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出題の意図と講評まとめ

第141回日商簿記3級の「出題の意図と講評」

第141回日商簿記3級試験(実施日:H27.11.15、合格率:26.1%)の「出題の意図と講評」を掲載しています。

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第1問

出題の意図

基本的な仕訳の能力を問う問題です。特に留意すべきところは次のとおりです。

2.当座預金および小切手の出題は以前から何度も出題されていますが、今回は小切手帳の交付を受けた際の処理を出題しました。小切手および手形は、一定の料金を支払って取引銀行から交付を受けた専用の用紙の綴り(小切手帳、手形帳)を使用します。そこで、実務上は小切手や手形を使用した時だけでなく、交付を受けて料金を支払った際の処理の知識も必要となります。なお、本問では勘定科目一覧に含めていませんが、銀行に支払った料金については消耗品費(もしくは消耗品)勘定で処理することもあります。

4.当店は自動車販売業であり、かつ販売目的で取得した自動車ですので、商品売買として処理する必要があります。

講評

本問のうち、3.および4.については正答率がかなり低いものとなりました。3.については、過年度に貸倒処理を行っている場合で翌期以降に償却済債権が回収された場合を問うています。4.については、意図でもふれたとおり商品を購入した際の処理であり、基本的な取引といえますが、問題文中の「販売目的」という指示等に注意する必要があります。また、引取運送費は購入物の取得原価に算入することになります。取引の仕訳にあたっては、問題文から取引内容を正確に読み取ることが望まれます。


第2問

出題の意図

本問は、当座預金に関する勘定記入について、日々の勘定残高を把握したうえで、当座預金勘定と当座借越勘定を用いて適切に処理できるかを問う問題です。当座預金勘定の増減にあたり、当座預金出納帳の作成同様に残高を意識し、資金の状況に注意してもらうことを出題の意図としています。

本問の解法に関心を持つだけでなく、日々の残高の状況、借越限度額、仕入または売上代金の決済期日、借入れに対する返済など多くの事柄に注意しながら滞りなく経営活動ができるようにすることは、処理を行うこと以上に重要な内容です。実際の経営活動の中でも活かすことが出来るように学習を行うことが大切です。

講評

本問の出来は概ね良好でしたが、預金残高を超えて支払いを行った際には当座借越勘定に記録される点に、やや間違いが見られました。また、勘定への転記を行う際には、日付・相手勘定科目・金額を記入しますが、相手勘定科目を記入する摘要の箇所に取引の概要を記入する方もいたようです。主要簿としての総勘定元帳(各勘定)への記入(転記)と、補助簿への記入についての知識を正しく身に付けてください。


第3問

出題の意図

本問は、期中に経過した取引高の状況を整理した残高試算表に当月の取引データを加味し、年間の取引高から生じた経営活動の概要を表す決算整理前の残高試算表を作成する問題です。取引データは、現金および当座預金の入出金に関する取引および商品売買に関する取引を中心としており、期中において繰り返し行われる取引を確実に処理できるかを集計の主な論点としています。

試算表の構造としては、月初残高と月中取引を分離していますので、過去の取引の概要と当月取引高のそれぞれを把握することができ、月中取引の内容は各勘定における当月取引の転記面を表していることになります。結果として、期中経過高と当月の取引(損益を含む)の進捗状況が把握できるようになっています。

試算表は、勘定への転記ミスの有無を確認する手段として作成するのみでなく、各勘定の状況を把握する、決算手続きの基礎資料としても利用できます。残高試算表であれば、当期の経営活動の概要をつかむことが可能です。

このように、利用価値の高い情報の作成となりますので、試算表を単に取引の集計作業としてのみとらえるのではなく、どのような利用につながるかを考えてもらえるように出題しました。

講評

問題文や試算表の書式から、残高試算表を作成する問題と分かったかどうかにより、その出来に大きな差が生じました。試算表の集計内容は、過去問題でも度々出題している内容とほぼ同様のものです。月中取引は、月中とあるとおり当月の取引を集計する欄ですが、それ以外の情報を加えている答案も多数ありました。問題文にも、集計にあたっての指示を記述しましたが、理解されていないようでした。

出題の意図にもあるとおり、試算表の作成を機械的な集計作業とすることなく、意味を持った内容として理解していただくことを望みます。日頃から問題と向き合う際には、何が問われ、何を解答するのかを丁寧に正しく把握することが大切です。


第4問

出題の意図

基本的な簿記の知識を確認する問題です。選択肢を示さず、かつ漢字で答えるものとしましたが、ほぼ4級レベルの内容ですので完答が望まれます。

講評

ある程度はできたようですが、全てについて正しく解答することが出来た方は少なかったようです。簿記の構造や手続きなどは基本的な知識として求められますので、用語の理解とともにしっかりと身に付けるようにしてください。


第5問

出題の意図

本問は、個人商店の決算にかかる財務諸表の作成を行う問題で、決算に関する基本的な知識や処理能力があるかを問うものです。基本的な項目を中心に出題したので、確実に処理できることが望まれます。決算にあたっては、未処理の取引を整理したうえで、決算整理を行います。

主な注意点は次のとおりです。

①決算整理前勘定残高の推定を行います。資本金勘定は、期中の変動額(追加元入れや引出し)を加味した残高となります。よって、資料に与えられた資本金勘定の貸借差額で求めます。現金勘定の推定にあたっては、決算整理前の元帳勘定残高が残高試算表の数値を表していることを理解してください。残高試算表の借方合計と貸方合計は一致することから、貸方合計から借方合計(現金を除く)を差し引いて求めます。また、財務諸表に記載する現金は実際有高であることを考えれば、一旦、元帳に実際有高を当てはめてみて貸借が一致しなければ、差額(本問では雑損)が生じていることを確かめることができます。

②資料3の貸倒引当金の設定は、債権の修正後残高(資料2の取引を加味)に対して行います。

③資料5の減価償却は、減価償却そのものが何を行っているかを理解してもらうために出題しました。直接法記帳により、備品の勘定残高は過去の償却額を差し引いた金額になっています。残存価額はゼロであるため、当期以降の残存耐用年数(5年)で備品の勘定残高を償却することになります。資料内には、取得原価は各自推定とありますが、帳簿勘定残高が取得原価となっていないことを表す注意として記載したもので、本来は不要なものです。

④資料7の保険料勘定にかかる当期未経過高は、貸借対照表に前払費用として表示します。

⑤資料8の支払利息勘定にかかる利息未払高は、貸借対照表に未払費用として表示します。

決算整理事項等の出題内容は、いつもとほぼ同様です。3級の範囲に示された学習をきちんと行っていれば本問は問題なく解答できると思われます。過去問題の解き方や予想問題ばかりに関心を持ち、学習段階で必要な知識を身に付けていない方も近年見受けられます。処理を機械的に覚える学習のみではなく、簿記の構造や決算整理の意味を正しく理解する学習を心掛けてください。上級に進んだときにも必要となりますので、対応能力の伴う簿記の知識を身に付けておくことが望まれます。

講評

簿記の基本的な構造を理解している方にとっては難なく得点できる問題でしたが、特定パターンの問題の解法ばかりに関心のある方にとっては厳しい結果となったようです。本問の論点の大半は、繰り返し出題されている項目にもかかわらず、あまりできていません。決算で行うことは、精算表の作成だけではありません。単なる作業表にすぎない精算表を、文字通り作業にして意味を理解していないため、精算表と財務諸表とがつながってこないのだと思います。決算においては、決算整理仕訳の意味、帳簿決算の手続きなどと一体となって、財務諸表の作成まできちんと出来るようにすることが望まれます。

また、元帳残高において各勘定の残高が借方・貸方のどちら側に生じるのかについても、しっかりと分類できるようにすることが大切です。なお、資本金勘定のどの情報が決算整理前の元帳残高となるのかは4級で度々問われる内容となっています。本問において、基本的な項目内容なのにミスが目についたものは、次のとおりです。

・貸倒引当金の控除形式の表示とその金額計算ができない。

・売上原価の計算ができない。

・減価償却費や貸倒引当金繰入(額)といった科目が損益計算書の費用欄に入ることが分からない(金額計算以前のミスとして)。

・資本金は何の金額を表示するのか分からない。

・前払費用や未払費用の金額計算を正確に行えない。

精算表ならばできるという方は、精算表しかできないと言っていることに気づいてください。しかも論点は全く同じだとすると、本当の意味を理解できていないため、財務諸表の作成を苦手とするのだと思います。決算の学習にあたっては、決算手続きに基づいて、正しく処理を行うことが大切です。今後は、精算表の作成に限らず財務諸表の作成、帳簿決算の内容も含めてきちんとできるように学習を行ってください。


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