【第3回】日商簿記2級 試験問題
第1問
下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。
1 |
当期に営業用車両の点検修理を行った。決算整理前残高試算表における修繕引当金¥80,000はこの車両に対するものであるが、点検修理の代金¥100,000をすべて修繕費として処理していたため、決算においてこれを正しく修正する。
|
||||||||||||||||||||
2 |
本日、売掛金3,500ドル(取引発生時の為替レート:1ドル=¥148で換算している)の決済日が到来した。この売掛金の回収額について、取引銀行で円貨に両替し、当座預金口座に入金した。なお、本日の為替レートは1ドル=¥145である。
|
||||||||||||||||||||
3 |
普通預金口座に、普通預金に対する利息¥50,000から源泉所得税(20%)控除後の金額が入金された。
|
||||||||||||||||||||
4 |
増資を行うため、株式500株を1株当たり¥2,000で発行することになり、全額の払込みを受け、これを別段預金および株式申込証拠金で処理していたが、払込期日となり、別段預金を当座預金に振り替えるとともに申込証拠金を資本金に充当する。ただし、会社法が認める最低限度額を資本金に組み入れることとする。
|
||||||||||||||||||||
5 |
×8年1月1日、備品(現金購入価額¥776,000)を分割払いで購入し、代金として毎月末(初回支払日は×8年1月末)に支払期日が順次到来する額面¥100,000の約束手形を8枚振り出して支払った。なお、当社では月次で損益を算定しているため、利息相当額については取得時に資産勘定で処理し、代金支払い時に定額法により費用計上する方法を採用している。1回目の代金支払日となり当座預金口座から支払った。代金支払時の仕訳を示しなさい。
|
第2問
次の[資料]にもとづいて、×1年度末と×2年度末の連結貸借対照表(単位:千円)を作成しなさい。
[資料Ⅰ]×1年度におけるP社およびS社の状況
①P社は、×1年度期首(×1年4月1日)においてS社の発行済み株式総数の60%を400,000千円で取得し、S社を子会社とした。支配獲得時のS社の純資産は次のとおりであった。
資本金 | 資本剰余金 | 利益剰余金 |
450,000千円 | 50,000千円 | 80,000千円 |
②S社の×1年度の当期純利益は20,000千円であった。なお、S社は×1年度において剰余金の配当を行っていない。
③のれんは、×1年度期首から10年間で定額法により償却する。
④×1年度より、P社はS社への商品の販売を始めた。×1年度中のS社への売上高は75,000千円であった。
⑤P社の売掛金期末残高のうち25,000千円は、S社に対するものである。なお、受取手形の期末残高にはS社に対するものは含まれていない。S社に対する売上債権について、P社は各年度を通じて期末残高の1%の貸倒引当金を差額補充法により計上している。
⑥S社の期末商品のうち、8,000千円がP社からの仕入分であった。なお、P社の売上高総利益率は各年度を通じて30%である。
[資料Ⅱ]×2年度におけるP社およびS社の状況
①S社の×2年度の当期純利益は30,000千円であった。
②S社は×2年度において繰越利益剰余金から15,000千円の配当を行っている。
③×2年度中のP社からS社への売上高は100,000千円であった。
④P社は、S社振り出しの約束手形12,000千円を銀行で割り引いているが、期末現在、この手形の支払期日は到来していない。
⑤P社の受取手形期末残高のうち5,000千円と売掛金期末残高のうち35,000千円は、S社に対するものである。
⑥S社の期末商品のうち、14,000千円がP社からの仕入分であった。
⑦S社は、P社に対して土地100,000千円を120,000千円で売却した。
[資料Ⅲ]×1年度末および×2年度末におけるP社とS社の個別貸借対照表(単位:千円)
個別貸借対照表(一部)
×2年3月31日
資産 | P社 | S社 | 負債・純資産 | P社 | S社 |
受取手形 | 140,000 | 50,000 | 支払手形 | 100,000 | 30,000 |
売掛金 | 150,000 | 60,000 | 買掛金 | 120,000 | 45,000 |
貸倒引当金 | △2,900 | △1,100 | 借入金 | 220,000 | 100,000 |
商品 | 80,000 | 30,000 | 資本金 | 1,200,000 | 450,000 |
土地 | 200,000 | 150,000 | 資本剰余金 | 200,000 | 50,000 |
S社株式 | 400,000 | ー | 利益剰余金 | 370,000 | 100,000 |
個別貸借対照表(一部)
×3年3月31日
資産 | P社 | S社 | 負債・純資産 | P社 | S社 |
受取手形 | 120,000 | 60,000 | 支払手形 | 100,000 | 50,000 |
売掛金 | 180,000 | 70,000 | 買掛金 | 150,000 | 60,000 |
貸倒引当金 | △3,000 | △1,300 | 借入金 | 220,000 | 80,000 |
商品 | 90,000 | 40,000 | 資本金 | 1,200,000 | 450,000 |
土地 | 320,000 | 50,000 | 資本剰余金 | 200,000 | 50,000 |
S社株式 | 400,000 | ー | 利益剰余金 | 480,000 | 115,000 |
連結貸借対照表(一部)
資産 | ×2年3月31日 | ×3年3月31日 | 負債・純資産 | ×2年3月31日 | ×3年3月31日 |
受取手形 | 支払手形 | ||||
売掛金 | 買掛金 | ||||
貸倒引当金 | △ | △ | 借入金 | ||
商品 | 資本金 | ||||
土地 | 資本剰余金 | ||||
のれん | 利益剰余金 | 374,650 | 474,800 | ||
非支配株主持分 | |||||
第3問
次の決算整理前残高試算表と資料にもとづいて、決算整理後残高試算表(単位:円)を完成しなさい。なお、会計期間はx4年4月1日からx5年3月31日までの1年間である。また、当社では商品売買の記帳方法として売上原価対立法を採用している。
決算整理前残高試算表
借方 | 勘定科目 | 貸方 |
880,000 | 現金預金 | |
850,000 | 売掛金 | |
貸倒引当金 | 15,000 | |
100,000 | 売買目的有価証券 | |
480,000 | 商品 | |
42,000 | 仮払法人税等 | |
1,400 | 仮払金 | |
300,000 | 備品 | |
備品減価償却累計額 | 60,000 | |
765,000 | 特許権 | |
182,000 | 満期保有目的債券 | |
10,800 | 繰延税金資産 | |
買掛金 | 645,300 | |
借入金 | 780,000 | |
資本金 | 1,000,000 | |
利益準備金 | 250,000 | |
繰越利益剰余金 | 470,000 | |
商品売上高 | 3,247,300 | |
有価証券利息 | 2,400 | |
2,100,000 | 商品売上原価 | |
754,000 | 販売費・一般管理費 | |
4,800 | 支払利息 | |
6,470,000 | 6,470,000 |
[資料] 決算整理事項等
- 当社では、商品Xの売上については検収基準によって認識している。決算直前に、¥100,000(原価¥70,000)の商品を掛けで販売したが、相手先ではこれが未検収であることが判明したため、商品売上高を取り消すとともに、商品原価を資産へ振り替える。
- x5年3月より、保守サービス付きで商品Yの販売を始めた。顧客と以下の内容で商品Y(仕入原価¥108,000)の販売契約を締結したが未処理である。また、期末において保守サービスのうち当期分を月割計算によって役務収益に計上する。なお、保守サービスのための費用¥1,400は期中に仮払金として処理しているため、全額を費用に振り替える。x5年3月1日に商品Yを顧客へ引き渡し、相手先では検収が完了し使用可能となった。
【契約内容】
①商品Yと1年間の保守サービスの対価の額:¥200,000
②独立販売価格:商品Yが¥176,000、保守サービスが¥24,000
③代金は翌月末に支払う。
④商品Yを引き渡したときに、顧客に支払義務が生じる。 - 売上債権について、次の通り貸倒引当金を差額補充法により設定する。
①売掛金には、A社に対する貸倒懸念債権(当期発生)が¥50,000含まれている。そこで、債権額から担保の処分見込額¥30,000を差し引いた残額の40%を貸倒引当金として設定する。
②その他の売上債権はすべて一般債権であり、期末残高の3%の貸倒引当金を設定する。 - 有価証券について、決算整理を行う。
・売買目的有価証券:期末時価¥87,000
・満期保有目的債券:期末時価¥180,000
満期保有目的債券(額面金額¥200,000、取得日×4年4月1日、償還日×9年3月31日、年利率1.2%、利払日3月末)の額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められるため、償却原価法(定額法)によって評価する。 - 備品は、200%定率法(耐用年数5年、残存価額ゼロ)によって減価償却を行う。
- 特許権(取得日×3年10月1日)は償却期間8年、定額法によって償却する。
- 当期の税効果会計上の一時差異は、次のとおりである。なお、法定実効税率は30%とし、法人税、住民税及び事業税の課税見込額は¥107,000である。また、仮払法人税等の残高は、中間申告をした際に計上したものである。
期首 | 期末 | |
貸倒引当金損金算入限度超過額 | 6,000 | 10,000 |
減価償却費限度超過額 | 30,000 | 72,000 |
合計 | 36,000 | 82,000 |
決算整理後残高試算表
借方 | 勘定科目 | 貸方 |
880,000 | 現金預金 | |
売掛金 | ||
貸倒引当金 | ||
売買目的有価証券 | ||
商品 | ||
300,000 | 備品 | |
備品減価償却累計額 | ||
特許権 | ||
満期保有目的債券 | ||
繰延税金資産 | ||
買掛金 | 645,300 | |
借入金 | 780,000 | |
契約負債 | ||
未払法人税等 | ||
資本金 | 1,000,000 | |
利益準備金 | 250,000 | |
繰越利益剰余金 | 470,000 | |
商品売上高 | ||
役務収益 | ||
有価証券利息 | ||
商品売上原価 | ||
役務原価 | ||
減価償却費 | ||
貸倒引当金繰入 | ||
特許権償却 | ||
754,000 | 販売費・一般管理費 | |
4,800 | 支払利息 | |
有価証券評価損益 | ||
107,000 | 法人税、住民税及び事業税 | |
法人税等調整額 | ||
6,768,400 | 6,768,400 |
第4問(1)
当社では部門別個別原価計算を行っており、2つの製造部門(切削部門と組立部門)と1つの補助部門(工場事務部門)により原価部門が構成されている。次の[資料]にもとづいて、下記の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。
[資料]1.部門個別費の実際発生額
切削部門 | 組立部門 | 工場事務部門 |
¥538,000 | ¥652,000 | ¥252,000 |
2.配賦基準に関するデータ
切削部門 | 組立部門 | 工場事務部門 | |
従業員数(人) | 80 | 100 | 20 |
建物占有面積(坪) | 500 | 520 | 180 |
3.部門共通費の実際発生額:¥960,000
・部門共通費は建物占有面積を基準に各部門へ配賦する。
4.切削部門費は機械作業時間、組立部門費は直接作業時間を基準に各製造指図書へ配賦する。当月の実際時間は次の通りであった。
#100 | #200 | |
機械作業時間 | 380時間 | 120時間 |
直接作業時間 | 240時間 | 460時間 |
1 |
製造間接費勘定から工場事務部門費勘定へ振り替える仕訳を示しなさい。なお、当社では統制勘定としての製造間接費勘定において実際発生額を集計している。
|
||||||||||||||||||||
2 |
工場事務部門費勘定から切削部門費勘定へ振り替えるための仕訳を示しなさい。
|
||||||||||||||||||||
3 |
組立部門費勘定から仕掛品勘定(#200)へ振り替えるための仕訳を示しなさい。なお、当社では製造指図書ごとに仕掛品勘定を設けている。
|
第4問(2)
(問1)当社では2つの異なった製品Aと製品Bを連続大量生産しており、組別総合原価計算を採用している。次の資料にもとづいて、製品Aと製品Bの完成品原価を計算しなさい。なお、月末仕掛品原価は先入先出法によって計算している。
[資料]
1.生産データ
製品A | 製品B | |||
月初仕掛品 | 600個 | (0.8) | 540個 | (0.5) |
当月投入 | 5,000個 | 5,120個 | ||
合 計 | 5,600個 | 5,660個 | ||
月末仕掛品 | 550個 | (0.6) | 650個 | (0.4) |
完成品 | 5,050個 | 5,010個 |
・( )内の数値は加工進捗度を表す。
2.原価データ
(1)月初仕掛品原価
製品A | 製品B | |
直接材料費 | ¥250,000 | ¥235,000 |
加工費 | ¥234,000 | ¥210,000 |
(2)当月製造費用
①材料aを製品Aの、材料bを製品Bの主要材料として使用しており、いずれも工程の始点で投入している。当月における実際消費量は材料aが500kg、材料bが1,152kgであった。なお、各材料の予定価格は材料aが4,500円/ kg、材料bが2,000円/ kgである。
②直接工の予定賃率は1,800円/ 時間であり、実際直接作業時間は製品Aが400時間、製品Bが600時間であった。
③当月の組間接費実際発生額は¥4,325,000であった。組間接費は直接作業時間を基準として各製品へ配賦する。
製品Aの完成品原価 | 円 |
製品Bの完成品原価 | 円 |
(問2)当工場では、等級製品である製品X、製品Y及び製品Zを連続大量生産しており、等級別総合原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、月末仕掛品原価及び製品Xの完成品原価を計算しなさい。なお、月末仕掛品原価は先入先出法によって計算している。
[資料]
1.生産データ
月初仕掛品 | 450個 | (0.6) |
当月投入 | 4,460個 | |
合 計 | 4,910個 | |
月末仕掛品 | 650個 | (0.4) |
完成品 | 4,260個 |
・( )内の数値は加工進捗度を表す。
・完成品の内訳は、製品Xが2,000個、製品Yが1,460個、製品Zが800個である。
2.原価データ
月初仕掛品原価 | 当月製造費用 | |
直接材料費 | ¥301,000 | ¥3,122,000 |
加工費 | ¥150,000 | ¥2,550,000 |
3.各等級製品の原価は、次の等価係数を用いて計算する。
製品X | 製品Y | 製品Z | |
等価係数 | 1.6 | 1 | 0.8 |
月末仕掛品原価 | 円 |
製品Xの完成品原価 | 円 |
第5問
当社では、製品Aを生産・販売している。次の[資料]にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。
[資料]当年度の実績データ
1.販売データ
期首製品 | 0個 | |
当期完成 | 1,300個 | |
合 計 | 1,300個 | |
期末製品 | 100個 | |
当期販売 | 1,200個 |
・製品の性質上、仕掛品は存在しない。
・製品Aの販売価格は¥3,500/個である。
2.実際製造原価
・原料費(変動費):¥570/個
・変動加工費:¥700/個
・固定加工費:¥1,120,000
加工費は生産量にもとづいて予定配賦しており、年間の加工費予算は¥2,100,000(内訳:変動費¥980,000、固定費¥1,120,000)、年間の予定生産量は1,400個である。なお、原価差異は少額かつ正常であるため、すべて当期の売上原価に賦課している。
3.販売費及び一般管理費
・変動販売費:¥80/個
・固定販売費:¥400,000
・一般管理費(すべて固定費):¥100,000
(問1)全部原価計算と直接原価計算による損益計算書(単位:円)をそれぞれ作成しなさい。なお、空欄には「+」「ー」「△」などの符号は付けずに金額のみを記入すること。
【全部原価計算による損益計算書】
売上高 | |
売上原価 | |
原価差異 | |
売上総利益 | |
販売費 | |
一般管理費 | |
営業利益 |
【直接原価計算による損益計算書】
売上高 | |
変動売上原価 | |
変動製造マージン | |
変動販売費 | |
貢献利益 | |
固定費 | |
営業利益 |
(問2)当期の生産量が1,350個であった場合、全部原価計算と直接原価計算の営業利益はそれぞれいくらになるか答えなさい。ただし、販売量及びその他のデータは変化がないとする。
全部原価計算の営業利益 | 円 |
直接原価計算の営業利益 | 円 |