったっけ?

はい。この問題点を克服する方法として部門別予定配賦という方法があります。

部門別予定配賦とは製造間接費予算を製造部門ごとに設定して、部門別の予定配賦率を計算し、これを使って製造間接費を配賦する方法です。

ボキタロー 要するに予定配賦と部門別計算をミックスしたようなものか。

はい。部門別予定配賦は「迅速な計算」という予定配賦の利点と「正確な計算」という部門別計算の利点を併せ持つ方法なのです。

さらに、部門別予定配賦では配賦差異を部門ごとに把握できるので原価管理にも役立ちます。

もし差異を工場全体で把握したとしても、みんなが「自分のせいじゃない、自分には関係ない」と思ってしまいがちです。しかし、各部門ごとに差異を把握すれば責任の所在が明確となり、各部門の責任者は無視できなくなるわけです。

部門別予定配賦のメリット
ボキタロー 「迅速な計算」と「正確な計算」と「原価管理」。一石三鳥だ。これを使わない手はないね。

部門別予定配賦の手続き

部門別予定配賦の手続きは、第3章で学習した「予定配賦の手続き」とほぼ同じになります。分からない人はもう一度第3章を復習してください。

部門別予定配賦の手続き


部門別予定配賦の問題

当工場では、2つの製造部門(切削部門・組立部門)と1つの補助部門(動力部門)により、原価部門が構成されている。次の資料に基づいて、以下の問いに答えなさい。

[資料]

1.20×1年度の予算

(1)各部門における部門個別費および基準操業度

切削部門 組立部門 動力部門
部門個別費 ¥1,444,800 ¥962,400 ¥120,000
基準操業度 9,600時間 7,200時間 300,000kwh

※このうち、切削部門へ180,000kwh、組立部門へ120,000kwhを提供する。

なお、切削部門および組立部門は直接作業時間、動力部門は動力消費量を基準操業度としている。

(2)部門共通費 ¥960,000

切削部門 組立部門 動力部門
従業員数 500人 350人 150人 1,000人

部門共通費は、従業員数を基準として各部門に配賦する。

2.6月期の実績

(1)各部門における部門個別費および実際操業度

切削部門 組立部門 動力部門
部門個別費 ¥138,000 ¥71,000 ¥12,200
実際操業度 850時間 570時間 23,000kwh

※このうち、切削部門へ14,000kwh、組立部門へ9,000kwhを提供した。

(2)部門共通費 ¥72,000

切削部門 組立部門 動力部門
従業員数 500人 350人 150人 1,000人

【問1】切削部門および組立部門における部門別予定配賦率を求めなさい。

【問2】切削部門および組立部門における部門別予定配賦額を求めなさい。

【問3】切削部門および組立部門における部門費の実際発生額を求めなさい。

【問4】切削部門および組立部門における配賦差異を求めなさい。


部門別予定配賦率の計算(問1)

ボキタロー どこから手を付けていいのやら。。。

原価計算の問題では与えられる資料が多いので、正解を導くためには「資料の中からどの数値を使えばよいのか」というデータを読み取る力も求められます。

そのためには「予定配賦の手続き」の流れをしっかりと理解し、今自分が何をしようとしているのか?どの段階の計算をしているのか?ということを意識することが大切です。

ボキタロー じゃあまずは部門別予定配賦率の算定からだ。

部門別予定配賦率の算定は、あらかじめ設定された予算([資料]1.20×1年度の予算のデータ)にもとづいて計算してきます。

予定配賦率の算定は会計年度のはじめに行われるので、この時点では実績はまだわかりません。したがって、[資料]2.6月期の実績のデータは関係ないということになります。

なお、[資料]1の予算データは1年間の数値であり、[資料]2の実績データは1か月の数値であるということにも注意してください。


①各部門費(予算)の計算

部門別予定配賦では、製造間接費予算を製造部門ごとに設定して、部門別の予定配賦率を計算します。そこで、まず各部門費(部門個別費+部門共通費)の予算を計算します。

問題の指示により、部門共通費については従業員数を基準として配賦します。

部門共通費の配賦率 = ¥960,000 ÷ 1,000人 = @¥960

・各部門費(予算)の集計

切削部門 組立部門 動力部門
部門個別費 ¥1,444,800 ¥962,400 ¥120,000 ¥2,527,200
部門共通費 ①¥480,000 ②¥336,000 ③¥144,000 ¥960,000
部門費 ¥1,924,800 ¥1,298,400 ¥264,000 ¥3,487,200

① @¥960×500人

② @¥960×350人

③ @¥960×150人

②補助部門費の配賦

次に、上で計算した補助部門費(動力部門費)の予算額¥264,000を各製造部門(切削部門および組立部門)へ配賦します。これは予算額の配賦なので、資料1(1)の基準操業度にもとづいて配賦していきます。

動力部門費の予定配賦率 = ¥264,000 ÷ 300,000kwh = @¥0.88

・製造部門費(予算)の集計

切削部門 組立部門
部門費 ¥1,924,800 ¥1,298,400 ¥3,223,200
動力部門費 ①¥158,400 ②¥105,600 ¥264,000
製造部門費 ¥2,083,200 ¥1,404,000 ¥3,487,200

① @¥0.88×180,000kwh

② @¥0.88×120,000kwh

③部門別予定配賦率の計算(問1の答え)

最後に部門別予定配賦率を計算します。製造間接費の予定配賦率は製造間接費予算を基準操業度で割って求めますが、部門別予定配賦率はこの計算を各製造部門ごとに行えばいいだけです。

部門別予定配賦率 = 製造部門費予算 ÷ 基準操業度

切削部門予定配賦率 = 切削部門費予算 ÷ 切削部門の基準操業度
          = ¥2,083,200 ÷ 9,600時間
          = @¥217
組立部門予定配賦率 = 組立部門費予算 ÷ 組立部門の基準操業度
          = ¥1,404,000 ÷ 7,200時間
          = @¥195

繰り返しになりますが、ここまでの計算は会計年度のはじめに行っているということに注意してください。

部門別予定配賦率算定のタイミング
ボキタロー 【問2】~【問4】の解説は次のページで。



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INDEX

 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
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