仕入割戻と売上原価対立法

商品売買の記帳方法として、3級では三分法を学習しましたが、2級では新たに売上原価対立法という方法を学びます。

割戻の意味と処理方法

割戻の意味

割戻とは?

割戻(わりもどし)とは、一定の期間に多額もしくは多量の取引をした相手に対して行う代金の返戻額(リベート)等をいいます。

値引や返品は商品に何らかの欠陥や瑕疵などがある場合に行われるのに対して、割戻は取引先に対するサービス(報奨)的な意味合いで行われるという違いがあります。

仕入割戻を行ったときの仕訳

割戻とは

仕入割戻の処理方法は、3級で学習した返品の処理と同様に、商品を仕入れた時の逆仕訳をすればいいだけなので問題ないと思います。

売上割戻の処理方法は別のページで学習します。

売上割戻の処理方法~変動対価と返金負債~
例題1

掛けで仕入れた商品¥1,000,000について、この金額の5%の割戻を受けた。

商品を仕入れたときの逆仕訳によって、割戻しによる返戻額を仕入および買掛金から控除します。

借方科目金額貸方科目金額
買掛金50,000仕入50,000
【参考】仕入や売上を直接減額しない方法

返品や割戻の金額を明らかにするため、仕入や売上を直接減額させずに、仕入戻しは「仕入戻し」、売上戻りは「売上戻り」、仕入割戻しは「仕入割戻」という勘定科目で処理をする場合もあります。

仕入戻し

借方科目金額貸方科目金額
買掛金100仕入戻し100

売上戻り

借方科目金額貸方科目金額
売上戻り100売掛金100

仕入割戻

借方科目金額貸方科目金額
買掛金100仕入割戻100

この場合は決算において売上や仕入と相殺します。

決算時の処理

借方科目金額貸方科目金額
仕入戻し100仕入200
仕入割戻100
売上100売上戻り100

売上原価対立法

売上原価対立法とは?

売上原価対立法とは、商品を仕入れたときは商品勘定の借方に原価で記入し、商品を販売したときは商品勘定の貸方に原価で記入するとともに、売上原価勘定の借方に記入する方法をいいます。

商品を仕入れたとき

例題2

商品¥1,200を掛けで仕入れた。

商品を仕入れたときは商品勘定の借方に原価で記入します。

借方科目金額貸方科目金額
商品1,200買掛金1,200

商品を販売したとき

例題3

商品(原価¥1,100)を¥1,500で販売し、代金は掛けとした。

商品を販売したときは商品勘定の貸方に原価で記入するとともに、売上原価勘定の借方に記入します。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金1,500売上1,500
売上原価1,100商品1,100
SHIBUYA
SHIBUYA

販売した商品の原価を売上原価勘定へ振り替えるイメージですね。

決算時

例題4

決算を迎えた。期首商品棚卸高は¥150、期末商品棚卸高は¥250である。

売上原価対立法では、商品を販売したときにその原価を商品勘定から売上原価勘定へ振り替えているため、三分法のように決算において売上原価を算定するための仕訳は必要ありません

MEMO

日商簿記試験において、特段の記載がない場合は三分法を前提としています。当サイトにおいても、基本的に三分法を前提として話を進めていきます。

復習問題

2級仕訳問題集part.1のQ1-5~Q1-8を解きましょう!