期末商品の評価3(P/Lの作成)

問題

次の資料を参考に以下の各問いに答えなさい。なお、当期は×8年3月31日を決算日とする1年である。

【資料】

(1)決算整理前残高試算表(単位:円)

決算整理前残高試算表

(2)決算整理事項等

1.当社では、商品の売買はすべて掛けで行っており、収益の認識は検収基準によっている。決算作業中、すでに得意先に納入していた商品70,000円について3月中に検収が完了した旨の連絡が入った。

2.期末商品棚卸高

・帳簿棚卸高:2,000個(原価@100円) ※出荷基準により算定

・実地棚卸高:1,950個(内訳 1,200個:正味売却価額@95円、750個:正味売却価額@105円)

なお、棚卸減耗損と商品評価損は売上原価の内訳項目とする。


【問1】次の損益計算書(売上総利益まで)を完成しなさい。

損益計算書

【問2】貸借対照表における「商品」の金額を答えなさい。

【問3】仮に、収益の認識基準について着荷基準(引渡基準)を採用していた場合、損益計算書の売上高の金額はいくらになるか答えなさい。




解答

【問1】の解答

損益計算書

【問2】の解答

貸借対照表における「商品」の金額:189,000円

解説

修正仕訳

検収基準では得意先が検収を完了したときに売上を認識します。したがって、当期中に検収が完了したものについては当期の売上に含める必要があります。

借方科目金額貸方科目金額
売掛金70,000売上70,000

棚卸減耗損・商品評価損等の算定

棚卸減耗損および商品評価損の計算
注意

正味売却価額が原価を上回っている場合は原価で評価します(評価益は計上しない)。したがって、正味売却価額が原価を下回っているもの( 1,200個)についてのみ商品評価損を計上します。

  • 棚卸減耗損:原価@100円×(帳簿棚卸数量2,000個ー実地棚卸数量1,950個)=5,000円
  • 商品評価損:(原価@100円ー正味売却価額@95円)×実地棚卸数量1,200個=6,000円
  • 期末商品棚卸高:原価@100円×帳簿棚卸数量2,000個=200,000円
  • 貸借対照表価額:期末商品棚卸高200,000円ー(棚卸減耗損5,000円+商品評価損6,000円)=189,000円

決算整理仕訳

売上原価の算定

借方科目金額貸方科目金額
仕入220,000繰越商品220,000
繰越商品200,000仕入200,000
MEMO

期末商品の帳簿棚卸高は出荷基準によって算定している(出荷したときに減少させている)ので、【資料】(2)1.の商品は帳簿棚卸高から控除済みです。

棚卸減耗損の計上

借方科目金額貸方科目金額
棚卸減耗損5,000繰越商品5,000

商品評価損の計上

借方科目金額貸方科目金額
商品評価損6,000繰越商品6,000

棚卸減耗損の仕入勘定(売上原価)への振替

借方科目金額貸方科目金額
仕入5,000棚卸減耗損5,000

商品評価損の仕入勘定(売上原価)への振替

借方科目金額貸方科目金額
仕入6,000商品評価損6,000

損益計算書の作成

上記以外の損益計算書の各金額の求め方は次のとおりです。

・売上高:前T/B「売上」+修正仕訳70,000円

・期首商品棚卸高:前T/B「繰越商品」

・当期商品仕入高:前T/B「仕入」

解答

3,500,000円

解説

着荷基準(引渡基準)では、得意先に商品を引き渡したとき(納入したとき)に売上を計上します。したがって、【資料】(2)1.の商品に関する売上はすでに計上済みであり、前T/Bの金額に反映されているので修正仕訳は必要ありません。

よって、損益計算書の売上高の金額は前T/Bの「売上」と同じになります。