【第4回】日商簿記2級 試験問題
第1問
配点:4点×5問=20点
問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解
下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。
1 |
×1年4月1日、備品をリース取引によって調達した。この取引はファイナンス・リース取引と判定されたため、会計処理は利子抜き法で行い、利息の期間配分は定額法による。1回目のリース料を現金で支払った時(×2年3月31日)の仕訳を答えなさい。なお、リース契約の内容は以下のとおりである。
・リース期間:5年 ・年額リース料:¥100,000(リース料支払日:毎年3月末) ・見積現金購入価額:¥440,000
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
リース債務 | 88,000 | 現金 | 100,000 |
支払利息 | 12,000 |
・支払利息:利息相当額(リース料総額¥500,000ー見積現金購入価額¥440,000)÷5年=¥12,000
・リース債務:年額リース料¥100,000ー利息配分額(支払利息)¥12,000=¥88,000
リース開始日(×1年4月1日)には、次のような仕訳をしています。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
リース資産 | 440,000 | リース債務 | 440,000 |
利子抜き法による場合はリース開始時に、利息相当額を含まない金額、すなわち見積現金購入価額をもって「リース資産」および「リース債務」を計上します。
そしてリース料の支払時には、リース料に含まれる利息相当額を「支払利息」で処理をします。また、リース料の支払額から利息分を差し引いた金額をリース債務の返済に充てます。
2 |
当社は、所有する電子記録債権¥150,000を割り引くために、取引銀行を通じて電子債権記録機関に当該債権の譲渡記録の請求を行い、取引銀行から割引料¥2,000が差し引かれた残額が普通預金口座に振り込まれた。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 148,000 | 電子記録債権 | 150,000 |
電子記録債権売却損 | 2,000 |
債権を売却したときや割り引いたときは、債権金額と売却額(手取額)との差額を「電子記録債権売却損」で処理します。
3 |
当社が保有している大阪商店振出しの約束手形¥500,000が不渡りとなり、大阪商店に対して償還請求を行った。なお、このための償還請求費用¥10,000を現金で支払った。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
不渡手形 | 510,000 | 受取手形 | 500,000 |
現金 | 10,000 |
保有している手形が不渡りとなった場合は、「受取手形」から「不渡手形」へ振り替えます。このとき不渡手形の金額には、延長分の利息や償還に要した費用などの償還請求費用を含めます。
4 |
2月1日、アメリカの得意先に5,000ドルの商品を輸出し、代金は3か月後に受け取る契約であるが、3月1日に、この売掛金5,000ドルについて為替予約を付した。3月1日(為替予約時)の仕訳を答えなさい。なお、振当処理を適用するが、輸出時の為替相場による円換算額と為替予約による円換算額との差額はすべて当期の損益として処理する。各取引日における為替相場は次のとおりである。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
為替差損 | 15,000 | 売掛金 | 15,000 |
・売掛金の簿価:5,000ドル×@¥140=¥700,000
・為替予約時の売掛金の金額:5,000ドル×@¥137=¥685,000
・為替差損益:¥685,000ー¥700,000=△¥15,000(為替差損)
取引発生後に為替予約を付した場合は、取引時の直物レートで換算された金額と予約時の先物レートで換算した金額の差額を「為替差損益」とします。
5 |
当社は日商簿記検定試験の受験学校を経営している。決算日現在、簿記1級講座は全体の6割が終了しているため、カリキュラムが完了した部分について収益及び費用を計上する。なお、簿記1級講座の開講に先立って受講料¥100,000を現金で受け取っている。また、簿記1級講座の教材作成費用¥15,000はすべて、簿記1級講座のために直接費やされるものであるため仕掛品勘定で処理している。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
契約負債 | 60,000 | 役務収益 | 60,000 |
役務原価 | 9,000 | 仕掛品 | 9,000 |
・役務収益:¥100,000×6割=¥60,000
・役務原価:¥15,000×6割=¥9,000
手付金等を受け取ったときおよび費用を支払ったときには、次のような仕訳をしています。
手付金等を受け取ったとき
サービスを提供する前(履行義務を充足する前)に代金を受け取ったときは「契約負債」で処理をします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金預金 | 100,000 | 契約負債 | 100,000 |
費用を支払ったとき
支払った費用が、特定のサービスのために直接費やされるものであることが明らかな場合は、その金額を「仕掛品」で処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕掛品 | 15,000 | 現金預金 | 15,000 |
決算時
決算日においては、サービス提供の期間や進捗度に応じた収益(役務収益)を計上します。また、役務収益に対応した費用を仕掛品から「役務原価」へ振り替えます。
第2問
(問1)以下の[資料]にもとづいて、建物勘定へ記入しなさい。なお、当期の会計期間は×10年4月1日から×11年3月31日までの1年間である。
【解答にあたっての留意事項】
・日付は採点の対象としないため、記入しなくてもよい。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入は不要である。
・減価償却費はすべて月割りで計算すること。
4月1日 | 期首の時点で保有している有形固定資産は、本社社屋(取得価額¥20,000,000、残存価額ゼロ、耐用年数40年、取得日×2年4月1日)および倉庫(取得価額¥2,400,000、残存価額ゼロ、耐用年数20年、取得日×4年4月1日)のみである。なお、減価償却は定額法・直接法によって行っている。 |
4月30日 | 火災によって倉庫が焼失した。なお、この倉庫には火災保険が付されており、火災発生日の簿価を未決算勘定に振り替えた。 |
6月1日 | 保険会社から¥1,870,000支払う旨の連絡を受けた。 |
6月30日 | 保険会社から保険金¥1,870,000が当座預金口座に入金された。 |
10月1日 | 火災保険金をもとに、新たに倉庫¥2,600,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払った。この倉庫は同日より使用を開始している。なお、保険差益が生じている場合には、当該金額を限度として圧縮記帳(直接控除方式)を行う。ただし、圧縮記帳を行った事実を帳簿上で把握できるように仕訳をすること。 |
12月1日 | 本社社屋の定期的修繕のための工事を行い、代金¥1,200,000を当座預金口座から支払った。なお、工事代金のうち30%は改良のための支出と判断された。また、この修繕工事に備えて、前期までに¥600,000の引当金を設定している。 |
3月31日 | 決算につき、本社社屋および倉庫について減価償却を行う。なお、当期に新たに取得した固定資産についても、本社社屋は耐用年数40年、倉庫は耐用年数20年、いずれも残存価額ゼロ、定額法・直接法によって減価償却を行う。 |
建物
日付 | 摘要 | 借方 | 日付 | 摘要 | 借方 |
(問2)以下の[資料]にもとづいて、売買目的有価証券勘定、満期保有目的債券勘定および有価証券利息勘定へ記入するとともに、当期の有価証券売却損益を答えなさい。なお、当期の会計期間は×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間である。
【解答にあたっての留意事項】
・利息の計算は端数利息も含め、すべて月割りで行うこと。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入および再振替仕訳もあわせて行うこと。
・売買目的有価証券は分記法で記帳すること。
4月1日 | 期首の時点で有価証券は一切保有していない。 |
6月1日 | 売買目的で額面総額¥1,000,000の国債(利率:年0.36%、利払日:3月末と9月末の年2回)を額面@100円につき@98.0円で購入し、端数利息を含めた代金は小切手を振り出して支払った。 |
9月30日 | 保有する国債の利払日となり、利息が当座預金口座に振り込まれた。 |
11月1日 | 満期保有目的で額面総額¥600,000のA社社債(利率:年0.6%、利払日:10月末の年1回、償還日:×10年10月31日)を額面@100円につき@98.5円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められる。 |
2月1日 | 保有する国債のうち、額面総額¥200,000を額面@100円につき@97.0円で売却し、代金は端数利息とともに当座預金口座に振り込まれた。 |
3月31日 | 保有する国債の利払日となり、利息が当座預金口座に振り込まれた。 |
〃 | 決算につき、売買目的有価証券の評価替えを行う。決算日における売買目的有価証券の時価は額面@100円につき@96.5円である。また、A社債について未収分の利息を計上するとともに、償却原価法(定額法)を適用する。 |
4月1日 | 開始記入を行うとともに、経過勘定項目について再振替仕訳をおこなう。 |
売買目的有価証券
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.6/1 | |||||
×6.2/1 | |||||
3/31 | |||||
〃 | |||||
×6.4/1 |
満期保有目的債券
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.11/1 | |||||
×6.3/31 | |||||
〃 | |||||
×6.4/1 |
有価証券利息
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.6/1 | 当座預金 | ||||
9/30 | 当座預金 | ||||
×6.2/1 | 当座預金 | ||||
3/31 | 当座預金 | ||||
〃 | 未収有価証券利息 | ||||
〃 | 満期保有目的債券 | ||||
〃 | |||||
×6.4/1 |
円の | 有価証券売却 |
※プルダウンから「損」か「益」のいずれかを選択すること。
(問1)と(問2)はどちらも勘定記入の問題ですが、(問1)は勘定式、(問2)は残高式という違いがあるので、一瞬戸惑った人がいるかもしれません。おそらく、残高式の記入に慣れていない人が多いと思いますので、この問題で確認しておきましょう。
(問1)
建物
日付 | 摘要 | 借方 | 日付 | 摘要 | 借方 |
×10.4/1 | 前期繰越 | 17,680,000 | ×10.4/30 | 諸口 | 1,680,000 |
10/1 | 当座預金 | 2,600,000 | 10/1 | 固定資産圧縮損 | 200,000 |
12/1 | 当座預金 | 360,000 | ×11.3/31 | 減価償却費 | 563,000 |
〃 | 次期繰越 | 18,197,000 | |||
20,640,000 | 20,640,000 |
(問2)
・勘定記入
売買目的有価証券
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.6/1 | 当座預金 | 980,000 | 借 | 980,000 | |
×6.2/1 | 諸口 | 196,000 | 〃 | 784,000 | |
3/31 | 有価証券評価損益 | 12,000 | 〃 | 772,000 | |
〃 | 次期繰越 | 772,000 | |||
980,000 | 980,000 | ||||
×6.4/1 | 前期繰越 | 772,000 | 借 | 772,000 |
満期保有目的債券
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.11/1 | 当座預金 | 591,000 | 借 | 591,000 | |
×6.3/31 | 有価証券利息 | 750 | 〃 | 591,750 | |
〃 | 次期繰越 | 591,750 | |||
591,750 | 591,750 | ||||
×6.4/1 | 前期繰越 | 591,750 | 借 | 591,750 |
有価証券利息
日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
×5.6/1 | 当座預金 | 600 | 借 | 600 | |
9/30 | 当座預金 | 1,800 | 貸 | 1,200 | |
×6.2/1 | 当座預金 | 240 | 〃 | 1,440 | |
3/31 | 当座預金 | 1,440 | 〃 | 2,880 | |
〃 | 未収有価証券利息 | 1,500 | 〃 | 4,380 | |
〃 | 満期保有目的債券 | 750 | 〃 | 5,130 | |
〃 | 損益 | 5,130 | |||
5,730 | 5,730 | ||||
×6.4/1 | 未収有価証券利息 | 1,500 | 借 | 1,500 |
・当期の有価証券売却損益
2,000円の有価証券売却損(2点)
配点:2点×6か所+1点×8か所=20点
※勘定記入は横一列が正解で得点。
※(問2)は借方欄と貸方欄の両方に記入していると不正解。
(問1)
4月1日(前期繰越)
【本社社屋】
取得してから前期末までに8年(取得日×2年4月1日~前期末×10年3月31日)経過しているので、残存耐用年数は32年(=40年ー8年)です。
・期首帳簿価額:¥20,000,000÷40年×残存耐用年数32年=¥16,000,000
【倉庫】
取得してから前期末までに6年(取得日×4年4月1日~前期末×10年3月31日)経過しているので、残存耐用年数は14年(=20年ー6年)です。
・期首帳簿価額:¥2,400,000÷20年×残存耐用年数14年=¥1,680,000
【前期繰越】
¥16,000,000+¥1,680,000=¥17,680,000
4月30日(固定資産の滅失)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 10,000 | 建物 | 1,680,000 |
未決算 | 1,670,000 |
・減価償却費:¥2,400,000÷1か月/240か月(20年)=¥10,000
6月1日(保険金の確定)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未収入金 | 1,870,000 | 未決算 | 1,670,000 |
保険差益 | 200,000 |
・未決算勘定¥1,670,000を取り崩して、保険金との差額を「保険差益」とします。
6月30日(保険金の受取)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 1,870,000 | 未収入金 | 1,870,000 |
10月1日(固定資産の購入・圧縮記帳)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 2,600,000 | 当座預金 | 2,600,000 |
固定資産圧縮損 | 200,000 | 建物 | 200,000 |
「圧縮記帳を行った事実を帳簿上で把握できるように仕訳をすること」と指示があるため、建物勘定を相殺してはいけません。もし相殺すると、以下のように借方に建物が¥2,400,000が生じることになり、帳簿上では¥2,400,000の建物を購入した場合と区別がつかなくなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 2,400,000 | 当座預金 | 2,600,000 |
固定資産圧縮損 | 200,000 |
建物
当座預金 | 2,400,000 | ||
12月1日(定期的修繕)
改良のための支出(資本的支出)は建物の取得原価に含めます。また、修繕引当金を取り崩し、超過する金額は「修繕費」として処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 360,000 | 当座預金 | 1,200,000 |
修繕引当金 | 600,000 | ||
修繕費 | 240,000 |
・建物:¥1,200,000×30%=¥360,000
3月31日(決算)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 563,000 | 建物 | 563,000 |
【本社社屋】
・既存分:¥20,000,000÷40年=¥500,000
・新規分(資本的支出):¥360,000÷40年×4カ月/12カ月=¥3,000
【倉庫】
・(¥2,600,000ー¥200,000)÷20年×6カ月/12カ月=¥60,000
【減価償却費】
¥500,000+¥3,000+¥60,000=¥563,000
(問2)
6月1日(売買目的有価証券の購入)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売買目的有価証券 | 980,000 | 当座預金 | 980,600 |
有価証券利息 | 600 |
・売買目的有価証券:¥1,000,000×@¥98.0/@¥100=¥980,000
・有価証券利息(端数利息):¥1,000,000×0.36%×2か月/12か月=¥600
9月30日(利払日)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 1,800 | 有価証券利息 | 1,800 |
・¥1,000,000×0.36%×6か月/12か月=¥1,800
11月1日(満期保有目的債券の購入)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
満期保有目的債券 | 591,000 | 当座預金 | 591,000 |
・¥600,000×@¥98.5/@¥100=¥591,000
2月1日(売買目的有価証券の売却)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 194,000 | 売買目的有価証券 | 196,000 |
有価証券売却損 | 2,000 | ||
当座預金 | 240 | 有価証券利息 | 240 |
・売買目的有価証券(帳簿価額):¥200,000×@¥98.0/@¥100=¥196,000
・売却額:¥200,000×@¥97.0/@¥100=¥194,000
・有価証券利息(端数利息):¥200,000×0.36%×4か月/12か月=¥240
次のように仕訳を行う場合も考えられます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 194,240 | 売買目的有価証券 | 196,000 |
有価証券売却損 | 2,000 | 有価証券利息 | 240 |
この場合、有価証券利息勘定における摘要欄の記入は「諸口」となります。ただし、本問では摘要欄に「当座預金」とあるため、解説にあるような仕訳を書いていると推定します。
3月31日(利払日)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 1,440 | 有価証券利息 | 1,440 |
・(¥1,000,000-¥200,000)×0.36%×6か月/12か月=¥1,440
3月31日(決算)
(1)決算整理仕訳
【売買目的有価証券】
売買目的有価証券は期末の時価で評価し、評価差額は当期の損益(有価証券評価損益)とします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
有価証券評価損益 | 12,000 | 売買目的有価証券 | 12,000 |
・帳簿価額:¥800,000×@¥98.0/@¥100=¥784,000
・時価:¥800,000×@¥96.5/@¥100=¥772,000
・有価証券評価損益:¥772,000ー¥784,000=△¥12,000(評価損)
【満期保有目的債券】
未収分の利息の計上
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未収有価証券利息 | 1,500 | 有価証券利息 | 1,500 |
・¥600,000×0.6%×5か月/12か月=¥1,500
償却原価法
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
満期保有目的債券 | 750 | 有価証券利息 | 750 |
・(額面¥600,000ー取得原価¥591,000)×5カ月/60か月(5年)=¥750
(2)決算振替仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
有価証券利息 | 5,130 | 損益 | 5,130 |
×6年4月1日(翌期首)
未収有価証券利息について、翌期首に再振替仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
有価証券利息 | 1,500 | 未収有価証券利息 | 1,500 |
第3問
次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。なお、会計期間はx4年4月1日からx5年3月31日までの1年間である。また、当社では支店独立会計制度を採用している。
[資料Ⅰ] x5年2月末日における残高試算表の金額支店勘定:¥840,000(借方)、本店勘定:¥840,000(貸方)
[資料Ⅱ]3月中に行われた本支店間取引(すべて適正に処理済み)①本店は支店へ現金¥100,000を送付し、支店はこれを受け取った。
②本店は支店の得意先より売掛金¥250,000を現金で回収し、支店はこの報告を受けた。
③本店は支店の仕入先へ買掛金¥130,000を現金で支払い、支店はこの報告を受けた。
④支店は本店の営業費¥150,000を現金で支払い、本店はこの報告を受けた。 [資料Ⅲ] 決算整理前残高試算表(単位:円)
決算整理前残高試算表
x5年3月31日
借方 | 本店 | 支店 | 貸方 | 本店 | 支店 |
現金預金 | 534,000 | ( ? ) | 買掛金 | ( ? ) | 400,000 |
売掛金 | 1,472,000 | 610,000 | 借入金 | 1,000,000 | ー |
繰越商品 | 1,816,000 | 840,000 | 貸倒引当金 | 32,000 | 14,000 |
備品 | 300,000 | 240,000 | 備品減価償却累計額 | 150,000 | 72,000 |
支店 | ( ? ) | ー | 本店 | ー | ( ? ) |
仕入 | 11,600,000 | 4,200,000 | 資本金 | 750,000 | ー |
営業費 | 3,560,000 | 1,250,000 | 利益剰余金 | 200,000 | ー |
支払利息 | 48,000 | ー | 売上 | 16,990,000 | 6,244,000 |
( ? ) | ( ? ) | ( ? ) | ( ? ) |
1.期末商品棚卸高は次のとおりである。なお、棚卸減耗損および商品評価損は生じていない。
本店:¥1,750,000、支店:¥870,000
2.本支店ともに、売掛金の期末残高に対して3%の貸倒引当金を差額補充法により計上する。
3.本支店ともに、備品について、定額法(耐用年数10年、残存価額ゼロ)により減価償却を行う。
4.営業費の前払い:本店¥260,000、支店¥80,000
5.支払利息の未払い:本店¥12,000
(問1)本店の損益勘定を作成しなさい。なお、総合損益勘定は設けずに、支店の純利益は決算日において本店の損益勘定へ振り替え、本店の損益勘定において会社全体の純利益を算定する。
損益
仕入 | 売上 | ||
営業費 | |||
貸倒引当金繰入 | |||
減価償却費 | |||
支払利息 | |||
(問2)次の各金額を答えなさい。
決算整理前残高試算表の支店勘定 | ¥ |
決算整理後残高試算表の支店勘定 | ¥ |
支店勘定の次期繰越額 | ¥ |
本支店合併損益計算書における売上総利益 | ¥ |
本支店会計の出題頻度はそれほど高くありませんが、全く対策をしていないと、もし出題された場合に手も足も出ないということになりかねません。なので、基本的な対策はしておきましょう。
本問1問がしっかりとできていれば、おそらく本支店会計に関しては大丈夫だと思いますので、この問題で基本を確認しておいてください。
(問1)
損益
仕入 | 11,666,000 | 売上 | 16,990,000 |
営業費 | 3,300,000 | 支店 | 875,700 |
貸倒引当金繰入 | 12,160 | ||
減価償却費 | 30,000 | ||
支払利息 | 60,000 | ||
繰越利益剰余金 | 2,797,540 | ||
17,865,700 | 17,865,700 |
(問2)
決算整理前残高試算表の支店勘定 | ¥670,000 |
決算整理後残高試算表の支店勘定 | ¥670,000 |
支店勘定の次期繰越額 | ¥1,545,700 |
本支店合併損益計算書における売上総利益 | ¥7,398,000 |
配点:2点×10か所=合計20点
3月中に行われた本支店間取引
①本店は支店へ現金¥100,000を送付し、支店はこれを受け取った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支店 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 100,000 | 本店 | 100,000 |
②本店は支店の得意先より売掛金¥250,000を現金で回収し、支店はこの報告を受けた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 250,000 | 支店 | 250,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
本店 | 250,000 | 売掛金 | 250,000 |
③本店は支店の仕入先へ買掛金¥130,000を現金で支払い、支店はこの報告を受けた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支店 | 130,000 | 現金 | 130,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 130,000 | 本店 | 130,000 |
④支店は本店の営業費¥150,000を現金で支払い、本店はこの報告を受けた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
営業費 | 150,000 | 支店 | 150,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
本店 | 150,000 | 現金 | 150,000 |
以上より、決算整理前残高試算表の支店勘定および本店勘定は次のようになります。

支店の損益勘定の作成
まず、支店の純利益を算定するために、支店の損益勘定を作成します。
決算整理事項1
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 840,000 | 繰越商品 | 840,000 |
繰越商品 | 870,000 | 仕入 | 870,000 |
決算整理事項2
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 4,300 | 貸倒引当金 | 4,300 |
・¥610,000×3%ー¥14,000=¥4,300
決算整理事項3
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 24,000 | 備品減価償却累計額 | 24,000 |
・¥240,000÷10年=¥24,000
決算整理事項4
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払営業費 | 80,000 | 営業費 | 80,000 |
支店の損益振替
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売上 | 6,244,000 | 損益 | 6,244,000 |
損益 | 5,368,300 | 仕入 | 4,170,000 |
営業費 | 1,170,000 | ||
貸倒引当金繰入 | 4,300 | ||
減価償却費 | 24,000 |
支店の純利益の算定
最後に、支店の純利益(損益勘定の貸借差額)を本店勘定へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
損益 | 875,700 | 本店 | 875,700 |
・収益合計¥6,244,000ー費用合計¥5,368,300=純利益¥875,700
以上より、支店の損益勘定を作成すると次のようになります。
損益
仕入 | 4,170,000 | 売上 | 6,244,000 |
営業費 | 1,170,000 | ||
貸倒引当金繰入 | 4,300 | ||
減価償却費 | 24,000 | ||
本店 | 875,700 | ||
6,244,000 | 6,244,000 |
本店の損益勘定の作成
次に、本店および会社全体の純利益を算定するために、本店の損益勘定を作成します。
決算整理事項1
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 1,816,000 | 繰越商品 | 1,816,000 |
繰越商品 | 1,750,000 | 仕入 | 1,750,000 |
決算整理事項2
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 12,160 | 貸倒引当金 | 12,160 |
・¥1,472,000×3%ー¥32,000=¥12,160
決算整理事項3
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 30,000 | 備品減価償却累計額 | 30,000 |
・¥300,000÷10年=¥30,000
決算整理事項4
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払営業費 | 260,000 | 営業費 | 260,000 |
決算整理事項5
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払利息 | 12,000 | 未払利息 | 12,000 |
【参考】決算整理後残高試算表
決算整理後残高試算表
x5年3月31日
借方 | 本店 | 支店 | 貸方 | 本店 | 支店 |
現金預金 | 534,000 | 260,000 | 買掛金 | 878,000 | 400,000 |
売掛金 | 1,472,000 | 610,000 | 借入金 | 1,000,000 | ー |
繰越商品 | 1,750,000 | 870,000 | 貸倒引当金 | 44,160 | 18,300 |
備品 | 300,000 | 240,000 | 備品減価償却累計額 | 180,000 | 96,000 |
前払営業費 | 260,000 | 80,000 | 未払利息 | 12,000 | ー |
支店 | 670,000 | ー | 本店 | ー | 670,000 |
仕入 | 11,666,000 | 4,170,000 | 資本金 | 750,000 | ー |
営業費 | 3,300,000 | 1,170,000 | 利益剰余金 | 200,000 | ー |
貸倒引当金繰入 | 12,160 | 4,300 | 売上 | 16,990,000 | 6,244,000 |
減価償却費 | 30,000 | 24,000 | |||
支払利息 | 60,000 | ー | |||
20,054,160 | 7,428,300 | 20,054,160 | 7,428,300 |
・本店の買掛金と支店の現金預金は貸借差額で求めますが、本問と関係ないので無視しても構いません。
本店の損益振替
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売上 | 16,990,000 | 損益 | 16,990,000 |
損益 | 15,068,160 | 仕入 | 11,666,000 |
営業費 | 3,300,000 | ||
貸倒引当金繰入 | 12,160 | ||
減価償却費 | 30,000 | ||
支払利息 | 60,000 |
支店の純利益の受け入れ
本店では、支店の純利益を支店勘定を使って損益勘定へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支店 | 875,700 | 損益 | 875,700 |
会社全体の利益の算定
最後に、損益勘定の貸借差額(本店の純利益¥1,921,840+支店の純利益¥875,700)で会社全体の利益を算定し、繰越利益剰余金へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
損益 | 2,797,540 | 繰越利益剰余金 | 2,797,540 |
・本店の純利益:収益合計¥16,990,000ー費用合計¥15,068,160=純利益¥1,921,840
以上より、本店の損益勘定を作成すると次のようになります。
損益
仕入 | 11,666,000 | 売上 | 16,990,000 |
営業費 | 3,300,000 | 支店 | 875,700 |
貸倒引当金繰入 | 12,160 | ||
減価償却費 | 30,000 | ||
支払利息 | 60,000 | ||
繰越利益剰余金 | 2,797,540 | ||
17,865,700 | 17,865,700 |
なお、支店勘定および本店勘定の次期繰越額は次のようになります。

本支店合併損益計算書における売上総利益
本支店合併損益計算書における売上高:本店¥16,990,000+支店¥6,244,000=¥23,234,000
本支店合併損益計算書における売上原価:本店¥11,666,000+支店¥4,170,000=¥15,836,000
本支店合併損益計算書における売上総利益:¥23,234,000ー¥15,836,000=¥7,398,000
第4問(1)
配点:4点×3問=12点
問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解
当社の埼玉工場では、直接材料を工程の始点で投入し、単一の製品Aをロット生産している。標準原価計算制度を採用し、勘定記入の方法はシングル・プランによる。次の[資料]にもとづいて、下記の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。なお、月初に直接材料、仕掛品、製品の在庫は存在しなかった。また、借方と貸方に同じ勘定科目が生じる場合は相殺しないこと。
[資料]1.製品Aの原価標準(直接材料費のみ)
直接材料費:標準単価 ¥1,200 × 標準消費量 2kg = ¥2,400
2.当月の生産実績
完成品:360個(月末仕掛品は存在しない)
1 |
直接材料900kgを1kg当たり¥1,280で掛けにて購入した。なお、当工場では実際の購入単価をもって材料勘定への受入記録を行っている。
|
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
材料 | 1,152,000 | 買掛金 | 1,152,000 |
・@¥1,280×900kg=¥1,152,000
2 |
製品A360個に対する標準直接材料費を仕掛品勘定に振り替えた。
|
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕掛品 | 864,000 | 材料 | 864,000 |
・¥2,400/個 × 360個=¥864,000 または
・標準単価 ¥1,200 /kg × 標準消費量720kg=¥864,000
シングル・プランを採用している場合は、材料費(材料の消費額)は標準の消費単価(¥2,400/個)で計算します。したがって、シングル・プランでは材料勘定において原価差異が把握されます。
対して、パーシャル・プランでは仕掛品勘定において原価差異が把握されます。忘れた人はパーシャル・プランも復習しておきましょう。
3 |
製品Aに対する実際直接材料消費量は690kgであったので、上記2の標準直接材料費との差額を価格差異勘定と数量差異勘定に振り替えた。
|
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
価格差異 | 55,200 | 材料 | 55,200 |
材料 | 36,000 | 数量差異 | 36,000 |
・価格差異:(@¥1,200ー@¥1,280)×690kg=△¥55,200(不利差異)
・数量差異:@¥1,200×(720kgー690kg)=¥36,000(有利差異)

価格差異は不利差異(借方差異)となるので、価格差異勘定の借方へ振り替えます。一方、数量差異は有利差異(貸方差異)となるので、数量差異勘定の貸方へ振り替えます。

第4問(2)
当社では、累加法による工程別総合原価計算によって製品原価の計算を行っている。以下の資料にもとづいて、仕掛品勘定に記入するとともに、完成品単位原価および月末仕掛品原価を答えなさい。
[資料]1.生産データ
第1工程
月初仕掛品 | 500個 | (0.6) |
当月投入 | 2,500個 | |
合 計 | 3,000個 | |
月末仕掛品 | 600個 | (0.3) |
完成品 | 2,400個 |
第2工程
月初仕掛品 | 650個 | (0.4) |
当月投入 | 2,400個 | |
合 計 | 3,050個 | |
月末仕掛品 | 450個 | (0.8) |
完成品 | 2,600個 |
・( )内の数値は加工進捗度を表す。
2.原価データ
月初仕掛品原価 | 当月製造費用 | |||
第1工程 | 第2工程 | 第1工程 | 第2工程 | |
直接材料費 | ¥250,000 | ー | ¥2,000,000 | ー |
加工費 | ¥256,000 | ¥232,700 | ¥2,324,000 | ¥2,484,000 |
前工程費 | ー | ¥1,040,000 | ー | ? |
3.その他
・月末仕掛品の計算は、第1工程が平均法、第2工程が先入先出法による。
・材料は第1工程の始点ですべて投入している。
・第1工程の完成品は第2工程の始点ですべて投入される。
仕掛品(第1工程)
前月繰越 | 第1工程完成品 | ||
直接材料費 | 次月繰越 | ||
加工費 | |||
仕掛品(第2工程)
前月繰越 | 第2工程完成品 | ||
前工程費 | 次月繰越 | ||
加工費 | |||
完成品単位原価 | 円 |
月末仕掛品原価 | 円 |
仕掛品(第1工程)
前月繰越 | 506,000 | 第1工程完成品 | 4,200,000 |
直接材料費 | 2,000,000 | 次月繰越 | 630,000 |
加工費 | 2,324,000 | ||
4,830,000 | 4,830,000 |
仕掛品(第2工程)
前月繰越 | 1,272,700 | 第2工程完成品 | 6,838,000 |
前工程費 | 4,200,000 | 次月繰越 | 1,118,700 |
加工費 | 2,484,000 | ||
7,956,700 | 7,956,700 |
完成品単位原価 | 2,630円 |
月末仕掛品原価 | 1,748,700円 |
配点:2点×8か所=16点
・前月繰越(第1工程):¥250,000+¥256,000=¥506,000
・前月繰越(第2工程):¥1,040,000+¥232,700=¥1,272,700
第1工程

・直接材料費の平均単価:(¥250,000+¥2,000,000)÷(500個+2,500個)=@¥750
・月末仕掛品(直接材料費):@¥750×600個=¥450,000
・完成品原価(直接材料費):(¥250,000+¥2,000,000)ー¥450,000=¥1,800,000
または、@¥750×2,400個
・加工費の平均単価:(¥256,000+¥2,324,000)÷(300個+2,280個)=@¥1,000
・月末仕掛品(加工費):@¥1,000×180個=¥180,000
・完成品原価(加工費):(¥256,000+¥2,324,000)ー¥180,000=¥2,40,000
または、@¥1,000×2,400個
・第1工程完成品原価:直接材料費¥1,800,000+加工費¥2,400,000=¥4,200,000
・第1工程月末仕掛品原価:¥450,000+¥180,000=¥630,000
第2工程

・月末仕掛品(前工程費):第1工程完成品原価¥4,200,000÷2,400個×450個=¥787,500
・完成品原価(前工程費):¥1,040,000+¥4,180,000ー¥787,500=¥4,452,500
・月末仕掛品(加工費):¥2,484,000÷2,700個×360個=¥331,200
・完成品原価(加工費):¥232,700+¥2,484,000ー¥331,200=¥2,385,500
・第2工程完成品原価:¥4,452,500+¥2,385,500=¥6,838,000
・第2工程月末仕掛品原価:¥787,500+¥331,200=¥1,118,700
・完成品単位原価:¥6,838,000÷2,600個=@¥2,630
・月末仕掛品原価:第1工程¥630,000+第2工程¥1,118,700=¥1,748,700
第5問
当社では、全部実際原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、以下の諸勘定を完成しなさい。なお、当社では月次決算を行っているが、原価差異はすべて当月の売上原価に賦課することとする。
[資料]当年度の実績データ
1.素材(主要材料)に関する資料
月初有高 | ¥1,360,000 | 当月購入代価 | ¥9,000,000 |
月末帳簿残高 | ¥1,420,000 | 月末実際有高 | ¥1,230,000 |
・月末の帳簿残高と実際有高の差額は正常なものである。
・材料購入時に引取費用を予定配賦している(資料2参照)。
2.素材の材料副費に関する資料
(1)引取費用(外部副費)の実際発生額
引取運賃 | ¥220,000 | 買入手数料 | ¥80,000 | 関税 | ¥180,000 |
・引取費用は材料の購入代価の5%を予定配賦する。
(2)内部副費の実際発生額
購入事務費 | ¥300,000 | 検収費 | ¥150,000 | 保管費 | ¥100,000 |
・内部副費はすべて、実際発生額を間接経費として処理する。
3.直接工に関する資料
(1)給与支給額
当月現金支給額 | ¥4,500,000 | 従業員預り金 | ¥700,000 |
前月未払高 | ¥600,000 | 当月未払高 | ¥800,000 |
・従業員預り金は、源泉所得税額と社会保険料である。
(2)実際勤務時間
加工時間 | 3,800時間 | 段取時間 | 200時間 | 間接作業時間 | 500時間 |
手待時間 | 120時間 | 休憩時間 | 300時間 |
・直接工の消費賃金は、予定平均賃率(@¥1,200/時間)で計算している。
4.製造間接費に関する資料
製造間接費は変動予算として設定しており、直接作業時間を基準として予定配賦している。製造間接費の予算額(月額)は¥11,000,000、基準操業度5,000時間(月間)である。
5.その他の資料
①補助材料:月初有高¥80,000、当月購入高¥500,000、月末有高¥100,000
②機械油の当月消費額:¥150,000
③耐用年数1年未満の製造用工具・器具・備品の取得原価:¥230,000
④外注加工賃:¥400,000
⑤工場の機械修理工の賃金(当月要支払額):¥800,000
⑥工場職員の給料(当月要支払額):¥1,200,000
⑦工場長の給料(当月要支払額):¥500,000
⑧本社職員の給料(当月要支払額):¥2,300,000
⑨従業員募集費:工員募集費¥150,000、本社職員募集費¥120,000
⑩従業員研修の講師料:工員向け¥300,000、本社職員向け¥400,000
⑪工員用住宅などの福利施設負担額:¥820,000
⑫工場の電力・ガス・水道の利用料金:当月支払額¥750,000、メーター測定値による当月消費額¥780,000
⑬工場の固定資産税:¥600,000
⑭減価償却費(月額):本社分¥500,000、工場分¥1,400,000
⑮広告宣伝費:¥700,000
製造間接費
間接材料費 | 仕掛品 | ||
間接労務費 | 製造間接費配賦差異 | ||
間接経費 | |||
仕掛品
月初仕掛品 | 350,000 | 製品 | |
直接材料費 | 月末仕掛品 | 500,000 | |
直接労務費 | |||
直接経費 | |||
製造間接費 | |||
製品
月初製品 | 600,000 | 売上原価 | |
仕掛品 | 月末製品 | 700,000 | |
売上原価
製品 | 月次損益 | ||
材料副費配賦差異 | 材料副費配賦差異 | ||
賃率差異 | 賃率差異 | ||
製造間接費配賦差異 | 製造間接費配賦差異 | ||
※記入が不要な箇所は空欄のままにしておくこと。
製造間接費
間接材料費 | 860,000 | 仕掛品 | 8,800,000 |
間接労務費 | 3,244,000 | 製造間接費配賦差異 | 94,000 |
間接経費 | 4,790,000 | ||
8,894,000 | 8,894,000 |
仕掛品
月初仕掛品 | 350,000 | 製品 | 23,240,000 |
直接材料費 | 9,390,000 | 月末仕掛品 | 500,000 |
直接労務費 | 4,800,000 | ||
直接経費 | 400,000 | ||
製造間接費 | 8,800,000 | ||
23,740,000 | 23,740,000 |
製品
月初製品 | 600,000 | 売上原価 | 23,140,000 |
仕掛品 | 23,240,000 | 月末製品 | 700,000 |
23,840,000 | 23,840,000 |
売上原価
製品 | 23,140,000 | 月次損益 | 23,120,000 |
材料副費配賦差異 | 30,000 | 材料副費配賦差異 | ー |
賃率差異 | ー | 賃率差異 | 144,000 |
製造間接費配賦差異 | 94,000 | 製造間接費配賦差異 | ー |
23,264,000 | 23,264,000 |
配点:1点×12か所=合計12点
※売上原価勘定の材料副費配賦差異、賃率差異、製造間接費配賦差異は、借方と貸方の両方に記入していると不正解。
本問は勘定連絡に関する問題です。費目別計算や勘定連絡が手薄になっている人が多い印象なので確認のために出題しました。
各論点は基本的な内容ですが、1つのミスが全体に影響してしまうので、焦らず慎重に計算していく必要があります。
1.材料費(直接材料費)
素材
月初有高 | 1,360,000 | 直接材料費 | (c)9,390,000 |
購入代価 | 9,000,000 | 間接経費 | (b)190,000 |
材料副費 | (a)450,000 | 月末有高 | 1,230,000 |
10,810,000 | 10,810,000 |
(a)引取費用:購入代価¥9,000,000×5%=¥450,000
(b)棚卸減耗損:帳簿残高¥1,420,000-実際有高¥1,230,000=¥190,000
(c)貸借差額
2.材料副費
材料副費
引取費用 | (d)480,000 | 素材 | (f)450,000 |
内部副費 | (e)550,000 | 間接経費 | (e)550,000 |
材料副費配賦差異 | (g)30,000 | ||
1,030,000 | 1,030,000 |
(d)引取運賃¥220,000+買入手数料¥80,000+関税¥180,000=¥480,000
(e)購入事務費¥300,000+検収費¥150,000=保管費¥100,000=¥550,000
(f)予定配賦額:購入代価¥9,000,000×5%=¥450,000
(g)予定配賦額¥450,000ー実際発生額¥480,000=△¥30,000(不利差異)
または、貸借差額で求めてもOK
3.労務費(直接工賃金)
直接工賃金
当月支払高 | (h)5,200,000 | 月初未払高 | 600,000 |
月末未払高 | 800,000 | 直接労務費 | (i)4,800,000 |
賃率差異 | (k)144,000 | 間接労務費 | (j)744,000 |
6,144,000 | 6,144,000 |
(h)現金支給額¥4,500,000+従業員預り金¥700,000=¥5,200,000
(i)@¥1,200×直接作業時間(加工時間3,800時間+段取時間200時間)=¥4,800,000
(j)@¥1,200×(間接作業時間500時間+手待時間120時間)=¥744,000
(k)予定消費額¥5,544,000ー実際発生額¥5,400,000=¥144,000(有利差異)
または、貸借差額で求めてもOK
・予定消費額:直接労務費¥4,800,000+間接労務費¥744,000
・実際発生額:当月支払¥5,200,000ー前月未払¥600,000+当月未払¥800,000
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
直接工賃金 | 5,200,000 | 従業員預り金 | 700,000 |
現金預金 | 4,500,000 |
4.製造間接費
製造間接費
間接材料費 | 仕掛品 | (l)8,800,000 | |
間接労務費 | 製造間接費配賦差異 | ||
間接経費 | |||
(l)予定配賦額:@¥2,200×直接作業時間4,000時間=¥8,800,000
・予定配賦率:予算額¥11,000,000÷基準操業度5,000時間=@¥2,200/時間
5.その他
間接材料費
①補助材料の当月消費額:月初有高¥80,000+当月購入高¥500,000ー月末有高¥100,000=¥480,000
②機械油の当月消費額:¥150,000(工場消耗品費)
③耐用年数1年未満の製造用工具・器具・備品の取得原価:¥230,000(消耗工具器具備品費)
よって、間接材料費は次のようになります。
・間接材料費:①¥480,000+②¥150,000+③¥230,000=¥860,000
間接労務費
⑤工場の機械修理工の賃金(当月要支払額):¥800,000(間接工賃金)
⑥工場職員の給料(当月要支払額):¥1,200,000
⑦工場長の給料:¥500,000
よって、間接労務費は次のようになります。
・間接労務費:直接工の間接作業時間・手待時間分¥744,000(資料3より)+⑤¥800,000+⑥¥1,200,000+⑦¥500,000=¥3,244,000
間接経費
⑨従業員募集費(工員募集費):¥150,000
⑩従業員研修の講師料(工員向け):¥300,000
⑪工員用住宅などの福利施設負担額:¥820,000
⑫工場の電力・ガス・水道の利用料金(メーター測定値による当月消費額):¥780,000
⑬工場の固定資産税:¥600,000
⑭減価償却費(工場分):¥1,400,000
よって、間接経費は次のようになります。
・間接経費:棚卸減耗損¥190,000(資料1より)+内部副費¥550,000(資料2より)+⑨¥150,000+⑩¥300,000+⑪¥820,000+⑫¥780,000+⑬¥600,000+⑭¥1,400,000=¥4,790,000
以上の計算結果を製造間接費勘定に記入していきます。
製造間接費
間接材料費 | 860,000 | 仕掛品 | 8,800,000 |
間接労務費 | 3,244,000 | 製造間接費配賦差異 | (m)94,000 |
間接経費 | 4,790,000 | ||
8,894,000 | 8,894,000 |
(m)貸借差額
仕掛品勘定、製品勘定、売上原価勘定
仕掛品
月初仕掛品 | 350,000 | 製品 | 23,240,000 |
直接材料費 | 9,390,000 | 月末仕掛品 | 500,000 |
直接労務費 | 4,800,000 | ||
直接経費 | (n)400,000 | ||
製造間接費 | 8,800,000 | ||
23,740,000 | 23,740,000 |
(n)資料5.④外注加工賃
製品
月初製品 | 600,000 | 売上原価 | 23,140,000 |
仕掛品 | 23,240,000 | 月末製品 | 700,000 |
23,840,000 | 23,840,000 |
売上原価
製品 | 23,140,000 | 月次損益 | (o)23,120,000 |
材料副費配賦差異 | 30,000 | 賃率差異 | 144,000 |
製造間接費配賦差異 | 94,000 | ||
23,264,000 | 23,264,000 |
(o)貸借差額
不利差異(材料副費配賦差異と製造間接費配賦差異)は売上原価勘定の借方へ振り替えられるため、売上原価のプラス(利益のマイナス)となります。
逆に、有利差異(賃率差異)は売上原価勘定の貸方へ振り替えられるため、売上原価のマイナス(利益のプラス)となります。
【参考】販売費及び一般管理費(損益計算書)
以下の項目は製造原価とはなりません。損益計算書の販売費及び一般管理費に計上します。
⑧本社職員の給料
⑨従業員募集費(本社職員募集費)
⑩従業員研修の講師料(本社職員向け)
⑭減価償却費(本社分)
⑮広告宣伝費
受験科目 | 【第4回】2級模擬試験 |
かかった時間 | |
得点 |
商業簿記

工業簿記

※説明も兼ねて本来より少し多めに書いています。
集計漏れや二重計上がないように、解答の記入が終わったら科目や金額の横にチェック(✓)を付けておきましょう。