仕訳問題集8(本支店会計・製造業会計)




Q.8-01(Q3-8)本店の現金100円を支店に送金し、支店はこれを受け取った。本店と支店の仕訳をそれぞれ答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方金額貸方金額
支店100現金100
本店の仕訳
借方金額貸方金額
現金100本店100
支店の仕訳

【ヒント】

【本店側】送金することで、本店の「現金」が減少します。これは本支店間の内部取引なので、相手勘定科目は支店勘定を使います。

【支店側】現金を受け取ることで、支店の「現金」が増加します。これは本支店間の内部取引なので、相手勘定科目は本店勘定を使います。


Q.8-02(Q3-9)支店の買掛金200円を、本店が小切手を振り出して支払った。本店と支店の仕訳をそれぞれ答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方金額貸方金額
支店200当座預金200
本店の仕訳
借方金額貸方金額
買掛金200本店200
支店の仕訳

【ヒント】

【本店側】本店が小切手を振り出して支払ったので、本店の「当座預金」が減少します。支払ったのは支店の帳簿にある買掛金なので、相手勘定科目は支店勘定を使います。

【支店側】本店が支店の帳簿にある買掛金を立て替えて支払ったので、支店の「買掛金」が減少します。支払ったのは本店なので、相手勘定科目は本店勘定を使います。


Q.8-03(Q3-10)本店の売掛金300円を、支店が現金で回収した。本店と支店の仕訳をそれぞれ答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方金額貸方金額
支店300売掛金300
本店の仕訳
借方金額貸方金額
現金300本店300
支店の仕訳

【ヒント】

【本店側】本店の帳簿にある売掛金を支店が回収したので、本店の「売掛金」が減少します。回収したのは支店なので、相手勘定科目は支店勘定を使います。

【支店側】支店が現金で回収したので、支店の「現金」が減少します。回収したのは本店の帳簿にある売掛金なので、相手勘定科目は本店勘定を使います。


Q.8-04(Q3-11)支店は、本店の営業費400円を現金で立替払いした。本店と支店の仕訳をそれぞれ答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方金額貸方金額
営業費400支店400
本店の仕訳
借方金額貸方金額
本店400現金400
支店の仕訳

【ヒント】

【本店側】支店が支払ったのは本店の営業費なので、本店側の「営業費」が増加します。支払ったのは支店なので、相手勘定科目は支店勘定を使います。

【支店側】本店の営業費を現金で支払ったので、支店の「現金」が減少します。ただしこれは本店の帳簿にある営業費なので、相手勘定科目は本店勘定を使います。


Q.8-05(Q3-12)本店は、商品200円(原価)を支店に送付し、支店はこれを受け取った。本店と支店の仕訳をそれぞれ答えなさい。

借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方金額貸方金額
支店200仕入200
本店の仕訳
借方金額貸方金額
仕入200本店200
支店の仕訳

【ヒント】

【本店側】この商品原価は支店側の仕入原価(当期商品仕入高)となるので、本店では「仕入」の減少として処理します。相手勘定は支店勘定を使います。

【支店側】商品の仕入原価(当期商品仕入高)が増加するので、「仕入」の増加として処理します。相手勘定は本店勘定を使います。


Q.8-06(Q3-13)当社は、大阪と神戸に支店を有しており、支店間の取引については支店分散計算制度を採用している。次の【取引】について、大阪支店、神戸支店、本店、それぞれの仕訳を答えなさい。なお、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。
【取引】大阪支店は、神戸支店の買掛金100円を現金で立て替えて支払った。

借方科目金額貸方科目金額
大阪支店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
神戸支店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方金額貸方金額
神戸支店100現金100
大阪支店の仕訳
借方金額貸方金額
買掛金100大阪支店100
神戸支店の仕訳
借方金額貸方金額
仕訳なし
本店の仕訳

【ヒント】

【大阪支店】神戸支店の買掛金を現金で支払ったので「現金」が減少します。これは神戸支店の帳簿にある買掛金なので、借方は「神戸支店」とします。

【神戸支店】大阪支店が買掛金を立て替えて支払ったので、神戸支店の帳簿にある「買掛金」が減少します。支払ったのは大阪支店なので、貸方は「大阪支店」とします。

【本店】支店分散計算制度では、支店間の取引について仕訳は必要ありません。


Q.8-07(Q3-14)当社は、大阪と神戸に支店を有しており、支店間の取引については本店集中計算制度を採用している。次の【取引】について、大阪支店、神戸支店、本店、それぞれの仕訳を答えなさい。なお、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。
【取引】大阪支店は、神戸支店の買掛金100円を現金で立て替えて支払った。

借方科目金額貸方科目金額
大阪支店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
神戸支店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方金額貸方金額
本店100現金100
大阪支店の仕訳
借方金額貸方金額
買掛金100本店100
神戸支店の仕訳
借方金額貸方金額
神戸支店100大阪支店100
本店の仕訳

【ヒント】

【大阪支店】神戸支店の買掛金を現金で支払ったので「現金」が減少します。本店集中計算制度では、各支店の帳簿には本店勘定のみが設けられる(ほかの支店勘定は設けない)ので、借方は「本店」とします。

【神戸支店】大阪支店が買掛金を立て替えて支払ったので、神戸支店の「買掛金」が減少します。本店集中計算制度なので、貸方は「本店」とします。

【本店】本店集中計算制度では、支店間取引を本店と支店との取引とみなして仕訳をします。

借方金額貸方金額
現金100大阪支店100
いったん大阪支店から現金を受け取ったとみなす
借方金額貸方金額
神戸商店100現金100
本店が神戸支店の買掛金を支払ったとみなす

上の2つの仕訳を合算したものが本店の仕訳となります。


Q.8-08(Q3-15)支店の純利益は400円であった。支店と本店の仕訳をそれぞれ答えなさい。なお、当社では総合損益勘定は設けずに、支店の純利益は本店の損益勘定で受け入れている。

借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方金額貸方金額
損益400本店400
支店の仕訳
借方金額貸方金額
支店400損益400
本店の仕訳

【ヒント】

【支店】支店の帳簿には繰越利益剰余金勘定がないので、支店の純利益をいったん本店勘定へ振り替えます。

【本店】支店勘定で支店の利益を受け入れ、それを損益勘定の貸方に記入することで、本店の純利益と支店の純利益を帳簿上で合算することができます。


Q.8-09(Q3-16)本店の純利益は600円、支店の純利益は400円であった。会社全体の当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替える。支店と本店の仕訳をそれぞれ答えなさい。なお、当社では総合損益勘定は設けずに、支店の純利益は本店の損益勘定で受け入れている。また、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
支店の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
本店の仕訳
借方金額貸方金額
仕訳なし
支店の仕訳
借方金額貸方金額
損益1,000繰越利益剰余金1,000
本店の仕訳

【ヒント】

【支店】会社全体の利益の振り替えは本店側で行うべき仕訳となるので、支店側での仕訳は必要ありません。

【本店】本店の純利益¥600は損益勘定で算定され、また支店の純利益¥400はQ.8-08で見たように支店勘定を使って受け入れ、損益勘定の貸方に記入されています。そして最後に、会社全体の当期純利益¥1,000を損益勘定から繰越利益剰余金勘定へ振り替えます。

決算振替や帳簿の締め切りが理解できていない人は、3級講座の「簿記一巡の手続き」を復習しましょう。


ここからは製造業会計になります。製造業会計は工業簿記の知識が必要になるため、まだの人は先に工業簿記を勉強してからチャレンジしください。

Q.8-10(Q4-1)材料900円を掛けで購入し、引取運賃100円は現金で支払った。なお、月初材料は存在しない。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
材料1,000買掛金900
現金100

【ヒント】

材料の購入原価は、購入代価に材料副費(付随費用)を加えたものとなります。


Q.8-11(Q4-2)Q.8-10の材料700円を消費した。このうち500円は直接材料費で、残りは間接材料費である。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕掛品500材料700
製造間接費200

【ヒント】

①材料を直接材料として消費したときは、その金額を仕掛品勘定へ振り替えます。

②材料を間接材料として消費したときは、その金額を製造間接費勘定へ振り替えます。

材料を購入しただけでは製造原価になりません。消費してはじめて製造原価となる点に注意しましょう。


Q.8-12(Q4-3)月末における、Q.8-10の材料の実際有高は250円であった。帳簿棚卸高との差額は棚卸減耗(すべて正常な範囲のもの)として処理する。なお、当社では経費勘定は設けずに棚卸減耗損勘定によって処理している。棚卸減耗の把握と振替の仕訳を別々に行うこと。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
棚卸減耗損50材料50
製造間接費50棚卸減耗損50

【ヒント】

①材料の帳簿棚卸高は¥300です。「購入原価¥1,000ー消費額¥700=¥300」

②材料の帳簿棚卸高¥300と実際有高¥250との差額を棚卸減耗損とし、材料の帳簿の金額から控除します。

③棚卸減耗損は間接経費のため、これを製造間接費勘定へ振り替えます。

棚卸減耗損は材料の「消費」ではなく単なるロスです。したがって、材料費(材料の消費額)ではなく間接経費とします。


Q.8-13(Q4-4)当月の工員の賃金3,000円を現金で支払った。なお、月初と月末の未払いはない。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
賃金3,000現金3,000

【ヒント】

工員の賃金を支払ったときは賃金勘定で処理をします。


Q.8-14(Q4-5)Q.8-13の賃金のうち、当月の直接労務費は2,000円、間接労務費は1,000円であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕掛品2,000賃金3,000
製造間接費1,000

【ヒント】

①直接労務費は仕掛品勘定へ振り替えます。

②間接労務費は製造間接費勘定へ振り替えます。


Q.8-15(Q4-6)工場建物の減価償却費の月割額500円を計上した。記帳方法は間接法による。なお、当社では経費勘定を設けていない。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
減価償却費500減価償却累計額500
製造間接費500減価償却費500

【ヒント】

工場の建物の減価償却費なので製造原価(製造原価報告書の項目)となります。減価償却費は間接経費なので、製造間接費勘定へ振り替えます。

本社建物の減価償却費など、工場や製造活動に関係のない減価償却費は販売費及び一般管理費(P/Lの項目)となります。


Q.8-16(Q4-7)当月の製造間接費の予定配賦額は1,600円であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕掛品1,600製造間接費1,600

【ヒント】

製造間接費の配賦額は仕掛品勘定へ振り替えます。


Q.8-17(Q4-8)当月の製造間接費の実際発生額は1,750円であったため、予定配賦額1,600円との差異を計上する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
製造間接費配賦差異150製造間接費150

【ヒント】

①製造間接費の実際発生額と予定配賦額との差異は製造間接費配賦差異で処理します。

②「実際発生額¥1,750(借方)>予定配賦額¥1,600(貸方)」の場合は、製造間接費勘定の貸方から製造間接費配賦差異勘定の借方へ振り替えることになります。

※本問では、実際発生額が予定配賦額よりも多く発生してしまったので不利差異ということになります。不利差異は製造間接費配賦差異勘定の借方に振り替えられるので借方差異という場合もあります。

逆に「実際発生額<予定配賦額」となる場合では、実際発生額が予定配賦額よりも少なくて済んだということになるので有利差異となります。有利差異は製造間接費配賦差異勘定の貸方に振り替えられるので貸方差異という場合もあります。


Q.8-18(Q4-9)年度末における製造間接費配賦差異の残高は800円(不利差異)であった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売上原価800製造間接費配賦差異800

【ヒント】

①製造間接費配賦差異は年度末(決算日)において、1年間の金額を売上原価勘定へ振り替えます。

②不利差異(借方差異)の場合は、売上原価勘定の借方へ振り替えられることになるため売上原価が増加します。

逆に有利差異の場合は、売上原価勘定の貸方へ振り替えるので売上原価が減少します。


Q.8-19(Q4-10)製品3,500円が完成した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
製品3,500仕掛品3,500

【ヒント】

製品が完成したときは、完成品原価を仕掛品勘定から製品勘定へ振り替えます。


Q.8-20(Q4-11)製品3,300円(原価3,000円)を掛けで販売した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売掛金3,300売上3,300
売上原価3,000製品3,000

【ヒント】

製品を販売したときは、その原価を製品勘定から売上原価勘定へ振り替えます。