貸倒引当金に関する基本的な処理方法は3級で学習しましたが、2級では債権を債務者の状況によって区分し、その債権ごとに貸倒引当金を設定するという方法を勉強していきます。
目次
債権の区分と貸倒引当金の計算方法
債権は債務者の状況によって、以下のように区分します。
一般債権
一般債権とは、経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権をいいます。

一般債権については、債権をまとめて過去の貸倒実績率により貸倒引当金を設定します(一括評価)。
貸倒引当金の計算方法は3級で学習した通り、債権金額に貸倒実績率を掛けて貸倒見積高(貸倒引当金の設定額)を計算します。

ちなみに、このような計算方法を貸倒実績率法といいます。
貸倒懸念債権
貸倒懸念債権(かしだおれけねんさいけん)とは、経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じている(または生じる可能性の高い)債務者に対する債権をいいます。

貸倒懸念債権については、個々の債権ごとに貸倒引当金を設定します(個別評価)。
財務内容評価法では、債務者から担保を受け入れていたり債務の保証がある場合は、債権金額から担保の処分見込額および保証による回収見込額を減額し、その残額に貸倒設定率を掛けて貸倒見積高を算定します。
破産更生債権等
破産更生債権等とは、経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権のことをいいます。

破産更生債権等も貸倒懸念債権と同様に、個々の債権ごとに貸倒引当金を設定します(個別評価)。
破産更生債権等は回収できる可能性が低いので、債権額から担保の処分見込額や保証による回収見込額を減額した残額をすべて貸倒見積高とします(財務内容評価法)。
一般債権に対する貸倒引当金の設定
ボキタロー
「貸倒見積高>貸倒引当金の期末残高」のケース
一般債権に対する貸倒見積高(貸倒引当金の設定額)は、債権の期末残高に貸倒実績率を掛けて計算します。
差額補充法の場合、貸倒引当金の繰入額は貸倒見積高と貸倒引当金残高の差額となります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 15,000 | 貸倒引当金 | 15,000 |
「貸倒見積高<貸倒引当金の期末残高」のケース
貸倒見積高が貸倒引当金の期末残高よりも小さい場合には、その差額を貸倒引当金戻入勘定で処理します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 5,000 | 貸倒引当金戻入 | 5,000 |
貸倒懸念債権に対する貸倒引当金の設定
貸倒懸念債権については、債権金額から担保の処分見込額や保証による回収見込額を減額し、その残額に貸倒設定率を掛けて貸倒見積高を算定します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 160,000 | 貸倒引当金 | 160,000 |
貸倒引当金繰入の表示方法

営業債権に対する貸倒引当金繰入は、損益計算書上、販売費及び一般管理費に表示します。また、営業外債権に対する貸倒引当金繰入は営業外費用の区分に表示します。