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出題の意図と講評まとめ

第137回日商簿記1級の「出題の意図と講評」



商業簿記

出題の意図

今回は、受験者が比較的苦手としている本支店会計を取り上げました。しかも、支店がニューヨークにあり、在外支店の外貨換算が絡んでくるため、見慣れない問題であると感じられたかもしれません。

しかし、問1と問3を確実にできれば、それほど苦労せずに得点することが可能です。着実に勉強していれば、論点としてもそれほど難しい問題はありません。

現実の企業では、支店は世界中に散らばっているため、外貨換算の重要性は無視できません。さらに、本問における外貨建て有価証券や為替予約の問題は、在外支店に限らず、外貨建て取引の換算においても問題となるところであり、しっかりと理解しておいてほしいです。

講評

予想どおり、問1と問3の出来不出来が、合否の分かれ目となったようです。

問1は、本支店会計の基礎に属する問題であり、内部利益の除去に関する基本的な問題です。これはそもそも2級の出題範囲ですが、その割には、仕訳のできていない答案が多く、2級までの復習の必要性を実感しました。

問3は、直接本支店に関わった問題ではなく、どちらかと言えば為替換算会計の範疇に属します。それほど難しい問題ではないため、確実に点をとっておく必要があります。

問2の損益計算書の作成が、あまりできていませんでした。落ち着いてやればそれほど難しい問題ではないはずですが、はじめからあきらめてしまった答案が多いように見受けられました。あきらめずに最後までやれば、少しはできた部分があるのに、もったいない限りです。


会計学

出題の意図

第1問は、会計学の基本的な概念や処理方法について、適切な用語を書き込む設問です。いずれも基本的な内容ではありますが、専門用語なので解答に正確性が求められます。こうした設問に対応するためには、会計処理の方法を暗記するのではなく、論理的に理解しておく必要があります。

第2問は、複数の会社が共同で親会社を新設し、ともに完全子会社となる株式移転に関する設問で、基本的な処理を問うものとしました。完全親会社が新設されるため、完全子会社のいずれかを取得企業とみなし、その他の会社を被取得企業としてパーチェス法で処理しなければなりません。この点が理解できているかを問う設問です。

第3問は、資産除去債務の処理に関する設問です。すでに資産除去債務の処理については何度か出題されているため、今回は基本的な処理に加えて、耐用年数の途中で資産除去債務の見積もりを変更した際の処理についても出題しました。キャッシュフローが増加した時点での割引率を適用することが理解できているかを問うためです。各年度の処理を確実にこなしていけば、それほど難易度の高い設問ではなかったと考えています。

講評

全体的に見て、今回初めて出題した第2問および第3問の設問4と5については正答率が低かったようです。第1問は、3つの問題の中では最も正答率は高かったですが、それでも当初の想定を下回るものでした。

第1問
基本的な会計基準の内容または概念について適切な会計用語を記入させる問題で、多くの受験者が正答するものと想定して出題しました。しかし、意外に不正確な解答が多く、慎重さを欠く答案が目立ちました。誤字・脱字も多く、ケアレス・ミスで失点している答案も数多く見られました。基本用語だからといって軽んじることなく、しっかりと正確に記入して覚える習慣をつけておく必要があります。

第2問
設問1は比較的正答率は高かったようですが、完全親会社が新設される株式移転では、完全子会社のいずれかを取得企業と見なし、他の会社を被取得企業としてパーチェス法で処理しなければならない点を理解できていない受験者が多かったため、設問2と3の正答率は低かったようです。設問4でも、P社が、A社とB社を取得した時の処理、資本連結をする際の処理、B社の利益剰余金を引き継いで残額を資本剰余金とする処理が的確にできずに失点している答案が目立ちました。

第3問
設問1と2は、すでに出題された実績があるため、過去問題で練習を積んでいた受験生は比較的対応できていたようです。ただ、途中で資産除去債務の見積もりを変更した際の処理については今回初めての出題だったため、設問4と5の正答率は芳しくありませんでした。また、処理方法は理解していながら、四捨五入が適切に行われていないために失点している答案も散見されました。


工業簿記

出題の意図

第1問は、「原価計算基準」の前文から出題しました。前文には、「原価計算基準」をどう適用すべきかについて、非常に重要なことが書かれており、その趣旨を問うものです。第1問の中で特に理解してほしかったのは、⑤です。「原価計算基準」は決して、杓子定規に適用すべきものではないのです。

第2問は、工程別組別実際総合原価計算の問題ですが、工程内の月初・月末仕掛品がないので完成品換算量の計算は必要なく、仕損費も各工程の完成品にすべて負担させればよいので、計算は非常に簡単です。仕掛品勘定の月初、月末有高は、第1工程と第2工程の間にある第1工程完成品の有高となることに注意してください。実際の工場では、工程内に仕掛品を持たずに月末を迎えることが多くあります。その場合には、工程完成品と工程仕掛品に原価を配分する必要はありません。また、学習上の便宜のために、工程ごと、組製品ごとに仕掛品勘定を作って説明することがありますが、それはあくまでも学習者への説明のためであり、実際の帳簿記入は、全体で一つの仕掛品勘定になります。

第2問の問1の製品完成高(製品勘定振替高)は、製品Aと製品Bの製品原価を計算しなくても、貸借の差で計算することができますが、問2では、製品A、製品Bの製品原価を計算しなければなりません。

講評

今回は、全体的によくできていたと思います。第1問より第2問の計算部分のほうがよくできていました。第2問の中では、問2が、時間がなくてできなかったと思われる人もいました。問1では、正常配賦であることに気がつかず、仕掛品勘定に加工費の実際発生額を記入してしまい、製品の金額のなかに配賦差異を含めてしまっている答案がよく見受けられました。


原価計算

出題の意図

工程別全部原価計算方式による損益計算と工程別直接原価計算方式による損益計算、ならびに両者の違いについて、基本的な理解度を問う計算問題と理論問題を出題しました。

製造原価要素の分類は多様であり、形態別分類に機能別分類を加味した分類、直接費と間接費の分類、変動費と固定費の分類などが挙げられます。計算問題における製造原価要素は、直接材料費と直接加工費は変動費であり、間接加工費は変動間接加工費と固定間接加工費からなります。企業実務では、加工費を直接費と間接費、さらには変動費と固定費に分類することが少なくないため、そのような分類を採用し、計算能力を問いました。

理論問題を含め、見慣れない問題であっても、慌てずに資料を読み解く能力、何が問われているかを考える能力を養成してほしいと思います。

講評

基本的な問題であったにもかかわらず、出来が悪い答案も少なくありませんでした。特に理論問題については苦手にしている人が多いようです。

計算問題では簡単なものなのに、それを理論で出題すると解けないのは、直接原価計算と全部原価計算による営業利益の違いについて理解していないからです。原価計算の基本的な理論について、復習をしておいてください。

工程別原価計算について、全部原価計算方式と直接原価計算方式の損益計算等の違いをしっかり理解してください。




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