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第8章-4:度外視法の計算③(仕損に評価額がある場合)



仕損に評価額がある場合の計算方法

仕損品は加工作業が失敗して生じるものです。もし、補修によって良品に回復できるのであればそれで問題ないのですが、失敗の程度が大きく、補修しても回復できない場合もあります。それらは屑(スクラップ)として外部に売却したり、原材料として再利用したり、または廃棄したりします。

外部に売却する場合はそれによって得られる収益、原材料として再利用する場合はそれによって節約できる原材料費が仕損品の評価額となります。なお、廃棄する場合は当然に評価額はゼロということになります(減損の場合はそのものが消失するので評価額の問題は生じません)。

当然のことながら仕損品を製造するためにも原価がかかるわけですが、仕損品に評価額がある場合、その分だけ正常仕損品の製造にかかった原価(正常仕損品原価)を節約できたと考えて、評価額を控除した金額を正常仕損費とします。

正常仕損費 = 正常仕損品原価 - 仕損品評価額

具体的には、完成品負担のケースと両者負担のケースに応じて次のように処理をします。どこから評価額を控除するのか?ということと、どのタイミングで控除するのか?ということに注意してください。

①完成品負担のケース

正常仕損費を完成品のみに負担させる場合は、完成品原価から正常仕損品の評価額を控除します。このように評価額を完成品原価から控除することで、月末仕掛品原価の計算において、正常仕損品の評価額が影響しないようにします。

仕損品評価額のイメージ(完成品負担)

②両者負担のケース

正常仕損費を月末仕掛品にも負担させる場合は、当月製造費用から正常仕損品の評価額を控除します。当月製造費用の中には正常仕損品を製造するためにかかった原価(正常仕損品原価)が含まれているので、ここから評価額を控除することによって、正常仕損費だけを完成品および月末仕掛品に負担させます。

仕損品評価額のイメージ(両者負担)

例題

当社ではA製品を製造しており、単純総合原価計算を採用している。次の資料に基づいて、以下の各問いに答えなさい。なお、正常仕損費の按分は度外視法によること。

1.生産データ

月初仕掛品 250個 (4/5)
当月投入 950個
1,200個
正常仕損品 200個
月末仕掛品 300個 (2/3)
完成品 700個

注)材料はすべて始点で投入している。( )内は加工進捗度を示す。

2.製造原価データ

直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 ¥380,000 ¥144,000 ¥524,000
当月製造費用 ¥700,000 ¥450,000 ¥1,150,000
¥1,080,000 ¥594,000 ¥1,674,000

3.原価配分の方法は平均法による。

4.正常仕損費の負担関係は、正常仕損の発生点と月末仕掛品の加工進捗度とを比較して判断すること。

5.仕損品は¥20,000でスクラップとして外部に売却できる見込みである。この仕損品の評価額は材料費から控除する。


(問1)仕損が工程の終点で発生する場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

(問2)仕損が工程の1/2の点で発生する場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。


完成品負担のケース(問1)

本問は評価額がある事を除けば「第8章-2:度外視法の計算①(平均法)」で説明した問題と同じなので、詳しい説明はそちらをご覧ください。

直接材料費の計算

①月末仕掛品原価の計算

月末仕掛品には正常仕損費を負担させないので、実際投入量に基づいた単価(正常仕損費を負担しない単価)を使って月末仕掛品原価を計算します。

(月初仕掛品原価¥380,000+当月製造費用¥700,000)÷(完成品700個+正常仕損200個+月末仕掛品300個)
=¥1,080,000÷1,200個
@¥900

月末仕掛品原価 = @¥900 × 300個 = ¥270,000

②完成品原価の計算

問題の指示に「仕損品の評価額は材料費から控除する」とあるので、インプット側の合計金額¥1,080,000から月末仕掛品原価および正常仕損品評価額を差し引いて完成品原価を計算します。

完成品原価=インプット合計¥1,080,000-月末仕掛品原価¥270,000-正常仕損品評価額¥20,000
¥790,000

直接材料費の計算(完成品負担)

加工費の計算

「仕損品の評価額は材料費から控除する」ので、加工費の計算では評価額は関係ありません。

加工費の計算(完成品負担)

(問1)の答え

以上より、完成品総合原価および月末仕掛品原価は次のとおりです。

完成品総合原価 ¥1,276,000(= 直接材料費¥790,000 + 加工費¥486,000)
月末仕掛品原価 ¥378,000(= 直接材料費¥270,000 + 加工費¥108,000)


両者負担のケース(問2)

直接材料費の計算

①月末仕掛品原価の計算

両者負担のケースでは正常仕損品の評価額を当月製造費用から控除します。そして、この金額を正常仕損を無視した計算上の投入量で割って単価を求めます。

(月初仕掛品原価¥380,000+当月製造費用¥700,000-正常仕損品評価額¥20,000)÷(完成品700個+月末仕掛品300個)
=¥1,060,000÷1,000個
@¥1,060

月末仕掛品原価 = @¥1,060 × 300個 = ¥318,000

②完成品原価の計算

①で求めた単価を使って、完成品原価を計算します。

完成品原価 = @¥1,060 × 700個 = ¥742,000

直接材料費の計算(両者負担)

加工費の計算

加工費の計算(両者負担)

(問2)の答え

以上より、完成品総合原価および月末仕掛品原価は次のとおりです。

完成品総合原価 ¥1,204,000(= 直接材料費¥742,000 + 加工費¥462,000)
月末仕掛品原価 ¥450,000(= 直接材料費¥318,000 + 加工費¥132,000)



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 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
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