問題
次の資料にもとづいて、【資料3】の貸借対照表および損益計算書を完成させなさい。なお、当期は×7年4月1日から×8年3月31日までの1年間である。
【資料1】決算整理前残高試算表(一部)
【資料2】決算整理事項等
(1)決算にあたり次の事項が判明した。
- 自社で利用する目的で、外部に開発を依頼していた在庫管理システムが×7年4月1日に完成し引き渡し受け、当日より稼働を開始したが、この処理が未処理であった。当該ソフトウェアの開発費用¥3,000,000はすでに支払いが終わっており、この全額をソフトウェア仮勘定で処理していたが、開発費用の中に今後5年間のメンテナンス費用¥500,000(年額¥100,000)が含まれていることが判明した。メンテナンス費用については、いったん全額を長期前払費用として処理しておき、決算において当期分を費用に振り替えるとともに、翌期以降の分は1年基準によって流動資産と固定資産に分類する。
- 新製品の研究開発に従事している従業員の給料¥800,000および研究開発のための材料¥300,000、実験器具¥200,000、他の目的に転用できない機械¥1,000,000を当座預金口座から支払ったがこの処理が未処理であった。
(2)無形固定資産は次の方法で償却(月割計算)を行う。
- 特許権(定額法):取得日×5年10月1日、償却年数8年
- 鉱業権(生産高比例法):資源の総採掘量は300トンと見積もられており、当期の採掘量は30トンであった。
- ソフトウェア(定額法):償却年数5年
【資料3】貸借対照表および損益計算書(一部)
解答
解説
(1)1.ソフトウェア
ソフトウェアが完成するまでに支払ってきた開発費用はソフトウェア仮勘定の借方に計上されているので、完成し引き渡しを受けた時にこれを取り崩します。また、ソフトウェア仮勘定からメンテナンス費用を差し引いた金額をソフトウェアとします。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | 2,500,000 | ソフトウェア仮勘定 | 3,000,000 |
長期前払費用 | 500,000 |
そして、決算において指示にある通り当期の1年分を費用に振り替えます。また、1年基準によって次の1年分に相当する金額を流動資産(前払費用)に、それ以降に相当する金額を固定資産(長期前払費用)とします。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
保守費 | 100,000 | 長期前払費用 | 200,000 |
前払費用 | 100,000 |
この処理に関しては次のようにメンテナンス費用の全額を保守費で処理する方法も考えられます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | 2,500,000 | ソフトウェア仮勘定 | 3,000,000 |
保守費 | 500,000 |
この場合は、決算において未経過分を前払費用または長期前払費用へ振り替えます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 100,000 | 保守費 | 400,000 |
長期前払費用 | 300,000 |
(1)2.研究開発費
研究開発目的で費消した原価(人件費、原材料費、固定資産の減価償却費など)はすべて研究開発費として処理します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
研究開発費 | 2,300,000 | 当座預金 | 2,300,000 |
(2)無形固定資産の償却
特許権
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
特許権償却 | 300,000 | 特許権 | 300,000 |
無形固定資産は残存価額ゼロ、直接法によって償却するので、前T/Bの特許権はすでに取得日(×5年10月1日)から前期末(×7年3月31日)までの18か月分が償却された後の金額を表しています。
したがって、残り78か月(=96か月(8年)ー18か月)で前T/Bの¥1,950,000を償却するので、当期の償却額は「¥1,950,000÷78か月×12か月=¥300,000」となります。
鉱業権
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
鉱業権償却 | 120,000 | 鉱業権 | 120,000 |
¥1,200,000×30トン/300トン=¥120,000
ソフトウェア
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア償却 | 500,000 | ソフトウェア | 500,000 |
¥2,500,000÷5年=¥500,000