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出題の意図と講評まとめ

第137回日商簿記2級の「出題の意図と講評」

第137回日商簿記2級試験(実施日:H26.6.8、合格率:34.6%)の「出題の意図と講評」を掲載しています。

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第1問

出題の意図

いずれも基礎的な理解を問うもので、イージーミスをしないことが得点につながります。

1.本問は、本支店会計において、支店間の取引を本店で処理する本店集中計算制度による会計処理を問うものです。本店集中計算制度では、本店から見て、いずれの支店が債権者となり、いずれの支店が債務者となるのかをきちんと把握することが大切であり、この点を押さえれば、解答はおのずと導かれます。

2.試用販売については、大きく分けて、試送した商品を手許商品と区分する方法と、対照勘定を用いて処理する方法があります。本問は、前者の方法による会計処理を求めています。問題をきちんと読むことにより、解答を得ることができます。

3.本問は、当期に支払いの生じた修繕費に関して、設定されていた修繕引当金を超える額について、いかに処理するかを問うものです。

4.この問題は、2級の仕訳問題では繰り返し出題されています。解答に際しては、払込金額の最低1/2以上は資本金に組み入れなければならないという会社法上の定めと、会社設立時の登記費用や株式発行費を繰延資産として処理する、という点を正確に理解しておくことが必要です。

5.本問は、売買目的有価証券の売却に伴う売却損益の認識と、端数利息の処理に関する理解を問う問題です。端数利息の計算については、期間が設問にきちんと明示されています。

講評

本問はいずれも基礎的な理解を確かめるための問題でしたので、過去の検定試験の問題と難易度は大きく異なるものではないと考えていました。しかし、白紙の答案は比較的に少なかったものの、残念ながら、過去の検定試験での出来具合を下回る結果でした。

まず、「1.」は本店集中計算制度による支店間取引の本店処理ですが、貸借逆に仕訳している誤りが目立っていました。

次に、「2.」は試用販売の処理ですが、試用品勘定を売価で記録している誤りが多かったです。

「3.」の建物の修繕は比較的良くできていましたが、「4.」の会社設立時の仕訳では、株式発行に伴う費用に関して、増資のときの仕訳と混同している答案がかなり多かったです。

また、「5.」の売買目的で購入していた社債の売却取引では、端数利息の計算期間が問題文で明示されているにもかかわらず、それを無視して勝手に計算したり、「所定の営業日に当座預金に振り込まれることになっている」ので、仕訳をする時点ではまだ当座預金の入金が行われていないにもかかわらず、当座預金の増加として仕訳したりしている答案が非常に多く、かなり出来具合が悪かったです。

今回の出題は受験者にとって苦手にしている分野からの出題が多かったようですが、できなかった人は、もう一度問題文を熟読したうえで、使用している教材の該当箇所をあたってみるようにしてください。また、指導にあたられている方には、広い分野を満遍なく学習するとともに、問題文を落ち着いて熟読することの重要性、さらには繰り返し訓練を積むことの重要性を強調してほしいと思います。


第2問

出題の意図

本問は、銀行から取り寄せた当座預金の残高証明書の金額と企業側の当座預金勘定の残高が一致していない場合において、その不一致の原因を示す資料にもとづいて、まず銀行勘定調整表を完成し、次に企業側が行うべき修正仕訳を示し、さらに貸借対照表における当座預金の計上金額を求めるものであり、当座預金の照合にかかわる基礎知識を問う問題です。

なお、問1については、答案用紙に示された銀行勘定調整表が、銀行の残高証明書の金額からスタートし、そこに加減して企業の当座預金勘定の残高に一致させる形式のものである点に注意して、銀行勘定調整表への記入を完成させることが大切です。また、問3の貸借対照表の計上金額は、問2の修正仕訳を反映した後の金額となります。

講評

当座預金の照合にかかわる基本的な問題であり、内容的にも特に難しいところはない問題であったため、正しく解答できた答案が比較的多かったようです。ただし、明らかに勉強不足のため、ほとんど解答できていない答案も一定割合はありました。

ミスの多かった点として、問1では、加算項目と減算項目を正しく判断できず、それらを逆に解答している答案が多数ありました。銀行勘定調整表の形式に注意して、不一致の原因のそれぞれについて加算項目と減算項目のどちらになるのかを正しく判断できることが肝要です。

問2では、企業側が修正仕訳を行うべきケースと修正仕訳を行う必要のないケース(仕訳なしのケース)を正しく判断できていない答案が目立ちました。

問3については、問1と問2が正しく解答できているにもかかわらず、修正仕訳を反映しない金額で解答してしまっている答案がありました。

計算ミスのようなケアレス・ミスも含め、ミスをしないで正しく解答できるように、基本的な学習にしっかり取り組んでほしいと思います。


第3問

出題の意図

本問は、株式会社の決算に際し、決算整理前残高試算表から損益計算書を作成する問題です。未整理事項と決算整理事項の内容をよく読み、仕訳を起こしたものと考えて試算表上の金額に加減していけば、解答に到達できる問題です。

未整理事項と決算整理事項の内容で、注意すべき点には次のようなものがあります。

1.未整理事項から出てくる損益が、損益計算書のどの区分に計上されるかをよく考えること。

2.商品の期末評価に必要な資料が、期末残高の一部のみであることに留意すること。

3.未払費用については、前期末の決算整理で計上されたものであるが、期首の再振替仕訳が行われていないため、再振替仕訳と当期末の決算整理仕訳の双方を行う必要があること。

4.固定資産の減価償却が月次で見積もり計上されているため、決算整理では、年間の減価償却費と月次計上額との差額を計上する必要があること。

5.無形固定資産の商標権は直接法で記帳されているため、当初の取得原価を計算して当期の減価償却費を導き出す必要があること。

講評

得点が15点以上の受験者もかなりいる一方で、2点以下のほぼ白紙に近い答案も多く、2級レベルの精算表の練習不足が損益計算書の作成問題の不出来につながっているように思われました。問題文をよく読めば解答に到達できるはずですが、誤りの多かった点に次のようなものがありました。

・棚卸減耗損と商品評価損の計算ができていないもの

・再振替仕訳が行われていないことが、当期の給料と水道光熱費にどう影響するかが理解できていないと思われるもの

・商標権の取得年度の計算ができていないと思われるもの

・手形売却損の損益計算書上の表示箇所が理解できていないもの


第4問

出題の意図

製造原価報告書と仕掛品勘定に関する基本的な問題です。製造原価報告書は、製造原価明細書ともいわれ、当期製品製造原価の内訳を記載した表であり、仕掛品勘定と内容的には同一であることを理解できているかを問う問題です。

本問の製造原価報告書の様式では、当期総製造費用は、直接費と間接費の区分はしないで、材料費、労務費および経費の合計額にもとづき計算することになります。製造間接費を予定配賦率で正常配賦していますので、当期総製造費用を計算する際に、製造間接費配賦差異を加算あるいは減算する点が重要なポイントです。

なお、仕掛品勘定では、直接材料費、直接労務費および製造間接費の合計額が、当期総製造費用に相当する点も押さえておく必要があります。

講評

製造原価報告書、仕掛品勘定ともに、全体的には比較的よくできていました。

しかし、製造原価報告書の製造間接費配賦差異を間違っている答案が少なからずありました。材料費、労務費および経費の合計額にもとづき当期総製造費用を計算する場合と、直接材料費、直接労務費および製造間接費配賦額で計算する場合の違いが充分には理解できていないように思われます。

また、仕掛品勘定では、借方の製造間接費および貸方の完成品原価の誤りも比較的多くありました。製造間接費は予定配賦額です。完成品原価は、仕掛品勘定の貸借差額から計算できますが、答案用紙に明示されている製造原価報告書の当期製品製造原価と金額が一致するので、自ら計算した答えが正しいか否かを確認できるようになっている問題でした。


第5問

出題の意図

組別総合原価計算に関する基本的な問題です。損益計算書の作成まで求められているため、計算量はやや多くなりますが、得点につながる問題です。

最初のポイントは、組間接費である加工費の配賦です。実際配賦という指示に従って正確に計算しなければなりません。加工費が配賦されれば、あとは製品ごとに単純総合原価計算を行います。Y製品は仕掛品が存在しないため、完成品原価を集計し、損益計算書の作成に進みます。

本問では、完成品総合原価と月末仕掛品原価の配分、および製品の払出単価の計算がともに平均法でした。過去には平均法と先入先出法を使い分ける問題も出題されています。その場合は計算ミスが発生しやすくなりますから、併せて対策しておきましょう。

講評

基本的な総合原価計算の問題ということもあり、よくできていました。この問題で高得点をとらないと、全体として合格点を確保するのが難しかったかもしれません。

特に原価計算表の作成については、かなり高い得点率になりました。今回はY製品に仕掛品が存在しないケースでしたが、組別総合原価計算では、複数の製品すべてに仕掛品が存在することも珍しくありませんので、より複雑なパターンでも得点できるように練習を重ねてほしいと思います。

それに対して、損益計算書の作成についてはあまり出来がよくありませんでした。総合原価計算によって仕掛品原価を計算する主な目的は、財務諸表の作成にあります。その意味で、総合原価計算の結果をどのように損益計算書の作成に結びつけるかということは原価計算の基本になります。今回のような総合原価計算と損益計算書の作成を組み合わせた問題についても、しっかり対策していきましょう。


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