次回の日商簿記試験(第161回)は2022年6月12日です

有価証券の売買に関する勘定記入問題

問題

次の資料にもとづいて、以下の問いに答えなさい。なお、取引はすべて当座預金で行っており、売買目的有価証券の払出単価の計算は移動平均法、記帳方法は分記法によっている。また、端数利息の計算は日割、その他の利息の計算は月割で行う。当期は×8年4月1日から×9年3月31日までの1年間である。

【資料】有価証券に関する資料

(1)期首における有価証券は次のとおりであった。

銘柄保有数単価保有目的
A社株式300株@2,500円売買目的
B社社債6,000口@97.0円売買目的

(注)B社社債は、額面@100円、年利率3.65%、利払日12月末、償還日×15年12月31日である。

(2)当期における売買状況

日付銘柄売買売買数単価手数料
4月10日B社社債購入2,000口@97.7円5,000円
9月10日A社株式購入100株@2,480円8,000円
11月13日A社株式売却200株@2,650円15,000円
3月11日B社社債売却4,000口@100.5円6,000円

(注)社債の単価は端数利息を含まない裸相場である。また手数料は総額の金額である。

(3)×8年12月31日、B社社債の利息を受け取った。

(4)保有しているすべての有価証券について、簿価と期末時価に乖離はなかった。


【問1】①×8年11月13日および②×9年3月11日の仕訳を答えなさい。ただし、使用する勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。

当座預金売買目的有価証券未収有価証券利息有価証券売却損
有価証券売却益有価証券利息損益

【問2】次の有価証券利息勘定に記入しなさい。総勘定元帳は英米式決算法によって締め切るものとする。

有価証券利息勘定

解答

【問1】の解答

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 515,000 売買目的有価証券 503,000
有価証券売却益 12,000
当座預金 398,800 売買目的有価証券 391,200
有価証券利息 2,800
有価証券売却益 4,800

【問2】の解答

有価証券利息勘定

解説

日付順に仕訳を見ていきます。

×8年4月1日(期首)

まず、期首において未収有価証券利息の振替を行います。前期末の未収有価証券利息は、利払日の翌日(×8年1月1日)から前期末(×8年3月31日)までの3か月間に係る金額なので、計算および仕訳は次のようになります。

額面総額600,000円(6,000口×@100円)×3.65%×3か月/12か月=5,475円

借方科目 金額 貸方科目 金額
有価証券利息 5,475 未収有価証券利息 5,475
注意

未収収益などの経過勘定項目は3級の学習範囲ですが、2級以上でもよく出題される論点です。苦手としている人は、必ず3級の内容を復習しておいてください。

×8年4月10日(B社社債の購入)

直前の利払日の翌日(×8年1月1日)から購入日(×8年4月10日)までの100日間の利息は売主に帰属するので、購入時において、この期間に係る端数利息を売主に支払うことで調整します。

MEMO

1月が31日、2月が28日、3月が31日、4月が10日の合計100日です。特に指示がない限り、うるう年のことは考えなくても大丈夫です。

したがって、端数利息の計算および購入時の仕訳は次のようになります。

額面総額200,000円(@100円×2,000口)×3.65%×100日/365日=2,000円

借方科目 金額 貸方科目 金額
売買目的有価証券 (※)200,400 当座預金 202,400
有価証券利息 2,000

(※)取得原価:@97.7円×2,000口+5,000円=200,400円

注意

有価証券の購入に係る付随費用(手数料など)は取得原価に含めるということを忘れないようにしましょう。

×8年9月10日(A社株式の購入)

借方科目 金額 貸方科目 金額
売買目的有価証券 256,000 当座預金 256,000

・取得原価:@2,480円×100株+8,000円=256,000円

×8年11月13日(A社株式の売却)

移動平均法では、取得原価の合計金額を取得株式数の合計で割ったものを平均単価とし、これを使って売却時の帳簿価額を計算します。

(750,000円(※)+256,000円)÷(300株+100株)=平均単価@2,515円

(※)期首有高:@2,500円×300株

よって、売却する売買目的有価証券の簿価は503,000円(平均単価@2,515円×売却数200株)となります。

売却手数料は、売却損益に含めて処理する方法と支払手数料勘定で処理する方法がありますが、本問では使用できる勘定科目の中に「支払手数料」がないので売却損益に含めて処理します

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 (※)515,000 売買目的有価証券 503,000
有価証券売却益 12,000

(※)手取額:売却額(@2,650円×売却数200株)ー手数料15,000円

MEMO

この仕訳のやり方が分からない人は、次の売却手数料を支払手数料勘定で処理する方法を参考にしてください。「支払手数料」の分だけ「有価証券売却益」が少なくなるわけです。

支払手数料勘定で処理する場合

売却手数料を支払手数料勘定で処理する場合は次のような仕訳になります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 515,000 売買目的有価証券 503,000
支払手数料 15,000 有価証券売却益 27,000

これは2つの仕訳に分解して考えると分かりやすいと思います。

①有価証券の売却

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 (※)530,000 売買目的有価証券 503,000
有価証券売却益 27,000

(※)売却額:@2,650円×売却数200株

②手数料の支払い

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手数料 15,000 当座預金 15,000

×8年12月31日(利払日)

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 29,200 有価証券利息 29,200

・額面@100円×(6,000口+2,000口)×3.65%=29,200円

×9年3月11日(B社社債の売却)

売却時の簿価

まず平均単価を求めます。

(582,000円(※)+200,400円)÷(6,000口+2,000口)=平均単価@97.8円

(※)期首有高:@97.0円×6,000口

したがって、売却する売買目的有価証券の簿価は391,200円(平均単価@97.8円×売却数4,000口)となります。

端数利息の計算

直前の利払日の翌日(×9年1月1日)から売却日(×9年3月11日)までの70日間の利息は買主(当社)に帰属するので、売却時において、この期間に係る端数利息を買主から受け取ることで調整します。

額面総額400,000円(@100円×4,000口)×3.65%×70日/365日=端数利息2,800円

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 (※)398,800 売買目的有価証券 391,200
有価証券利息 2,800
有価証券売却益 4,800

(※)手取額:売却額(@100.5円×売却数4,000口)ー手数料6,000円+端数利息2,800円

MEMO

この仕訳のやり方が分からない人は、次の売却手数料を支払手数料勘定で処理する方法を参考にしてください。「支払手数料」の分だけ「有価証券売却益」が少なくなるわけです。

支払手数料勘定で処理する場合

売却手数料を支払手数料勘定で処理する場合は次のような仕訳になります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 398,800 売買目的有価証券 391,200
支払手数料 6,000 有価証券利息 2,800
有価証券売却益 10,800

これは3つの仕訳に分解して考えると分かりやすいと思います。

①有価証券の売却

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 (※)402,000 売買目的有価証券 391,200
有価証券売却益 10,800

(※)売却額:@100.5円×売却数4,000口

②端数利息の受け取り

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 2,800 有価証券利息 2,800

③手数料の支払い

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手数料 6,000 当座預金 6,000

×9年3月31日(期末)

決算整理仕訳

利払日と決算日が異なる場合、有価証券利息の未収分(直前の利払日の翌日×9年1月1日~決算日×9年3月31日)を計上します。

額面@100円×(6,000口+2,000口ー4,000口)×3.65%×3か月/12か月=3,650円

借方科目 金額 貸方科目 金額
未収有価証券利息 3,650 有価証券利息 3,650
MEMO

「簿価と期末時価に乖離はなかった」とあるので、評価替えの仕訳は必要ありません。

決算振替仕訳

損益勘定へ振り替える金額は貸借の差額で計算します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
有価証券利息 28,175 損益 28,175
MEMO

その他の損益項目の振替仕訳は解答と関係ないので省略します。