連結初年度の処理2【連結B/Sの作成】~部分所有子会社のケース~

問題

次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。

【資料】

P社は×1年3月31日にS社の発行済み株式の60%を¥65,000で取得し、S社を支配した。支配獲得時のP社およびS社の個別貸借対照表は次のとおりであった。


【問1】支配獲得日の連結修正仕訳を答えなさい。

【問2】次の連結貸借対照表を完成させなさい。




解答

借方科目金額貸方科目金額
資本金60,000S社株式65,000
資本剰余金15,000非支配株主持分40,000
利益剰余金25,000
のれん5,000

解説

解答の仕訳は次のように考えることができます。

①親会社持分の相殺消去

S社の純資産のうち、親会社持分(60%)に相当する金額は親会社の投資と相殺消去します。

貸借の差額、すなわち「S社株式¥65,000ー子会社の純資産(¥100,000)×親会社持分割合(60%)」はのれんとします。

借方科目金額貸方科目金額
資本金36,000S社株式65,000
資本剰余金9,000
利益剰余金15,000
のれん5,000

②非支配株主持分への振替

S社の純資産のうち、非支配株主持分(40%)に相当する金額は「非支配株主持分」へ振り替えます。

借方科目金額貸方科目金額
資本金24,000非支配株主持分40,000
資本剰余金6,000
利益剰余金10,000

③連結修正仕訳

①と②を合算したものが解答の連結修正仕訳となります。ただし、このように考えていると時間がかかってしまうので、試験では次のように考えるのがいいと思います。

1.親会社のS社株式と子会社の純資産項目をすべて消去する

2.子会社の純資産(¥100,000)×非支配株主持分割合(40%)を「非支配株主持分」として計上する。

3.貸借差額を「のれん」とする。

MEMO

ただし、のれんの金額は①で説明したように「S社株式¥65,000ー子会社の純資産(¥100,000)×親会社持分割合(60%)」で計算できるようにしておくと後で便利です。

解答

解説

期末に子会社株式を取得して支配を獲得した場合、連結初年度(支配を獲得した年度)においてはまだ連結グループとしての活動実績はないため、連結損益計算書や連結株主資本等変動計算書を作成する必要はありません。したがって、連結初年度は連結貸借対照表のみを作成します

連結財務諸表の作成手順は、①まず親会社と子会社の個別財務諸表を合算し、②次に連結修正仕訳によって修正・消去を行います。

諸資産:①合算(¥200,000+¥140,000)ー②修正・消去なし=¥340,000

諸負債:①合算(¥70,000+¥40,000)ー②修正・消去なし=¥110,000

資本金:①合算(¥115,000+¥60,000)ー②修正・消去¥60,000=¥115,000

資本剰余金:①合算(¥30,000+¥15,000)ー②修正・消去¥15,000=¥30,000

利益剰余金:①合算(¥50,000+¥25,000)ー②修正・消去¥25,000=¥50,000

MEMO

子会社の純資産は投資と資本の相殺消去によってすべて消えるので、連結初年度における連結貸借対照表の純資産は親会社の純資産となります。