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度外視法の計算1~平均法を採用している場合~

度外視法の計算1~平均法を採用している場合~

このページでは平均法を採用している場合の度外視法による仕損(減損)の計算・処理方法について、例題を解きながら分かりやすく説明していきます。

例題

当社ではA製品を製造しており、単純総合原価計算を採用している。次の資料に基づいて、以下の各問いに答えなさい。なお、正常仕損費の按分は度外視法によること。

1.生産データ

生産データ

注)材料はすべて始点で投入している。( )内は加工進捗度を示す。

2.製造原価データ

製造原価データ

3.原価配分の方法は平均法による。

4.正常仕損費の負担関係は、正常仕損の発生点と月末仕掛品の加工進捗度とを比較して判断すること。


(問1)仕損が工程の終点で発生する場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

(問2)仕損が工程の1/2の点で発生する場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

(問3)仕損の発生点が不明の場合、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

完成品負担のケース(問1)

問1は「月末仕掛品の進捗度(2/3)<仕損の発生点(終点)」のケースなので、月末仕掛品からは仕損が発生していないと考え、正常仕損費をすべて完成品に負担させます。

直接材料費の計算

①実際の投入量に基づいた単位原価で月末仕掛品を計算する

平均法なので実際投入量はアウトプット側の合計1,200個(=完成品700個+正常仕損200個+月末仕掛品300個)をそのまま使います。なお、この実際の投入量に基づいて計算された単価は正常仕損費を負担しないという点に注意してください。

度外視法(完成品負担)における直接材料費計算のボックス図
(月初仕掛品原価¥380,000+当月製造費用¥700,000)÷(完成品700個+正常仕損200個+月末仕掛品300個)

=¥1,080,000÷1,200個

=@¥900

この単価を使って月末仕掛品を計算するので、月末仕掛品は正常仕損費を負担しないということになるわけです。

月末仕掛品原価=@¥900×300個

¥270,000

②計算上の完成品量に基づいた完成品原価を計算する

実際の完成品は700個ですが、計算上はこれに正常仕損200個を含めた900個を完成品とみなして完成品原価を計算します(差額で計算すればOK)。これにより、正常仕損費はすべて完成品が負担することとなります。

度外視法(完成品負担)における直接材料費計算のボックス図
完成品原価=¥1,080,000-¥270,000

¥810,000

加工費の計算

加工費も直接材料費と同じように計算していきますが、正常仕損は月末仕掛品と同様に完成品換算量(発生点を掛けたもの)を使うという点に注意が必要です。

度外視法(完成品負担)における加工費計算のボックス図

MEMO
仕損は工程の終点で発生するので完成品換算量は100%で計算してください。

(問1)の答え

以上より、完成品総合原価および月末仕掛品原価は次のとおりです。

  • 完成品総合原価:直接材料費¥810,000+加工費¥486,000=¥1,296,000
  • 月末仕掛品原価:直接材料費¥270,000+加工費¥108,000=¥378,000

両者負担のケース(問2)

問2は「月末仕掛品の進捗度(2/3)>仕損の発生点(1/2)」のケースなので、月末仕掛品からも仕損が発生したと考え、正常仕損費を完成品および月末仕掛品の両者に負担させます。

直接材料費の計算

①計算上の投入量に基づいた単位原価を計算する

度外視法では正常仕損を無視することによって、正常仕損費を良品(完成品および月末仕掛品)に負担させます。

ボキタロー

つまり、正常仕損分は最初から投入されなかったと考えて計算していくわけです。

仕損の分だけ計算上の投入量が減って単位原価が高くなるので、これによって完成品および月末仕掛品の原価を計算することで、自動的に両者が正常仕損費を負担することになります。

度外視法(両者負担)における直接材料費計算のボックス図
(月初仕掛品原価¥380,000+当月製造費用¥700,000)÷(完成品700個+月末仕掛品300個)

=¥1,080,000÷1,000個

=@¥1,080

MEMO
問1のケースと比較すると、単価が@¥900から@¥1,080にアップしていますが、これは単価の中に正常仕損費が含まれているからです。この単価を使って完成品および月末仕掛品の原価を計算することで、自動的に両者に正常仕損費が按分されることになるのです。

②月末仕掛品および完成品の原価を計算する

①で求めた単価を使って、完成品および月末仕掛品に含まれる直接材料費を計算します(完成品原価は差額で計算しても構いません)。

  • 完成品原価:@¥1,080×700個=¥756,000
  • 月末仕掛品原価:@¥1,080×300個=¥324,000

加工費の計算

加工費も直接材料費と同じように計算していきますが、月末仕掛品および正常仕損については完成品換算量を用いるという点に注意してください。正常仕損は工程の1/2で発生しているので完成品換算量は100個(=200個×1/2)となります。

度外視法(両者負担)における加工費計算のボックス図

MEMO
度外視法では仕損は最初から投入されなかったと考えて計算していくので、ボックス図の中に仕損を書く必要はありません。

ボキタロー

このページでは説明のためにあえて記入しています。

(問2)の答え

以上より、完成品総合原価および月末仕掛品原価は次のとおりです。

  • 完成品総合原価:直接材料費¥756,000+加工費¥462,000=¥1,218,000
  • 月末仕掛品原価:直接材料費¥324,000+加工費¥132,000=¥456,000

問1では正常仕損費をすべて完成品が負担していたのに対して、問2では完成品および月末仕掛品の両者に按分します。その結果、問1の答えと比較して完成品総合原価は少なくなり、逆に月末仕掛品原価は高くなります。

発生点が不明なケース(問3)

発生点が不明なケースでは、加工費の計算において仕損の完成品換算量が分からないので、完成品のみに負担させる方法では計算できないことになります(実際に計算してみてください)。

そこで、発生点が不明なケースでは両者負担と考えて計算します。したがって、計算方法および答えは問2のケースと全く同じになります。

仕損の発生点が不明なケースにおける加工費計算のボックス図