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出題の意図と講評まとめ

第136回日商簿記2級の「出題の意図と講評」

第136回日商簿記2級試験(実施日:H26.2.23、合格率:41.6%)の「出題の意図と講評」を掲載しています。

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第1問

出題の意図

本問は、2級の出題区分表の事項について問う標準的な問題であり、問題文にかなりの事項が書きこまれているため、容易に正答に到達するようになっています。

1.下取りのある固定資産の取得の会計処理について問う問題です。まず、売却の処理を考え、売却代金が新車の購入代金から差し引かれると考えるのが解答のポイントです。

2.決算時の法人税、住民税および事業税の会計処理について問う問題です。仮払法人税等に計上された中間申告の際の納付額を考慮して、未払法人税の額を決定するのが解答のポイントです。

3.研究開発費の会計処理について問う問題です。研究開発目的のみに使用する固定資産の会計処理が分かれば、容易に正答に到達します。

4.約束手形の更改の会計処理について問う問題です。手形の更改の未処理の会計処理を考え、次に利息分の決算整理を考えるのが解答のポイントです。

5.新株発行の会計処理について問う問題です。資本金と資本準備金への振替えと、当座預金への振替えを二つに分けて考えれば、容易に正答に到達します。

講評

全体として、テキスト等に記述されている標準的な仕訳問題を出題しましたが、正答率はほぼ従来並みでした。小問別に気がついた事項は、以下のとおりです。

1.ほぼよくできていましたが、未払金を、「現金」や「買掛金」とする等、問題文をよく読んでいないのでは、と思わせる誤答もありました。

2.ほぼよくできていましたが、損益として法人税等に計上される金額の計算ミスと思われる誤答も散見されました。

3.研究開発のみに使用する固定資産の会計処理が分かれば、容易な問題でしたが、これを備品に計上する誤りが多くありました。

4.この手形の更改の処理は誤答が目立ちました。手形の更改により前受利息が生じますが、これを未収利息とする、あるいは、決算整理仕訳の部分の計算ができていないという誤答が多くありました。

5.資本金と準備金への振替えと当座預金への振替えとを別々に考えればよいはずですが、前者の部分のみ学習したのではないかと思われる答案が散見されました。


第2問

出題の意図

本問は、5伝票制における各伝票の記入内容の資料にもとづいて、仕訳日計表への集計および総勘定元帳と得意先元帳への転記を問う問題であり、伝票式会計に関する基本的で標準的な問題です。

本問の解答にあたっては、次の点がポイントとなります。

①5伝票制における各伝票(入金伝票、出金伝票、振替伝票、仕入伝票、売上伝票)の意味と取引の記入について理解していること。

②本問では、伝票の記入内容を1日分ずつ仕訳日計表に集計し、仕訳日計表から総勘定元帳へ転記する合計転記の手続きが採用されており、このような手続きの流れについて理解していること。

③得意先元帳という補助元帳への転記にあたっては、伝票から直接、個別転記される点を理解していること。

なお、本問では、伝票の記入内容のうち空欄となっている一部の金額について推定する必要があります。これについては、答案用紙に示されている総勘定元帳と得意先元帳の記入内容と突き合わせながら推定していくことになります。

伝票式会計について基本的な学習がしっかりできていれば十分に正答できる問題ですので、日頃から丁寧な学習を行うように心掛けてください。

講評

伝票式会計に関する基本的で標準的な問題であり、特に難しい箇所や間違いやすい箇所もない問題でしたので、正答できていた答案が多かったようです。

ただし、本問では、伝票、総勘定元帳、得意先元帳のそれぞれの記入内容を相互に関連づけながら、金額を推定計算する必要がありますが、正しく推定計算できなかったため正答できなかった答案もありました。特に、推定計算の過程で加算と減算を取り違えるというケアレスミスも目立っています。

また、伝票式会計や帳簿組織に関する基本的な知識や理解が明らかに不足しているため、ほとんど正答することのできなかった答案もありました。基本的な学習ができていれば十分に正答できる問題ですので、労を惜しまず、時間を掛けて学習に取り組んでほしいと思います。


第3問

出題の意図

本問は、本支店会計の内容の理解を問う、典型的かつ基本的な問題です。内容は、残高試算表に、[資料2]から[資料4]までの事項を加味して、一会計期間の損益計算書を作成するというものです。問題量がやや多いですが、解答として求めているのは損益計算書だけであり、答案用紙には損益計算書のフォーマットも準備されているので、それほど時間的に厳しい問題ではないと思います。

解答に際してのポイントは、[資料2]および[資料3]に係る仕訳をきちんと行うことでしょう。この点がきちんと行われていれば、あとは本支店会計の手順に従っておのずと解答が導かれるので、さほど難しい問題ではないと思います。その他注意を要する点は、支店の期末商品棚卸高の計算でしょう。

講評

本問は、やや量が多い問題ではありましたが、解答として損益計算書の作成だけを求めているという点と、答案用紙には損益計算書のフォーマットが用意されているという点もあって、全体的によくできている答案が多かったです。

間違いの多かった箇所は、当期商品仕入高、期末商品棚卸高、受取利息、受取手数料、支払運賃などの金額でした。当期商品仕入高については本支店間の取引を相殺した金額であること、また、期末商品棚卸高については本店からの仕入れ分について内部利益を控除した金額を計上することを、きちんと理解をしておいてほしいと思います。この際、未達取引に関わる分も考慮することが必要です。これらの箇所は、本支店会計の最も重要な個所です。

受取利息、受取手数料、支払運賃などについては、注意深く決算整理事項を読み、正確な金額を求めることが必要でしょう。解答の姿勢として、イージーミスをしないことが大事です。


第4問

出題の意図

本問は、個別原価計算における、費目別計算にもとづく仕訳の基本問題です

。最初に、費目別計算として、材料費、労務費、製造間接費の計算のそれぞれについて、取引の内容から正確に金額を計算できることが必要になります。さらに、各費目について、適切な勘定科目を選んで仕訳として記録できることが必要になります。

個別原価計算の仕訳は、工業簿記の基礎として、今に至っても学習が不可欠であることは明らかです。工業簿記に課された役割である記録と計算の両方ができることが必要です。

講評

個別原価計算における仕訳問題は過去にも出題されており、工業簿記でも必ず理解すべき会計手続きの一つです。これを理解することで、原価計算の基礎を作り上げることができるようになります。ただし、そこに至るまでには労力を要するせいか、工業簿記の仕訳については苦手意識を持ち、学習が十分ではない受験者が多いようです。

今回も計算自体は難しくないのですが、特に、材料副費、固定予算などへの対応に苦しんでいたようです。さらに、本問のような、実際発生額と予定金額との差異の取扱いも、工業簿記や原価計算では重要です。

仕訳は、工業簿記、原価計算の基礎として必要なので、是非とも今後は積極的に学習を行って欲しいと思います。


第5問

出題の意図

全部原価計算と直接原価計算を損益計算書で比較する基本的な問題です。原価構造が異なっていることを理解できているかどうかが重要なポイントです。

全部原価計算では、原価の職能別分類が重視され、すべての製造原価でもって製品原価、売上原価を計算します。直接原価計算では、原価態様(コストビヘイビア)による原価分類が重視され、売上高から変動費を差し引いて貢献利益を計算することが重要です。

なお、本問では、配賦差異が全部原価計算でのみ発生する点を確認しておきましょう。また、期首や期末に仕掛品や製品が存在するような問題にも対処できるようにしておくとよいでしょう。

講評

直接原価計算の領域に苦手意識を持っている受験者が多いようですが、今回の直接原価計算の損益計算書は比較的よくできていました。

一方、全部原価計算の場合は、売上原価と配賦差異を誤っている答案が多くありました。全部原価計算においてはすべての製造原価でもって製品原価を計算すること、加工費の予定配賦額は予定配賦率に実際生産量を乗じて計算すること、実際発生額と予定配賦額の差額が配賦差異であることを正しく理解できていることが重要です。

答案用紙に営業利益が明示してありますので、自ら計算した答えが正しいか否かを確認できるようになっている問題でした。


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