仕訳問題集7(連結会計)




Q.7-01(Q3-17)P社は×1年3月31日(決算日)にS社の発行済株式のすべてを1,000円で取得し、支配した。このときのS社の純資産は、資本金700円、資本剰余金200円、利益剰余金100円であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
資本金700S社株式1,000
資本剰余金200
利益剰余金100

【ヒント】

投資と資本の相殺消去の仕訳では、親会社の投資(S社株式)と子会社の資本(純資産)をそれぞれ減少させます。


Q.7-02(Q3-18)P社は×1年3月31日(決算日)にS社の発行済株式の80%を800円で取得し、支配した。このときのS社の純資産は、資本金700円、資本剰余金200円、利益剰余金100円であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
資本金700S社株式800
資本剰余金200非支配株主持分200
利益剰余金100

【ヒント】

非支配株主(親会社以外の株主)の持分は「非支配株主持分」(純資産)に振り替えます。

※非支配株主持分の金額は「S社の純資産合計¥1,000×非支配株主の持分割合20%=¥200」です。


Q.7-03(Q3-19)P社は×1年3月31日(決算日)にS社の発行済株式の80%を900円で取得し、支配した。このときのS社の純資産は、資本金700円、資本剰余金200円、利益剰余金100円であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
資本金700S社株式900
資本剰余金200非支配株主持分200
利益剰余金100
のれん100

【ヒント】

①S社の純資産¥1,000のうち、親会社持分¥800(¥1,000×80%)に相当する金額は親会社の投資¥900(S社株式)と相殺消去します。

②両者の差額は「のれん」(無形固定資産)として処理します。

仕訳上は貸借差額でのれんを計算しても構いません。


Q.7-04(Q3-20)P社は×1年3月31日(決算日)にS社の発行済株式の80%を750円で取得し、支配した。このときのS社の純資産は、資本金700円、利益剰余金300円であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
資本金700S社株式750
利益剰余金300非支配株主持分200
負ののれん発生益50

【ヒント】

親会社の投資がそれに対応する子会社の資本の金額を下回る場合(貸方に差額が出る場合)、その差額を「負ののれん発生益」(特別利益)として処理します。


Q.7-05(Q3-21)P社は×1年3月31日(決算日)にS社の発行済株式の80%を900円で取得し、支配した。このときのS社の純資産は、資本金700円、利益剰余金300円であった。×2年3月31日における連結修正仕訳(投資と資本の相殺消去)を答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
資本金当期首残高700S社株式900
利益剰余金当期首残高300非支配株主持分当期首残高200
のれん100

【ヒント】

開始仕訳では、連結株主資本等変動計算書における前期末までの金額(当期首残高)の修正も行う必要があるため、当期変動額(および当期末残高)と区別するために、純資産の科目には「当期首残高」または「期首残高」を付けます。

ただし問題によっては付けない場合もあるので、試験では指示に従ってください。


Q.7-06(Q3-22)×2年3月31日、Q.7-05ののれんについて連結修正仕訳(のれんの償却)を答えなさい。ただし、のれんは発生年度の翌年から10年間で均等に償却する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
のれん償却10のれん10

【ヒント】

①借方に生じたのれんは連結貸借対照表の無形固定資産に表示し、残存価額ゼロ、直接法によって償却します。償却期間や償却方法は問題の指示に従ってください。

②のれんの償却額は「のれん償却」として処理します。

金額は「のれん¥100÷10年=¥10」です。


Q.7-07(Q3-23)P社は前期末(×1年3月31日)にS社の発行済株式の80%を取得し、支配した。当期(決算日×2年3月31日)にS社は1,000円の当期純利益を計上した。当期の連結財務諸表を作成するための連結修正仕訳(子会社の当期純損益の振り替えに係る仕訳)を答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益200非支配株主持分当期変動額200

【ヒント】

①子会社の当期純利益のうち、20%は親会社に帰属しないもの(非支配株主に帰属するもの)なので、これを連結損益計算書の当期純利益から差し引くために、借方は「非支配株主に帰属する当期純利益」(当期純利益のマイナス)とします。

②この金額は非支配株主に帰属するものなので「非支配株主持分」(純資産)を増加させます。なお、株主資本等変動計算書における当期首残高(および当期末残高)と区別するために「当期変動額」を付けます。

※金額は「S社の当期純利益¥1,000×非支配株主持分割合20%=¥200」です。

※問題によっては「当期変動額」を付けない場合もあります。試験では指示に従ってください。


Q.7-08(Q3-24)P社は前期末(×1年3月31日)にS社の発行済株式の80%を取得し、支配した。当期(決算日×2年3月31日)にS社は200円の配当をした。そこで、当期の連結財務諸表を作成するための連結修正仕訳(子会社の配当金の修正に係る仕訳)を答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
受取配当金160剰余金の配当200
非支配株主持分当期変動額40

【ヒント】

次の2つの仕訳を合算したものとなります。

①親会社への配当は親子会社間の内部取引となるので、親会社の受取配当金¥160(子会社の配当金¥200×親会社の持分割合80%)と相殺消去します。

借方金額貸方金額
受取配当金160剰余金の配当160

②利益剰余金のうち非支配株主の持分は、開始仕訳(投資と資本の相殺消去)において「非支配株主持分」へ振り替えています。そのため、S社の配当金のうち非支配株主に帰属する分¥40(子会社の配当金¥200×非支配株主の持分割合20%)は、利益剰余金(連結上は「剰余金の配当」)の減少を取り消して、非支配株主持分の減少として処理します。

借方金額貸方金額
非支配株主持分当期変動額40剰余金の配当40

連結上は「利益剰余金が減少したんじゃなくて、非支配株主持分が減少したんだよ」という意味です。


Q.7-09(Q3-25)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。期中にP社はS社に商品1,000円を現金で売り上げた。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売上高1,000売上原価1,000

【ヒント】

①親子会社間の取引は連結修正仕訳によって相殺消去します。

②連結修正仕訳では連結財務諸表(連結損益計算書)上の科目を使うため、「売上」ではなく「売上高」とします。

③連結損益計算書では、売上原価の内訳は示さずに一括して表示するので、「仕入」(当期商品仕入高)ではなく「売上原価」とします。


Q.7-10(Q3-26)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社の当期末の短期貸付金のうち、1,000円はS社に対するものである。また、この短期貸付金にかかる受取利息40円および未収収益20円を計上している。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
短期借入金1,000短期貸付金1,000
受取利息40支払利息40
未払費用20未収収益20

【ヒント】

①親子会社間の取引によって生じた債権債務の残高は連結修正仕訳によって相殺消去します。

②親会社の「短期貸付金」「受取利息」「未収収益」と子会社の「短期借入金」「支払利息」「未払費用」をそれぞれ相殺消去します。

※連結修正仕訳では連結財務諸表(連結貸借対照表)上の科目を使うため、「未収利息」「未払利息」ではなく「未収収益」「未払費用」とします。


Q.7-11(Q3-27)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社は買掛金の決済としてS社に約束手形500円を振り出した。なお期末現在、この手形の満期日は到来していない。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
支払手形500受取手形500

【ヒント】

連結会社間の手形の振出し(受取り)は、個別ベースでみると通常の支払(受取)手形ですが、連結ベースでみると何の取引も行われていないことになります。そこで、連結会社間の取引によって生じた「受取手形」と「支払手形」の期末残高を相殺消去します。

売掛金と買掛金はすでに決済されてなくなっているので相殺消去の必要はありません。


Q.7-12(Q3-28)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社が買掛金の決済としてS社に振り出した約束手形600円を、S社は銀行で割り引き(割引料50円)これを当座預金とした。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
支払手形600短期借入金600
支払利息50手形売却損50

【ヒント】

①手形の割引は連結ベースでみると、銀行へ手形を振り出してお金を借り入れる「手形借入金」(貸借対照表上は「短期借入金」)ということになるので、支払手形から短期借入金へ振り替えます。

②手形の割引に係る割引料(手形売却損)は、連結ベース(短期借入金)でみると支払利息ということになるので、手形売却損から支払利息へ振り替えます。


Q.7-13(Q3-29)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社が得意先から受け取った約束手形800円を、S社に対する買掛金の決済のために裏書譲渡した。期末現在、この手形の満期日は到来していない。なお、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕訳なし

【ヒント】

①手形の裏書譲渡は連結ベースでみると、通常の外部からの手形の受取りということになります。連結上は、親会社の「受取手形」(の減少)と子会社の「受取手形」(の増加)が相殺されるため、連結修正仕訳の必要はありません。

P社が外部から受け取った「受取手形」は外部との取引によるものなので、連結上も有効となります。


Q.7-14(Q3-30)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社が買掛金の決済のために甲社に振り出した約束手形900円を、S社は甲社から売掛金の回収のために裏書譲渡された。なお期末現在、この手形の満期日は到来していない。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
支払手形900受取手形900

【ヒント】

①P社が外部へ振り出した手形をS社が外部から裏書譲渡された場合、連結ベースでみると自身が振り出した手形を裏書譲渡によって回収したということになるので、この取引は自己振出手形の回収(支払手形の減少)ということになります。

②個別上、S社は「受取手形」(の増加)としているのでこれを取り消して、「支払手形」(の減少)となるように修正します。


Q.7-15(Q3-31)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社のS社に対する売掛金が×1年度末に1,000円あった。当期(×1年4月1日から×2年3月31日)の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。なお、P社はこの売掛金に対して5%の貸倒引当金を設定している。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
買掛金1,000売掛金1,000
貸倒引当金50貸倒引当金繰入50

【ヒント】

①連結修正仕訳では、連結会社間の取引によって生じた債権債務の期末残高を相殺消去します。

②連結上、連結会社間の売掛金残高は消去されるので、この売掛金に対して貸倒引当金が設定されることはありません。したがって、この売掛金に係る貸倒引当金および貸倒引当金繰入を取り消します。

※金額は「売掛金残高¥1,000×5%=¥50」です。


Q.7-16(Q3-32)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社のS社に対する売掛金が×1年度末に1,000円、×2年度末に1,200円あった。当期(×2年4月1日から×3年3月31日)の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。なお、P社はこの売掛金に対して5%の貸倒引当金を設定している(差額補充法)。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
買掛金1,200売掛金1,200
貸倒引当金60利益剰余金当期首残高50
貸倒引当金繰入10

【ヒント】

①連結修正仕訳では、連結会社間の取引によって生じた債権債務の期末残高を相殺消去します。

②前期に行った連結修正仕訳は帳簿上で反映されないので、当期に再び行う必要があります(開始仕訳)。前期の貸倒引当金繰入の修正額¥50は、連結上は前期の利益(利益剰余金)の増加となるので、これを「利益剰余金当期首残高」とします。

借方金額貸方金額
貸倒引当金50貸倒引当金繰入
利益剰余金当期首残高
50
前期の仕訳の引継ぎ

③当期の貸倒引当金繰入の修正額は¥10((¥1,200ー¥1,000)×5%)なので、これを貸方に記入します。

借方金額貸方金額
貸倒引当金10貸倒引当金繰入10
当期の貸倒引当金の修正

上の2つの仕訳を合算したものが正解の仕訳となります。


Q.7-17(Q3-33)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社はS社に対し、仕入原価に10%の利益を付加して商品を販売しており、S社の期末商品のうち2,200円はP社から仕入れたものである。当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売上原価200商品200

【ヒント】

①親子会社間で商品売買が行われた場合、その商品に含まれている利益は外部へ販売するまでは未実現となるので、連結修正仕訳によってこの金額を修正します。

②S社の期末商品のうち、P社から仕入れた商品に含まれる内部未実現利益¥200(=¥2,200÷1.1×0.1)だけ、期末商品が過大に計上されている(売上原価が過少となっている)ので、「売上原価」を増やすとともに「商品」を減少させます。

連結修正仕訳では帳簿上の勘定科目ではなく、財務諸表の表示科目を使って修正仕訳を行うので、「仕入」ではなく「売上原価」、「繰越商品」ではなく「商品」を使います。


Q.7-18(Q3-34)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社はS社に対し、仕入原価に10%の利益を付加して商品を販売しており、S社の期首商品のうち2,200円はP社から仕入れたものである。当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
利益剰余金当期首残高200売上原価200

【ヒント】

①前期末の連結修正仕訳は個別会計上には反映されていないので、当期の連結財務諸表の作成にあたって、前期末までに行った連結修正仕訳を再度行う必要があります(開始仕訳)。前期の売上原価の増加は、前期末(当期首)の利益剰余金の減少となります。

借方金額貸方金額
売上原価
利益剰余金当期首残高
200商品200
前期の修正仕訳の引継ぎ

②この商品を当期に販売したことによって未実現利益が実現したと考え、当期の利益を増やすために貸方に売上原価を記入します。前期の逆仕訳を行えばいいだけです。

借方金額貸方金額
商品200売上原価200
当期に未実現利益が実現

上の2つの仕訳を合算したものが正解の仕訳となりますが、結局なにをやっているかというと、利益を前期から当期へ移動させているようなイメージです。

借方金額貸方金額
利益剰余金当期首残高200
前期の利益じゃなくて・・・
借方金額貸方金額
利益剰余金当期首残高200売上原価200
当期の利益なんです!

Q.7-19(Q3-35)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。P社はS社に対し、土地(帳簿価額5,000円)を6,000円で売却した。なお、S社は期末現在、この土地を保有している。当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
固定資産売却益1,000土地1,000

【ヒント】

①土地を売却したことによる固定資産売却益¥1,000は、外部へ売却するまで未実現利益となるため連結修正仕訳によって消去します。

②連結上、親会社と子会社は1つの会社とみなすので、土地の売買取引はなかったと考えます。このように考えた場合、S社の個別B/S上の土地が¥1,000過大に計上されているため、これを取り消します。

※S社では土地の取得原価は¥6,000で計上されていますが、連結上はP社が外部から購入した金額の¥5,000とするべきです。


Q.7-20(Q3-36)仮にQ.7-19の取引について、S社がP社に土地を売却していた場合の連結修正仕訳はどうなるか。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
固定資産売却益1,000土地1,000
非支配株主持分当期変動額200非支配株主に帰属する当期純利益200

【ヒント】

①アップストリーム(子会社から親会社への売却)では、未実現利益の消去による利益の変動額について、非支配株主持分への影響額についても考慮する必要があります。

②アップストリームでは利益の減少額を非支配株主にも負担させるため、非支配株主持分を減少させます(借方の「非支配株主持分当期変動額」)。

③利益の減少額の一部を非支配株主に負担させるため、連結上の利益(親会社株主の利益)が増加します(貸方の「非支配株主に帰属する当期純利益」)。

「非支配株主に帰属する当期純利益」は連結P/L上の科目なので、貸方に来れば利益は増えます。

※金額は「未実現利益¥1,000×非支配株主持分比率20%=¥200」です。

【テクニック】

①利益が¥1,000減少しますが、そのうち20%は非支配株主が負担する(親会社は負担しない)ので、その分の利益を増やします。

借方金額貸方金額
固定資産売却益1,000
非支配株主に帰属する当期純利益200
親会社は負担しないよ

②非支配株主の利益が減るということは非支配株主持分が減るということです。

借方金額貸方金額
固定資産売却益1,000土地1,000
非支配株主持分当期変動額200非支配株主に帰属する当期純利益200
非支配株主が負担してね

「非支配株主に帰属する当期純利益」と「非支配株主持分」の関係は、「当期純利益」と「利益剰余金」の関係と同じようなイメージです。

連結PL連結BS
親会社株主当期純利益←→利益剰余金
非支配株主非支配株主に帰属する
当期純利益
←→非支配株主持分

Q.7-21(Q3-37)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。S社のP社に対する売掛金が×1年度末に1,000円あった。当期(×1年4月1日から×2年3月31日)の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。なお、S社はこの売掛金に対して5%の貸倒引当金を設定している。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
買掛金1,000売掛金1,000
貸倒引当金50貸倒引当金繰入50
非支配株主に帰属する当期純利益10非支配株主持分当期変動額10

【ヒント】

①利益の増加額の一部を非支配株主持分へ振り替えるため、連結上の利益(親会社株主の利益)が減少します(借方の「非支配株主に帰属する当期純利益」)。

②貸倒引当金繰入の修正によって利益が増加するので、その利益の一部を非支配株主持分に振り替えます(貸方の「非支配株主持分当期変動額」)。

※金額は「貸倒引当金の修正額¥50×非支配株主持分比率20%=¥10」です。


Q.7-22(Q3-38)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。S社はP社に対し、仕入原価に10%の利益を付加して商品を販売しており、P社の期末商品のうち1,100円はS社から仕入れたものである。当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売上原価100商品100
非支配株主持分当期変動額20非支配株主に帰属する当期純利益20

【ヒント】

①ダウンストリームの場合と同様に、期末商品に含まれている未実現利益¥100(=¥1,100÷1.1×0.1)を全額消去します。

②アップストリームでは利益の減少額を非支配株主にも負担させるため、非支配株主持分を減少させます(借方の「非支配株主持分当期変動額」)。金額は「消去した利益¥100×非支配株主持分比率20%=¥20」です。

③利益の減少額の一部を非支配株主に負担させるため、連結上の利益(親会社株主の利益)が増加します(貸方の「非支配株主に帰属する当期純利益」)。


Q.7-23(Q3-39)P社はS社の発行済株式の80%を取得し、支配している。S社はP社に対し、仕入原価に10%の利益を付加して商品を販売しており、P社の期首商品のうち1,100円はS社から仕入れたものである。当期の連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
利益剰余金当期首残高100売上原価100
非支配株主持分当期変動額20利益剰余金当期首残高20
非支配株主に帰属する当期純利益20非支配株主持分当期変動額20

【ヒント】

【1本目の仕訳】前期に消去していた未実現利益が当期に実現したので、①前期の利益を取り消して(借方)②当期の利益を増やします(貸方)。前期の利益を当期に持ってくるイメージです。

借方金額貸方金額
①利益剰余金当期首残高100
前期の利益じゃなくて・・・
借方金額貸方金額
①利益剰余金当期首残高100②売上原価100
当期の利益だよ

【2本目の仕訳】「①前期の利益を取り消した」ことによる非支配株主持分への影響です。このうち、20%は非支配株主の負担なので(親会社は負担しないので)前期の連結上の利益(利益剰余金)を増やし、前期の非支配株主持分を減らします。

借方金額貸方金額
①利益剰余金当期首残高100②売上原価100
利益剰余金当期首残高20
20円は親会社の負担じゃないよ
借方金額貸方金額
①利益剰余金当期首残高100
非支配株主持分当期変動額20利益剰余金当期首残高20
非支配株主が負担してね

【3本目の仕訳】「②当期の利益を増やした」ことによる非支配株主持分への影響です。このうち、20%は非支配株主の利益なので(親会社の利益ではないので)当期の連結上の利益を減らして、当期の非支配株主持分を増やします。

「非支配株主に帰属する当期純利益」は利益のマイナスなので、費用のようなもの(よって借方の科目)とイメージすればわかりやすいと思います。

借方金額貸方金額
①利益剰余金当期首残高100②売上原価100
非支配株主持分当期変動額20利益剰余金当期首残高20
非支配株主に帰属する当期純利益20
20円は親会社の利益じゃないよ
借方金額貸方金額
①利益剰余金当期首残高100②売上原価100
非支配株主持分当期変動額20利益剰余金当期首残高20
非支配株主に帰属する当期純利益20非支配株主持分当期変動額20
非支配株主の利益(持ち分)だよ