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出題の意図と講評まとめ

第137回日商簿記3級の「出題の意図と講評」

第137回日商簿記3級試験(実施日:H26.6.8、合格率:48.0%)の「出題の意図と講評」を掲載しています。

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第1問

出題の意図

3級の学習範囲内の取引についての仕訳問題であり、基本的な事項を理解していれば解ける問題です。解答に際しては、指定した勘定科目を使用することが必要となります。

1.当座借越の状態で当座預金へ預け入れたときの仕訳を問う問題です。次のことが理解できているかどうかがポイントになります。

 ①他人振出しの小切手は、簿記上現金として扱う。

 ②当座借越を全額返済し、残額が当座預金になる。

2.収入印紙と郵便切手を購入した際の仕訳を問う問題です。郵便切手の購入は通信費勘定(費用)で処理しますが、収入印紙の購入は税金の納付にあたるので租税公課勘定(費用)で処理します。

3.間接法で記帳している備品を売却したときの仕訳を問う問題です。次のことを理解しているかどうかがポイントになります。

 ①備品に関する勘定は、備品勘定と備品減価償却累計額勘定の2つである。

 ②売却時点では、備品勘定の借方に取得原価、備品減価償却累計額勘定の貸方に減価償却費の累計額が記録されている。

 ③売却したとき、備品勘定と備品減価償却累計額勘定をゼロにするため、それぞれの勘定の反対側に残額を記録するための仕訳を行う。

 ④固定資産の売却にともなう売却代金の未収額は未収金勘定で処理する。

4.先に受け取った得意先振出しの約束手形を銀行で割り引いた際の仕訳を問う問題です。

5.仮受金の内容が明らかになったときの仕訳を問う問題です。次のことが理解できているかどうかがポイントになります。

 ①内容不明の入金は仮受金勘定で処理する。

 ②仮受金の内容が明らかになったときは、仮受金勘定から該当する勘定に振り替える。

 ③得意先から受け取った手付金は前受金勘定で処理する。

講評

全体として、受験生にとっては取り組みやすい問題だったようです。そのような中、個別には、「2.」の収入印紙の処理、「5.」の仮受金・前受金の処理において、それぞれ間違いが多くみられました。

なお、指定されている勘定の漢字間違いや、備品減価償却累計額勘定に備品を付け忘れるなどの不注意も散見されました。検定試験に落ち着いて臨むことが必要かと思います。


第2問

出題の意図

本問は、総勘定元帳における統制勘定としての売掛金勘定と、補助元帳としての得意先元帳(売掛金元帳)との関係について、理解しているかを問う問題です。

売掛金勘定は、企業全体の売掛金の増減を記録していますが、顧客ごとの売掛金の金額を示していません。そこで、顧客ごとの売掛金の内訳明細を記録するための補助簿(補助元帳)として設定されるのが得意先元帳です。この得意先元帳を顧客ごとの与信管理に役立てる一方で、企業全体の状況は、統制勘定である売掛金勘定を見れば把握することができるのです。

ただし、本問では得意先元帳の記入よりも、その内容を読み取ることを重視して、得意先元帳の記入内容を問題に示しています。そのうえで、どのような取引が行われたのか理解し、それを売掛金勘定に記入し、勘定の締め切りを行うところまでを出題しました。なお、出題にあたっては、金額を推定する箇所は一箇所も設けないように配慮しました。

講評

本問は、初めてこのような出題形式を見る受験者が戸惑わないように、上記の配慮をして出題しました。しかし、近時、勘定への記入が軽視されている悪弊があるようですので、あえて勘定に記入させる問題にしました。

解答にあたって、本問を後回しにして解答した受験者も多かったようです。正答率が比較的高かった点は評価できるものの、満点を獲得できた答案は、予想していたよりもはるかに少なかったのが残念です。

「仕訳ならできるが、勘定記入は苦手」という学習者が非常に多いです。得意先元帳の記入からどのような取引が行われたのか判断し、仕訳を起こすことまではできるものの、売掛金勘定の記入でつまずいている受験者が目立っていました。特に、摘要欄に相手勘定科目を記入する、また、それが複数の場合には「諸口」と記入する、簿記の基本ルールを全く分かっていない答案が多かったです。簿記はつまるところ、「仕訳と勘定記入」に尽きますので、仕訳だけでなく、勘定記入も重視するべきです。

学習者には、3級の段階で複式簿記の基本的なルールをきちんと身につけてほしいですし、指導にあたられている方には、基礎の段階で複式簿記の基本的な原理と帳簿記入の基本的なルールを理解、訓練させるよう、これまで以上に徹底してほしいと思います。


第3問

出題の意図

本問は、平成26年4月30日の残高試算表に同年5月中の取引を加減して、5月末日の残高試算表を完成させる問題です。試算表の作成に関する問題としては基本的な問題です。集計ミスに気をつけながら、スピード感をもって解答することがポイントになります。5月中の取引については、次の取引に注意しましょう。

6日 前期に発生した売掛金が貸倒れになったときは、貸倒引当金を取り崩します。

9日 所得税の源泉徴収額とは、従業員から預かった所得税のことであり、所得税預り金勘定で処理されています。

14日 注文時に支払った手付金は前払金勘定(資産)の借方に記帳されるので、手付金を相殺したときは、前払金勘定の貸方に記帳します。

30日 店主個人の住居にかかわる支出は、事業とかかわりのない取引であるため、費用(支払家賃)として処理せずに、純資産(資本金)の減少として処理します。

講評

基本的な問題であり全体として良くできていましたが、個別には、出題の意図で「次の取引に注意しましょう」と指摘した6日、9日、30日の取引において誤りが多く見られました。

また、残高試算表の作成が問われているのに合計試算表と勘違いした答案も散見されました。この勘違いは、特に3級の第3問でよくみられるものです。問題を良く読んでから解答にとりかかるようにしましょう。


第4問

出題の意図

本問は、資金の借入れに伴い生じる利息の発生に関する問題です。勘定記入面から取引の流れを読み取り、仕訳を推定します。勘定記入と仕訳の関係は一体となって理解されている必要があります。よって、本問は勘定記入面から仕訳を推定させることを目的に出題しました。

勘定記入の中には「?」が数箇所ありますが、その推定にあたっては、時間の流れとともに必要とされる仕訳を考える必要があります。解答にあたっても、その流れを把握できるように、日付ごとに取引項目を示しました。

正しい方法で学習されているならば、本問は容易に解けたと思います。本来は、時間の流れとともに発生する処理を自ら考えることが大切ですので、今後、問題と向き合う際に心掛けてみてください。

講評

本問は、3級における基本的な学習内容からの出題でしたが、正答率が予想より低く、勘定記入について理解できていない人が多数いました。

仕訳を考える際に、支払利息勘定の記入に関する仕訳であることから、仕訳の片側は支払利息勘定となることが分かります。そして、もう一方の相手勘定科目を推定できれば、仕訳は完成します。金額についても推定が必要な箇所がありますが、12/31の決算整理仕訳と、1/1の再振替仕訳の処理の流れを理解していれば、両者の関係から、金額の推定を容易に行うことができます。

勘定記入の流れを問う本問において誤答が多いことから、基礎段階での学習が十分に行われていないと感じました。取引の流れや簿記の手続きを理解して学習を進めるように努めてください。


第5問

出題の意図

本問は、精算表の作成を通じ、決算整理から財務諸表の作成までの一連の流れを理解しているかを問う問題です。過去の検定で出題されている形式と同じく、まず[未処理事項]の処理を行ったうえで、[決算整理事項]に移行します。未処理事項は約束手形の決済と有価証券の売却の2つですが、約束手形の決済に伴い売上債権の金額が減少しますので、決算整理において、貸倒引当金の繰入額に影響を与えることになります。

有形固定資産の減価償却については、残存価額がゼロの備品と取得原価の10%の建物が存在します。平成19年度税制改正以後、残存価額をゼロとして減価償却を行うことが認められるようになったことを受けたものですが、本問の建物はそれ以前に取得していることが前提になっています。

また、本問では引出金の期末における処理も問いました。期中において資本の引出しがあり、引出金勘定を用いて処理していた場合には、決算整理事項として資本金勘定に振り替えることが必要になります。

さらに、今回は、定期預金の利息の見越し計上も出題しました。収益の見越しはこれまで毎回のように出題されていますが、定期預金の利息は初めて見る問題でしょう。実際、すぐに支払う予定でない資金を定期預金として銀行に預けているのが一般的ですので、このような決算整理は頻繁に生じることになります。金利も実際の利率に近い年0.3%で出題しましたが、今回は利息であることを考慮して、1年を365日とする日割計算で行うことにしました。

講評

本問は、毎回のように出題されている精算表を完成させる問題ですので、比較的良くできていました。配点が32点と大きなウエートを占めていますので、本問の出来・不出来が合否を左右することになります。

貸倒引当金は、受取手形と売掛金の期末残高に対して設定されますが、[未処理事項]で受取手形を正しく減少させているにもかかわらず、この分を失念して設定している答案が多かったです。また、売買目的有価証券を売却し、その代金は後日受け取ることになっているにもかかわらず、正しく処理できていない答案も目立ちました。

定期預金の利息の見越し計上については、問題文の指示に従って正しく求めることが、思いのほかできていませんでした。利率は年0.3%にもかかわらず、その10倍、100倍とケタ違いで答えている答案が目立ちました。日割計算に慣れていない受験者が多いと思いますが、2級以上に進んだ後も何度も出てきますので、今回は誤ってしまった人も、これを機会に修得しておくことをお勧めします。

また、消耗品の処理を苦手にしている受験者が多いようです。本問では「消耗品費」が残高試算表の欄に¥58,000と記入されています。問題文で消耗品が¥4,000分だけ未使用だったと記されていることから、使用した分だけを消耗品費という費用に計上するための決算整理仕訳を導けばよいということになります。複数の処理方法が存在するものについては、どちらの方法が採られているのか最初に確認してから解答する必要があります。


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