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第8章-3:度外視法の計算②(先入先出法)

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例題

当社ではA製品を製造しており、単純総合原価計算を採用している。次の資料に基づいて、以下の各問いに答えなさい。なお、正常仕損費の按分は度外視法によること。

1.生産データ

月初仕掛品 200個 (40%)
当月投入 1,000個
1,200個
正常仕損品 100個
月末仕掛品 300個 (80%)
完成品 800個

注)材料はすべて始点で投入している。( )内は加工進捗度を示す。

2.製造原価データ

直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 ¥180,000 ¥101,200 ¥281,200
当月製造費用 ¥900,000 ¥508,800 ¥1,408,800
¥1,080,000 ¥610,000 ¥1,690,000

3.原価配分の方法は先入先出法による。

4.正常仕損費の負担関係は、正常仕損の発生点と月末仕掛品の加工進捗度とを比較して判断すること。

5.仕損はすべて当月投入分から生じるものとする。


(問1)仕損が工程の終点で発生する場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

(問2)仕損が工程の50%の点で発生する場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。



先入先出法での仮定

先入先出法は月初仕掛品の単価と当月投入分の単価を区分して、それぞれの単価を使って完成品原価および月末仕掛品原価を計算する方法です。

したがって厳密に考えると、月初仕掛品から生じた仕損と当月投入分から生じた仕損を分けて計算しなければならないことになります。しかし、実際にはそれらを分けて把握するのは困難であり、仮に把握できたとしてもその計算は非常に煩雑なものとなってしまいます。

そこで先入先出法の場合は、一般に「仕損はすべて当月投入分から生じるものとする(月初仕掛品から仕損は生じない)」という仮定のもとに計算していきます。つまり、度外視法における両者負担のケースでは、正常仕損を当月投入分から控除するということになります。


完成品負担のケース(問1)

問1は「月末仕掛品の進捗度(80%)<仕損の発生点(終点)」のケースなので、月末仕掛品からは仕損が発生していないと考え、正常仕損費をすべて完成品に負担させます。

直接材料費の計算

①実際の当月投入量に基づいた単位原価で月末仕掛品を計算する

実際の当月投入量に基づいて計算された単価は正常仕損費を含んでいないものなので、これを使って計算された月末仕掛品は正常仕損費を負担しないということになります。

当月製造費用¥900,000 ÷ 当月投入量1,000個 = @¥900

月末仕掛品原価 = @¥900 × 300個 = ¥270,000

②計算上の完成品量に基づいた完成品原価を計算する

実際の完成品は800個ですが、計算上は、これに正常仕損100個を含めた900個を完成品とみなして完成品原価を計算します(実際には貸借の差額で計算します)。これにより、正常仕損費はすべて完成品が負担することとなります。

度外視法(完成品負担)における直接材料費計算のボックス図

加工費の計算

加工費も直接材料費と同じように計算していきますが、月末仕掛品および正常仕損は完成品換算量(加工進捗度もしくは発生点を掛けたもの)を使うという点に注意が必要です。仕損は工程の終点で発生するので、完成品換算量は100%で計算します。

度外視法(完成品負担)における加工費計算のボックス図

(問1)の答え

以上より、完成品総合原価および月末仕掛品原価は次のとおりです。

完成品総合原価 ¥1,304,800(= 直接材料費¥810,000 + 加工費¥494,800)
月末仕掛品原価 ¥385,200(= 直接材料費¥270,000 + 加工費¥115,200)


両者負担のケース(問2)

問2は「月末仕掛品の進捗度(80%)>仕損の発生点(50%)」のケースなので、月末仕掛品からも仕損が発生したと考え、正常仕損費を完成品および月末仕掛品の両者に負担させます。

直接材料費の計算

①計算上の投入量に基づいた単位原価を計算する

度外視法なので、平均法の場合と同じく正常仕損は最初から投入されなかったと考えて計算していきますが、「仕損はすべて当月投入分から生じた」という仮定があるので、正常仕損は当月投入分から差し引きます。

当月製造費用¥900,000÷(完成品800個+月末仕掛品300個-月初仕掛品200個)
@¥1,000

問1のケースと比較すると、単価が@¥900から@¥1,000にアップしています。これは、単価の中に正常仕損費が含まれているということを意味しています。この単価を使って完成品および月末仕掛品の原価を計算することで、自動的に正常仕損費が含まれることになるわけです。

②月末仕掛品および完成品の原価を計算する

①で求めた単価を使って月末仕掛品原価を計算し、貸借差額で完成品原価を求めます。

月末仕掛品原価 = @¥1,000 × 300個 = ¥300,000

度外視法(両者負担)における直接材料費計算のボックス図

加工費の計算

度外視法(両者負担)における加工費計算のボックス図

※度外視法では正常仕損が最初から投入されなかったと考えて計算していくので、あえてボックス図に正常仕損を書く必要はありません。

(問2)の答え

以上より、完成品総合原価および月末仕掛品原価は次のとおりです。

完成品総合原価 ¥1,262,800(= 直接材料費¥780,000 + 加工費¥482,800)
月末仕掛品原価 ¥427,200(= 直接材料費¥300,000 + 加工費¥127,200)

問1では正常仕損費をすべて完成品が負担していたのに対して、問2では完成品および月末仕掛品の両者に按分します。その結果、問1の答えと比較して、完成品総合原価は少なくなり、逆に月末仕掛品原価は高くなります。




ポイントチェック!

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1.完成品負担のケース
正常仕損費を負担しない平均単価を使って、月末仕掛品原価を計算する。
②差額により、正常仕損分も含めて完成品原価を計算する。
※計算上は正常仕損を完成品とみなす。

2.両者負担のケース
正常仕損分を無視して当月投入分の単価を計算する。
正常仕損費を負担させた平均単価を使って、月末仕掛品原価を計算する。
貸借差額で完成品原価を計算する。
※「仕損はすべて当月投入分から生じる」という仮定に基づき、正常仕損は当月投入分から差し引く


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