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出題の意図と講評まとめ

第148回日商簿記2級の「出題の意図と講評」



第1問

出題の意図

本問は、期中に生じた諸取引について、与えられた勘定科目を用いて正しく仕訳を行うことができるかを問う問題です。従来からの試験範囲と、近年新たに2級での試験範囲に加わった論点とのバランスに留意して万遍なく出題するとともに、特に後者については複雑な計算を伴わずに金額を求めることができるよう、心がけました。

1.掛け代金を早期に支払うことによって、その一部が免除されたので、掛け代金と現金支払い額で差額が生じます。この差額を適切な勘定で処理できるかが問われています。

2.有形固定資産の除却の取引です。帳簿価額と処分価値の差額を費用計上するとともに、備品から適切な勘定への振替がポイントになります。

3.株主総会の決議で剰余金を準備金に組み入れた取引ですが、株主資本の計数の変動の事例です。ただし、資本と利益の区分を図ることを理解しているかを問うために、その他資本剰余金と繰越利益剰余金の双方を出題しました。

4.売上割戻の処理を問う問題です。前期の決算時に売上割戻引当金を計上していますので、それを考慮に入れて仕訳を行うことができるかが求められています。

5.第147回の検定試験では、輸出の取引よりも前に為替予約が締結されていた場合が出題されましたが、今回は輸出の取引の後に為替予約が締結された場合です。為替予約により円ベースの入金額が確定することになりますが、取引時の掛け代金の円換算額との差額を問題文の指示に従って当期の損益として正しく処理できるかを確かめるために出題しました。

講評

本問は、問題文を丁寧に読み、与えられた勘定科目を用いて仕訳を行えば複雑な計算をすることなく正答にたどり着ける問題だったこともあって、正答率はやや高めでした。しかし、答案を個別に吟味すると、次のような点が印象に残りました。

1.仕入代金の早期支払いによる一部免除は仕入割引であり、利息の性格を帯びているため、仕入額から控除してはならないのですが、仕入と仕訳していたり、売上割引と混同している答案が若干見受けられました。

2.除却の取引については、これまでに何度も出題されていたために、正しく仕訳を行っている答案が多かった一方で、除却損と売却損とを混同している答案がありました。

3.株主資本の計数の変動は、2級では初めての出題でしたが、こちらもできている答案が多かったようです。一方で、貸借逆に仕訳している答案も散見されました。

4.売上割戻を実施したときの仕訳でしたが、比較的よくできていた反面、指定されていない勘定科目を用いたり、当社の普通預金口座から得意先の当座預金口座に振り込んだのに当座預金の減少と仕訳したりするなど、ケアレスミスが目立っていたのが大変残念でした。

5.為替予約の処理については、問題文の指示に忠実に従えば仕訳自体はシンプルですのでそれほど難しくはなかったのですが、他の問題よりも白紙の答案が多かったうえ、指定されていない勘定科目(為替差損など)を用いたり、貸借が逆になっていたりする答案、あるいは再び売上を計上してしまっている答案などが少なくありませんでした。


第2問

出題の意図

本問は、有価証券に関する一連の取引資料に基づいて、総勘定元帳の勘定記入と売却損益の計算を求める問題です。2級の商業簿記としては、基本的で標準的な内容の問題であるといえます。

解答にあたって、3つのポイントがあります。第1のポイントは、売買目的の有価証券と満期保有目的の有価証券について、それらの記帳や会計処理の違いを理解しているかどうかです。第2のポイントは、有価証券にかかわる利息について、端数利息の計算や記帳、決算時における経過勘定の処理などを理解しているかどうかです。第3のポイントは、総勘定元帳の勘定記入について、英米式決算法による勘定締切りの手続を含めて理解しているかどうかです。

基本的な内容の学習を丁寧に行っていれば、十分に正答できる問題であると考えています。

講評

有価証券に関する簿記の問題としては、特に難しい内容は含まれていませんでしたが、正答するのに苦労した答案が比較的多かった印象です。また、白紙に近いような答案も見られました。落ち着いて一つずつ取引の仕訳を考えていく時間的余裕がなかった可能性もありますが、有価証券の会計処理等について正確な理解が不足しているためではないかと推測します。

最初は時間がかかってもよいので、一連の取引について正確な仕訳ができるようになるまで、基本的な学習を繰り返し行ってほしいと思います。

一方、満点に近い答案の中で特に目立っていたのは、勘定口座の締切りにかかわる記入の誤答でした。英米式決算法を正確に理解しておくことは簿記の学習にとって基本的なことですので、丁寧な学習を心がけてほしいと思います。


第3問

出題の意図

今回は、改定された出題区分表に追加された項目から、最も基本的と思われる連結精算表の作成問題(連結貸借対照表と連結損益計算書の作成)を出題しました。実務で、連結財務諸表作成初年度を経験することは稀ですので、その後の連結会計年度の連結財務諸表作成の問題として出題していますが、連結財務諸表作成の基本的な理解があれば、特に難しい点はなかったものと思われます。

解答にあたり、留意すべき重要な事項には、次のようなものがあります。

(1)開始仕訳として、のれんと非支配主持分の計上を含む支配獲得時の連結修正仕訳を行う。

(2)開始仕訳として、前連結会計年度までののれんの償却と純利益の非支配株主持分への振替えの連結修正仕訳を行う。

(3)当期純利益から非支配株主持分への振替えとのれんの当期分の償却を行う。

(4)P社およびS社間の債権債務残高および取引高の内訳から、必要な債権債務の消去仕訳と取引高の消去仕訳を行う。

(5)商品の売買と土地の売買に関する未実現利益の消去仕訳を行う。

講評

出題の意図でも述べたように、本問では最も基本的な連結精算表の作成問題であり、連結貸借対照表と連結損益計算書のみの作成を出題しています。多少初学者にとって難しいと思われるのは、資本連結手続に関する消去仕訳くらいでしょう。本問を見て難易度が高いと感じた方は、この資本連結の手続を基本から押さえておく必要がありそうです。

受験者の実際の答案を見てみると、出題区分表の改定部分についてある程度事前に準備したと思われる受験者の得点はほぼ6-7割程度の得点に集中していました。一方で、受験者全体2-3割程度にほとんど白紙の答案が見られ、事前に改定部分についての準備を怠ったままで受験に臨んだ方が多かったのは、たいへん残念でした。

ある程度の準備をしたと思われる答案で、正答に到達できなかった受験者が多かった項目に、のれん、商品の未実現利益の消去、非支配株主持分の算定がありました。また、のれんについては、のれん償却は正答であったが貸借対照表ののれん残高が誤答となっているものや、未実現損益の消去については、未実現損益控除後の商品残高は正答であったが売上原価が誤答となっているものが多く見られました。

連結の消去仕訳は、連結会社間の取引高や残高を消去するための技術的な仕訳にすぎず、仕訳自体の会計的な意味が乏しいため、仕訳問題だけが2級の商業簿記で出題される可能性は限られます。平成30年以降は、アップストリームにおける未実現損益の控除も出題区分表に加えられるため、連結財務諸表作成の基本的な流れをしっかりと押さえた学習が望まれます。


第4問

出題の意図

個別原価計算の仕訳問題としてはオーソドックスな問題ですが、情報システム業を想定していますので、通常の製造業で使われる「製造指図書」ではなく、「プロジェクト」が原価集計の単位になっています。業種の違いで見慣れない用語はあったかもしれませんが、個別原価計算の計算プロセスは通常どおりです。勘定科目も通常使用されるものと変わりません。

原価計算を適用する業種は製造業に限定されるわけではありません。本問のような情報システム業でも受注に基づいてシステム構築を行っていることが多く、そうしたシステム構築の原価計算には個別原価計算が使われます。製造業以外の業種では、他にも、法律事務所や会計事務所といった専門サービス業などで個別原価計算の適用が想定されます。

受験者には、計算を身につけるだけでなく、現実に原価計算が適用される様々な状況をイメージしながら、原価計算の学習を楽しんでもらいたいと思います。

講評

全体的に点数はとれていましたが、比較的誤りが多かったのは(3)、(4)、(5)でした。

(3)は外注加工賃の問題です。外注加工賃は直接経費であるため、その発生高を仕掛品勘定に計上します。「作業」という文言があったためか、「賃金・給料」を使用した誤答が見られました。労務費と外注加工賃はどちらも作業への対価ですが、違いは自社の従業員か他社の従業員かという点です。

(4)は、プロジェクト#180201に計上された製造原価を正確に集計できたかどうかが問われました。直接労務費の仕訳が出題されなかった(会計処理としては存在する)ため、直接材料費と製造間接費しか集計していない誤答が見られました。個別原価計算の問題では、常に製造指図書別(今回はプロジェクト別)原価計算表を作成するように習慣づけておきましょう。

(5)は製造間接費の配賦差異を計算する問題でした。仕訳は難しくありませんので、差異の計算ができたかどうかが問われました。頻出の論点ですので、しっかり学習してほしいと思います。また、今回は出題されませんでしたが、配賦差異を予算差異と操業度差異に分けて計上する仕訳についても押さえておきましょう。


第5問

出題の意図

本問では、組別総合原価計算について出題しました。組別総合原価計算は、自動車製造業等でみられるような、複数の異種製品をそれぞれの組に分けて連続生産する場合に適用する原価計算です。

この計算では、各組の原料費と加工費を計算し、それをもとに組製品の月末仕掛品と完成品総合原価を計算します。その後、完成品の単位原価を計算することになります。このとき、この問題では、B製品に正常仕損が発生しています。これを計算条件として指示されたとおり、度外視法で計算することになります。

この組別総合原価計算では、答案用紙の組別総合原価計算表にあるように、組間接費である加工費の計算ができること、さらに、それに基づいて月末仕掛品と完成品総合原価の計算ができるかどうかをみる問題でした。

講評

本問は、組別総合原価計算の問題で、正答に至るには、各組製品の月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算できることが必要になります。そのために、各組の原料費と加工費から、その月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算しますが、問題のとおり、加工費を予定配賦率に基づいて計算しなければなりません。

この問題については、全体的には十分な解答ができている受験者が多かったようです。しかしながら、組別総合原価計算を全く勉強していないと思われる答案も散見され、加工費の計算が理解できていませんでした。組別総合原価計算は、様々な総合原価計算がある中で、実際には、大変重要な計算方法です。過去にも出題されているので、十分な学習を今後も続けてほしいと思います。




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