1. TOP
  2. 出題の意図と講評まとめ
  3. 第146回日商簿記2級の「出題の意図と講評」
出題の意図と講評まとめ

第146回日商簿記2級の「出題の意図と講評」



第1問

出題の意図

第1問の仕訳問題では、日商簿記2級の範囲を満遍なく学習しているかどうかを確かめることを心がけました。また、「出題区分表」の改定に伴い、新たに2級の範囲に追加された論点については、なるべく平易な取引にとどめるとともに、仕訳に使用する勘定科目を指定するにあたって、新論点にあまり習熟していない受験者であっても、比較的容易に解答を導き出せるよう配慮をしました。

以下、個別に出題の意図を述べます。

1.クレジット払いの条件で商品を販売したときの処理を問いました。この場合、売り手は信販会社に手数料を支払いますが、問題文の指示に従い、販売時に計上することを理解しているかがポイントになります。

2.研究開発の目的で支出した従業員の給与ならびに購入した機械装置に関する処理を問いました。

3.直接控除方式による圧縮記帳の処理を問いました。圧縮記帳は平成29年度より2級の出題範囲とされた項目であるため初めての出題になりますので、なるべく平易な出題を心がけました。

4.会社設立にあたり株式を発行した時の処理を問いました。本問では、会社法上、原則とされている金額でもなければ最低額でもなく、払込金の8割に相当する金額を資本金としていることがポイントです。

5.消費税の決算時の処理を問いました。消費税の記帳方法には税抜方式と税込方式とがありますが、本問では税抜方式に対する理解を問いました。

講評

本問は基本的な理解を問う問題であったため、満点の答案が極めて多かったことが特徴として挙げられます。2級の試験範囲をきちんと準備をして試験に臨まれた受験者は高得点を挙げたものと思われます。一方で、残念ながら低い得点に留まった受験者は、2級の出題内容への理解がまだまだ不足していますので、もう一度基本に立ち返ってよく復習をしてください。

なお、今回も勘定科目を指定したうえで仕訳を答えさせていますが、乱雑な漢字を書く答案が散見されたのは大変残念でした。

以下、個別に講評を述べます。

1.クレジット払いの条件で商品を販売した取引を出題しましたが、ほとんどの答案がよくできていました。ただ、指定されていない勘定科目(売掛金など)を使って解答している答案が若干見受けられました。また、商品の販売代金にクレジット手数料を加算して売上の額を求めてしまっている誤りもありました。

2.研究開発目的で取得した備品の処理は、これまでに出題実績があったためか、正答率が比較的高かったものの、研究開発に従事する従業員の給料の処理で、「給料」と仕訳する誤答が多かったです。

3.圧縮記帳は新論点からの出題でしたが、概ねできていました。しかし、「国庫補助金受贈益」を用いて仕訳したり、直接控除方式を理解していないと思われる答案もありました。また、圧縮記帳で固定資産の帳簿価額を減額させなければならないのに、逆に固定資産の金額を増加させる仕訳を起こしている誤りも少数ですがありました。

4.会社設立時の処理でしたが、勘定科目は合っているのに、桁数の誤りで失点している答案が見受けられました。また、払込金の8割に相当する金額を資本金とするにもかかわらず、勝手に半額を計上する処理を行っている誤答も散見されました。

5.消費税の記帳方法には、本問の税抜方式と税込方式の二つがありますが、問題文の指示に基づかずに税込方式で答えてしまっている答案がありました。


第2問

出題の意図

本問は、与えられた資料に基づいて、銀行勘定調整表を完成させ、必要な修正仕訳を行うとともに、貸借対照表に計上される現金および当座預金の金額を求める問題です。

銀行勘定調整表の完成については、答案用紙の銀行勘定調整表の形式を確認したうえで、資料の2.に示された残高証明書との不一致の原因を加算項目と減算項目に正しく分けることができるかどうかがポイントとなります。修正仕訳については、不一致の原因のうち、企業側が修正すべきものを的確に判断し、勘定科目を含め修正仕訳を正しく行うことができるかどうかがポイントとなります。

修正仕訳を正しく行うことができれば、貸借対照表に計上される当座預金の金額も求めることができます。貸借対照表に計上される現金の金額については、資料の1.に示された項目のうち、現金の範囲に含まれるものを正しく判断できるかどうかがポイントとなります。

ケアレス・ミスを含む誤りが生じやすい内容が若干含まれてはいますが、現金および当座預金に関する基礎知識と基本的な理解が身についていれば、十分に正答できる標準的な内容の問題であると考えています。

講評

現金および当座預金に関する問題でしたが、基本的で標準的な内容の問題であったため、全体的には正答できていた答案が比較的に多かったようです。

最も誤答が多かったのは、問3でした。問3は貸借対照表に計上される現金および当座預金の金額を問うものでしたが、このうち現金の計上額については、資料の1.に示された項目について、現金の範囲に含まれるものを正しく判断できなかった答案、さらには、資料2.の中に現金の帳簿残高に影響を与える取引があり、それと資料1.の現金の実際有高との関係について、的確に判断
できなかった答案などがありました。また、当座預金の計上額については、問1の銀行勘定調整表または問2の修正仕訳が正答できなかったために、問3についても正答にたどり着けなかった答案が多かったようです。

十分に正答できなかった受験者は、普段から基本を大切にした学習に地道に取り組むように心掛けてほしいと思います。


第3問

出題の意図

今回は、基本的な精算表の作成問題を出題しました。未処理事項と決算整理事項を、指示どおりに仕訳をして精算表に記入していけば、正答は容易なはずです。本問の答案作成にあたり、特に注意すべき事項は、次のとおりです。

(1)期中にすでに使用が開始されている有形固定資産について、建設仮勘定から固定資産勘定と修繕費への振替を適切に行うこと。

(2)建物の減価償却費の計算を、既存の建物分と増改築工事による増加部分を区分して適切に行うこと。

(3)当期の貸倒れ処理部分を考慮して、貸倒引当金の設定を行うこと。

(4)満期保有目的債券について、償却原価法による評価を適切に行うこと。

(5)出題区分表の改定分野の一つである外貨建債務(買掛金)の円貨への換算を適切に行うこと。

講評

基本的な精算表の作成問題を出題したため、全体的によくできていたようです。受験者の得点が7割前後にほぼ集中しており、また満点の答案も1割強ありました。本問の答案について、気がついた事項は、次のとおりです。

貸倒引当金の設定、償却原価法による有価証券利息の算定、新範囲の外貨建買掛金の円換算は、非常によくできていました。

一方で、増改築分を含む減価償却費の計算や、繰越商品と売上原価の計算のように計算がやや複雑になる部分については正答率がかなり落ちるという傾向が見られました。これらについては、問題文をよく読んで落ち着いて計算する訓練が必要に思われました。

また、前払保険料の計算や退職給付費用の計算のように、2級レベルとしてはやさしい部分についてもミスが散見され、答案作成の際の時間配分の巧拙も得点に影響しているようでした。


第4問

出題の意図

標準原価計算における仕訳と勘定記入を問う問題です。仕訳は材料の購入に関するものでしたが、「実際の購入単価をもって」という条件があるように、この仕訳は標準原価計算でも実際原価計算でも同じ仕訳になります。

次に勘定記入ですが、今回はシングル・プランを出題しました。シングル・プランとパーシャル・プランの違いは、仕掛品勘定に原価差異が出てくるかどうかです。シングル・プランの仕掛品勘定には原価差異は出てきません。標準原価計算の勘定記入ではこの点をしっかり理解しているかを問いました。

シングル・プランでは、原価差異は材料勘定や賃金・給料勘定などに出てきます。今回は材料勘定を出題しました。原価差異は価格差異と数量差異に分けられますが、この計算はシングル・プランでもパーシャル・プランでも同じです。シングル・プランでは、どちらの差異も材料勘定に記録され、材料勘定からそれぞれの差異の勘定に振り替えられるという勘定のつながりをよく理解しておきましょう。

講評

全体として高い得点率でした。以前はシングルプランの出題に慣れていないという声も聞かれましたが、受験者の対策も進んできているようです。ただし、材料勘定から仕掛品勘定への振り替えのところで得点を落としている答案が散見されました。この振り替えが標準原価によって行われることが、シングルプランによる勘定記入の特徴です。

高い得点率のわりに、シングルプランによる勘定記入について、体系的な理解はまだ十分ではないのかもしれません。標準原価計算の学習では、原価差異の計算などに時間が割かれがちですが、それと並行して基本的な勘定記入についてもしっかり理解するようにしましょう。


第5問

出題の意図

本問は、単純総合原価計算の問題です。単純総合原価計算では、大量生産する同種製品の製品原価を計算します。本問では、資料にもとづき、先入先出法で、この製品の月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算できることが必要になります。ただし、正常仕損が発生しているため、計算上、これをどのように取り扱うか、さらには完成品単位原価や売上原価も計算できることが要求されています。

実際の製品製造で、本問のような仕損の発生は一般的であり、この計算は重要です。したがって、この仕損の計算処理を十分に理解してほしいと思っています。このとき、仕損の計算処理はいくつかのパターンがあるため、それを正確に理解することが必要になります。仕損の負担関係について、混乱しないよう整理しながら学習してほしいと思います。

講評

本問は、仕損が発生している単純総合原価計算の問題です。資料から、先入先出法により、製品の月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算することになりますが、正常仕損が工程の終点で発生しているため、その正常仕損費を完成品に負担させるように計算することが必要です。このことについては、学習が行き届き、月末仕掛品原価を計算し、正常仕損費をどのように完成品へ負担させるかは理解できている受験者が多いようでした。また、完成品単位原価とそれに基づく売上原価の計算についても十分学習しているようでした。

ただし、このような十分な学習ができている受験者がいる一方、全く解答できない受験者もおりました。総合原価計算は重要な計算なので、今後に備え、基礎から学習して欲しいと思います。




・スポンサーリンク

・関連記事

メインコンテンツ

犬でもわかる!無料簿記講座のトップページ
中二でもわかる!簿記超入門
日商簿記3級無料講座
日商簿記3級無料問題集
2級商業簿記無料講座
2級工業簿記無料講座
2級商業簿記無料問題集
無料簿記ゲーム

情報コンテンツ

INDEX

 日商簿記3級の出題の意図と講評
 日商簿記2級の出題の意図と講評
 日商簿記1級の出題の意図と講評
【連絡先】
te_njm-boki-yahoo.co.jp
※スパムメール防止のため、
「-boki-」の部分を「@」に変換してください。
PAGE TOP ▲