第1問

配点:4点×5問=20点

問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解

下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。

あなたの解答

1 ×1年4月1日、備品をリース取引によって調達した。この取引はファイナンス・リース取引と判定されたため、会計処理は利子抜き法で行い、利息の期間配分は定額法による。1回目のリース料を現金で支払った時(×2年3月31日)の仕訳を答えなさい。なお、リース契約の内容は以下のとおりである。
・リース期間:5年
・年額リース料:¥100,000(リース料支払日:毎年3月末)
・見積現金購入価額:¥440,000
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
リース債務88,000現金100,000
支払利息12,000

・支払利息:利息相当額(リース料総額¥500,000ー見積現金購入価額¥440,000)÷5年=¥12,000

・リース債務:年額リース料¥100,000ー利息配分額(支払利息)¥12,000=¥88,000

リース開始日(×1年4月1日)には、次のような仕訳をしています。

借方金額貸方金額
リース資産440,000リース債務440,000

利子抜き法による場合はリース開始時に、利息相当額を含まない金額、すなわち見積現金購入価額をもって「リース資産」および「リース債務」を計上します。

そしてリース料の支払時には、リース料に含まれる利息相当額を「支払利息」で処理をします。また、リース料の支払額から利息分を差し引いた金額をリース債務の返済に充てます。

あなたの解答

2 当社は、所有する電子記録債権¥150,000を割り引くために、取引銀行を通じて電子債権記録機関に当該債権の譲渡記録の請求を行い、取引銀行から割引料¥2,000が差し引かれた残額が普通預金口座に振り込まれた。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
普通預金148,000電子記録債権150,000
電子記録債権売却損2,000

債権を売却したときや割り引いたときは、債権金額と売却額(手取額)との差額を「電子記録債権売却損」で処理します。

あなたの解答

3 当社が保有している大阪商店振出しの約束手形¥500,000が不渡りとなり、大阪商店に対して償還請求を行った。なお、このための償還請求費用¥10,000を現金で支払った。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
不渡手形510,000受取手形500,000
現金10,000

保有している手形が不渡りとなった場合は、「受取手形」から「不渡手形」へ振り替えます。このとき不渡手形の金額には、延長分の利息や償還に要した費用などの償還請求費用を含めます。

あなたの解答

4 2月1日、アメリカの得意先に5,000ドルの商品を輸出し、代金は3か月後に受け取る契約であるが、3月1日に、この売掛金5,000ドルについて為替予約を付した。3月1日(為替予約時)の仕訳を答えなさい。なお、振当処理を適用するが、輸出時の為替相場による円換算額と為替予約による円換算額との差額はすべて当期の損益として処理する。各取引日における為替相場は次のとおりである。
直物為替相場先物為替相場
2月1日140円/ドル138円/ドル
3月1日139円/ドル137円/ドル
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
為替差損15,000売掛金15,000

・売掛金の簿価:5,000ドル×@¥140=¥700,000

・為替予約時の売掛金の金額:5,000ドル×@¥137=¥685,000

・為替差損益:¥685,000ー¥700,000=△¥15,000(為替差損)

取引発生後に為替予約を付した場合は、取引時の直物レートで換算された金額と予約時の先物レートで換算した金額の差額を「為替差損益」とします。

MEMO

本問では、指定された勘定科目から「為替差損」または「為替差益」のどちらかを使って仕訳をします。

あなたの解答

5 当社は日商簿記検定試験の受験学校を経営している。決算日現在、簿記1級講座は全体の6割が終了しているため、カリキュラムが完了した部分について収益及び費用を計上する。なお、簿記1級講座の開講に先立って受講料¥100,000を現金で受け取っている。また、簿記1級講座の教材作成費用¥15,000はすべて、簿記1級講座のために直接費やされるものであるため仕掛品勘定で処理している。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
契約負債60,000役務収益60,000
役務原価9,000仕掛品9,000

・役務収益:¥100,000×6割=¥60,000

・役務原価:¥15,000×6割=¥9,000

手付金等を受け取ったときおよび費用を支払ったときには、次のような仕訳をしています。

手付金等を受け取ったとき

サービスを提供する前(履行義務を充足する前)に代金を受け取ったときは「契約負債」で処理をします。

借方金額貸方金額
現金預金100,000契約負債100,000
MEMO

「前受金」で処理することも考えられますが、勘定科目の中に「前受金」がないので「契約負債」を使います。

費用を支払ったとき

支払った費用が、特定のサービスのために直接費やされるものであることが明らかな場合は、その金額を「仕掛品」で処理します。

借方金額貸方金額
仕掛品15,000現金預金15,000

決算時

決算日においては、サービス提供の期間や進捗度に応じた収益(役務収益)を計上します。また、役務収益に対応した費用を仕掛品から「役務原価」へ振り替えます。

第2問

(問1)以下の[資料]にもとづいて、建物勘定へ記入しなさい。なお、当期の会計期間は×10年4月1日から×11年3月31日までの1年間である。

【解答にあたっての留意事項】
・日付は採点の対象としないため、記入しなくてもよい。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入は不要である。
・減価償却費はすべて月割りで計算すること。

[資料]有形固定資産に関する一連の取引(日付順)

4月1日期首の時点で保有している有形固定資産は、本社社屋(取得価額¥20,000,000、残存価額ゼロ、耐用年数40年、取得日×2年4月1日)および倉庫(取得価額¥2,400,000、残存価額ゼロ、耐用年数20年、取得日×4年4月1日)のみである。なお、減価償却は定額法・直接法によって行っている。
4月30日火災によって倉庫が焼失した。なお、この倉庫には火災保険が付されており、火災発生日の簿価を未決算勘定に振り替えた。
6月1日保険会社から¥1,870,000支払う旨の連絡を受けた。
6月30日保険会社から保険金¥1,870,000が当座預金口座に入金された。
10月1日火災保険金をもとに、新たに倉庫¥2,600,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払った。この倉庫は同日より使用を開始している。なお、保険差益が生じている場合には、当該金額を限度として圧縮記帳(直接控除方式)を行う。ただし、圧縮記帳を行った事実を帳簿上で把握できるように仕訳をすること。
12月1日本社社屋の定期的修繕のための工事を行い、代金¥1,200,000を当座預金口座から支払った。なお、工事代金のうち30%は改良のための支出と判断された。また、この修繕工事に備えて、前期までに¥600,000の引当金を設定している。
3月31日決算につき、本社社屋および倉庫について減価償却を行う。なお、当期に新たに取得した固定資産についても、本社社屋は耐用年数40年、倉庫は耐用年数20年、いずれも残存価額ゼロ、定額法・直接法によって減価償却を行う。

あなたの解答

建物

日付 摘要 借方 日付 摘要 借方

(問2)以下の[資料]にもとづいて、売買目的有価証券勘定、満期保有目的債券勘定および有価証券利息勘定へ記入するとともに、当期の有価証券売却損益を答えなさい。なお、当期の会計期間は×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間である。

【解答にあたっての留意事項】
・利息の計算は端数利息も含め、すべて月割りで行うこと。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入および再振替仕訳もあわせて行うこと。
・売買目的有価証券は分記法で記帳すること。

[資料]有価証券に関する一連の取引(日付順)

4月1日期首の時点で有価証券は一切保有していない。
6月1日売買目的で額面総額¥1,000,000の国債(利率:年0.36%、利払日:3月末と9月末の年2回)を額面@100円につき@98.0円で購入し、端数利息を含めた代金は小切手を振り出して支払った。
9月30日保有する国債の利払日となり、利息が当座預金口座に振り込まれた。
11月1日満期保有目的で額面総額¥600,000のA社社債(利率:年0.6%、利払日:10月末の年1回、償還日:×10年10月31日)を額面@100円につき@98.5円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められる。
2月1日保有する国債のうち、額面総額¥200,000を額面@100円につき@97.0円で売却し、代金は端数利息とともに当座預金口座に振り込まれた。
3月31日保有する国債の利払日となり、利息が当座預金口座に振り込まれた。
決算につき、売買目的有価証券の評価替えを行う。決算日における売買目的有価証券の時価は額面@100円につき@96.5円である。また、A社債について未収分の利息を計上するとともに、償却原価法(定額法)を適用する。
4月1日開始記入を行うとともに、経過勘定項目について再振替仕訳をおこなう。

あなたの解答

売買目的有価証券

日付 摘要 借方 貸方 借又は貸 残高
×5.6/1
×6.2/1
3/31
×6.4/1

満期保有目的債券

日付 摘要 借方 貸方 借又は貸 残高
×5.11/1
×6.3/31
×6.4/1

有価証券利息

日付 摘要 借方 貸方 借又は貸 残高
×5.6/1 当座預金
9/30 当座預金
×6.2/1 当座預金
3/31 当座預金
未収有価証券利息
満期保有目的債券
×6.4/1
円の 有価証券売却

※プルダウンから「損」か「益」のいずれかを選択すること。

解答・解説

(問1)と(問2)はどちらも勘定記入の問題ですが、(問1)は勘定式、(問2)は残高式という違いがあるので、一瞬戸惑った人がいるかもしれません。おそらく、残高式の記入に慣れていない人が多いと思いますので、この問題で確認しておきましょう。

(問1)

建物

日付摘要借方日付摘要借方
×10.4/1前期繰越17,680,000×10.4/30諸口1,680,000
10/1当座預金2,600,00010/1固定資産圧縮損200,000
12/1当座預金360,000×11.3/31減価償却費563,000
次期繰越18,197,000
20,640,00020,640,000

(問2)

・勘定記入

売買目的有価証券

日付摘要借方貸方借又は貸残高
×5.6/1当座預金980,000980,000
×6.2/1諸口196,000784,000
3/31有価証券評価損益12,000772,000
次期繰越772,000
980,000980,000
×6.4/1前期繰越772,000772,000

満期保有目的債券

日付摘要借方貸方借又は貸残高
×5.11/1当座預金591,000591,000
×6.3/31有価証券利息750591,750
次期繰越591,750
591,750591,750
×6.4/1前期繰越591,750591,750

有価証券利息

日付摘要借方貸方借又は貸残高
×5.6/1当座預金600600
9/30当座預金1,8001,200
×6.2/1当座預金2401,440
3/31当座預金1,4402,880
未収有価証券利息1,5004,380
満期保有目的債券7505,130
損益5,130
5,7305,730
×6.4/1未収有価証券利息1,5001,500

・当期の有価証券売却損益

2,000円の有価証券売却2点

配点:2点×6か所+1点×8か所=20点

※勘定記入は横一列が正解で得点。

※(問2)は借方欄と貸方欄の両方に記入していると不正解。


(問1)

4月1日(前期繰越)

【本社社屋】

取得してから前期末までに8年(取得日×2年4月1日~前期末×10年3月31日)経過しているので、残存耐用年数は32年(=40年ー8年)です。

・期首帳簿価額:¥20,000,000÷40年×残存耐用年数32年=¥16,000,000

【倉庫】

取得してから前期末までに6年(取得日×4年4月1日~前期末×10年3月31日)経過しているので、残存耐用年数は14年(=20年ー6年)です。

・期首帳簿価額:¥2,400,000÷20年×残存耐用年数14年=¥1,680,000

【前期繰越】

¥16,000,000+¥1,680,000=¥17,680,000

4月30日(固定資産の滅失)

借方金額貸方金額
減価償却費10,000建物1,680,000
未決算1,670,000

・減価償却費:¥2,400,000÷1か月/240か月(20年)=¥10,000

6月1日(保険金の確定)

借方金額貸方金額
未収入金1,870,000未決算1,670,000
保険差益200,000

・未決算勘定¥1,670,000を取り崩して、保険金との差額を「保険差益」とします。

MEMO

この時点では連絡を受けただけで、まだ実際に保険金を受け取っていないので「未収入金」とします。

6月30日(保険金の受取)

借方金額貸方金額
当座預金1,870,000未収入金1,870,000

10月1日(固定資産の購入・圧縮記帳)

借方金額貸方金額
建物2,600,000当座預金2,600,000
固定資産圧縮損200,000建物200,000

「圧縮記帳を行った事実を帳簿上で把握できるように仕訳をすること」と指示があるため、建物勘定を相殺してはいけません。もし相殺すると、以下のように借方に建物が¥2,400,000が生じることになり、帳簿上では¥2,400,000の建物を購入した場合と区別がつかなくなります。

借方金額貸方金額
建物2,400,000当座預金2,600,000
固定資産圧縮損200,000
建物を相殺した場合

建物

当座預金2,400,000

12月1日(定期的修繕)

改良のための支出(資本的支出)は建物の取得原価に含めます。また、修繕引当金を取り崩し、超過する金額は「修繕費」として処理します。

借方金額貸方金額
建物360,000当座預金1,200,000
修繕引当金600,000
修繕費240,000

・建物:¥1,200,000×30%=¥360,000

3月31日(決算)

借方金額貸方金額
減価償却費563,000建物563,000

【本社社屋】

・既存分:¥20,000,000÷40年=¥500,000

・新規分(資本的支出):¥360,000÷40年×4カ月/12カ月=¥3,000

【倉庫】

・(¥2,600,000ー¥200,000)÷20年×6カ月/12カ月=¥60,000

【減価償却費】

¥500,000+¥3,000+¥60,000=¥563,000

(問2)

6月1日(売買目的有価証券の購入)

借方金額貸方金額
売買目的有価証券980,000当座預金980,600
有価証券利息600

・売買目的有価証券:¥1,000,000×@¥98.0/@¥100=¥980,000

・有価証券利息(端数利息):¥1,000,000×0.36%×2か月/12か月=¥600

MEMO

端数利息は、直近の利払日の翌日(4月1日)から売買日(6月1日)までの期間で計算します。通常、端数利息は日割りで計算しますが、本問では指示により月割計算ということに注意してください。

9月30日(利払日)

借方金額貸方金額
当座預金1,800有価証券利息1,800

・¥1,000,000×0.36%×6か月/12か月=¥1,800

11月1日(満期保有目的債券の購入)

借方金額貸方金額
満期保有目的債券591,000当座預金591,000

・¥600,000×@¥98.5/@¥100=¥591,000

MEMO

A社社債は利払日の翌日に購入しているため、端数利息を考慮する必要はありません。

2月1日(売買目的有価証券の売却)

借方金額貸方金額
当座預金194,000売買目的有価証券196,000
有価証券売却損2,000
当座預金240有価証券利息240

・売買目的有価証券(帳簿価額):¥200,000×@¥98.0/@¥100=¥196,000

・売却額:¥200,000×@¥97.0/@¥100=¥194,000

・有価証券利息(端数利息):¥200,000×0.36%×4か月/12か月=¥240

MEMO

端数利息は、直近の利払日の翌日(10月1日)から売買日(2月1日)までの期間で計算します。

参考

次のように仕訳を行う場合も考えられます。

借方金額貸方金額
当座預金194,240売買目的有価証券196,000
有価証券売却損2,000有価証券利息240

この場合、有価証券利息勘定における摘要欄の記入は「諸口」となります。ただし、本問では摘要欄に「当座預金」とあるため、解説にあるような仕訳を書いていると推定します。

3月31日(利払日)

借方金額貸方金額
当座預金1,440有価証券利息1,440

・(¥1,000,000-¥200,000)×0.36%×6か月/12か月=¥1,440

注意

額面¥200,000分は売却して無くなっているということに注意しましょう。

3月31日(決算)

(1)決算整理仕訳

【売買目的有価証券】

売買目的有価証券は期末の時価で評価し、評価差額は当期の損益(有価証券評価損益)とします。

借方金額貸方金額
有価証券評価損益12,000売買目的有価証券12,000

・帳簿価額:¥800,000×@¥98.0/@¥100=¥784,000

・時価:¥800,000×@¥96.5/@¥100=¥772,000

・有価証券評価損益:¥772,000ー¥784,000=△¥12,000(評価損)

【満期保有目的債券】

未収分の利息の計上

借方金額貸方金額
未収有価証券利息1,500有価証券利息1,500

・¥600,000×0.6%×5か月/12か月=¥1,500

MEMO

未収有価証券利息は、購入日(11月1日)から決算日(3月31日)までの期間で計算します。

償却原価法

借方金額貸方金額
満期保有目的債券750有価証券利息750

・(額面¥600,000ー取得原価¥591,000)×5カ月/60か月(5年)=¥750

(2)決算振替仕訳

借方金額貸方金額
有価証券利息5,130損益5,130

×6年4月1日(翌期首)

未収有価証券利息について、翌期首に再振替仕訳を行います。

借方金額貸方金額
有価証券利息1,500未収有価証券利息1,500

第3問

次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。なお、会計期間はx4年4月1日からx5年3月31日までの1年間である。また、当社では支店独立会計制度を採用している。

[資料Ⅰ] x5年2月末日における残高試算表の金額

支店勘定:¥840,000(借方)、本店勘定:¥840,000(貸方)

[資料Ⅱ]3月中に行われた本支店間取引(すべて適正に処理済み)
①本店は支店へ現金¥100,000を送付し、支店はこれを受け取った。
②本店は支店の得意先より売掛金¥250,000を現金で回収し、支店はこの報告を受けた。
③本店は支店の仕入先へ買掛金¥130,000を現金で支払い、支店はこの報告を受けた。
④支店は本店の営業費¥150,000を現金で支払い、本店はこの報告を受けた。

[資料Ⅲ] 決算整理前残高試算表(単位:円)

決算整理前残高試算表
x5年3月31日

借方本店支店貸方本店支店
現金預金534,000( ? )買掛金( ? )400,000
売掛金1,472,000610,000借入金1,000,000
繰越商品1,816,000840,000貸倒引当金32,00014,000
備品300,000240,000備品減価償却累計額150,00072,000
支店( ? )本店( ? )
仕入11,600,0004,200,000資本金750,000
営業費3,560,0001,250,000利益剰余金200,000
支払利息48,000売上16,990,0006,244,000
( ? )( ? )( ? )( ? )
[資料Ⅳ] 決算整理事項

1.期末商品棚卸高は次のとおりである。なお、棚卸減耗損および商品評価損は生じていない。

 本店:¥1,750,000、支店:¥870,000

2.本支店ともに、売掛金の期末残高に対して3%の貸倒引当金を差額補充法により計上する。

3.本支店ともに、備品について、定額法(耐用年数10年、残存価額ゼロ)により減価償却を行う。

4.営業費の前払い:本店¥260,000、支店¥80,000

5.支払利息の未払い:本店¥12,000

あなたの解答

(問1)本店の損益勘定を作成しなさい。なお、総合損益勘定は設けずに、支店の純利益は決算日において本店の損益勘定へ振り替え、本店の損益勘定において会社全体の純利益を算定する。

損益

仕入
売上
営業費
貸倒引当金繰入
減価償却費
支払利息

(問2)次の各金額を答えなさい。

決算整理前残高試算表の支店勘定
決算整理後残高試算表の支店勘定
支店勘定の次期繰越額
本支店合併損益計算書における売上総利益

解答・解説

本支店会計の出題頻度はそれほど高くありませんが、全く対策をしていないと、もし出題された場合に手も足も出ないということになりかねません。なので、基本的な対策はしておきましょう。

本問1問がしっかりとできていれば、おそらく本支店会計に関しては大丈夫だと思いますので、この問題で基本を確認しておいてください。

(問1)

損益

仕入11,666,000売上16,990,000
営業費3,300,000支店875,700
貸倒引当金繰入12,160
減価償却費30,000
支払利息60,000
繰越利益剰余金2,797,540
17,865,70017,865,700

(問2)

決算整理前残高試算表の支店勘定¥670,000
決算整理後残高試算表の支店勘定¥670,000
支店勘定の次期繰越額¥1,545,700
本支店合併損益計算書における売上総利益¥7,398,000

配点:2点×10か所=合計20点


3月中に行われた本支店間取引

①本店は支店へ現金¥100,000を送付し、支店はこれを受け取った。

借方金額貸方金額
支店100,000現金100,000
本店側の仕訳
借方金額貸方金額
現金100,000本店100,000
支店側の仕訳

②本店は支店の得意先より売掛金¥250,000を現金で回収し、支店はこの報告を受けた。

借方金額貸方金額
現金250,000支店250,000
本店側の仕訳
借方金額貸方金額
本店250,000売掛金250,000
支店側の仕訳

③本店は支店の仕入先へ買掛金¥130,000を現金で支払い、支店はこの報告を受けた。

借方金額貸方金額
支店130,000現金130,000
本店側の仕訳
借方金額貸方金額
買掛金130,000本店130,000
支店側の仕訳

④支店は本店の営業費¥150,000を現金で支払い、本店はこの報告を受けた。

借方金額貸方金額
営業費150,000支店150,000
本店側の仕訳
借方金額貸方金額
本店150,000現金150,000
支店側の仕訳
注意

「すべて適正に処理済み」とあるため、これらの金額は決算整理前残高試算表に反映されているという点に注意しましょう。

以上より、決算整理前残高試算表の支店勘定および本店勘定は次のようになります。

支店の損益勘定の作成

まず、支店の純利益を算定するために、支店の損益勘定を作成します。

決算整理事項1

借方金額貸方金額
仕入840,000繰越商品840,000
繰越商品870,000仕入870,000

決算整理事項2

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入4,300貸倒引当金4,300

・¥610,000×3%ー¥14,000=¥4,300

決算整理事項3

借方金額貸方金額
減価償却費24,000備品減価償却累計額24,000

・¥240,000÷10年=¥24,000

決算整理事項4

借方金額貸方金額
前払営業費80,000営業費80,000

支店の損益振替

借方金額貸方金額
売上6,244,000損益6,244,000
損益5,368,300仕入4,170,000
営業費1,170,000
貸倒引当金繰入4,300
減価償却費24,000

支店の純利益の算定

最後に、支店の純利益(損益勘定の貸借差額)を本店勘定へ振り替えます。

借方金額貸方金額
損益875,700本店875,700

・収益合計¥6,244,000ー費用合計¥5,368,300=純利益¥875,700

MEMO

本店の損益勘定は本店の帳簿にあるため、直接支店の純利益を振り替えることはできません。そこで、本店勘定(本店側では支店勘定)を通じて利益の振り替えを行います。

以上より、支店の損益勘定を作成すると次のようになります。

損益

仕入4,170,000売上6,244,000
営業費1,170,000
貸倒引当金繰入4,300
減価償却費24,000
本店875,700
6,244,0006,244,000

本店の損益勘定の作成

次に、本店および会社全体の純利益を算定するために、本店の損益勘定を作成します。

決算整理事項1

借方金額貸方金額
仕入1,816,000繰越商品1,816,000
繰越商品1,750,000仕入1,750,000

決算整理事項2

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入12,160貸倒引当金12,160

・¥1,472,000×3%ー¥32,000=¥12,160

決算整理事項3

借方金額貸方金額
減価償却費30,000備品減価償却累計額30,000

・¥300,000÷10年=¥30,000

決算整理事項4

借方金額貸方金額
前払営業費260,000営業費260,000

決算整理事項5

借方金額貸方金額
支払利息12,000未払利息12,000

【参考】決算整理後残高試算表

決算整理後残高試算表
x5年3月31日

借方本店支店貸方本店支店
現金預金534,000260,000買掛金878,000400,000
売掛金1,472,000610,000借入金1,000,000
繰越商品1,750,000870,000貸倒引当金44,16018,300
備品300,000240,000備品減価償却累計額180,00096,000
前払営業費260,00080,000未払利息12,000
支店670,000本店670,000
仕入11,666,0004,170,000資本金750,000
営業費3,300,0001,170,000利益剰余金200,000
貸倒引当金繰入12,1604,300売上16,990,0006,244,000
減価償却費30,00024,000
支払利息60,000
20,054,1607,428,30020,054,1607,428,300

・本店の買掛金と支店の現金預金は貸借差額で求めますが、本問と関係ないので無視しても構いません。

MEMO

決算整理において支店勘定の修正はないので、前T/Bの支店勘定と後T/Bの支店勘定は同じになります。

本店の損益振替

借方金額貸方金額
売上16,990,000損益16,990,000
損益15,068,160仕入11,666,000
営業費3,300,000
貸倒引当金繰入12,160
減価償却費30,000
支払利息60,000

支店の純利益の受け入れ

本店では、支店の純利益を支店勘定を使って損益勘定へ振り替えます。

借方金額貸方金額
支店875,700損益875,700

会社全体の利益の算定

最後に、損益勘定の貸借差額(本店の純利益¥1,921,840+支店の純利益¥875,700)で会社全体の利益を算定し、繰越利益剰余金へ振り替えます。

借方金額貸方金額
損益2,797,540繰越利益剰余金2,797,540

・本店の純利益:収益合計¥16,990,000ー費用合計¥15,068,160=純利益¥1,921,840

以上より、本店の損益勘定を作成すると次のようになります。

損益

仕入11,666,000売上16,990,000
営業費3,300,000支店875,700
貸倒引当金繰入12,160
減価償却費30,000
支払利息60,000
繰越利益剰余金2,797,540
17,865,70017,865,700

なお、支店勘定および本店勘定の次期繰越額は次のようになります。

本支店合併損益計算書における売上総利益

本支店合併損益計算書における売上高:本店¥16,990,000+支店¥6,244,000=¥23,234,000

本支店合併損益計算書における売上原価:本店¥11,666,000+支店¥4,170,000=¥15,836,000

本支店合併損益計算書における売上総利益:¥23,234,000ー¥15,836,000=¥7,398,000

第4問(1)

配点:4点×3問=12点

問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解

当社の埼玉工場では、直接材料を工程の始点で投入し、単一の製品Aをロット生産している。標準原価計算制度を採用し、勘定記入の方法はシングル・プランによる。次の[資料]にもとづいて、下記の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。なお、月初に直接材料、仕掛品、製品の在庫は存在しなかった。また、借方と貸方に同じ勘定科目が生じる場合は相殺しないこと。

[資料]

1.製品Aの原価標準(直接材料費のみ)

直接材料費:標準単価 ¥1,200 × 標準消費量 2kg = ¥2,400

2.当月の生産実績

完成品:360個(月末仕掛品は存在しない)

あなたの解答

1 直接材料900kgを1kg当たり¥1,280で掛けにて購入した。なお、当工場では実際の購入単価をもって材料勘定への受入記録を行っている。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
材料1,152,000買掛金1,152,000

・@¥1,280×900kg=¥1,152,000

あなたの解答

2 製品A360個に対する標準直接材料費を仕掛品勘定に振り替えた。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
仕掛品864,000材料864,000

・¥2,400/個 × 360個=¥864,000 または

・標準単価 ¥1,200 /kg × 標準消費量720kg=¥864,000

MEMO

標準消費量は「1個あたり標準消費量 2kg ×実際生産量360個」で求めます。月初と月末に仕掛品は存在しないので「生産量=完成品」となります。

シングル・プランを採用している場合は、材料費(材料の消費額)は標準の消費単価(¥2,400/個)で計算します。したがって、シングル・プランでは材料勘定において原価差異が把握されます。

対して、パーシャル・プランでは仕掛品勘定において原価差異が把握されます。忘れた人はパーシャル・プランも復習しておきましょう。

あなたの解答

3 製品Aに対する実際直接材料消費量は690kgであったので、上記2の標準直接材料費との差額を価格差異勘定と数量差異勘定に振り替えた。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
価格差異55,200材料55,200
材料36,000数量差異36,000

・価格差異:(@¥1,200ー@¥1,280)×690kg=△¥55,200(不利差異)

・数量差異:@¥1,200×(720kgー690kg)=¥36,000(有利差異)

MEMO

不利差異か有利差異かは、計算式を丸暗記するのではなく理屈で考えましょう。

・価格差異:標準(目標)よりも材料の価格が高かった→不利

・数量差異:標準(目標)よりも材料の消費量が少なくて済んだ→有利

価格差異は不利差異(借方差異)となるので、価格差異勘定の借方へ振り替えます。一方、数量差異は有利差異(貸方差異)となるので、数量差異勘定の貸方へ振り替えます。

第4問(2)

当社では、累加法による工程別総合原価計算によって製品原価の計算を行っている。以下の資料にもとづいて、仕掛品勘定に記入するとともに、完成品単位原価および月末仕掛品原価を答えなさい。

[資料]

1.生産データ

第1工程

月初仕掛品500個(0.6)
当月投入2,500個
合 計3,000個
月末仕掛品600個(0.3)
完成品2,400個

第2工程

月初仕掛品650個(0.4)
当月投入2,400個
合 計3,050個
月末仕掛品450個(0.8)
完成品2,600個

・( )内の数値は加工進捗度を表す。

2.原価データ

月初仕掛品原価当月製造費用
第1工程第2工程第1工程第2工程
直接材料費¥250,000¥2,000,000
加工費¥256,000¥232,700¥2,324,000¥2,484,000
前工程費¥1,040,000

3.その他
・月末仕掛品の計算は、第1工程が平均法、第2工程が先入先出法による。
・材料は第1工程の始点ですべて投入している。
・第1工程の完成品は第2工程の始点ですべて投入される。

あなたの解答

仕掛品(第1工程)

前月繰越
第1工程完成品
直接材料費
次月繰越
加工費

仕掛品(第2工程)

前月繰越
第2工程完成品
前工程費
次月繰越
加工費
完成品単位原価
月末仕掛品原価

解答・解説

仕掛品(第1工程)

前月繰越 506,000第1工程完成品4,200,000
直接材料費2,000,000次月繰越630,000
加工費2,324,000
4,830,0004,830,000

仕掛品(第2工程)

前月繰越 1,272,700第2工程完成品6,838,000
前工程費4,200,000次月繰越1,118,700
加工費2,484,000
7,956,7007,956,700
完成品単位原価2,630円
月末仕掛品原価1,748,700円

配点:2点×8か所=16点

・前月繰越(第1工程):¥250,000+¥256,000=¥506,000

・前月繰越(第2工程):¥1,040,000+¥232,700=¥1,272,700


第1工程

・直接材料費の平均単価:(¥250,000+¥2,000,000)÷(500個+2,500個)=@¥750

・月末仕掛品(直接材料費):@¥750×600個=¥450,000

・完成品原価(直接材料費):(¥250,000+¥2,000,000)ー¥450,000=¥1,800,000

または、@¥750×2,400個

・加工費の平均単価:(¥256,000+¥2,324,000)÷(300個+2,280個)=@¥1,000

・月末仕掛品(加工費):@¥1,000×180個=¥180,000

・完成品原価(加工費):(¥256,000+¥2,324,000)ー¥180,000=¥2,40,000

または、@¥1,000×2,400個

・第1工程完成品原価:直接材料費¥1,800,000+加工費¥2,400,000=¥4,200,000

・第1工程月末仕掛品原価:¥450,000+¥180,000=¥630,000

MEMO

加工費の当月投入量(換算量)は貸借差額で求めます。

第2工程

・月末仕掛品(前工程費):第1工程完成品原価¥4,200,000÷2,400個×450個=¥787,500

・完成品原価(前工程費):¥1,040,000+¥4,180,000ー¥787,500=¥4,452,500

・月末仕掛品(加工費):¥2,484,000÷2,700個×360個=¥331,200

・完成品原価(加工費):¥232,700+¥2,484,000ー¥331,200=¥2,385,500

・第2工程完成品原価:¥4,452,500+¥2,385,500=¥6,838,000

・第2工程月末仕掛品原価:¥787,500+¥331,200=¥1,118,700

・完成品単位原価:¥6,838,000÷2,600個=@¥2,630

・月末仕掛品原価:第1工程¥630,000+第2工程¥1,118,700=¥1,748,700

MEMO

第2工程の完成品原価が最終的な製品の完成品原価となります。また、月末仕掛品原価は第1工程と第2工程の月末仕掛品原価の合計です。

第5問

当社では、全部実際原価計算を採用している。次の[資料]にもとづいて、以下の諸勘定を完成しなさい。なお、当社では月次決算を行っているが、原価差異はすべて当月の売上原価に賦課することとする。

[資料]当年度の実績データ

1.素材(主要材料)に関する資料

月初有高¥1,360,000当月購入代価¥9,000,000
月末帳簿残高¥1,420,000月末実際有高¥1,230,000

・月末の帳簿残高と実際有高の差額は正常なものである。
・材料購入時に引取費用を予定配賦している(資料2参照)。

2.素材の材料副費に関する資料

(1)引取費用(外部副費)の実際発生額

引取運賃¥220,000買入手数料¥80,000関税¥180,000

・引取費用は材料の購入代価の5%を予定配賦する。

(2)内部副費の実際発生額

購入事務費¥300,000検収費¥150,000保管費¥100,000

・内部副費はすべて、実際発生額を間接経費として処理する。

3.直接工に関する資料

(1)給与支給額

当月現金支給額¥4,500,000従業員預り金¥700,000
前月未払高¥600,000当月未払高¥800,000

・従業員預り金は、源泉所得税額と社会保険料である。

(2)実際勤務時間

加工時間3,800時間段取時間200時間間接作業時間500時間
手待時間120時間休憩時間300時間

・直接工の消費賃金は、予定平均賃率(@¥1,200/時間)で計算している。

4.製造間接費に関する資料

製造間接費は変動予算として設定しており、直接作業時間を基準として予定配賦している。製造間接費の予算額(月額)は¥11,000,000、基準操業度5,000時間(月間)である。

5.その他の資料
①補助材料:月初有高¥80,000、当月購入高¥500,000、月末有高¥100,000
②機械油の当月消費額:¥150,000
③耐用年数1年未満の製造用工具・器具・備品の取得原価:¥230,000
④外注加工賃:¥400,000
⑤工場の機械修理工の賃金(当月要支払額):¥800,000
⑥工場職員の給料(当月要支払額):¥1,200,000
⑦工場長の給料(当月要支払額):¥500,000
⑧本社職員の給料(当月要支払額):¥2,300,000
⑨従業員募集費:工員募集費¥150,000、本社職員募集費¥120,000
⑩従業員研修の講師料:工員向け¥300,000、本社職員向け¥400,000
⑪工員用住宅などの福利施設負担額:¥820,000
⑫工場の電力・ガス・水道の利用料金:当月支払額¥750,000、メーター測定値による当月消費額¥780,000
⑬工場の固定資産税:¥600,000
⑭減価償却費(月額):本社分¥500,000、工場分¥1,400,000
⑮広告宣伝費:¥700,000

あなたの解答

製造間接費

間接材料費
仕掛品
間接労務費
製造間接費配賦差異
間接経費

仕掛品

月初仕掛品 350,000 製品
直接材料費
月末仕掛品 500,000
直接労務費
直接経費
製造間接費

製品

月初製品 600,000 売上原価
仕掛品
月末製品 700,000

売上原価

製品
月次損益
材料副費配賦差異
材料副費配賦差異
賃率差異
賃率差異
製造間接費配賦差異
製造間接費配賦差異

※記入が不要な箇所は空欄のままにしておくこと。

解答・解説

製造間接費

間接材料費860,000仕掛品8,800,000
間接労務費3,244,000製造間接費配賦差異94,000
間接経費4,790,000
8,894,0008,894,000

仕掛品

月初仕掛品350,000製品23,240,000
直接材料費9,390,000月末仕掛品500,000
直接労務費4,800,000
直接経費400,000
製造間接費8,800,000
23,740,00023,740,000

製品

月初製品600,000売上原価23,140,000
仕掛品23,240,000月末製品700,000
23,840,00023,840,000

売上原価

製品23,140,000月次損益23,120,000
材料副費配賦差異30,000材料副費配賦差異
賃率差異賃率差異144,000
製造間接費配賦差異94,000製造間接費配賦差異
23,264,00023,264,000

配点:1点×12か所=合計12点

※売上原価勘定の材料副費配賦差異、賃率差異、製造間接費配賦差異は、借方と貸方の両方に記入していると不正解。


本問は勘定連絡に関する問題です。費目別計算や勘定連絡が手薄になっている人が多い印象なので確認のために出題しました。

各論点は基本的な内容ですが、1つのミスが全体に影響してしまうので、焦らず慎重に計算していく必要があります。

1.材料費(直接材料費)

素材

月初有高1,360,000直接材料費(c)9,390,000
購入代価9,000,000間接経費(b)190,000
材料副費(a)450,000月末有高1,230,000
10,810,00010,810,000

(a)引取費用:購入代価¥9,000,000×5%=¥450,000

(b)棚卸減耗損:帳簿残高¥1,420,000-実際有高¥1,230,000=¥190,000

(c)貸借差額

注意

棚卸減耗損は間接経費となります。材料費ではないので注意しましょう。

2.材料副費

材料副費

引取費用(d)480,000素材(f)450,000
内部副費(e)550,000間接経費(e)550,000
材料副費配賦差異(g)30,000
1,030,0001,030,000

(d)引取運賃¥220,000+買入手数料¥80,000+関税¥180,000=¥480,000

(e)購入事務費¥300,000+検収費¥150,000=保管費¥100,000=¥550,000

(f)予定配賦額:購入代価¥9,000,000×5%=¥450,000

(g)予定配賦額¥450,000ー実際発生額¥480,000=△¥30,000(不利差異)

または、貸借差額で求めてもOK

MEMO1

内部副費は問題の指示により、実際発生額をそのまま間接経費とします。

MEMO2

材料副費配賦差異は「コストが予定よりも多く発生してしまった」ということなので不利差異となります。計算式を暗記するのではなく、理屈で考えましょう。

3.労務費(直接工賃金)

直接工賃金

当月支払高(h)5,200,000月初未払高600,000
月末未払高800,000直接労務費(i)4,800,000
賃率差異(k)144,000間接労務費(j)744,000
6,144,0006,144,000

(h)現金支給額¥4,500,000+従業員預り金¥700,000=¥5,200,000

(i)@¥1,200×直接作業時間(加工時間3,800時間+段取時間200時間)=¥4,800,000

(j)@¥1,200×(間接作業時間500時間+手待時間120時間)=¥744,000

(k)予定消費額¥5,544,000ー実際発生額¥5,400,000=¥144,000(有利差異)

または、貸借差額で求めてもOK

・予定消費額:直接労務費¥4,800,000+間接労務費¥744,000

・実際発生額:当月支払¥5,200,000ー前月未払¥600,000+当月未払¥800,000

注意

当月支払高は、支給額総額(預り金等を差し引く前の金額)となります。

借方金額貸方金額
直接工賃金5,200,000従業員預り金700,000
現金預金4,500,000
賃金支払時
MEMO1

休憩時間は就業時間に含まれないため、支払いの対象とはなりません。

MEMO2

賃率差異は、「予定(予想)よりもコストが少なくて済んだ」ので有利差異となります。

4.製造間接費

製造間接費

間接材料費仕掛品(l)8,800,000
間接労務費製造間接費配賦差異
間接経費

(l)予定配賦額:@¥2,200×直接作業時間4,000時間=¥8,800,000

・予定配賦率:予算額¥11,000,000÷基準操業度5,000時間=@¥2,200/時間

MEMO

この他の項目はまだ金額が確定していないので、空欄のままにしておきます。

5.その他

間接材料費

①補助材料の当月消費額:月初有高¥80,000+当月購入高¥500,000ー月末有高¥100,000=¥480,000

②機械油の当月消費額:¥150,000(工場消耗品費)

③耐用年数1年未満の製造用工具・器具・備品の取得原価:¥230,000(消耗工具器具備品費)

よって、間接材料費は次のようになります。

・間接材料費:①¥480,000+②¥150,000+③¥230,000=¥860,000

間接労務費

⑤工場の機械修理工の賃金(当月要支払額):¥800,000(間接工賃金)

⑥工場職員の給料(当月要支払額):¥1,200,000

⑦工場長の給料:¥500,000

よって、間接労務費は次のようになります。

・間接労務費:直接工の間接作業時間・手待時間分¥744,000(資料3より)+⑤¥800,000+⑥¥1,200,000+⑦¥500,000=¥3,244,000

MEMO1

直接工の直接作業時間分以外は、すべて間接労務費となります。

MEMO2

「⑧本社職員の給料」は製造原価ではありません(損益計算書の販売費及び一般管理費に計上します)。”工場”や”工員”とついているものが製造原価になると覚えておけば、ほぼ大丈夫です。

間接経費

⑨従業員募集費(工員募集費):¥150,000

⑩従業員研修の講師料(工員向け):¥300,000

⑪工員用住宅などの福利施設負担額:¥820,000

⑫工場の電力・ガス・水道の利用料金(メーター測定値による当月消費額):¥780,000

⑬工場の固定資産税:¥600,000

⑭減価償却費(工場分):¥1,400,000

よって、間接経費は次のようになります。

・間接経費:棚卸減耗損¥190,000(資料1より)+内部副費¥550,000(資料2より)+⑨¥150,000+⑩¥300,000+⑪¥820,000+⑫¥780,000+⑬¥600,000+⑭¥1,400,000=¥4,790,000

MEMO1

材料費及び労務費以外の製造原価はすべて経費となります。経費は非常に種類が多いので丁寧に集計しましょう。

MEMO2

工員や工場を対象としたものだけが経費となります。

以上の計算結果を製造間接費勘定に記入していきます。

製造間接費

間接材料費860,000仕掛品8,800,000
間接労務費3,244,000製造間接費配賦差異(m)94,000
間接経費4,790,000
8,894,0008,894,000

(m)貸借差額

MEMO

製造間接費配賦差異は、「借方(実際発生額)>貸方(予定配賦額)」となっているので不利差異となります(予定よりもコストが多く発生してしまった)。

仕掛品勘定、製品勘定、売上原価勘定

仕掛品

月初仕掛品350,000製品23,240,000
直接材料費9,390,000月末仕掛品500,000
直接労務費4,800,000
直接経費(n)400,000
製造間接費8,800,000
23,740,00023,740,000

(n)資料5.④外注加工賃

MEMO

外注加工賃は経費の中では珍しい直接経費の1つです。

製品

月初製品600,000売上原価23,140,000
仕掛品23,240,000月末製品700,000
23,840,00023,840,000

売上原価

製品23,140,000月次損益(o)23,120,000
材料副費配賦差異30,000賃率差異144,000
製造間接費配賦差異94,000
23,264,00023,264,000

(o)貸借差額

不利差異(材料副費配賦差異と製造間接費配賦差異)は売上原価勘定の借方へ振り替えられるため、売上原価のプラス(利益のマイナス)となります。

逆に、有利差異(賃率差異)は売上原価勘定の貸方へ振り替えられるため、売上原価のマイナス(利益のプラス)となります。

【参考】販売費及び一般管理費(損益計算書)

以下の項目は製造原価とはなりません。損益計算書の販売費及び一般管理費に計上します。

⑧本社職員の給料

⑨従業員募集費(本社職員募集費)

⑩従業員研修の講師料(本社職員向け)

⑭減価償却費(本社分)

⑮広告宣伝費

受験科目【第4回】2級模擬試験
かかった時間
得点

管理人の下書用紙(クリックで拡大)

商業簿記

bouquet

工業簿記

bouquet

※説明も兼ねて本来より少し多めに書いています。

集計漏れや二重計上がないように、解答の記入が終わったら科目や金額の横にチェック(✓)を付けておきましょう。

試験を終了する