次回の日商簿記試験(第163回)は2023年2月26日です

商品(製品)保証引当金・修繕引当金・賞与引当金

貸倒引当金のように資産のマイナス項目として表示される引当金を評価性引当金といいます。これに対して、負債の部に表示される引当金(貸倒引当金以外)を負債性引当金といいます。この区別は貸借対照表の表示において重要となります。

商品(製品)保証引当金

商品(製品)保証引当金とは

商品(製品)保証引当金とは、販売した商品(製品)に対して一定期間無償で修理する旨の保証契約がある場合に、それに備えて設定される引当金です。

MEMO

小売業などでは「商品」となり、製造業(メーカー)では「製品」となりますが処理方法は同じです。ここでは商品保証引当金を前提に説明します。

商品(製品)保証の区分

収益認識基準では商品保証を次の2つに区分して、それぞれ別の会計処理を行います。

①合意された仕様に基づく保証

②保証サービス

①合意された仕様に基づく保証(無料保証)

例えばテレビを買った場合、「画面が映らない」とか「普通に使っていたのに3日で壊れた」というのは、購入者側も販売者側も想定しておらず、合意された仕様とは言えません。

このようなケースでは商品自体に欠陥があったというべきであり、販売者側が当然に補償すべきものだといえます。

MEMO

「1年間の無料保証付き」という商品を見かけたことがあると思いますが、あれです。

②保証サービス(有償保証)

商品を購入したときに元々付いている保証(無料保証)に、追加の金額を支払うことで保証期間を延長したり保証対象を広げたりすることができる場合があります。

ボキタロー
ボキタロー

例えば、もともとついている保証期間は1年だけど、追加の費用を払えばあと2年保証期間を延長します、といったサービスです。

【参考】保証サービス(有償保証)の処理

保証サービス(有償保証)は、商品とは別のサービスの販売であると考えることができます。したがって、これを履行義務(将来サービスを提供する義務)として識別し、商品を購入したときは契約負債として計上します。

商品の販売は「一時点で充足される履行義務」に該当するので、商品を引き渡したときに収益を認識し、保証サービスは「一定の期間にわたり充足される履行義務」に該当するので、期間按分によって収益に計上します。

日商簿記2級では、②保証サービス(有償保証)のケースは出題可能性が低いと思われるので、ここでは①無料保証のケースを取り上げます。

決算時の仕訳(引当金の設定)

例題2
決算にあたり、当期に無料保証付きで販売した商品の修理費用を¥5,000と見積もり、これを商品保証引当金に繰り入れた。

決算時には、翌期の修理費の見積額を商品保証引当金繰入(販売費及び一般管理費)として計上します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
商品保証引当金繰入 5,000 商品保証引当金 5,000

保証対応時の仕訳(翌期)

例題3
品質保証付きで販売した商品について修理の申し出があったため、修理業者に対して修理のための費用¥4,000を現金で支払った。なお、商品保証引当金¥5,000を設定している。

商品保証を行なったときは支出した金額だけ商品保証引当金を取り崩します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
商品保証引当金 4,000 現金 4,000
MEMO

修理費用として支払った金額が商品保証引当金の残高を超える場合は、その超過額を商品保証費(販売費及び一般管理費)として処理します。

修繕引当金

修繕引当金とは?

修繕引当金とは?

毎期、定期的に行っている修繕やメンテナンスが何らかの都合で次期に延長された場合などに、その修繕費の支払いに備えて設定される引当金を修繕引当金といいます。

MEMO
数年に一度行われる大修繕に備えて設定される引当金(特別修繕引当金)とは異なるので注意しましょう。

決算時(引当金の設定)の仕訳

例題5
決算につき、修繕引当金¥50,000を繰り入れた。

修繕引当金の繰入額は修繕引当金繰入(販売費及び一般管理費)で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
修繕引当金繰入 50,000 修繕引当金 50,000

修繕費を支払ったときの仕訳

例題6
建物の定期的修繕を行い、現金¥80,000を支払った。なお、修繕引当金の残高は¥50,000である。

まず修繕引当金を取り崩し、超過する部分については修繕費勘定(販売費及び一般管理費)で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
修繕引当金 50,000 現金 80,000
修繕費 30,000    

賞与引当金

賞与引当金とは?

賞与引当金とは?

従業員に対して次期に支給する賞与(ボーナス)のうち、当期負担分について設定する引当金のことを賞与引当金といいます。

MEMO
会社役員の賞与に対して設定される引当金(役員賞与引当金)とは異なるので注意しましょう。

決算時(引当金の設定)の仕訳

例題7
決算において、次期に支給予定の賞与のうち、当期負担額¥60,000について引当金を設定した。

次期に支給予定の賞与のうち、当期負担額については賞与引当金繰入(販売費及び一般管理費)で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
賞与引当金繰入 60,000 賞与引当金 60,000

賞与を支給したときの仕訳

例題8
従業員に対して賞与¥90,000を現金で支給した。なお、賞与引当金の残高は¥60,000である。

まず賞与引当金を取り崩し、賞与引当金を超過する部分は賞与勘定(販売費及び一般管理費)で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
賞与引当金 60,000 現金 90,000
賞与 30,000
復習問題

2級仕訳問題集part.2のQ2-36~Q2-38を解きましょう!