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出題の意図と講評まとめ

第138回日商簿記3級の「出題の意図と講評」



第1問

出題の意図

本問は、3級の学習範囲内の取引についての仕訳問題であり、基本的な事項を理解していれば解ける問題です。解答に際しては、指定した勘定科目を使用することが必要となります。

1.売買目的有価証券のうち社債の買い入れに関わる問題です。次のことを理解しているかどうかを問うています。

 ①取得原価は口数に単価を乗じて求める。

 ②商品以外の物品を買い入れ、代金を後日支払うことにしたときに生じる債務は未払金勘定で処理する。

2.間接法で記帳している備品の売却に関わる問題です。次のことを理解しているかどうかを問うています。

 ①備品に関する勘定は備品勘定と備品減価償却累計額勘定の2つである。

 ②売却にあたり、備品に関する勘定残高をゼロにするための仕訳を行う。

 ③売却時点での備品減価償却累計額の残高の正確な計算。

 ④帳簿残高と売却価額の差額が固定資産売却損(または固定資産売却益)である。

3.手形の割引に関わる問題です。次のことを理解しているかどうかを問うています。

 ①割引により、手形債権が減少する。

 ②差し引かれる利息相当額は手形売却損勘定で処理する。また、その計算。

4.商品の売却に関わる問題です。次のことを理解しているかどうかを問うています。

 ①手形を裏書譲渡されたとき、手形債権が増加する。

 ②発送費の処理。

5.商品券による商品の売上に関わる問題です。次のことを理解しているかどうかを問うています。

 商品券勘定は負債の勘定、他店商品券は資産の勘定である。

講評

ほぼ6割強の受験者が正答しており、受験者にとっては取り組みやすい問題だったようです。そのなかで個別には、2.と4.の誤答が目立ちました。

2.は期中に取得した固定資産を売却年度の期首に売却する問題です。ここでは、減価償却は月割で計算しますが、そのことが理解できていないために、売却時における減価償却累計額の正確な計算ができないことが、誤答の原因になっています。これまでは固定資産を期首に取得し、売却年度の期中に売却する問題が出題されることが多かったため、受験者が不慣れであったことも誤答が多い原因と思われます。

4.は発送運賃の半額を当店が負担し、半額を先方が負担する問題です。当店負担分は発送費勘定(費用)で処理し、先方負担分を売掛金勘定で処理する(本文に明記)ということの意味が良く分かっていないと思われる答案が目立ちました。

なお、3.における割引料(手形売却損)の計算間違いや、備品減価償却累計額と答えるところを減価償却累計額と答えるなど、指定された勘定科目を注意深く見ていない答案も散見されました。問題文を丁寧に読む心掛けが必要です。


第2問

出題の意図

本問は、商品売買に関する取引にもとづき、商品有高帳への記帳と、それに関連する計算を問うものです。

商品有高帳は、取引により生じる商品原価の増加または減少について記帳を行います。受入欄は仕入取引より生じる仕入原価(引取費用を含む)、払出欄は売上取引より生じる払出原価が記帳の中心となります。その他として、仕入取引に関して返品・値引きがある場合、売上取引に関して返品がある場合についても記帳を必要とします。

本問の指示として、払出単価の決定方法は移動平均法を採用するとあります。この方法は、仕入れの都度、平均単価を求めて残高欄の単価とし、これを売上時の払出単価とする方法です。

また、関連する計算として、売上高、売上原価、売上総利益を問うています。売上高は、商品販売時の売価で、売上取引に値引き、または返品がある場合にはこれを差し引いて求めます。売上原価は、商品販売時の原価で、商品有高帳の払出欄(売上分のみ)原価となります。売上総利益は、売上取引から生じる売価と原価の差額ですので商品売買益を表します。

よって、本問は、商品売買取引を3分法により記帳処理する場合の売買損益計算について、その意味を理解しているかを問うために出題しました。

講評

商品有高帳の作成について、前月繰越高の記入や、引取費用が発生する場合の仕入取引、売上時の払出単価などが、十分に理解されていないようでした。

また、計算についても、売上高は売上取引ごとに生じる仕訳を考え、それを合計するだけの問題でしたが、間違いが見受けられました。問題の解き方ばかりに関心を持ち、取引から生じる情報の何を記帳・集計するかが見えていないように思われます。

学習にあたっては、取引、仕訳、転記の流れに沿って正しく処理を行い、主要簿とともに補助簿の記入についても理解を深めてください。


第3問

出題の意図

本問は、決算整理後の繰越試算表と1月中の取引にもとづいて、合計残高試算表を作成する問題です。

この問題を解くにあたっては、繰越試算表がどのようなものであるか理解していることが必要になります。決算の手順は、大雑把にいえば、残高試算表の作成、決算整理仕訳、帳簿決算、財務諸表の作成となります。繰越試算表は帳簿決算(帳簿の締め切り手続き)のなかで作成されます。したがって、繰越試算表にはすでに決算整理仕訳が反映されています。繰越試算表の借方に「前払家賃」があることからも理解できます。

この問題では次のことを理解しているかを問うています。

①前払費用の再振替仕訳ができるか

②1月中の取引に二重仕訳があることを見つけることができるか、そしてその処理ができるか

仕訳自体は、基本的なものであり、特に応用的なものはありません。前払家賃勘定の再振替処理についても、問題文(5.その他の取引)で指示しています。そして、問題量についても多くなりすぎないように十分に配慮しました。したがって、上記の2点が理解できていれば、十分に解答できると考えます。

講評

本問は、類似した問題が過去にも出題されている基本的な問題であり、ほぼ6割強の受験者が正答しています。その中で、次の箇所に誤りが多く見られました。

①二重仕訳の処理、②再振替仕訳、③給料の支払い、④手付金を支払っていた仕入先からの商品の受取り、⑤水道光熱費の支払い(20%は店主家計の利用分)。

この問題は、時間はかかりますが、個々の取引は基本的なものばかりです。類似の過去問題をたくさん解くことで、問題に慣れることが何よりも大切だと思います。


第4問

出題の意図

本問は伝票に関する理解を問う問題です。商品売買取引で一部が現金決済の場合には、入金/出金伝票と振替伝票を組み合わせて起票する必要があります。企業でも入金/出金と売掛金/買掛金はそれぞれ別の担当者が管理することがあるため、管理状況に合わせた起票の知識が必要です。

今まで伝票は何度も出題していますが、特に今回は、いったん全額を掛取引として起票する方法と、現金取引・掛取引に分解して起票する方法の両方を混同せず理解しているかがポイントです。それぞれの方法を正確に理解していれば、それほど難しくない問題と思われます。

講評

伝票の仕組みを理解していればそれほど難しくない問題であり、全体的に良くできていました。今回できなかった人は、伝票の仕組みを基礎からしっかり学習してください。


第5問

出題の意図

本問は、決算整理前残高試算表と決算整理事項等によって、貸借対照表と損益計算書を完成させる問題です。これまで第5問は精算表の問題が長らく続きました。しかし、簿記の3級受験者にとって、決算報告書としての貸借対照表と損益計算書を作成するための能力もまた、精算表の作成と同様に欠くことができないものです。また、精算表を長らく出題することで、精算表の問題がパターン化する弊害も危惧されます。

以上から、今回は貸借対照表と損益計算書を完成させる問題を出題しました。

なお、久しぶりの出題ということで、受験生に不利にならないように、決算整理事項等については、その内容を極力標準的なものにするとともに、作業量にも配慮しました。

決算整理事項等の1.は、決算時に現金過不足が判明した場合の処理を問うものです。現金の帳簿残高は残高試算表の現金の¥259,000で、実際有高は金庫の中の紙幣・硬貨と他店振出しの小切手の合計の¥258,000であることを理解できるか、すなわち、簿記上の「現金」についての正しい理解を要求しています。

貸借対照表と損益計算書の作成に関しては、次のことが理解できているかを併せて問うています。

①貸倒引当金・減価償却累計額は売掛金および固定資産から控除する形で記載する。

②前払家賃は「前払費用」、前受利息は「前受収益」、未払給料は「未払費用」として表示する。

③仕入勘定の残高は「売上原価」として表示する。

④純資産は期首資本(資本金)と当期純利益に分けて記載する。その際、決算整理前残高試算表の資本金の金額は期首資本である。

講評

第5問は、長らく精算表を作成させる問題が続いたので、精算表に絞って学習していた受験者には厳しい問題であったと思われます。そのためか正答率は5割弱と例年より若干落ちています。また、満点の受験者も多くいる一方で、ゼロ点の受験者も多くいるという特徴が見られました。

個別には、次の事項の誤りが目立ちました。

①決算整理事項等の1.の現金過不足額を雑損または雑益として処理する問題。ここでは、「得意先振出しの約束手形」が正しく理解されていないようでした。

②前受利息(収益の繰り延べ)の仕訳およびその表示方法

③売上原価の金額。ここでは、仕入勘定の残高が売上原価であることが分かっていないようでした。

④売掛金および固定資産の表示方法(間接控除方式)

いずれも、学習不足によるものと思われます。

簿記の目的が財務諸表(貸借対照表および損益計算書)の作成にあることを考えると、基本的な貸借対照表および損益計算書の作成に関する知識・技能はどうしても必要な能力です。精算表だけでなく貸借対照表および損益計算書の作成能力も養ってほしいと思います。




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