【第4回】日商簿記2級 試験問題
第1問
下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。
1 |
×1年4月1日、備品をリース取引によって調達した。この取引はファイナンス・リース取引と判定されたため、会計処理は利子抜き法で行い、利息の期間配分は定額法による。1回目のリース料を現金で支払った時(×2年3月31日)の仕訳を答えなさい。なお、リース契約の内容は以下のとおりである。
・リース期間:5年 ・年額リース料:¥100,000(リース料支払日:毎年3月末) ・見積現金購入価額:¥440,000
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2 |
当社は、所有する電子記録債権¥150,000を割り引くために、取引銀行を通じて電子債権記録機関に当該債権の譲渡記録の請求を行い、取引銀行から割引料¥2,000が差し引かれた残額が普通預金口座に振り込まれた。
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3 |
当社が保有している大阪商店振出しの約束手形¥500,000が不渡りとなり、大阪商店に対して償還請求を行った。なお、このための償還請求費用¥10,000を現金で支払った。
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4 |
2月1日、アメリカの得意先に5,000ドルの商品を輸出し、代金は3か月後に受け取る契約であるが、3月1日に、この売掛金5,000ドルについて為替予約を付した。3月1日(為替予約時)の仕訳を答えなさい。なお、振当処理を適用するが、輸出時の為替相場による円換算額と為替予約による円換算額との差額はすべて当期の損益として処理する。各取引日における為替相場は次のとおりである。
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5 |
当社は日商簿記検定試験の受験学校を経営している。決算日現在、簿記1級講座は全体の6割が終了しているため、カリキュラムが完了した部分について収益及び費用を計上する。なお、簿記1級講座の開講に先立って受講料¥100,000を現金で受け取っている。また、簿記1級講座の教材作成費用¥15,000はすべて、簿記1級講座のために直接費やされるものであるため仕掛品勘定で処理している。
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第2問
(問1)以下の[資料]にもとづいて、建物勘定へ記入しなさい。なお、当期の会計期間は×10年4月1日から×11年3月31日までの1年間である。
【解答にあたっての留意事項】
・日付は採点の対象としないため、記入しなくてもよい。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入は不要である。
・減価償却費はすべて月割りで計算すること。
4月1日 | 期首の時点で保有している有形固定資産は、本社社屋(取得価額¥20,000,000、残存価額ゼロ、耐用年数40年、取得日×2年4月1日)および倉庫(取得価額¥2,400,000、残存価額ゼロ、耐用年数20年、取得日×4年4月1日)のみである。なお、減価償却は定額法・直接法によって行っている。 |
4月30日 | 火災によって倉庫が焼失した。なお、この倉庫には火災保険が付されており、火災発生日の簿価を未決算勘定に振り替えた。 |
6月1日 | 保険会社から¥1,870,000支払う旨の連絡を受けた。 |
6月30日 | 保険会社から保険金¥1,870,000が当座預金口座に入金された。 |
10月1日 | 火災保険金をもとに、新たに倉庫¥2,600,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払った。この倉庫は同日より使用を開始している。なお、保険差益が生じている場合には、当該金額を限度として圧縮記帳(直接控除方式)を行う。ただし、圧縮記帳を行った事実を帳簿上で把握できるように仕訳をすること。 |
12月1日 | 本社社屋の定期的修繕のための工事を行い、代金¥1,200,000を当座預金口座から支払った。なお、工事代金のうち30%は改良のための支出と判断された。また、この修繕工事に備えて、前期までに¥600,000の引当金を設定している。 |
3月31日 | 決算につき、本社社屋および倉庫について減価償却を行う。なお、当期に新たに取得した固定資産についても、本社社屋は耐用年数40年、倉庫は耐用年数20年、いずれも残存価額ゼロ、定額法・直接法によって減価償却を行う。 |
建物
日付 | 摘要 | 借方 | 日付 | 摘要 | 借方 |
(問2)以下の[資料]にもとづいて、売買目的有価証券勘定、満期保有目的債券勘定および有価証券利息勘定へ記入するとともに、当期の有価証券売却損益を答えなさい。なお、当期の会計期間は×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間である。
【解答にあたっての留意事項】
・利息の計算は端数利息も含め、すべて月割りで行うこと。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入および再振替仕訳もあわせて行うこと。
・売買目的有価証券は分記法で記帳すること。
4月1日 | 期首の時点で有価証券は一切保有していない。 |
6月1日 | 売買目的で額面総額¥1,000,000の国債(利率:年0.36%、利払日:3月末と9月末の年2回)を額面@100円につき@98.0円で購入し、端数利息を含めた代金は小切手を振り出して支払った。 |
9月30日 | 保有する国債の利払日となり、利息が当座預金口座に振り込まれた。 |
11月1日 | 満期保有目的で額面総額¥600,000のA社社債(利率:年0.6%、利払日:10月末の年1回、償還日:×10年10月31日)を額面@100円につき@98.5円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められる。 |
2月1日 | 保有する国債のうち、額面総額¥200,000を額面@100円につき@97.0円で売却し、代金は端数利息とともに当座預金口座に振り込まれた。 |
3月31日 | 保有する国債の利払日となり、利息が当座預金口座に振り込まれた。 |
〃 | 決算につき、売買目的有価証券の評価替えを行う。決算日における売買目的有価証券の時価は額面@100円につき@96.5円である。また、A社債について未収分の利息を計上するとともに、償却原価法(定額法)を適用する。 |
4月1日 | 開始記入を行うとともに、経過勘定項目について再振替仕訳をおこなう。 |
売買目的有価証券
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.6/1 | |||||
×6.2/1 | |||||
3/31 | |||||
〃 | |||||
×6.4/1 |
満期保有目的債券
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.11/1 | |||||
×6.3/31 | |||||
〃 | |||||
×6.4/1 |
有価証券利息
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.6/1 | 当座預金 | ||||
9/30 | 当座預金 | ||||
×6.2/1 | 当座預金 | ||||
3/31 | 当座預金 | ||||
〃 | 未収有価証券利息 | ||||
〃 | 満期保有目的債券 | ||||
〃 | |||||
×6.4/1 |
円の | 有価証券売却( ) |
※プルダウンから「損」か「益」のいずれかを選択すること。
第3問
次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。なお、会計期間はx4年4月1日からx5年3月31日までの1年間である。また、当社では支店独立会計制度を採用している。
[資料Ⅰ] x5年2月末日における残高試算表の金額支店勘定:¥840,000(借方)、本店勘定:¥840,000(貸方)
[資料Ⅱ]3月中に行われた本支店間取引(すべて適正に処理済み)①本店は支店へ現金¥100,000を送付し、支店はこれを受け取った。
②本店は支店の得意先より売掛金¥250,000を現金で回収し、支店はこの報告を受けた。
③本店は支店の仕入先へ買掛金¥130,000を現金で支払い、支店はこの報告を受けた。
④支店は本店の営業費¥150,000を現金で支払い、本店はこの報告を受けた。 [資料Ⅲ] 決算整理前残高試算表(単位:円)
決算整理前残高試算表
x5年3月31日
借方 | 本店 | 支店 | 貸方 | 本店 | 支店 |
現金預金 | 534,000 | ( ? ) | 買掛金 | ( ? ) | 400,000 |
売掛金 | 1,472,000 | 610,000 | 借入金 | 1,000,000 | ー |
繰越商品 | 1,816,000 | 840,000 | 貸倒引当金 | 32,000 | 14,000 |
備品 | 300,000 | 240,000 | 備品減価償却累計額 | 150,000 | 72,000 |
支店 | ( ? ) | ー | 本店 | ー | ( ? ) |
仕入 | 11,600,000 | 4,200,000 | 資本金 | 750,000 | ー |
営業費 | 3,560,000 | 1,250,000 | 利益剰余金 | 200,000 | ー |
支払利息 | 48,000 | ー | 売上 | 16,990,000 | 6,244,000 |
( ? ) | ( ? ) | ( ? ) | ( ? ) |
1.期末商品棚卸高は次のとおりである。なお、棚卸減耗損および商品評価損は生じていない。
本店:¥1,750,000、支店:¥870,000
2.本支店ともに、売掛金の期末残高に対して3%の貸倒引当金を差額補充法により計上する。
3.本支店ともに、備品について、定額法(耐用年数10年、残存価額ゼロ)により減価償却を行う。
4.営業費の前払い:本店¥260,000、支店¥80,000
5.支払利息の未払い:本店¥12,000
(問1)本店の損益勘定を作成しなさい。なお、総合損益勘定は設けずに、支店の純利益は決算日において本店の損益勘定へ振り替え、本店の損益勘定において会社全体の純利益を算定する。
損益
仕入 | 売上 | ||
営業費 | |||
貸倒引当金繰入 | |||
減価償却費 | |||
支払利息 | |||
(問2)次の各金額を答えなさい。
決算整理前残高試算表の支店勘定 | ¥ |
決算整理後残高試算表の支店勘定 | ¥ |
支店勘定の次期繰越額 | ¥ |
本支店合併損益計算書における売上総利益 | ¥ |
第4問(1)
当社の埼玉工場では、直接材料を工程の始点で投入し、単一の製品Aをロット生産している。標準原価計算制度を採用し、勘定記入の方法はシングル・プランによる。次の[資料]にもとづいて、下記の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。なお、月初に直接材料、仕掛品、製品の在庫は存在しなかった。また、借方と貸方に同じ勘定科目が生じる場合は相殺しないこと。
[資料]1.製品Aの原価標準(直接材料費のみ)
直接材料費:標準単価 ¥1,200 × 標準消費量 2kg = ¥2,400
2.当月の生産実績
完成品:360個(月末仕掛品は存在しない)
1 |
直接材料900kgを1kg当たり¥1,280で掛けにて購入した。なお、当工場では実際の購入単価をもって材料勘定への受入記録を行っている。
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2 |
製品A360個に対する標準直接材料費を仕掛品勘定に振り替えた。
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3 |
製品Aに対する実際直接材料消費量は690kgであったので、上記2の標準直接材料費との差額を価格差異勘定と数量差異勘定に振り替えた。
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第4問(2)
当社では、累加法による工程別総合原価計算によって製品原価の計算を行っている。以下の資料にもとづいて、仕掛品勘定に記入するとともに、完成品単位原価および月末仕掛品原価を答えなさい。
[資料]1.生産データ
第1工程
月初仕掛品 | 500個 | (0.6) |
当月投入 | 2,500個 | |
合 計 | 3,000個 | |
月末仕掛品 | 600個 | (0.3) |
完成品 | 2,400個 |
第2工程
月初仕掛品 | 650個 | (0.4) |
当月投入 | 2,400個 | |
合 計 | 3,050個 | |
月末仕掛品 | 450個 | (0.8) |
完成品 | 2,600個 |
・( )内の数値は加工進捗度を表す。
2.原価データ
月初仕掛品原価 | 当月製造費用 | |||
第1工程 | 第2工程 | 第1工程 | 第2工程 | |
直接材料費 | ¥250,000 | ー | ¥2,000,000 | ー |
加工費 | ¥256,000 | ¥232,700 | ¥2,324,000 | ¥2,484,000 |
前工程費 | ー | ¥1,040,000 | ー | ? |
3.その他
・月末仕掛品の計算は、第1工程が平均法、第2工程が先入先出法による。
・材料は第1工程の始点ですべて投入している。
・第1工程の完成品は第2工程の始点ですべて投入される。
仕掛品(第1工程)
前月繰越 | 第1工程完成品 | ||
直接材料費 | 次月繰越 | ||
加工費 | |||
仕掛品(第2工程)
前月繰越 | 第2工程完成品 | ||
前工程費 | 次月繰越 | ||
加工費 | |||
完成品単位原価 | 円 |
月末仕掛品原価 | 円 |
第5問
当社では、全部実際原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、以下の諸勘定を完成しなさい。なお、当社では月次決算を行っているが、原価差異はすべて当月の売上原価に賦課することとする。
[資料]当年度の実績データ
1.素材(主要材料)に関する資料
月初有高 | ¥1,360,000 | 当月購入代価 | ¥9,000,000 |
月末帳簿残高 | ¥1,420,000 | 月末実際有高 | ¥1,230,000 |
・月末の帳簿残高と実際有高の差額は正常なものである。
・材料購入時に引取費用を予定配賦している(資料2参照)。
2.素材の材料副費に関する資料
(1)引取費用(外部副費)の実際発生額
引取運賃 | ¥220,000 | 買入手数料 | ¥80,000 | 関税 | ¥180,000 |
・引取費用は材料の購入代価の5%を予定配賦する。
(2)内部副費の実際発生額
購入事務費 | ¥300,000 | 検収費 | ¥150,000 | 保管費 | ¥100,000 |
・内部副費はすべて、実際発生額を間接経費として処理する。
3.直接工に関する資料
(1)給与支給額
当月現金支給額 | ¥4,500,000 | 従業員預り金 | ¥700,000 |
前月未払高 | ¥600,000 | 当月未払高 | ¥800,000 |
・従業員預り金は、源泉所得税額と社会保険料である。
(2)実際勤務時間
加工時間 | 3,800時間 | 段取時間 | 200時間 | 間接作業時間 | 500時間 |
手待時間 | 120時間 | 休憩時間 | 300時間 |
・直接工の消費賃金は、予定平均賃率(@¥1,200/時間)で計算している。
4.製造間接費に関する資料
製造間接費は変動予算として設定しており、直接作業時間を基準として予定配賦している。製造間接費の予算額(月額)は¥11,000,000、基準操業度5,000時間(月間)である。
5.その他の資料
①補助材料:月初有高¥80,000、当月購入高¥500,000、月末有高¥100,000
②機械油の当月消費額:¥150,000
③耐用年数1年未満の製造用工具・器具・備品の取得原価:¥230,000
④外注加工賃:¥400,000
⑤工場の機械修理工の賃金(当月要支払額):¥800,000
⑥工場職員の給料(当月要支払額):¥1,200,000
⑦工場長の給料(当月要支払額):¥500,000
⑧本社職員の給料(当月要支払額):¥2,300,000
⑨従業員募集費:工員募集費¥150,000、本社職員募集費¥120,000
⑩従業員研修の講師料:工員向け¥300,000、本社職員向け¥400,000
⑪工員用住宅などの福利施設負担額:¥820,000
⑫工場の電力・ガス・水道の利用料金:当月支払額¥750,000、メーター測定値による当月消費額¥780,000
⑬工場の固定資産税:¥600,000
⑭減価償却費(月額):本社分¥500,000、工場分¥1,400,000
⑮広告宣伝費:¥700,000
製造間接費
間接材料費 | 仕掛品 | ||
間接労務費 | 製造間接費配賦差異 | ||
間接経費 | |||
仕掛品
月初仕掛品 | 350,000 | 製品 | |
直接材料費 | 月末仕掛品 | 500,000 | |
直接労務費 | |||
直接経費 | |||
製造間接費 | |||
製品
月初製品 | 600,000 | 売上原価 | |
仕掛品 | 月末製品 | 700,000 | |
売上原価
製品 | 月次損益 | ||
材料副費配賦差異 | 材料副費配賦差異 | ||
賃率差異 | 賃率差異 | ||
製造間接費配賦差異 | 製造間接費配賦差異 | ||
※記入が不要な箇所は空欄のままにしておくこと。