直接配賦法による補助部門費の配賦問題
当工場では、2つの製造部門(切削部門・組立部門)と2つの補助部門(動力部門・修繕部門)により原価部門が構成されている。次の資料に基づいて、[資料]5.で示す原価計算表を作成しなさい。
[資料]
1.当期における部門費(部門個別費+部門共通費配賦額)は次のとおりであった。
切削部門 | 組立部門 | 動力部門 | 修繕部門 | 合 計 |
---|---|---|---|---|
¥950,000 | ¥800,000 | ¥128,000 | ¥160,000 | ¥2,038,000 |
2.補助部門費の配賦に用いる配賦基準の値
切削部門 | 組立部門 | 動力部門 | 修繕部門 | 合 計 | |
---|---|---|---|---|---|
動力消費量(kwh) | 80,000 | 80,000 | - | 40,000 | 200,000 |
修繕時間(時間) | 180 | 140 | 80 | - | 400 |
3.各製造指図書へは、切削部門は機械作業時間、組立部門は直接作業時間を基準として配賦する。
#100 | #200 | 合 計 | |
---|---|---|---|
機械作業時間(時間) | 350 | 250 | 600 |
直接作業時間(時間) | 400 | 600 | 1,000 |
4.当工場では、補助部門費の配賦方法として直接配賦法を採用している。
5.原価計算表(単位:円)
#100 | #200 | 合計 | |
---|---|---|---|
直接材料費 | 950,000 | 810,000 | 1,760,000 |
直接労務費 | 580,000 | 450,000 | 1,030,000 |
製造間接費 | |||
切削部門費 | |||
組立部門費 | |||
合 計 |
補助部門費の配賦
動力部門費の配賦
動力部門費は動力消費量、修繕部門費は修繕時間に基づいて各補助部門費を配賦していきますが、直接配賦法では補助部門費を製造部門のみに配賦します。
したがって、配賦率の計算において考慮すべきなのはすべての配賦基準値の合計ではなく、製造部門のみの配賦基準値の合計であるということに注意してください。
動力部門費の配賦率 = 動力部門費 ÷ 製造部門における動力消費量合計 = ¥128,000 ÷ (80,000kwh + 80,000kwh) = @¥0.8 |
![]() |
修繕部門の40,000kwhは計算に入れないんだね。 |
その通りです。このように算定された配賦率は、動力消費量1kwhあたり@¥0.8を製造部門のみへ配賦するということなので、あとはこれに各製造部門の動力消費量を掛ければいいだけです。
・動力部門費の配賦額
切削部門への配賦額 | @¥0.8 × 80,000kwh = ¥64,000 |
組立部門への配賦額 | @¥0.8 × 80,000kwh = ¥64,000 |
修繕部門費の配賦
修繕部門費についても同じように考えていきます。
![]() |
動力部門の80時間は計算に入れたらダメだよ。 |
修繕部門費の配賦率 = 修繕部門費 ÷ 製造部門における修繕時間合計 = ¥160,000 ÷ (180時間 + 140時間) = @¥500 |
これは修繕時間1時間あたり@¥500を製造部門のみへ配賦するということなので、あとはこれに各製造部門の修繕時間を掛けていけばいいだけです。
・修繕部門費の配賦額
切削部門への配賦額 | @¥500 × 180時間 = ¥90,000 |
組立部門への配賦額 | @¥500 × 140時間 = ¥70,000 |
【図示】

製造指図書への配賦
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え~と。次の計算段階は「各製造部門に集計された原価を適切な配賦基準によって、各製造指図書へ配賦する」だったね。 |
はい。最後に、補助部門費配賦後の製造部門費を各製造指図書(仕掛品)へ配賦します。上の例題では、切削部門は機械作業時間、組立部門は直接作業時間を基準として配賦しますが、試験では問題の指示に従ってください。
切削部門費の配賦
切削部門費の配賦率 = 切削部門費 ÷ 機械作業時間合計 = ¥1,104,000 ÷ 600時間 = @¥1,840 |
切削部門費の配賦額は、切削部門費の配賦率に#100および#200それぞれの機械作業時間を掛けて計算します。
・切削部門費の配賦額
#100への配賦額 = @¥1,840 × 350時間 = ¥644,000 |
#200への配賦額 = @¥1,840 × 250時間 = ¥460,000 |
組立部門費の配賦
組立部門費の配賦率 = 組立部門費 ÷ 直接作業時間合計 = ¥934,000 ÷ 1,000時間 = @¥934 |
組立部門費の配賦額は、組立部門費の配賦率に#100および#200それぞれの直接作業時間を掛けて計算します。
・組立部門費の配賦額
#100への配賦額 = @¥934 × 400時間 = ¥373,600 |
#200への配賦額 = @¥934 × 600時間 = ¥560,400 |
【図示】

例題の答え
以上より、例題の答え(原価計算表)は次のようになります。
#100 | #200 | 合計 | |
---|---|---|---|
直接材料費 | 950,000 | 810,000 | 1,760,000 |
直接労務費 | 580,000 | 450,000 | 1,030,000 |
製造間接費 | |||
切削部門費 | 644,000 | 460,000 | 1,104,000 |
組立部門費 | 373,600 | 560,400 | 934,000 |
合 計 | 2,547,600 | 2,280,400 | 4,828,000 |
![]() |
一見難しそうに感じたけど計算自体はそれほどでもなかったよ。 |
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