第1問

配点:4点×5問=20点

問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解

下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。

あなたの解答

1 当期に営業用車両の点検修理を行った。決算整理前残高試算表における修繕引当金¥80,000はこの車両に対するものであるが、点検修理の代金¥100,000をすべて修繕費として処理していたため、決算においてこれを正しく修正する。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
修繕引当金80,000修繕費80,000

まず、実際に行った仕訳と正しい仕訳を考えます。

①実際に行った仕訳(誤った仕訳)

借方金額貸方金額
修繕費100,000現金預金など100,000

②正しい仕訳(あるべき仕訳)

借方金額貸方金額
修繕引当金80,000現金預金など100,000
修繕費20,000

①実際に行った仕訳を②正しい仕訳になるように修正仕訳を行います。したがって、「修繕引当金」を¥80,000計上するととももに、¥80,000過大に計上されている「修繕費」を減額します。

あなたの解答

2 本日、売掛金3,500ドル(取引発生時の為替レート:1ドル=¥148で換算している)の決済日が到来した。この売掛金の回収額について、取引銀行で円貨に両替し、当座預金口座に入金した。なお、本日の為替レートは1ドル=¥145である。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
当座預金507,500売掛金518,000
為替差損10,500

・売掛金:取引発生時のレート@¥148×3,500ドル=¥518,000

・当座預金:決済時のレート@¥145×3,500ドル=¥507,500

外貨建債権債務が決済されたときは、決済日の為替レートで決済額を換算します。取引発生時のレートによる換算額と決済時のレートによる換算額との差額は「為替差損益」とします。

MEMO

本問では、勘定科目が指定されていることから「為替差損」または「為替差益」を使ってください。

あなたの解答

3 普通預金口座に、普通預金に対する利息¥50,000から源泉所得税(20%)控除後の金額が入金された。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
普通預金40,000受取利息50,000
仮払法人税等10,000

利息や配当などに対しては源泉徴収制度によって所得税が源泉徴収されますが、所得税は個人に対する税金なので、本来であれば法人が納める必要はありません。

そこで、法人が源泉徴収された所得税を法人税の前払いと考え、所得税と法人税が二重に課税されることを回避するために源泉徴収された所得税額を法人税額から控除することとしています。

この法人税の前払いの部分を「仮払法人税等」で処理します。

MEMO

「仮払金」など、他の科目で処理することも考えられますが、試験では指示に従ってください。

あなたの解答

4 増資を行うため、株式500株を1株当たり¥2,000で発行することになり、全額の払込みを受け、これを別段預金および株式申込証拠金で処理していたが、払込期日となり、別段預金を当座預金に振り替えるとともに申込証拠金を資本金に充当する。ただし、会社法が認める最低限度額を資本金に組み入れることとする。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
当座預金1,000,000別段預金1,000,000
株式申込証拠金1,000,000資本金500,000
資本準備金500,000

払い込みを受けたときは次のような仕訳をしています。

借方金額貸方金額
別段預金1,000,000株式申込証拠金1,000,000

・500株×@¥2,000=¥1,000,000

払込期日が到来したときは、別段預金および株式申込証拠金をそれぞれ「当座預金」、「資本金(および資本準備金)」に振り替えます。

MEMO

「会社法が認める最低限度額」とは資本金の2分の1を意味します。なお、資本金としなかった金額は「資本準備金」とします。

あなたの解答

5 ×8年1月1日、備品(現金購入価額¥776,000)を分割払いで購入し、代金として毎月末(初回支払日は×8年1月末)に支払期日が順次到来する額面¥100,000の約束手形を8枚振り出して支払った。なお、当社では月次で損益を算定しているため、利息相当額については取得時に資産勘定で処理し、代金支払い時に定額法により費用計上する方法を採用している。1回目の代金支払日となり当座預金口座から支払った。代金支払時の仕訳を示しなさい。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
営業外支払手形100,000当座預金100,000
支払利息3,000前払利息3,000

・支払利息:¥24,000÷8回=¥3,000

購入時には次のような仕訳をしています。現金購入価額を備品の取得原価とし、利息分については選択肢から判断して「前払利息」で処理します。

借方金額貸方金額
備品776,000営業外支払手形800,000
前払利息24,000

代金支払い時に、この「前払利息」を8回にわたって「支払利息」に振り替えていきます。

MEMO

原則として、利息は固定資産の取得原価に含めません。また、約束手形は商品以外の購入に際して振り出したものなので「営業外支払手形」を使います。

第2問

次の[資料]にもとづいて、×1年度末と×2年度末の連結貸借対照表(単位:千円)を作成しなさい。

[資料Ⅰ]×1年度におけるP社およびS社の状況

①P社は、×1年度期首(×1年4月1日)においてS社の発行済み株式総数の60%を400,000千円で取得し、S社を子会社とした。支配獲得時のS社の純資産は次のとおりであった。

資本金資本剰余金利益剰余金
450,000千円50,000千円80,000千円

②S社の×1年度の当期純利益は20,000千円であった。なお、S社は×1年度において剰余金の配当を行っていない。

③のれんは、×1年度期首から10年間で定額法により償却する。

④×1年度より、P社はS社への商品の販売を始めた。×1年度中のS社への売上高は75,000千円であった。

⑤P社の売掛金期末残高のうち25,000千円は、S社に対するものである。なお、受取手形の期末残高にはS社に対するものは含まれていない。S社に対する売上債権について、P社は各年度を通じて期末残高の1%の貸倒引当金を差額補充法により計上している。

⑥S社の期末商品のうち、8,000千円がP社からの仕入分であった。なお、P社の売上高総利益率は各年度を通じて30%である。

[資料Ⅱ]×2年度におけるP社およびS社の状況

①S社の×2年度の当期純利益は30,000千円であった。

②S社は×2年度において繰越利益剰余金から15,000千円の配当を行っている。

③×2年度中のP社からS社への売上高は100,000千円であった。

④P社は、S社振り出しの約束手形12,000千円を銀行で割り引いているが、期末現在、この手形の支払期日は到来していない。

⑤P社の受取手形期末残高のうち5,000千円と売掛金期末残高のうち35,000千円は、S社に対するものである。

⑥S社の期末商品のうち、14,000千円がP社からの仕入分であった。

⑦S社は、P社に対して土地100,000千円を120,000千円で売却した。

[資料Ⅲ]×1年度末および×2年度末におけるP社とS社の個別貸借対照表(単位:千円)

個別貸借対照表(一部)
×2年3月31日

資産P社S社負債・純資産P社S社
受取手形140,00050,000支払手形100,00030,000
売掛金150,00060,000買掛金120,00045,000
貸倒引当金△2,900△1,100借入金220,000100,000
商品80,00030,000資本金1,200,000450,000
土地200,000150,000資本剰余金200,00050,000
S社株式400,000利益剰余金370,000100,000

個別貸借対照表(一部)
×3年3月31日

資産P社S社負債・純資産P社S社
受取手形120,00060,000支払手形100,00050,000
売掛金180,00070,000買掛金150,00060,000
貸倒引当金△3,000△1,300借入金220,00080,000
商品90,00040,000資本金1,200,000450,000
土地320,00050,000資本剰余金200,00050,000
S社株式400,000利益剰余金480,000115,000

あなたの解答

連結貸借対照表(一部)

資産 ×2年3月31日 ×3年3月31日 負債・純資産 ×2年3月31日 ×3年3月31日
受取手形
支払手形
売掛金
買掛金
貸倒引当金
借入金
商品
資本金
土地
資本剰余金
のれん
利益剰余金 374,650 474,800
非支配株主持分

配点箇所:青が正解、赤が不正解

解答・解説

連結貸借対照表(一部)

資産×2年3月31日×3年3月31日負債・純資産×2年3月31日×3年3月31日
受取手形190,000175,000支払手形130,000133,000
売掛金185,000215,000買掛金140,000175,000
貸倒引当金△3,750△3,900借入金320,000312,000
商品107,600125,800資本金1,200,0001,200,000
土地350,000350,000資本剰余金200,000200,000
のれん46,80041,600利益剰余金374,650474,800
非支配株主持分240,000238,000

配点:2点×10か所=20点


連結財務諸表の作成問題は次の手順で解いていきます。

(1)開始仕訳及び連結修正仕訳を下書用紙に書き出す。

(2)P社とS社の個別財務諸表の金額を合算する。

(3)連結修正仕訳の金額を加減したものを連結財務諸表に記入する。

×1年度

①投資と資本の相殺消去

支配獲得時(×1年度期首)におけるP社の投資とS社の資本を相殺します。

借方金額貸方金額
資本金450,000S社株式400,000
資本剰余金50,000非支配株主持分232,000
利益剰余金(a)80,000
のれん52,000

・非支配株主持分:S社純資産(450,000+50,000+80,000)×40%=232,000

・のれん:S社株式400,000ーS社純資産580,000×60%=52,000

②S社利益の振り替え

借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益(b)8,000非支配株主持分8,000

・20,000千円×40%=8,000千円

③のれんの償却

借方金額貸方金額
のれん償却額(c)5,200のれん5,200

・52,000千円÷10年=5,200千円

④売上高と売上原価の相殺

借方金額貸方金額
売上高(d)75,000売上原価(e)75,000

⑤債権債務の相殺

借方金額貸方金額
買掛金25,000売掛金25,000

債権債務の相殺消去にともない、貸倒引当金を修正します。

借方金額貸方金額
貸倒引当金250貸倒引当金繰入(f)250

・25,000千円×1%=250千円

⑥未実現利益の消去(ダウンストリーム)

借方金額貸方金額
売上原価(g)2,400商品2,400

・8,000千円×30%=2,400千円

【参考】利益剰余金

個別B/S(370,000+100,000)ー(a)80,000ー(b)8,000ー(c)5,200ー(d)75,000+(e)75,000+(f)250ー(g)2,400=374,650

×2年度

タイムテーブル

①開始仕訳

借方金額貸方金額
資本金(期首)450,000S社株式400,000
資本剰余金(期首)50,000非支配株主持分(期首)240,000
利益剰余金(期首)(a)93,200
のれん46,800

・利益剰余金当期首残高:タイムテーブルの青の金額合計

・のれん:タイムテーブルの赤の金額

・非支配株主持分当期首残高:タイムテーブルの緑の金額

②S社利益の振り替え

借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益(b)12,000非支配株主持分12,000

・30,000千円×40%=12,000千円

③子会社の配当金の修正

借方金額貸方金額
受取配当金(c)9,000利益剰余金(d)15,000
非支配株主持分6,000

・受取配当金:15,000千円×60%=9,000千円

・非支配株主持分:15,000千円×40%=6,000千円

・のれんの償却

借方金額貸方金額
のれん償却額(e)5,200のれん5,200

・52,000千円÷10年=5,200千円

④売上高と売上原価の相殺

借方金額貸方金額
売上高(f)100,000売上原価(g)100,000

⑤手形の割引の修正

連結上は「借入金」(手形借入金)となるため、「支払手形」を「借入金」へ振り替えます。

借方金額貸方金額
支払手形12,000借入金12,000

⑥債権債務の相殺

借方金額貸方金額
支払手形5,000受取手形5,000
買掛金35,000売掛金35,000

債権債務の相殺消去にともない、貸倒引当金を修正します。

・前期の仕訳の引継ぎ(開始仕訳)

貸倒引当金繰入は「利益剰余金(当期首残高)」になります。

借方金額貸方金額
貸倒引当金250利益剰余金(期首)(h)250

・当期分の仕訳

借方金額貸方金額
貸倒引当金150貸倒引当金繰入(i)150

・(5,000千円+35,000千円)×1%=400千円

・400千円ー開始仕訳分250千円

⑦商品に係る未実現利益の消去(ダウンストリーム)

まず、期首商品に係る開始仕訳を行います。

借方金額貸方金額
利益剰余金(期首)2,400商品2,400
1.前期の仕訳の引継ぎ
借方金額貸方金額
商品2,400売上原価2,400
2.商品の販売により未実現利益が実現した

上記の2つの仕訳を合算したものが、期首商品に係る開始仕訳となります。

借方金額貸方金額
利益剰余金(期首)(j)2,400売上原価(k)2,400

続いて、期末商品に係る未実現利益の消去を行います。

借方金額貸方金額
売上原価(l)4,200商品4,200

・14,000千円×30%=4,200

⑧土地に係る未実現利益の消去(アップストリーム)

内部取引によって生じた固定資産売却益を取り消すとともに、P社の個別B/Sでは土地が20,000千円が過大となっているため、これを修正します。

借方金額貸方金額
固定資産売却益(m)20,000土地20,000

また、この取引はアップストリームにあたるため、子会社の利益(固定資産売却益)の減少分を非支配株主持分へ振り替えます。

借方金額貸方金額
非支配株主持分8,000非支配株主に帰属する当期純利益(n)8,000

・20,000千円×40%=8,000千円

MEMO

子会社の利益が増えた分だけ「非支配株主持分」を増やすのと同様に、子会社の利益が減れば「非支配株主持分」を減らします。

【参考】利益剰余金

個別B/S(480,000+115,000)ー(a)93,200ー(b)12,000ー(c)9,000+(d)15,000ー(e)5,200ー(f)100,000+(g)100,000+(h)250+(i)150ー(j)2,400+(k)2,400ー(l)4,200ー(m)20,000+(n)8,000=474,800

第3問

次の決算整理前残高試算表と資料にもとづいて、決算整理後残高試算表(単位:円)を完成しなさい。なお、会計期間はx4年4月1日からx5年3月31日までの1年間である。また、当社では商品売買の記帳方法として売上原価対立法を採用している。

決算整理前残高試算表

借方勘定科目貸方
880,000現金預金
850,000売掛金
貸倒引当金15,000
100,000売買目的有価証券
480,000商品
42,000仮払法人税等
1,400仮払金
300,000備品
備品減価償却累計額60,000
765,000特許権
182,000満期保有目的債券
10,800繰延税金資産
買掛金645,300
借入金780,000
資本金1,000,000
利益準備金250,000
繰越利益剰余金470,000
商品売上高3,247,300
有価証券利息2,400
2,100,000商品売上原価
754,000販売費・一般管理費
4,800支払利息
6,470,0006,470,000

[資料] 決算整理事項等

  1. 当社では、商品Xの売上については検収基準によって認識している。決算直前に、¥100,000(原価¥70,000)の商品を掛けで販売したが、相手先ではこれが未検収であることが判明したため、商品売上高を取り消すとともに、商品原価を資産へ振り替える。
  2. x5年3月より、保守サービス付きで商品Yの販売を始めた。顧客と以下の内容で商品Y(仕入原価¥108,000)の販売契約を締結したが未処理である。また、期末において保守サービスのうち当期分を月割計算によって役務収益に計上する。なお、保守サービスのための費用¥1,400は期中に仮払金として処理しているため、全額を費用に振り替える。x5年3月1日に商品Yを顧客へ引き渡し、相手先では検収が完了し使用可能となった。
    【契約内容】
    ①商品Yと1年間の保守サービスの対価の額:¥200,000
    ②独立販売価格:商品Yが¥176,000、保守サービスが¥24,000
    ③代金は翌月末に支払う。
    ④商品Yを引き渡したときに、顧客に支払義務が生じる。
  3. 売上債権について、次の通り貸倒引当金を差額補充法により設定する。
    ①売掛金には、A社に対する貸倒懸念債権(当期発生)が¥50,000含まれている。そこで、債権額から担保の処分見込額¥30,000を差し引いた残額の40%を貸倒引当金として設定する。
    ②その他の売上債権はすべて一般債権であり、期末残高の3%の貸倒引当金を設定する。
  4. 有価証券について、決算整理を行う。
    ・売買目的有価証券:期末時価¥87,000
    ・満期保有目的債券:期末時価¥180,000
    満期保有目的債券(額面金額¥200,000、取得日×4年4月1日、償還日×9年3月31日、年利率1.2%、利払日3月末)の額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められるため、償却原価法(定額法)によって評価する。
  5. 備品は、200%定率法(耐用年数5年、残存価額ゼロ)によって減価償却を行う。
  6. 特許権(取得日×3年10月1日)は償却期間8年、定額法によって償却する。
  7. 当期の税効果会計上の一時差異は、次のとおりである。なお、法定実効税率は30%とし、法人税、住民税及び事業税の課税見込額は¥107,000である。また、仮払法人税等の残高は、中間申告をした際に計上したものである。
期首期末
貸倒引当金損金算入限度超過額6,00010,000
減価償却費限度超過額30,00072,000
合計36,00082,000

あなたの解答

決算整理後残高試算表

借方 勘定科目 貸方
880,000 現金預金
売掛金
貸倒引当金
売買目的有価証券
商品
300,000 備品
備品減価償却累計額
特許権
満期保有目的債券
繰延税金資産
買掛金 645,300
借入金 780,000
契約負債
未払法人税等
資本金 1,000,000
利益準備金 250,000
繰越利益剰余金 470,000
商品売上高
役務収益
有価証券利息
商品売上原価
役務原価
減価償却費
貸倒引当金繰入
特許権償却
754,000 販売費・一般管理費
4,800 支払利息
有価証券評価損益
107,000 法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
6,768,400 6,768,400

配点箇所:青が正解、赤が不正解

解答・解説

決算整理後残高試算表

借方勘定科目貸方
880,000現金預金
950,000売掛金
貸倒引当金35,000
87,000売買目的有価証券
442,000商品
300,000備品
備品減価償却累計額156,000
663,000特許権
185,600満期保有目的債券
24,600繰延税金資産
買掛金645,300
借入金780,000
契約負債22,000
未払法人税等65,000
資本金1,000,000
利益準備金250,000
繰越利益剰余金470,000
商品売上高3,323,300
役務収益2,000
有価証券利息6,000
2,138,000商品売上原価
1,400役務原価
96,000減価償却費
20,000貸倒引当金繰入
102,000特許権償却
754,000販売費・一般管理費
4,800支払利息
13,000有価証券評価損益
107,000法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額13,800
6,768,4006,768,400

配点:1点×20か所=合計20点

※借方と貸方の両方に金額を記入していると不正解になります。


決算整理事項等1

商品Xの売上については検収基準によって認識しているため、未検収分については販売したときの仕訳の逆仕訳を行って売上を取り消します。

借方金額貸方金額
売掛金100,000商品売上高100,000
商品売上原価70,000商品70,000
販売したときの仕訳
借方金額貸方金額
商品売上高100,000売掛金100,000
商品70,000商品売上原価70,000
修正仕訳
MEMO

決算整理前残高試算表の科目「商品売上高」と「商品売上原価」を使って仕訳をしています。なお、売上原価対立法では三分法のように、売上原価を算定するための仕訳(いわゆる「しいくりくりしいの仕訳」)は必要ありません。

決算整理事項等2

未処理事項

1つの契約の中に2つ以上の履行義務が含まれている場合、次のような流れで処理を考えます。

①独立販売価格にもとづいて、取引価格を契約に含まれる履行義務ごとに配分する。

・商品Yの販売:¥176,000

・保守サービス:¥24,000

②履行義務を充足した時または充足するにつれて収益を認識する。

・商品Yの販売:顧客へ引き渡し、相手先で検収が完了した時点で収益を計上

・保守サービス:いったん「契約負債」に計上しておき、期末に月割計算によって収益を計上

借方金額貸方金額
売掛金200,000商品売上高176,000
契約負債24,000
商品売上原価108,000商品108,000
注意

売上原価対立法なので、商品の原価を「商品売上原価」へ振り替えるのを忘れないようにしましょう。

決算整理

契約負債を月割計算で「役務収益」へ振り替えるとともに、保守サービスに係る費用(「仮払金」で処理)を「役務原価」へ振り替えます。

借方金額貸方金額
契約負債2,000役務収益2,000
役務原価1,400仮払金1,400

・¥24,000×1か月/12か月=¥2,000

MEMO

「役務収益」は「売上」で処理することもありますが、本問では問題の指示に従って「役務収益」としています。したがって、それに対応する保守サービスに係る費用は「役務原価」で処理します。

決算整理事項等3

①貸倒懸念債権

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入8,000貸倒引当金8,000

・(¥50,000ー¥30,000)×40%=¥8,000

②一般債権

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入12,000貸倒引当金12,000

・設定額:(前T/B¥850,000ー¥100,000+¥200,000ー貸倒懸念債権¥50,000)×3%=¥27,000

・繰入額:設定額¥27,000ー残高¥15,000=¥12,000

注意

決算整理事項等1および2で、売掛金の金額が変化していることに注意してください。

決算整理事項等4

売買目的有価証券

売買目的有価証券は時価で評価し、評価差額は当期の損益とします。

借方金額貸方金額
有価証券評価損益13,000売買目的有価証券13,000

・時価¥87,000ー帳簿価額¥100,000=△¥13,000(評価損)

満期保有目的債券

借方金額貸方金額
満期保有目的債券3,600有価証券利息3,600

・(額面¥200,000ー取得原価¥182,000)×当期12か月/60か月(取得日~償還日の5年)=¥3,600

決算整理事項等5

借方金額貸方金額
減価償却費96,000備品減価償却累計額96,000

・期首未償却残高(取得原価¥300,000ー累計額¥60,000)×償却率0.4=¥96,000

MEMO

200%定率法の償却率は、「1÷耐用年数5年×200%」で計算します。

決算整理事項等6

特許権(無形固定資産)の記帳方法は直接法となるため、決算整理前残高試算表の金額は前期において6か月分(取得日×3年10月1日~前期末x4年3月31日)の償却後の金額となります。したがって、残り90か月(=96か月ー6か月)で決算整理前残高試算表の金額を償却します。

借方金額貸方金額
特許権償却102,000特許権102,000

・前T/B¥765,000×当期12か月/残り90か月=¥102,000

決算整理事項等7

法人税等の計上

借方金額貸方金額
法人税、住民税及び事業税107,000仮払法人税等42,000
未払法人税等65,000

税効果会計

貸倒引当金損金算入限度超過額と減価償却費限度超過額はいずれも将来減算一時差異なので、まとめて計算すると時短になります。なお、仕訳の書き方としては2通りの方法が考えられます。

差額補充法的なやり方

期首と期末の繰延税金資産の差額を計上します。

借方金額貸方金額
繰延税金資産13,800法人税等調整額13,800

・期末の繰延税金資産¥24,600ー期首の繰延税金資産¥10,800=¥13,800

・期首の繰延税金資産:期首の一時差異合計¥36,000×法定実効税率30%=¥10,800

・期末の繰延税金資産:期末の一時差異合計¥82,000×法定実効税率30%=¥24,600

洗替法的なやり方

まず、期首の繰延税金資産を取り崩して、期末の税金資産を新たに計上します。

借方金額貸方金額
法人税等調整額10,800繰延税金資産10,800
繰延税金資産24,600法人税等調整額24,600

第4問(1)

当社では部門別個別原価計算を行っており、2つの製造部門(切削部門と組立部門)と1つの補助部門(工場事務部門)により原価部門が構成されている。次の[資料]にもとづいて、下記の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。

[資料]

1.部門個別費の実際発生額

切削部門組立部門工場事務部門
¥538,000¥652,000¥252,000

2.配賦基準に関するデータ

切削部門組立部門工場事務部門
従業員数(人)8010020
建物占有面積(坪)500520180

3.部門共通費の実際発生額:¥960,000
・部門共通費は建物占有面積を基準に各部門へ配賦する。

4.切削部門費は機械作業時間、組立部門費は直接作業時間を基準に各製造指図書へ配賦する。当月の実際時間は次の通りであった。

#100#200
機械作業時間380時間120時間
直接作業時間240時間460時間

あなたの解答

配点:4点×3問=12点

問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解

1 製造間接費勘定から工場事務部門費勘定へ振り替える仕訳を示しなさい。なお、当社では統制勘定としての製造間接費勘定において実際発生額を集計している。
借方科目金額貸方科目金額
2 工場事務部門費勘定から切削部門費勘定へ振り替えるための仕訳を示しなさい。
借方科目金額貸方科目金額
3 組立部門費勘定から仕掛品勘定(#200)へ振り替えるための仕訳を示しなさい。なお、当社では製造指図書ごとに仕掛品勘定を設けている。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

補助部門費配賦表は次のようになります。

費目切削部門組立部門工場事務部門
部門個別費538,000652,000252,000
部門共通費400,000416,000144,000
 部門費938,0001,068,000396,000
補助部門費
 工場事務部門176,000220,000
製造部門費1,114,0001,288,000

部門共通費の配賦額

・配賦率:¥960,000÷建物占有面積合計1,200坪=@¥800/坪

・切削部門:@¥800×500坪=¥400,000

・組立部門:@¥800×520坪=¥416,000

・工場事務部門:@¥800×180坪=¥144,000

工場事務部門費の配賦額:

・配賦率:工場事務部門費¥396,000÷(80人+100人)=@¥2,200/人

・切削部門:@¥2,200×80人=¥176,000

・組立部門:@¥2,200×100人=¥220,000

MEMO

本問は補助部門が1つなので、補助部門費の配賦方法は問題となりません。なお、予想模試では扱いませんが、直接配賦法や相互配賦法も重要論点です。忘れた人はこの機会に復習しておきましょう。


(問1)

まず、部門個別費と部門共通費の合計額を「製造間接費」から各部門へ振り替えます。

借方金額貸方金額
工場事務部門費396,000製造間接費396,000

(問2)

次に、補助部門費の配賦額を製造部門へ振り替えます。

借方金額貸方金額
切削部門費176,000工場事務部門費176,000

(問3)

最後に、製造部門費を各製造指図書(仕掛品)へ振り替えます。

借方金額貸方金額
仕掛品(#200)846,400組立部門費846,400

原価計算表(一部)

#100#200合計
切削部門費846,640267,3601,114,000
組立部門費441,600846,4001,288,000
製造間接費合計1,288,2401,113,7602,402,000

切削部門費の配賦額

・配賦率:¥1,114,000÷機械作業時間合計500時間=@¥2,228/時間

・#100:@¥2,228×380時間=¥846,640

・#200:@¥2,228×120時間=¥267,360

組立部門費の配賦額

・配賦率:¥1,288,000÷直接作業時間合計700時間=@¥1,840/時間

・#100:@¥1,840×240時間=¥441,600

・#200:@¥1,840×460時間=¥846,400

第4問(2)

(問1)当社では2つの異なった製品Aと製品Bを連続大量生産しており、組別総合原価計算を採用している。次の資料にもとづいて、製品Aと製品Bの完成品原価を計算しなさい。なお、月末仕掛品原価は先入先出法によって計算している。

[資料]

1.生産データ

製品A製品B
月初仕掛品600個(0.8)540個(0.5)
当月投入5,000個5,120個
合 計5,600個5,660個
月末仕掛品550個(0.6)650個(0.4)
完成品5,050個5,010個

・( )内の数値は加工進捗度を表す。

2.原価データ
(1)月初仕掛品原価

製品A製品B
直接材料費¥250,000¥235,000
加工費¥234,000¥210,000

(2)当月製造費用

①材料aを製品Aの、材料bを製品Bの主要材料として使用しており、いずれも工程の始点で投入している。当月における実際消費量は材料aが500kg、材料bが1,152kgであった。なお、各材料の予定価格は材料aが4,500円/ kg、材料bが2,000円/ kgである。

②直接工の予定賃率は1,800円/ 時間であり、実際直接作業時間は製品Aが400時間、製品Bが600時間であった。

③当月の組間接費実際発生額は¥4,325,000であった。組間接費は直接作業時間を基準として各製品へ配賦する。

あなたの解答

製品Aの完成品原価
製品Bの完成品原価

配点箇所:青が正解、赤が不正解

(問2)当工場では、等級製品である製品X、製品Y及び製品Zを連続大量生産しており、等級別総合原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、月末仕掛品原価及び製品Xの完成品原価を計算しなさい。なお、月末仕掛品原価は先入先出法によって計算している。

[資料]

1.生産データ

月初仕掛品450個(0.6)
当月投入4,460個
合 計4,910個
月末仕掛品650個(0.4)
完成品4,260個

・( )内の数値は加工進捗度を表す。
・完成品の内訳は、製品Xが2,000個、製品Yが1,460個、製品Zが800個である。

2.原価データ

月初仕掛品原価当月製造費用
直接材料費¥301,000¥3,122,000
加工費¥150,000¥2,550,000

3.各等級製品の原価は、次の等価係数を用いて計算する。

製品X製品Y製品Z
等価係数1.610.8

あなたの解答

月末仕掛品原価
製品Xの完成品原価

配点箇所:青が正解、赤が不正解

解答・解説

(問1)

製品Aの完成品原価4,771,500円
製品Bの完成品原価5,940,400円

(問2)

月末仕掛品原価611,000円
製品Xの完成品原価3,328,000円

配点:4点×4か所=16点


(問1)の解説

組別総合原価計算では、組直接費(本問では直接材料費と直接労務費)は各製品に賦課し、組間接費は各製品へ配賦基準にもとづいて配賦します。

製品A

・直接材料費(当月投入):@¥4,500×500kg=¥2,250,000

・直接材料費(月末仕掛品):¥2,250,000÷5,000個×550個=¥247,500

・加工費(当月投入):直接労務費¥720,000+組間接費¥1,730,000=¥2,450,000

・直接労務費:@¥1,800円×400時間=¥720,000

・組間接費:¥4,325,000÷(400時間+600時間)×400時間=¥1,730,000

・加工費(月末仕掛品):¥2,450,000÷4,900個×330個=¥165,000

・完成品原価:直接材料費¥2,252,500+加工費¥2,519,000=¥4,771,500

MEMO

加工費の当月投入量(換算量)は貸借差額で求めます。

製品B

・直接材料費(当月投入):@¥2,000×1,152kg=¥2,304,000

・直接材料費(月末仕掛品):¥2,304,000÷5,120個×650個=¥292,500

・加工費(当月投入):直接労務費¥1,080,000+組間接費¥2,595,000=¥3,675,000

・直接労務費:@¥1,800円×600時間=¥1,080,000

・組間接費:¥4,325,000÷(400時間+600時間)×600時間=¥2,595,000

・加工費(月末仕掛品):¥3,675,000÷5,000個×260個=¥191,100

・完成品原価:直接材料費¥2,246,500+加工費¥3,633,900=¥5,940,400


(問2)の解説

全体の完成品原価の計算

まず、単純総合原価計算によって月末仕掛品原価と全体の完成品原価を計算します。

・直接材料費(月末仕掛品):¥3,122,000÷4,460個×650個=¥455,000

・加工費(月末仕掛品):¥2,550,000÷4,250個×260個=¥156,000

・月末仕掛品原価:直接材料費¥455,000+加工費¥156,000=¥611,000

・全体の完成品原価:直接材料費¥2,968,000+加工費¥2,544,000=¥5,512,000

全体の完成品原価を各等級製品に按分

次に積数の比率にもとづいて、全体の完成品原価を各等級製品に按分します。

・製品Xの積数:完成品2,000個×等価係数1.6=3,200個

・製品Yの積数:完成品1,460個×等価係数1=1,460個

・製品Zの積数:完成品800個×等価係数0.8=640個

・積数合計:3,200個+1,460個+640個=5,300個

・製品Xの完成品原価:¥5,512,000÷5,300個×3,200個=¥3,328,000

・製品Yの完成品原価:¥5,512,000÷5,300個×1,460個=¥1,518,400

・製品Zの完成品原価:¥5,512,000÷5,300個×640個=¥665,600

注意

按分に用いる数値は、数量や等価係数をそのまま用いるのではなく、積数(完成品×等価係数)を使うということに注意しましょう。

第5問

当社では、製品Aを生産・販売している。次の[資料]にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。

[資料]当年度の実績データ

1.販売データ

期首製品0個
当期完成1,300個
合 計1,300個
期末製品100個
当期販売1,200個

・製品の性質上、仕掛品は存在しない。
・製品Aの販売価格は¥3,500/個である。

2.実際製造原価
・原料費(変動費):¥570/個
・変動加工費:¥700/個
・固定加工費:¥1,120,000
加工費は生産量にもとづいて予定配賦しており、年間の加工費予算は¥2,100,000(内訳:変動費¥980,000、固定費¥1,120,000)、年間の予定生産量は1,400個である。なお、原価差異は少額かつ正常であるため、すべて当期の売上原価に賦課している。

3.販売費及び一般管理費
・変動販売費:¥80/個
・固定販売費:¥400,000
・一般管理費(すべて固定費):¥100,000

(問1)全部原価計算と直接原価計算による損益計算書(単位:円)をそれぞれ作成しなさい。なお、空欄には「+」「ー」「△」などの符号は付けずに金額のみを記入すること。

あなたの解答

【全部原価計算による損益計算書】

売上高
売上原価
原価差異
売上総利益
販売費
一般管理費
営業利益

【直接原価計算による損益計算書】

売上高
変動売上原価
変動製造マージン
変動販売費
貢献利益
固定費
営業利益

配点箇所:青が正解、赤が不正解

(問2)当期の生産量が1,350個であった場合、全部原価計算と直接原価計算の営業利益はそれぞれいくらになるか答えなさい。ただし、販売量及びその他のデータは変化がないとする。

あなたの解答

全部原価計算の営業利益
直接原価計算の営業利益

配点箇所:青が正解、赤が不正解

解答・解説

(問1)

【全部原価計算による損益計算書】

売上高4,200,000
売上原価2,484,000
原価差異80,000
売上総利益1,636,000
販売費496,000
一般管理費100,000
営業利益1,040,000

【直接原価計算による損益計算書】

売上高4,200,000
変動売上原価1,524,000
変動製造マージン2,676,000
変動販売費96,000
貢献利益2,580,000
固定費1,620,000
営業利益960,000

・売上高:@¥3,500×1,200個=¥4,200,000

(問2)

全部原価計算の営業利益1,080,000円
直接原価計算の営業利益960,000円

配点:1点×12か所=合計12点


(問1)全部原価計算による損益計算書

売上原価

(原料費@¥570+変動加工費@¥700+固定加工費@¥800)×販売量1,200個=¥2,484,000

MEMO

全部原価計算では、固定加工費も製品原価として売上原価の計算に含めます。

原価差異(製造間接費配賦差異)

予定配賦率(変動加工費):変動加工費予算¥980,000÷1,400個=@¥700/個

予定配賦率(固定加工費):固定加工費予算¥1,120,000÷1,400個=@¥800/個

予定配賦額:(@¥700+@¥800)×実際生産量1,300個=¥1,950,000

予算許容額:@¥700×実際生産量1,300個+固定加工費予算¥1,120,000=¥2,030,000

実際発生額:実際変動加工費@¥700×1,300個+実際固定加工費¥1,120,000=¥2,030,000

原価差異:予定配賦額¥1,950,000ー実際発生額¥2,030,000=△¥80,000(不利)

MEMO

1個あたりの変動加工費が実際と予定とで同じなので、変動加工費から差異は生じません。また、固定加工費も実際発生額と予算額が同じであるため、予算差異は¥0(実際発生額=予算許容額)ということになります。

注意

不利差異は売上原価の加算項目(つまり利益のマイナス)となります。

販売費

変動販売費(@¥80×1,200個)+固定販売費¥400,000=¥496,000

(問1)直接原価計算による損益計算書

変動売上原価

(原料費@¥570+変動加工費@¥700)×販売量1,200個=¥1,524,000

MEMO

直接原価計算では、変動製造原価のみで変動売上原価を計算します。

変動販売費

@¥80×1,200個=¥96,000

固定費

固定加工費¥1,120,000+固定販売費¥400,000+一般管理費¥100,000=¥1,620,000

MEMO

直接原価計算では、固定加工費は期間原価として実際発生額をそのまま損益計算書に計上します。したがって、固定加工費から差異は生じません。

【参考】固定費調整

固定費調整で営業利益の金額を確認することができます。

全部原価計算の営業利益¥1,040,000=直接原価計算の営業利益¥960,000+(期末製品の固定加工費¥80,000ー期首製品の固定加工費¥0)

・期末製品の固定加工費:@¥800×100個=¥80,000

MEMO

直接原価計算では固定加工費がすべて損益計算書に計上されるのに対して、全部原価計算では販売分だけが売上原価となります。したがって、その分だけ営業利益が大きくなります。

(問2)

生産量が1,350個のとき、操業度差異が¥40,000の不利差異となるため、全部原価計算の損益計算書は次のようになります。

【全部原価計算による損益計算書】

売上高4,200,000
売上原価2,484,000
原価差異40,000
売上総利益1,676,000
販売費496,000
一般管理費100,000
営業利益1,080,000

【直接原価計算による損益計算書】

売上高4,200,000
変動売上原価1,524,000
変動製造マージン2,676,000
変動販売費96,000
貢献利益2,580,000
固定費1,620,000
営業利益960,000
MEMO

直接原価計算の損益計算書は(問1)と同じです。

予定配賦額:(@¥700+@¥800)×実際生産量1,350個=¥2,025,000

予算許容額:@¥700×実際生産量1,350個+固定加工費予算¥1,120,000=¥2,06,5000

実際発生額:実際変動加工費@¥700×1,350個+実際固定加工費¥1,120,000=¥2,065,000

原価差異:予定配賦額¥2,025,000ー実際発生額¥2,065,000=△¥40,000(不利)

要するに、(問1)との違いは全部原価計算の操業度差異の部分のみなので、この差額として求めることもできます。

(問1)の操業度差異:△¥80,000(不利)

(問2)の操業度差異:△¥40,000(不利)

操業度差異(不利差異)が¥40,000減少するので、利益は(問1)に比べて¥40,000増加します。

【参考】生産量を増やすと利益が増える?

(問1)と(問2)の結果を見比べると、販売量は変わっていないにもかかわらず全部原価計算による営業利益が増加しています。これは、全部原価計算では固定製造原価も製品原価として計算するのが理由です。固定製造原価は生産量に比例して増えるものではないため、生産量を増やせば操業度差異が有利になるわけです。結果として、販売量にもとづいた売上高と操業度差異が影響してくる売上原価が比例しなくなり、例えば売上高が2倍になったとしても売上総利益が2倍になるとは限りません。

一方、直接原価計算では固定製造原価の実際発生額をそのまま損益計算書に計上するため、生産量が変化しても販売量が一定であれば利益額は変化しません。営業利益は、販売量にもとづいた貢献利益の増減のみに影響を受けます。

そのため、直接原価計算による損益計算書の方が原価(Cost)、操業度(Volume)、利益(Profit)の関係が分かりやすく、意思決定やCVP分析のための情報に適しているといわれます。

受験科目【第3回】2級模擬試験
かかった時間
得点

管理人の下書用紙(クリックで拡大)

商業簿記

bouquet

工業簿記

bouquet

※説明も兼ねて本来より少し多めに書いています。

集計漏れや二重計上がないように、解答の記入が終わったら科目や金額の横にチェック(✓)を付けておきましょう。

試験を終了する