ファイナンス・リース取引1~利子抜き法(定額法)による一連の仕訳~

ファイナンス・リース取引1~利子抜き法(定額法)による一連の仕訳~

前回学習したようにファイナンス・リース取引については売買取引に準じた会計処理を行います。したがって自己所有の固定資産を取得したときと同様に、リース物件を資産として貸借対照表に計上します。

リース契約締結時の仕訳

例題1
×1年4月1日に備品をリースした。このリース契約(所有権移転外ファイナンス・リース取引)の内容は、リース期間4年、年間リース料¥5,000(毎年3月末に後払い)である。なお、この備品の見積現金購入価額は¥18,800である。利子抜き法(定額法)によって処理する。

通常、リース料の中には利息相当額が含まれています。したがって、リース料の支払額総額¥20,000(¥5,000×4年)と見積現金購入価額(リース物件を現金で購入した場合の金額)¥18,800の差額は利息として性格があると考えられます。

リース契約締結時の仕訳(利子抜き法(定額法))

利子抜き法では、リース契約締結時に利息相当額を含まない金額、すなわち見積現金購入価額をもって「リース資産」および「リース債務」を計上します。

借方科目金額貸方科目金額
リース資産18,800リース債務18,800

MEMO
「リース資産」を使わずに「備品」などの固定資産の勘定に含めて処理する場合もあります。試験では問題の指示に従ってください。

リース料支払時の仕訳

例題2
×2年3月31日、例題1における当期分のリース料を現金で支払った。
リース料支払時の仕訳(利子抜き法(定額法))

利子抜き法では利息相当額を含んでいない金額でリース債務を計上しているため、リース料の支払額から利息分を差し引いた金額をリース債務の返済に充てます

MEMO
リース料に含まれる利息相当額は支払利息として処理します。
SHIBUYA
SHIBUYA

定額法とは利息相当額をリース期間で割った金額を各期間に配分する方法をいいます。

借方科目金額貸方科目金額
リース債務4,700現金5,000
支払利息300  

それぞれの計算方法は次のとおりです。

リース債務

リース債務計上額¥18,800÷4年=¥4,700

支払利息

利息相当額(¥20,000-¥18,800)÷4年=¥300

決算時の仕訳

例題3
×2年3月31日、決算となったので例題1のリース物件について減価償却(間接法)を行う。

所有権移転外ファイナンス・リース取引では、耐用年数をリース期間、残存価額をゼロとしてリース物件の減価償却を行います。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費4,700リース資産減価償却累計額4,700

・リース資産¥18,800÷4年=¥4,700

注意

決算日とリース料の支払日が異なる場合は、決算日において利息の見越しまたは繰延べを行うことに注意してください。

復習問題

2級仕訳問題集part.2のQ2-29~Q2-30を解きましょう!