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出題の意図と講評まとめ

第132回日商簿記3級の「出題の意図と講評」

第132回日商簿記3級試験(実施日:H24.11.18、合格率:31.9%)の「出題の意図と講評」を掲載しています。

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第1問

出題の意図

本問は、3級の学習範囲内の取引についての仕訳問題であり、基本的には学習範囲内の事項をきちんと理解していれば解ける問題です。解答に際しては、適切な勘定科目を使用することに注意を要することが求められますが、問題に関しては、格別難しい点はないと思われます。

1.小切手での回収を現金の増加とすること、そして、小切手の金額には貸付金額とともに、利息の金額が含まれることに注意をする必要があります。

2.これまでの使用期間の減価償却累計額が正確に計算できるか、その結果として備品の帳簿価額がきちんと計算できるかが、解答のポイントです。これらの計算が正確にできていれば、帳簿価額と売却価額との差額が固定資産売却損益として正確に認識できます。なお、この備品売却に伴って発生した差損益は、備品売却損益ではなく、固定資産売却損益とすることにも注意をする必要があります。

3.固定資産を利用可能にするまでの支出は、資本的支出として、すべて固定資産の取得原価とするという点が理解されているかどうかを問いました。これらの支出を固定資産原価に算入することは、仕入諸掛りを仕入原価に算入することと同じ考え方です。

4.掛けで仕入れた商品の返品の処理を問いました。このような場合の処理は、仕入れた時と逆の取引を考えれば、簡単に解けるでしょう。

5.受領した金額の内容が不明の場合に仮受金で処理をしていたものの内容が判明した場合の処理を問いました。解答のポイントは、内容が不明のものを受領した時の処理と、それが判明した時は当該判明科目へ振り替える処理を行うという点です。

講評

本問の解答は、平均点としては合格水準に達しているものの、全体的には可もなく不可もなくという出来具合だったように思われます。問題自体は、3級の学習内容の中での基本的な問題であり、それほど難しいものではなかったと思われるので、得点をもっと伸ばせる余地はあったと思われます。以下に記した点に注意をすれば、得点はさらに1割程度伸びると思われ、合格率ももっと上昇したと思います。

1.この問題で目立った間違いは、小切手による回収を、当座預金の増加としたという点です。他店振り出し小切手の取得は現金の増加ということをもう一度確認していただきたいです。

2.この問題で目立った間違いは、減価償却費の計算でした。おそらく、残存価額を取得原価の10%ではなく、問題では0としている点の見落としがあったためと思われます。このようなイージミスをなくすことも、得点を得る上では大事です。問題文を注意深く読むということも試験を受ける心構えとしては大切なことです。

3.固定資産の仕入諸掛りを仕入原価に算入するのと同様に、固定資産の取得に関連して生じた諸経費は、固定資産の取得原価に算入されることになります。この点の理解がきちんとできていない答案が多く見られました。

4.この問題は比較的良く出来ていました。解答は、掛け仕入が行われたときの仕訳と反対の仕訳を考えれば、難なく得られるはずです。

5.この問題の解答の要点は、既に仮受金として処理されているものを単に前受金に振替える取引であるということです。この取引では、当座預金勘定への振り込みはすでに処理されているのですが、この点が誤解され、借方を当座預金としている答案が多かったです。また、仮受金と前受金の区別が正確になされていない答案もかなりありました。それぞれの勘定科目の違いをもう一度確認していただきたいです。


第2問

出題の意図

本問は、当座預金出納帳への記入から、どの様な取引内容を表しているかを読み取る問題です。

摘要からは、取引先や取引内容に関する情報が分かります。預入欄・引出欄には、金額の増減に関する情報が記入されています。残高欄からは、取引後の残高を把握できます。当座預金は、小切手代金や手形代金の決済にも関係する預金ですので、残高には十分注意する必要があります。よって、本問では、取引後の残高に注意しながら、当座預金出納帳の読取りにもとづいて、取引内容の仕訳を問うています。

内容としては、10日の手形割引に関する処理と、26日の当座借越後の入金処理がポイントになります。10日の手形金額(額面)と割引による入金額の差額は割引料(手形売却損)を意味し、26日の入金では当座借越との差額が当座預金への入金となります。

講評

全体的な出来は良かったようです。帳簿の作成や帳簿からの読取りにあたっては、記帳のもとになる取引の正確な把握、各種帳簿へ記入する内容と帳簿間のつながりの理解が大切です。


第3問

出題の意図

本問は、前期末の貸借対照表と当月1か月分の取引に関する資料に基づいて、勘定科目欄が記入済みとなっている当月末の合計試算表を作成する問題です。

解答にあたって重要となる点は、合計試算表の内容および作成手続について正確な知識を有しているかどうか、前期末の貸借対照表に関する資料から、当月の月初における各勘定の繰越金額を正しく推定できるかどうか、また、当月中の取引の資料から、正しく仕訳を行い、当月における各勘定の増減金額を正しく捉えることができるかどうか、そして、それらを正確に集計して、当月末の合計試算表を正しく作成できるかどうかです。

資料として与えられている前期末の貸借対照表および当月中の取引の内容は、すべて基本的なものであり、合計試算表の作成問題としては標準的な問題であるといえます。

講評

3級における合計試算表の作成問題としては標準的な内容の問題でしたが、的確に解答できず、あまり得点が伸びなかった答案が意外に多かったように思います。的確に解答できなかった主な要因としては、出題の意図において「解答にあたって重要となる点」として指摘していた事柄がそのままあてはまるようです。

すなわち、合計試算表について十分に理解できていない、あるいは合計試算表と残高試算表の違いがよくわかっていないために、的確に解答できなかった答案が多くありました。また、前期末の貸借対照表から各勘定の繰越金額を推定したり、再振替仕訳を行ったりすることについても、正確な理解を欠いているために、的確に解答できなかった答案も目立ちました。安易な学習は避け、簿記の基本をしっかり身につける学習に取り組むことが大切であると思います。


第4問

出題の意図

本問は、帳簿と伝票に関する基礎的な用語について理解を確認する目的で出題したものです。

帳簿や伝票は、企業の経済活動を記録するためのシステムを構成しており、全体のシステムの中でそれぞれがどのように機能しているのかを理解しておく必要があります。例えば、補助記入帳や補助元帳の役割、3伝票制や5伝票制における起票の仕組みなどがそれにあたります。

受取手形記入帳や支払手形記入帳に記入されるべき事項についても、正確に理解していただきたいです。特に受取手形勘定や支払手形勘定のてん末がどのように記録されているのかを理解しておくことが必要です。

いつも注意を喚起していますが、過去問等の問題演習ばかりではなく、基本書を一読して全体の仕組みを理解する努力を怠らないことが重要です。

講評

本問の採点結果は、あまり芳しくはありませんでした。全体の仕組みを理解することが望まれます。


第5問

出題の意図

第5問は、精算表に関する出題です。

未処理事項および決算整理事項をもとにして修正記入欄に金額を記入し、試算表欄の金額に加減して損益計算書欄及び貸借対照表欄に記入します。ただ、本問では、試算表欄の一部が空欄になっており、各自推定する必要があります。借方の売買目的有価証券は、2.決算整理事項の(3)のA社株式、B社株式、およびC社債それぞれの取得単価に取得数量を掛けて帳簿価額を計算し、その合計を記入します。その結果、試算表欄の借方(貸方)の合計額が出ますので、差額で支払手形の金額を求めます。

引出金は、資本の引出しをあらわす資本金の評価勘定ですので、決算時に引出金の残高を資本金勘定に振り替える必要があり、この手続きを引出金の整理といいます。本問ではこれを精算表で出題しました。

講評

第5問は、精算表の作成に関する問題でしたが、本問の特徴は、①試算表欄の一部が空欄になっており、各自で推定しなければならない点、②売買目的有価証券の銘柄が複数あり、それぞれの帳簿価額および時価を計算しなければならない点です。両者は密接に関連しており、A 社株式、B 社株式およびC 社債の帳簿価額を正しく算定できなければ、借方・貸方の合計額を求めることができないため、支払手形の金額を求めることもできなくなります。ここは細心の注意をもって計算しなければなりませんが、多くの受験者が正しく推定できていました。

未処理事項では、株式配当金領収証が通貨代用証券として簿記上の現金として取り扱われることを失念した答案が目立ちました。また、決算整理事項では貸倒引当金の設定や商品の処理ができていない答案が多かったです。

第5問の配点は32点と高いため、本問の出来不出来が合否に大きく左右します。高得点の答案が多い一方で、ほとんど得点できていない答案も目立ちました。過去問題を解いてみることはもちろん大切ですが、必ず自己採点をして自分が間違えた箇所の原因を確認して、次に同じようなミスを繰り返さないようにすることが重要です。


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