個別原価計算の仕訳と勘定記入のやり方

個別原価計算の仕訳と勘定記入のやり方

今回は、前回の例題の計算結果を使って個別原価計算における仕訳のやり方と勘定記入の方法を説明していきたいと思います。

前回のおさらい

前回の計算結果を使って仕訳と勘定記入を説明しますので、忘れた人はもう一度確認しておいてください。

個別原価計算の問題と解き方~実際に計算してみよう!~ 個別原価計算の問題と解き方~実際に計算してみよう!~

前回の例題で作成した原価計算表と製造間接費発生額及び生産状況は以下の通りです。

原価計算表

#100#200#300合計
直接材料費210,000円132,000円270,000円612,000円
直接労務費200,000円100,000円240,000円540,000円
製造間接費240,000円120,000円288,000円648,000円
合計650,000円352,000円798,000円1,800,000円
備考仕掛中完成完成・引渡 

製造間接費発生額

間接材料費間接労務費間接経費合計
125,000円248,000円275,000円648,000円

当期(6月期)の生産状況

製造指図書#100#200#300
製品名A製品B製品C製品
数量200個100個300個
製造着手日6/36/56/7
完成日6/206/25
備考150個だけ完成全て完成・未引渡全て完成・引渡済

仕訳と勘定記入の流れについては、すでに学習した通りです。

①製造直接費の賦課と製造間接費の集計

忘れた人はこちらを参考にしてください。

【月次決算までの流れ】月次損益勘定の記入方法 【月次決算までの流れ】月次損益勘定の記入方法

借方科目金額貸方科目金額
仕掛品1,152,000材料737,000
製造間接費648,000賃金788,000
  経費275,000
製造直接費の賦課と製造間接費の集計

製造直接費(直接材料費と直接労務費)は仕掛品勘定へ振り替え、製造間接費(間接材料費・間接労務費・間接経費)の発生額は製造間接費勘定へ振り替えます。

②製造間接費の振替

借方科目金額貸方科目金額
仕掛品648,000製造間接費648,000
製造間接費の振替

次に、製造間接費勘定に集計された配賦額を仕掛品勘定へ振り替えます。

③完成品原価の振替

借方科目金額貸方科目金額
製品1,150,000仕掛品1,150,000
完成品原価の振替

完成した製品(#200と#300)の製造原価を仕掛品勘定から製品勘定へ振り替えます。

注意
生産量の全てが完成した時点で製品勘定へ振り替えるということに注意してください。製品勘定への振り替えは製造指図書単位で行われ、その一部だけを振り替えることはできません。

#100は生産量が200個なのに対して150個しか完成していないため、#100は「仕掛中」ということになり、これが仕掛品勘定における次月繰越高(月末仕掛品棚卸高)となります。

④売上原価の振替

借方科目金額貸方科目金額
売上原価798,000製品798,000
売上原価の振替

販売した製品(#300)の製造原価を製品勘定から売上原価勘定へ振り替えます。

完成した製品のうち顧客に引き渡したものだけを売上原価勘定へ振り替えます。#200は全量が完成したにもかかわらず、いまだ顧客に引き渡されていないので製品勘定における次月繰越高(月末製品棚卸高)となります。

MEMO
個別原価計算では各製造指図書ごとに製品の仕様が異なるので、仕掛品勘定を製造指図書ごとに分割して設定する場合もあります。
SHIBUYA
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工業簿記は会社によって勘定の設定などが非常に多様です。なので、この辺については問題に応じて柔軟に対応してください。