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第8章-1:総合原価計算における仕損・減損



仕損・減損とは?

ボキタロー 仕損と減損って何が違うの?

加工作業に失敗して検査の結果、不合格品になることを仕損といいます。また、加工中に材料が蒸発などにより消失してしまうことを減損といいます。

仕損の場合には仕損品(不良品)を外部に売却したり材料として再利用できるなど、一定の評価額がありますが、減損は消えてなくなってしまうため評価額がないという両者の違いがあります。

ただし、仕損と減損は評価額があるかどうかだけの違いであり計算方法は全く同じです。

ボキタロー 仕損や減損ってあまり多く発生すると好ましくないものなんだね。

はい。たしかに仕損や減損は少ないほうが良いに決まっているのですが、これをまったくのゼロにしようとすると、より精巧な機械を導入しなければならない、より丁寧な加工が必要となる、などの理由から、逆にコストが高くなってしまうということがあります。

ボキタロー じゃあ、ある程度の仕損・減損は発生してもしょうがないってことか。

はい、そうです。そのような許容された範囲内の仕損・減損のことを正常仕損もしくは正常減損といいます(これら以外のものを異常仕損もしくは異常減損といいますが、2級では出題されないので省略)。

そして、この正常仕損・正常減損の発生に伴うコストを正常仕損費もしくは正常減損費といいます。


総合原価計算での仕損・減損の処理方法

ボキタロー 個別原価計算のところで仕損の処理について勉強したよね。総合原価計算の場合と何が違うの?

正常仕損費・正常減損費は製品を生産するのに不可避的に発生するコストなので、これらを生産に必要なコストと考え、良品(完成品および月末仕掛品)の原価に含めて計算するという点では個別原価計算も総合原価計算も同じです。

しかし、個別原価計算と総合原価計算ではその生産形態の違いから、仕損・減損の処理についても違いが生じます。

第2章-4:個別原価計算における仕損の処理」で学習したように、主に受注生産を対象とした個別原価計算では製品ごとに原価を計算するので、仕損が発生した場合はその製品に賦課すればいいだけでした。

しかし、大量生産を前提とした総合原価計算では1か月間の総合原価を計算して、それを完成品量で割ることによって1個あたりの単位原価を計算するので、仕損費をどのように完成品および月末仕掛品に按分するかという問題が生じるのです。

そのための方法として、2級では度外視法という方法を学習します(この他にも非度外視法という方法もありますが2級の範囲外なのでここでは説明しません)。


度外視法とは?

ボキタロー ”度外視”ってことは無視するってこと?なにをどう無視するんだろ?

度外視法(どがいしほう)とは、正常仕損や正常減損を無視(度外視)することによって、正常仕損費および正常減損費を良品(完成品・月末仕掛品)に負担させる方法をいいます。

このとき、どのように正常仕損(減損)費を良品に負担させるかということについて、月末仕掛品の進捗度と仕損・減損の発生点との関係から次の2つのケースが考えられます。

「月末仕掛品の進捗度<仕損・減損の発生点」のケース

このケースでは月末仕掛品からは仕損・減損が発生していないと考え、正常仕損(減損)費をすべて完成品に負担させます。

完成品のみ負担のイメージ

「仕損・減損の発生点≦月末仕掛品の進捗度」のケース

このケースでは月末仕掛品からも仕損・減損が発生していると考え、正常仕損(減損)費を完成品だけでなく月末仕掛品にも負担させます。

両者負担のイメージ

なお、完成品負担か両者負担かということに関して、実際には月末仕掛品の進捗度や仕損の発生点にかかわらず、どちらで計算するかを企業があらかじめ会計方針として決定している場合もあることから、問題によってはどちらで計算するかを指示しているケースもあります。


度外視法のイメージ

ボキタロー 理屈は分かったけど具体的にはどうやって計算するの?

平均法や先入先出法による計算方法(月初仕掛品があるケース)については次のページ以降で説明するとして、ここではまず月初仕掛品が無い単純なケースで度外視法のイメージをつかんでください。

当月製造費用が¥120,000、仕損が20個、完成品が60個、月末仕掛品が40個という前提で説明していきます(これ以外の条件は無視します)。

仕損費を完成品のみに負担させるケース

仕損費を完成品のみに負担させるケースでは、まず仕損や減損を含めたアウトプット側の生産量を基準とした単価を使って月末仕掛品原価を計算します。

当月製造費用¥120,000/(仕損20個+完成品60個+月末仕掛品40個)×月末仕掛品40個
=@¥1,000×月末仕掛品40個
月末仕掛品原価¥40,000

次にインプット側の金額と月末仕掛品原価との差額で完成品原価を計算します。

当月製造費用¥120,000ー月末仕掛品原価¥40,000
完成品原価¥80,000

このように計算することによって、仕損費¥20,000はすべて完成品が負担することとなります。

仕損費を完成品のみに負担させるケース

仕損費を完成品と月末仕掛品に負担させるケース

仕損費を完成品と月末仕掛品に負担させるケースでは、仕損や減損を含めないアウトプット側の生産量を基準として単価を計算します。

当月製造費用¥120,000/(完成品60個+月末仕掛品40個)
@¥1,200

ボキタロー どうして両方に負担させる場合は単価の計算に仕損や減損を含めないの?

仕損や減損を無視(度外視)することによって、単価の計算において分母が大きくなるわけですから、先ほどの完成品のみに負担させるケースと比べて単価が大きくなります。つまり単価自体に仕損費を負担させるということです。

仕損費を完成品と月末仕掛品に負担させるケース
ボキタロー なるほど。仕損費を負担した単価を使って完成品原価と月末仕掛品原価を計算すれば、自動的に両方に仕損費を負担させることができるというわけだ。



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 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
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