有価証券の表示方法に関する問題(B/S作成)

問題

次の資料にもとづいて、以下の問いに答えなさい。なお、会計期間は×8年4月1日から×9年3月31日の1年間である。

【資料】

期末において、当社が保有している有価証券は以下のとおりである。

銘柄帳簿価額(円)期末時価(円)保有目的
A社株式232,000214,000売買目的
B社社債297,000295,000満期保有目的
C社社債495,500485,000満期保有目的
D社株式560,000586,000子会社
E社株式420,000413,000関連会社
F社株式653,000661,000その他

(1)B社社債(利率:年1.2%、利払日:3月末、償還日:×15年3月31日)は、×5年4月1日に額面総額300,000円を額面@100円につき@99.0円で購入したものである。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められない。

(2)C社社債(年利率1.2%、利払日:9月末、償還日:×9年9月30日)は、×4年10月1日に額面総額500,000円を額面@100円につき@97.0円で購入したものである。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められるため、償却原価法(定額法)で評価する。また、過年度の償却は適正に行われている。


【問】次の貸借対照表(一部)を完成しなさい。

貸借対照表(一部)




解答

貸借対照表(一部)

解説

A社株式(売買目的有価証券)

貸借対照表価額(貸借対照表に記載される金額)

時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益(営業外損益)とします。

借方科目金額貸方科目金額
有価証券評価損18,000売買目的有価証券18,000

・時価214,000円ー簿価232,000円=△18,000円(評価損)

表示科目(財務諸表に記載するときに使用する科目)

有価証券」(流動資産)

B社社債(満期保有目的債券)

貸借対照表価額

原則取得原価

容認償却原価法による価額(取得原価と額面金額との差額の性格が金利の調整と認められるとき)

MEMO

B社債は「額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められない」ので、取得原価で評価します。したがって、評価替え等の決算整理仕訳は必要ありません。

表示科目

投資有価証券」(固定資産投資その他の資産

C社社債(満期保有目的債券)

C社債は「額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認めらる」ので、償却原価法(定額法)で評価します。

償却原価法(定額法)のタイムテーブル

取得日(×4年10月1日)から償還日(×9年9月30日)までの期間は5年(60か月)で、当期の保有期間は1年間なので計算および仕訳は次のようになります。

(額面金額500,000円ー取得原価485,000円)×12か月/60か月=3,000円

借方科目金額貸方科目金額
満期保有目的債券3,000有価証券利息3,000

表示科目

有価証券」(流動資産)

注意

1年基準が適用されることに注意してください。すなわち、決算日の翌日から1年以内に償還日が到来するものは「有価証券」として流動資産に表示されます。

D社株式(子会社株式)・E社株式(関連会社株式)

貸借対照表価額

取得原価をもって貸借対照表価額とします。

MEMO

関係会社株式は取得原価で評価するので、評価替え等の決算整理仕訳は必要ありません。

表示科目

関係会社株式」(固定資産投資その他の資産

F社株式(その他有価証券)

貸借対照表価額

時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は貸借対照表(純資産の部)に記載します。

借方科目金額貸方科目金額
その他有価証券8,000その他有価証券評価差額金8,000

・時価661,000円ー簿価653,000円=+8,000円

表示科目

投資有価証券」(固定資産投資その他の資産

下書用紙の書き方

本問のような場合、1つづつ仕訳を書いて計算していくよりも、次のような図を書いて計算したほうが早く効率的に解くことができます。

下書用紙の書き方(有価証券の期末評価)