今回学習する引当金について、処理方法は前回とほぼ同じパターンなので特に問題ないと思いますが、引当金繰入額の表示方法は間違えやすいところなので注意してください。
目次
売上割戻引当金
売上割戻引当金とは?
当期に販売した商品について次期以降に割戻が行われる場合、その割戻は当期販売分の商品にかかるものなので、当期の売上高を減少させるべきであり、次期以降の売上高を減少させるべきではありません。

そこで、次期以降の売上割戻によって予想される売上高の減少を見越計上するために、決算において引当金を設定します。これを売上割戻引当金といいます。
「割戻って何だっけ?」と思った方はこちら。

決算時(引当金の設定)の仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売上割戻引当金繰入 | 2,000 | 売上割戻引当金 | 2,000 |

売上割戻引当金繰入は損益計算書の表示方法に注意してください。損益計算書の売上高から直接控除します。
売上割戻しを行った時の仕訳
売上割戻時の処理は、前期販売分の割戻と当期販売分の割戻とで処理の方法が異なってきます。
前期販売分の割戻
前期に設定された売上割戻引当金は前期に販売された商品に対するものです。これは前期の売上高からすでに控除されているので、売上を減少させずに売上割戻引当金を取り崩します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売上割戻引当金 | 1,000 | 売掛金 | 1,000 |
当期販売分の割戻
当期販売分の割戻は当期の売上高から控除します。したがって売上割戻引当金は取り崩さずに、直接売上を取り消す処理をします。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売上 | 4,000 | 売掛金 | 4,000 |
売上割戻しを行った時の仕訳
上の2つの仕訳を合算したものが売上割戻しを行った時の仕訳となります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売上割戻引当金 | 1,000 | 売掛金 | 5,000 |
売上 | 4,000 |
返品調整引当金
返品調整引当金とは?
当期に販売した商品について次期以降に返品が行われる場合、その返品は当期販売分の商品にかかるものなので、当期の利益を減少させるべきであり、次期以降の利益を減少させるべきではありません。
そこで、次期以降の返品によって予想される利益の減少を見越計上するために、決算において引当金を設定します。これを返品調整引当金といいます。
決算時(引当金の設定)の仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
返品調整引当金繰入 | 2,000 | 返品調整引当金 | 2,000 |

返品調整引当金は返品された商品の利益部分に対するものなので、損益計算書上は売上総利益から控除するかたちで表示します。
返品を受けた時の仕訳
返品調整引当金は利益部分に対して設定されるものなので、返品された商品の利益に相当する金額を取り崩します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
返品調整引当金 | 2,000 | 売掛金 | 10,000 |
仕入 | 8,000 |
商品(製品)保証引当金
商品(製品)保証引当金とは?
商品(製品)保証引当金とは、販売した商品(製品)に対して一定期間無償で修理する旨の保証契約がある場合に、それに備えて設定される引当金です。
決算時(引当金の設定)の仕訳
設定時には商品保証引当金繰入(販売費及び一般管理費)を計上します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
商品保証引当金繰入 | 30,000 | 商品保証引当金 | 30,000 |
保証対応時の仕訳
商品保証を行なったときは支出した金額だけ商品保証引当金を取り崩します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
商品保証引当金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |