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当期の連結修正仕訳3~手形取引の相殺消去~

当期の連結修正仕訳3~手形取引の相殺消去~

このページでは手形取引を5パターンに分けて説明していきます。丸暗記するのではなく、個別会計上の処理と連結上あるべき処理を考えて、理論的に連結修正仕訳を導けるようにしてください。

連結会社間の手形取引

ボキタロー

このページの内容を理解するには手形の割引および裏書譲渡の知識が必須となります。忘れた人は復習をお願いします。
手形の裏書譲渡、割引、更改手形の裏書譲渡、割引、更改

連結修正仕訳のやり方

こちらも復習になりますが、もう一度連結修正仕訳のやり方をおさらいしておきます。丸暗記ではなく、次のような順序で考えて連結修正仕訳を導くようにしましょう。

連結修正仕訳のやり方は通常の修正仕訳とほぼ同じです。

  1. 親会社および子会社が実際に行った仕訳(個別会計上の処理)を考える。
  2. 連結ベースでのあるべき仕訳(連結会計上あるべき処理)を考える。
  3. ①の仕訳を合算し、②の仕訳になるように修正する(連結修正仕訳)。
例題1
P社(親会社)は買掛金の決済としてS社(子会社)に約束手形¥1,000を振り出した。なお期末現在、この手形の満期日は到来していない。

①個別上の処理

仕訳1
P社の仕訳
(借)買掛金 1,000

(貸)支払手形 1,000

S社への手形の振出しに関する仕訳です。
仕訳2
S社の仕訳
(借)受取手形 1,000

(貸)売掛金 1,000

P社からの手形の受け取りに関する仕訳です。

②連結会計上あるべき処理

連結会社間の手形取引

連結会社間の手形の振出し(受取り)は、個別ベースでみると通常の支払(受取)手形ですが、連結ベースでみると何の取引も行われていないことになります

そこで、連結修正仕訳において「仕訳なし」の状態になるように調整してやります。

③連結修正仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手形 1,000 受取手形 1,000

【参考】売掛金と買掛金は修正しなくていいの?

連結修正仕訳において相殺消去が必要になるのは、連結会社相互間の取引高(収益・費用)およびその取引から生じた債権・債務等の期末残高(期末貸借対照表の金額)です。

上の「①個別上の処理」における売掛金と買掛金は、個々の会社が行った仕訳によって期中にすでに減少しているものです。つまり期末残高には含まれない金額なので、消去する必要はないというわけです。

翌期の開始仕訳について

繰り返しになりますが、連結修正仕訳において相殺消去が必要になるのは、連結会社相互間の取引から生じた債権・債務の期末残高です。

「支払手形」と「受取手形」の前期末残高は、決済などによって当期中にすでに減少しています(当期末残高には含まれない)。したがって、この連結修正仕訳については翌期において開始仕訳は必要ないことになります。

MEMO
決済されずに残っているものは連結修正仕訳において消去されます。

ボキタロー

以下の取引についても同様に考えてください。つまり開始仕訳は必要ないということです。

他の連結会社が割引を行った場合

例題2
P社(親会社)が買掛金の決済としてS社(子会社)に振り出した約束手形¥1,000を、S社は銀行で割り引き(割引料¥0)これを当座預金とした。

①個別上の処理

仕訳1
P社の仕訳
(借)買掛金 1,000

(貸)支払手形 1,000

S社への手形の振出しに関する仕訳。
仕訳2
S社の仕訳1
(借)受取手形 1,000

(貸)売掛金 1,000

P社からの手形の受け取りに関する仕訳。
仕訳3
S社の仕訳2
(借)当座預金 1,000

(貸)受取手形 1,000

手形の割引に関する仕訳。

②連結会計上あるべき処理

他の連結会社が割引を行った場合

連結会社が振り出した手形を他の連結会社が割り引いた場合、連結ベースでは「1つの会社が借用証書の代わりに銀行へ手形を振り出してお金を借りた」ということになるので、この取引は手形借入金ということになります。

したがって、連結上あるべき仕訳は次のようになります。

(借)当座預金 1,000

(貸)短期借入金 1,000

通常は「短期借入金」ですが、問題によっては「借入金」などで処理する場合もあります。

ボキタロー

試験では問題の指示に従ってください。
注意
「手形借入金」は貸借対照表では「(短期)借入金」として表示します。連結修正仕訳では財務諸表上の科目を使うので、「手形借入金」ではなく「(短期)借入金」となります。

③連結修正仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手形 1,000 短期借入金 1,000
MEMO
「受取手形」はS社の個別上の仕訳において貸借で相殺されます。

他の連結会社が外部に裏書譲渡を行った場合

例題3
P社(親会社)が買掛金の決済としてS社(子会社)に振り出した約束手形¥1,000を、S社は仕入先に裏書譲渡した。なお期末現在、この手形の満期日は到来していない。

①個別上の処理

仕訳1
P社の仕訳
(借)買掛金 1,000

(貸)支払手形 1,000

S社への手形の振出しに関する仕訳。
仕訳2
S社の仕訳1
(借)受取手形 1,000

(貸)売掛金 1,000

P社からの手形の受け取りに関する仕訳。
仕訳3
S社の仕訳2
(借)仕入 1,000

(貸)受取手形 1,000

外部への手形の裏書譲渡に関する仕訳。

②連結会計上あるべき処理

他の連結会社が外部に裏書譲渡を行った場合

連結会社が振り出した手形を他の連結会社が裏書譲渡した場合、連結ベースでは、「1つの会社が外部に手形を振り出した」という取引になるので、この取引は通常の手形の振出しということになります。

したがって、連結上あるべき仕訳は次のようになります。

(借)仕入 1,000

(貸)支払手形 1,000

連結上は「約束手形を振り出して商品を仕入れた」という単純な取引となります。

③連結修正仕訳

S社の個別上の仕訳において「受取手形」が相殺消去されるため、連結修正仕訳の必要はありません(仕訳なし)。

他の連結会社に裏書譲渡した場合

例題4
P社(親会社)が得意先から受け取った約束手形¥1,000を、S社(子会社)に対する買掛金の決済のために裏書譲渡した。なお期末現在、この手形の満期日は到来していない。

①個別上の処理

仕訳1
P社の仕訳1
(借)受取手形 1,000

(貸)売上 1,000

外部からの手形の受け取りに関する仕訳。
仕訳2
P社の仕訳2
(借)買掛金 1,000

(貸)受取手形 1,000

S社への手形の裏書譲渡に関する仕訳。
仕訳3
S社の仕訳
(借)受取手形 1,000

(貸)売掛金 1,000

P社からの手形の受け取りに関する仕訳。

②連結会計上あるべき処理

他の連結会社に裏書譲渡した場合

外部が振り出した手形を他の連結会社へ裏書譲渡した場合、連結上、裏書譲渡は内部取引となるため「裏書はなかった」と考えます。したがって、この取引は通常の外部からの手形の受取りということになります。

したがって、連結上あるべき仕訳は次のようになります。

(借)受取手形 1,000

(貸)売上 1,000

連結上は「商品を販売して約束手形を受け取った」という単純な取引となります。

③連結修正仕訳

P社の仕訳2における「受取手形」(貸方)とS社の「受取手形」(借方)が相殺消去されるため、連結修正仕訳の必要はありません(仕訳なし)。

MEMO
P社の仕訳1における「受取手形」は外部から受け取ったものなので連結上も有効となります。

他の連結会社が外部から裏書譲渡された場合

例題5
P社(親会社)が買掛金の決済のために甲社に振り出した約束手形¥1,000を、S社(子会社)は甲社から売掛金の回収のために裏書譲渡された。なお期末現在、この手形の満期日は到来していない。

①個別上の処理

仕訳1
P社の仕訳
(借)買掛金 1,000

(貸)支払手形 1,000

甲社への手形の振出しに関する仕訳。
仕訳2
S社の仕訳
(借)受取手形 1,000

(貸)売掛金 1,000

甲社からの裏書譲渡による手形の受取りに関する仕訳。

②連結会計上あるべき処理

他の連結会社が外部から裏書譲渡された場合

連結ベースでみると、自身が振り出した手形を裏書譲渡によって回収したということになるので、この取引は自己振出手形の回収ということになります。

仕訳1
あるべき仕訳1
(借)買掛金 1,000

(貸)支払手形 1,000

甲社への手形の振出しに関する仕訳。
仕訳2
あるべき仕訳2
(借)支払手形 1,000

(貸)売掛金 1,000

自己振出手形の回収に関する仕訳。借方は「支払手形」となる点に注意。

③連結修正仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手形 1,000 受取手形 1,000