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出題の意図と講評まとめ

第135回日商簿記2級の「出題の意図と講評」



第1問

出題の意図

本問は、2級の学習範囲内の事項について問う標準的な問題であり、きちんとした学習が行われていれば格別難しくはない問題です。

1.本問は予約販売の会計処理について問うものです。予約時にあらかじめ受け取っていた金額のうち、完成時に引き渡した商品に対応する金額について収益を計上するという点が解答上のポイントとなります。

2.本問は、源泉所得税や社会保険料などの、給料支払い時に給与から控除された預り分についての会計処理を問うものです。この支払いにより、預り分を負債として減少させる点と、会社負担の社会保険料は、別の勘定科目を用いて処理するという点が、解答上のポイントです。

3.本問は、保有している固定資産の処分時の会計処理を問うものです。解答のポイントは、処分資産が手元に存在している場合にはその見積価額で貯蔵品が計上されるという点と、処分価額と帳簿価額との差が固定資産処分差損益として計上されるという点です。この帳簿価額については、取得時以降の減価償却累計額の計算が適切に行われることが重要です。

4.本問は、手形を裏書や割引したときに生ずる偶発債務の発生に備えるための会計処理を問うものです。具体的には、保証債務費用の発生と、保証債務という偶発債務の発生を認識する会計処理が適切に行われることについての理解を問うています。

5.本問は、株主総会における剰余金処分にかかる会計処理を問うものです。解答上のポイントとなる点は、配当金額の計算と、利益準備金の積立限度額を踏まえた、金銭の支出による剰余金の処分に伴う利益準備金の積立額です。

講評

受験者全体としては、本問の正答率は比較的高く、良くできていたようです。仕訳の作業は簿記の学習の基本であることを考えると、基本的な学習は全体的によくなされていると思われます。

採点結果を見て気になった点は、以下のとおりです。受験者には、これらの点についての学習と理解の確認をしておいてほしいと思います。

1.商品引き渡し分に対応する収益計上額、すなわち、売上高の金額の計算が適切に行われていない答案が多々ありました。

2.法律的に定められている会社負担の社会保険料に係る勘定科目についての理解ができていない答案が散見されました。

3.処分された固定資産に係る過年度における減価償却の累積額の計算が誤っている解答も多くありました。この金額の適切な把握は、固定資産売却損益の金額にも影響するので、適切に把握をすることが大事です。

4.保証債務に係る勘定科目が正確に理解されていない答案が多々見られました。

5.利益処分にあたり、金銭により配当される金額に対応して積み立てられる利益準備金の計算が適切に行われていない答案も多くありました。利益処分に係る会社法による定めをきちんと理解をしておくことも重要です。


第2問

出題の意図

本問は、有形固定資産に関する総合的な理解を勘定記入の形式で問う問題でした。資料を読み取って取引を仕訳し、順番に各勘定へ転記し、最後に火災損失の金額を答えることになります。固定資産に関する一連の取引を処理することによって、いかに(複式)簿記が企業のモノの流れとお金の流れを記録するのに適しているか、あらためて考えてもらいたいという趣旨も込めて出題しました。

従来の検定試験では出題されたことのない新しい形式の問題ですが、そもそも、簿記は「帳簿記入」の略であるといわれるほどですから、仕訳と勘定への記入が根幹をなしています。それに取引自体はこれまで第1問の仕訳の問題で問われているものよりも基本的なものばかりですし、開始記入の「前期繰越」などもあらかじめ印字しており解きやすいように工夫を凝らしています。

有形固定資産の取得、火災、および減価償却に関し、基礎力がきちんと身に付いていれば、あとは3級までに学んだ勘定記入のルールにもとづいて転記すれば容易に正答に達することができるはずです。

講評

本問は、これまでにない形式での出題であるため、心理的に戸惑ってしまった受験者も多く出ることが想定されましたので、配点を18点と低くしたほか、一部の箇所をあらかじめ印字するなど様々な配慮をしましたが、残念ながら得点状況は芳しくはありませんでした。

過去の出題傾向を分析し、対策を立てることを頭から否定するつもりは毛頭ありませんが、あくまで簿記の学習は満遍なくテキストを学習することが肝要であり、且つ基本は仕訳と勘定記入であるべきだと思います。受験者や指導にあたられている方には、再度このことを強調したいと思います。

そのうえで、初見の形式であったとしても、全く範囲外の事項が問われているわけではないのですから、落ち着いて問題文と答案用紙を熟読し、解答可能な箇所からあきらめずに解答することを心がけてください。

それから、勘定記入の基本的なルールの理解がおざなりになっている受験者が目立っていました。3級までで習ったはずの内容を失念しているということは、本当の実力として身についていなかった証拠に他なりません。特に摘要欄の出来具合は非常に悪いものでした。勘定記入が軽視されているきらいがありますので、指導にあたられている方には、この点をしっかりご指導いただきたいと思います。


第3問

出題の意図

本問は、株式会社の決算にかかる精算表を完成させる問題で、決算に関する基本的な知識や能力があるかを問うものです。基本的項目を出題したので、確実にできることが望まれます。決算にあたっては、期中取引の未処理等を処理し決算整理前の元帳勘定残高に修正したうえで、決算整理事項により決算整理仕訳を行います。

各資料より行われる処理内容のうち、主な注意点は次のとおりです。

1.配当金領収書は、現金扱いとします。

2.当座預金残高の修正は、当社にかかる未記帳・誤記入部分の処理を行います。

3.貸倒引当金の設定は、期中取引にかかる債権の修正後残高に対して行います。

4.商品の評価にあたり、棚卸減耗損は帳簿棚卸数量と実地棚卸数量の差から計算します。商品評価損は、正味売却価額が原価より低くなった商品に対して計算します。

5.売買目的有価証券の評価は、時価法により行います。また、債券の保有から生じる利払日後の経過利息を未収利息として計上します。

7.社債の評価は償却原価法(定額法)により行い、経過期間(当期)に対する償却額を、社債利息の計上と社債金額の増加として処理します。社債利息は、利払日後決算日までの経過利息を未払社債利息として計上します。社債発行費は、残存償却期間に対する当期償却高を社債発行費償却として計上します。

8.保険料勘定には、再振替仕訳分と当期支払分が含まれていますので、その総月数分に対する当期未経過高を前払保険料として繰延処理します。

講評

決算処理の基本的項目を出題しましたが、出来はあまり良くありませんでした。決算とは何か、決算にあたって行うことは何かを含めて正しく学習する必要があります。特別な対策をしていない状態でも、この程度の問題ならいつでも正確にできることが検定の合格には求められます。


第4問

出題の意図

製造間接費の部門別計算に関する問題です。補助部門費の配賦(問1)と部門製造間接費の配賦(問2)という二段階の計算構造をしっかり理解できているかどうかがポイントになります。

問1については、補助部門の数が2つしかなく、配賦方法も直接配賦法ということですから、過去の標準的な問題に比べて計算量は少なかったと思います。

問2では、問1で計算した予算製造部門費をもとに、各製造部門費を予定配賦します。予算部門別配賦表の作成と予定配賦率の算定は事前計算、各製造部門費の予定配賦は事後計算というタイミングの違いを理解することも重要になります。

[資料](2)のデータには予定機械稼働時間と実際機械稼働時間がありますが、予定配賦率の算定には予定機械稼働時間を使い、各製造部門費の予定配賦には実際機械稼働時間を使います。実際機械稼働時間にもとづく予定配賦額と実際発生額との差額が配賦差異となります。

講評

問1と問2で正解率に大きな差がみられました。問1の正解率は非常に高く、直接配賦法による補助部門費の配賦と部門別配賦表の作成はよく理解されているようです。ただし、「出題の意図」にも書いたように、今回は部門別配賦表の問題としては、過去の問題に比べて計算量が少ないです。補助部門の数が多いケースや部門共通費の配賦を含むケースについても、正確な計算ができるようにしてください。

一方で、問2の正解率はかなり低くなりました。もっとも多い誤答パターンは、各製造部の製造間接費勘定の「仕掛品」のところに、問1で計算した製造部門費をそのまま書いてしまうというものでした。これは、予定配賦についての理解不足、より具体的には問1の予定(事前)計算と問2の実績(事後)記録の違いが理解できていないことによるものと思われます。

今回の問題が予定計算と実績記録の両方を含むことは、与えられた資料からも読み取れなければなりません。資料の(1)は「予算データ」であり、(2)の機械稼働時間には「予定」と「実際」の両方があり、(3)は「実際発生額」です。今回の問題を通じて,どのデータをどこで使えばよいか,しっかり理解できるようにしてください。

部門別計算というと、(少しくらい複雑でも)部門別配賦表の計算さえできればよいと考える人が多いのかもしれません。そう考える人は、今回の問2のような問題になると、たちまち点数を落としてしまいます。ただ計算ができればよいということではなく、与えられたデータの意味を含めて、その計算が何のための計算なのか、しっかり理解しながら学習していくことが、実務にも役立つ簿記の学習につながります。


第5問

出題の意図

標準原価計算は原価管理のために必要不可欠な計算技法です。この原価管理は差異分析を通じて行われます。本問では、差異分析の計算のうち、製造間接費の差異分析を出題しました。ここで、製造間接費は変動予算が適用されていますが、この変動予算がどのような原価で構成されているか、さらには、そこで計算する標準製造間接費と実際に発生した製造間接費との差異を分類して計算できるかを見るための問題となっています。

標準原価計算としては極めて基本的な問題であり、製造間接費の変動予算と実際発生額との関連が理解できれば解答可能な問題です。標準原価計算については、このような基本問題から完全に理解できるよう取り組んでほしいと思います。

講評

標準原価計算は、多数の企業において採用されていることもあり、重要な原価計算方法と考えることができます。このこともあり、過去に何度も出題されています。最初は時間がかかるかもしれませんが、基本的な問題から練習することで、十分理解できるものと思われます。しかしながら、今回は、そこまで学習が進んでいない、あるいは、苦手意識などがあるのか、高得点を得ている答案は多いとはいえませんでした。

標準原価計算は重要な計算方法なので、是非とも理解してほしいと思います。そのためには、この計算の仕組みについて、少し時間をかけて理解することが必要です。このように基本的な計算の仕組みを理解することで、計算問題を十分に解答できるようになります。




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