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その他有価証券の評価差額~仕訳のやり方と税効果会計が必要な理由~

重要度★★★☆☆ 2級商業簿記無料講座第11章-6のアイキャッチ画像

その他有価証券の評価差額にかかる税効果会計の仕訳は、今までのパターンとは少し異なります。ただ、仕訳自体は非常に簡単なので気楽にいきましょう。

1.評価差額に係る税効果会計

その他有価証券について、会計上は決算において時価に評価替えしますが、税法上は時価評価が認められていません。

忘れた人はこちらをどうぞ。


したがって、会計上の簿価と税法上の簿価とで差異が生じるため、これについて税効果会計を適用します。

例題1

保有しているその他有価証券(取得原価¥1,000、期末時価¥1,200)について、全部純資産直入法により評価替えを行う。なお、法人税等の法定実効税率は40%である。

①評価替えの仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
その他有価証券 200 その他有価証券評価差額金 200

②税効果会計の仕訳

貸倒引当金の繰入限度超過額の仕訳

今までのパターン(貸倒引当金の繰入限度超過額、減価償却費の償却限度超過額)だと、元となる仕訳における損益項目の逆側に法人税等調整額を記入すればいいだけでした。

一方、全部純資産直入法によるその他有価証券の評価替えの仕訳では評価差額(その他有価証券評価差額金)を、損益計算書を通さずに直接貸借対照表の純資産の部に計上します。

したがって、この評価差額にかかる一時差異は、損益計算書における会計上の利益(税引前当期純利益)と税法上の課税所得に影響を及ぼしません。

その他有価証券の評価差額に係る税効果会計

そこで、税効果会計の仕訳においては損益計算書項目である「法人税等調整額」を計上せずに、直接貸借対照表の純資産(その他有価証券評価差額金)を加減して調整します。

空いている貸方には「繰延税金負債」を記入します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
その他有価証券評価差額金 (※)80 繰延税金負債 80

(※)(時価¥1,200ー原価¥1,000)×40%

③例題1の答え

上の2つの仕訳を合算したものが答えとなります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
その他有価証券 200 繰延税金負債 (※)80
その他有価証券評価差額金 120

(※)(時価¥1,200ー原価¥1,000)×40%

「原価>時価」のケース

例題2

保有しているその他有価証券(取得原価¥1,000、期末時価¥700)について、全部純資産直入法により評価替えを行う。なお、法人税等の法定実効税率は40%である。

「原価>時価」のケースでは「繰延税金資産」を計上します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰延税金資産 120 その他有価証券 300
その他有価証券評価差額金 180

2.翌期首の仕訳(洗い替え)

その他有価証券の時価評価は洗替法なので、翌期首に評価差額の再振替仕訳を行います。これにより会計上の簿価と税法上の簿価が同じになる(差異が解消する)ので、税効果会計の仕訳も振り戻します

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰延税金負債 80 その他有価証券 200
その他有価証券評価差額金 120

前期末の逆仕訳をすればいいだけなので問題ないと思います。

3.【参考】税効果会計が必要な理由

ここまで仕訳のやり方を説明してきましたが、なぜこの仕訳が必要なのか気になる人もいるかもしれません。ただ、この話をあまり突っ込んですると少々難しくなってしまうので、ものすごく簡単に説明していきます。興味のない方は飛ばしていただいても構いません。

例題1のケース(取得原価¥1,000、期末時価¥1,200)を使って説明していきます。

翌期に時価の¥1,200でその他有価証券を売却できると仮定します。会計上は、決算において時価で評価している(評価差額を計上している)ので、将来売却したときの差額(売却損益)は生じないことになります。

一方、税法では時価評価しないので将来売却したときに売却益が¥200(=時価¥1,200ー原価¥1,000)生じるため、この金額だけ「将来の会計上の利益<将来の課税所得」となり、実際の法人税等の支払額が増えることになります。当期においては将来の法人税等の未払額ということになるのでこれを「繰延税金負債」として貸借対照表に表示します。

当期末の時点で考えるということに留意してください。

もっとも、翌期首には再振替仕訳によって一時差異は解消するので、一見無駄なことをしているように思う人がいるかもしれません。

しかし、その他有価証券を時価評価することによって、「将来の会計上の利益<将来の課税所得」→「将来の法人税等の増加」→「法人税等の未払額(繰延税金負債)の発生」という会計事象が生じます。

したがって、その他有価証券を時価評価する以上は、それによる将来の法人税等への影響も表示しなければなりません。貸借対照表は期末時点の財政状態を表すものなので、「どうせ将来すぐに解消されて無くなるんだから貸借対照表に表示しなくてもいい」という理屈にはならないのです。

ちなみに売買目的有価証券も時価評価しますが、その評価益(評価損)は税法上も益金(損金)に算入するため差異は生じません(したがって税効果会計を適用する必要はありません)。

4.まとめ

まとめ
  • その他有価証券の評価差額に係る税効果会計の仕訳においては、損益計算書項目である「法人税等調整額」を計上せずに、直接貸借対照表の純資産(その他有価証券評価差額金)を加減して調整する。
  • 翌期首の再振替仕訳により一時差異が解消するので、税効果会計の仕訳も振り戻す(前期末の逆仕訳)。
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