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出題の意図と講評まとめ

第133回日商簿記3級の「出題の意図と講評」



第1問

出題の意図

3級の標準的な学習範囲のうち、期中の基本的な取引から、資産・負債・純資産(資本)の増減や収益・費用の発生を的確に捉え、これを適切な勘定科目を用いて仕訳によって示すことができるかどうか、また帳簿決算の結果、把握された当期純損益を適切に振り替えることができるかどうかを問う標準的な設問です。

1.有価証券の取得原価に付随費用を含めなければならない点、および購入代金が当座預金口座の残高を超えてしまう点に注意して処理できるかどうかを問う問題です。

2.商品の取得原価に引取運賃を含めなければならない点、為替手形を振り出しても手形に関する債権・債務が生じない点に注意して処理できるかどうかを問う問題です。

3.店舗部分に関する固定資産税と、店主の所得税と店主個人居住部分に関する固定資産税が、それぞれどのように処理されるかが理解できているかを問う問題です。

4.現金の手許有高と現金勘定の残高に不一致が生じ、その不一致について現金過不足勘定で処理していて、その原因が判明したときの適切な処理方法を理解できているかどうかを問う問題です。すでに現金勘定への修正は終えているので、現金勘定に手を加えない点がポイントとなります。

5.決算の結果、当期純利益が計算された場合、損益勘定でどのように当期純利益が把握され、それをどのように資本金勘定へ振り替えるかが理解できているかどうかを問う問題です。

講評

いずれもこれまで頻繁に出題されてきた取引ばかりでしたので、正答率は全体的に高かったようです。ただし、取引内容をしっかりと理解していなかったり、不注意によって失点するケースも見られました。下記にいくつかのポイントを記しておきます。

1.有価証券の取得原価には購入代価に加えて、付随費用も含めなくてはなりません。購入手数料を取得原価に含めるのを忘れていたり、支払手数料勘定で処理している答案が散見されました。

2.商品を仕入れたときも、やはり付随費用を取得原価に含めなければなりません。引取運賃を取得原価に含めるのを忘れている答案も見られました。また、為替手形を振り出したときの処理にも注意が必要です。

3.店舗が負担する固定資産税については租税公課勘定で処理しますが、店主個人居住部分の固定資産税を店が支払ったときは、資本の引出として処理します。この部分を引出金勘定で処理している答案がみられました。

4.この類の問題の仕訳を考えるにあたっては、まず現金過不足勘定が借方残高か貸方残高かを確認してから、解答に取り組む必要があります。また、現金過不足勘定の残高を雑益または雑損勘定へ振り替えるのは、決算時の処理ですので、この点にも注意する必要があります。

5.今回の5つの仕訳の問題のうち、本問を苦手とする受験生が最も多かったようです。収益や費用の諸勘定の金額を損益勘定へ振り替える仕訳と、損益勘定の当期純利益または当期純損失を資本金勘定へ振り替える仕訳は、非常に重要ですので、繰り返し練習を積んでおく必要があります。


第2問

出題の意図

本問は、商品売買の処理を分記法で行った場合、この勘定記入を三分法に置き換えればどのような処理がなされるか、すなわち分記法を三分法に勘定の上で変換する問題です。

解答のポイントは、分記法で借方に記入される商品の増加は、三分法では仕入勘定に、同様に、貸方に記入された商品の払出は原価と販売益を加えた金額で売上勘定への記入となるということが基本的に理解されていることが必要です。ただし、仕入れ戻しは商品の減少ではありますが、仕入金額の修正として、仕入勘定の貸方に、また、売上戻りは商品の増加ではありますが、売上金額の修正として、売上勘定の借方に記入がなされるという点に注意をしてください。

解答に際しては、これらの点がきちんと理解されていることが必要です。

講評

今回の試験では、この問題の出来が一番悪かったようです。その基本的な原因は、分記法および三分法の考え方とその処理法の具体的なメカニズムがきちんと理解されていない点にあるものと思われます。

分記法は、商品販売のつど商品ごとに販売益を算出する、商品売買に関するもっとも基本的かつ原則的な方法です。しかし、分記法は手間暇がかかり、実務的でなく実行可能性の点で問題のある処理法です。このため、売上原価を期間的に算出し、売上高と比較して販売益を期間的に算出するという、現実的に実行可能な三分法が実務では採用されることになります。それゆえ、いずれの方法が採用されても同一の取引を見方を変えて処理しているだけなので、最終の販売益(売上総利益)は同額になります。

この問題を理解するためには、個々の取引の仕訳と転記を、分記法と三分法により同時並行的に比較対比しながら行うことが効果的であると思われます。


第3問

出題の意図

本問は、前期末の貸借対照表に、1月(期首からの1か月間)の取引データを加えた合計残高試算表を作成する問題です。取引データは、現金および当座預金に関する取引、仕入れおよび売上げに関する取引を中心としており、期中において繰り返し行われる取引の集計を主な論点としています。

注意する点としては、貸借対照表に記入のある前払家賃、資本金と当期純利益、資料(B)各取引のうち重複する項目の集計があります。貸借対照表のうち、前払家賃は期首に再振替仕訳を行い、当期純利益は前期末において資本金勘定への振替が行われていますので、当期の資本金に加えます。資料(B)各取引の中には、現金仕入高、当座預金からの現金受入の取引が重複して記入されていますので、二重転記(二重集計)を行わないように注意する必要があります。

取引を仕訳し、それを集計して試算表を作成することは、簿記の基本を身に付けるうえで非常に重要です。集計を正確かつ迅速に行えるようになるまで、繰り返し練習を行うように心掛けてください。

講評

本問は基礎的な内容による出題であったため、きちんと学習している受験者の方は良く出来ていたと思います。


第4問

出題の意図

本問は、仕入取引に関する起票の問題です。このタイプの問題は、これまでも出題されているので、起票の練習さえ積んでいれば、容易に解答を導くことができます。

(1) 仕入伝票を用いて起票する場合、一度、すべて掛取引として起票し、その後、ただちに現金で買掛金を決済したものとして起票することが理解できているかを問う問題です。

(2) 一部振替取引を分解して起票する場合、現金で仕入れた取引と掛けで仕入れた取引とに分けて起票することが理解できているかを問う問題です。

講評

これまで何度か出題されたタイプの設問であったにもかかわらず、全体としての正答率は想定していたほど高くなかったようです。全体の傾向としては、(1)と(2)のいずれも正解となっている答案と、いずれも不正解となっている答案に極端に分かれていました。また、(1)と(2)を比較すると、(2)の正答率の方がやや上回っているようでしたので、どちらかというと、5伝票制の起票を苦手としている受験生が多かったのではないかと推測します。

この類の問題を解くためには、取引から仕訳と各勘定への転記を推定し、同様の結果が得られるような起票の方法を理解しておく必要があります。


第5問

出題の意図

本問は、問題文で与えられた決算整理事項等の資料に基づいて、答案用紙の精算表を完成させる問題です。

一番のポイントは、決算整理事項等の資料に基づいて、修正仕訳を正しく行うことができるかどうかにあります。また、もう1つのポイントは、修正仕訳を修正記入欄に記入するとともに、損益計算書欄および貸借対照表欄への記入も含めて、精算表を正しい手順で完成させることができるかどうかにあります。

本問の決算整理事項等は、現金過不足の処理、仮受金の処理、貸倒引当金の設定、売買目的有価証券の評価替え、商品の決算整理、消耗品の決算整理、建物および備品の減価償却、引出金の整理、費用の繰延べと見越しであり、いずれも3級のレベルでは基本的なものばかりです。したがって、本問は、3級の精算表完成問題としては標準的で比較的易しい内容の問題であるといえます。

講評

3級の精算表完成問題としては標準的で比較的易しい内容の問題であったため、全体としては正しく解答できていた答案が多かったように思います。実際、満点またはほぼそれに近い答案が多くありました。

決算整理事項等についても特に難しいものはありませんでしたが、貸倒引当金の設定、建物および備品の減価償却、費用の繰延べと見越しについては、主に金額の計算ミスにより正しい修正記入を解答できなかった答案がありました。

一方、基本的な学習が不足し、3級の受験に必要となる知識や能力が十分ではないために、正しい解答がほとんどできなかった答案も結構目立ちました。決算の手続や精算表の作成は簿記の学習にとって基本となるものですので、しっかり理解できるようになるまで学習を丁寧に行うことが大切です。




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