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税効果会計の基本的な仕組み~繰延税金資産と繰延税金負債~

重要度★★★☆☆ 2級商業簿記無料講座第11章-3のアイキャッチ画像

各一時差異ごとの個別的な処理方法は次回以降に譲るとして、ここでは税効果会計の基本的な仕組みについて解説します。抽象的で少し難しいかもしれませんが、このページの内容を理解していれば次回以降の学習がぐっと楽になります。

1.繰延税金資産とは

将来の課税所得を減少させる一時差異(将来減算一時差異)がある場合、「将来の利益>将来の課税所得」ということになり、当期においては「当期の利益<当期の課税所得」という関係になります。

「なんでそうなるの?」と思った人はこちら。


当期の処理

以下、実効税率は40%と仮定して説明していきます。

考え方

繰延税金資産とは

「当期の利益<当期の課税所得」ということは、「会計上の税金(費用)<税法上の税額(実際の支払額)」となるので、税引前当期純利益と法人税等を対応させるためには税法上の税額を減少させる調整をします。

すでに学習したように、実際には税引前当期純利益に調整計算を加えて課税所得を算定します。ただ「益金ー損金」で表した方が分かりやすいと思うので、以後はこの形で説明していきます。

仕訳のやり方

法人税等調整額という勘定科目を用いて、法人税等の金額を調整します。

仕訳
(借)
(貸)
法人税等調整額
20

法人税等を費用(借方)と考えた場合、それを減額するので貸方に法人税等調整額を記入します。

次に、空いている借方に繰延税金資産を記入します。よって、将来の課税所得を減少させる一時差異がある場合の仕訳は次のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰延税金資産 20 法人税等調整額 20
繰延税金資産の性格

一時差異は収益・費用と益金・損金の計上期間が異なるだけのものなので、全体期間を通じた会計上の税金(費用)と税法上の税額(実際の支払額)は同じになります。

しかし当期において将来減算一時差異が生じた場合、税効果会計を適用することにより会計上の税金に比べ、実際に支払う法人税等の方が多くなります。

これは、将来の法人税等を前払いしたものとみなすことができ、これを繰延税金資産として貸借対照表に計上します。

将来の処理(差異が解消したとき)

考え方

繰延税金資産とは

差異が解消したときは「将来の利益>将来の課税所得」となるので、「会計上の税金(費用)>税法上の税額(実際の支払額)」となります。したがって、税引前当期純利益と法人税等を対応させるために税法上の税額を増加させる調整をします。

一時差異が解消したときは、会計上の税金(費用)より税法上の税額(実際の支払額)が、過去に繰延税金資産として計上していた金額(法人税等の前払額)だけ小さくなります。

ちなみに、これを「繰延税金資産の回収」といいます。

仕訳のやり方

仕訳
(借)
法人税等調整額
20
(貸)

法人税等を費用(借方)と考えた場合、それを増額するので借方に法人税等調整額を記入します。

差異が解消したときに税金の前払額である繰延税金資産を取り崩すので、貸方は繰延税金資産となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
法人税等調整額 20 繰延税金資産 20

2.繰延税金負債とは

将来の課税所得を増加させる一時差異(将来加算一時差異)がある場合、「将来の利益<将来の課税所得」ということになります。これは、当期において「当期の利益>当期の課税所得」という関係にあります。

当期の処理

考え方

繰延税金負債とは

「当期の利益>当期の課税所得」ということは、「会計上の税金(費用)>税法上の税額(実際の支払額)」となるので、税引前当期純利益と法人税等を対応させるために税法上の税額を増加させる調整をします。

仕訳のやり方

仕訳
(借)
法人税等調整額
20
(貸)

法人税等を費用(借方)と考えた場合、それを増額するので借方に法人税等調整額を記入します。

次に、空いている貸方に繰延税金負債を記入します。よって、将来の課税所得を増加させる一時差異がある場合の仕訳は次のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
法人税等調整額 20 繰延税金負債 20
繰延税金負債の性格

一時差異は収益・費用と益金・損金の計上期間が異なるだけのものなので、全体期間を通じた会計上の税金(費用)と税法上の税額(実際の支払額)は同じになります。

しかし当期において将来加算一時差異が生じた場合、税効果会計を適用することにより会計上の税金に比べ、実際に支払う法人税等の方が少なくなります。

これは、将来の法人税等の未払いとみなすことができ、これを繰延税金負債として貸借対照表に計上します。

将来の処理(差異が解消したとき)

考え方

繰延税金負債とは

差異が解消したときは「将来の利益<将来の課税所得」となるので、「会計上の税金(費用)<税法上の税額(実際の支払額)」となります。したがって、税引前当期純利益と法人税等を対応させるために税法上の税額を減少させる調整をします。

一時差異が解消したときは、会計上の税金(費用)より税法上の税額(実際の支払額)が、過去に繰延税金負債として計上していた金額(法人税等の未払額)だけ大きくなります。

ちなみに、これを「繰延税金負債の支払」といいます。

仕訳のやり方

仕訳
(借)
(貸)
法人税等調整額
20

法人税等を費用(借方)と考えた場合、それを減額するので貸方に法人税等調整額を記入します。

差異が解消したときに税金の未払額である繰延税金負債を取り崩すので、借方は繰延税金負債となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰延税金負債 20 法人税等調整額 20

3.繰延税金資産(負債)の表示方法

流動固定分類

繰延税金資産および繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて、流動資産(負債)または固定資産(負債)に分類します。

繰延税金資産(負債)の流動固定分類

日商簿記2級で出題される項目に関する流動固定分類はこのようになります。なお、固定資産の繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示します。

相殺表示

繰延税金資産(負債)の相殺表示

流動項目の繰延税金資産と繰延税金負債は貸借対照表上、相殺してどちらか一方を表示します。また、固定項目の繰延税金資産と繰延税金負債も相殺してどちらか一方を表示します。

繰延税金資産(負債)の相殺表示

流動項目の繰延税金資産と固定項目の繰延税金負債、および固定項目の繰延税金資産と流動項目の繰延税金負債は相殺してはいけません。

4.まとめ

まとめ
  • 税効果会計適用仕訳では、法人税等調整額という勘定科目を用いて、法人税等の金額を調整する。
  • 繰延税金資産は法人税等の前払額を、繰延税金負債は法人税等の未払額を表すものである。
  • 繰延税金資産および繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて、流動資産(負債)または固定資産(負債)に分類する。
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