第1問

配点:4点×5問=20点

問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解

下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。

あなたの解答

1 当社は事務用品の販売を行っており、オフィス用デスク(¥100,000)とオフィス用チェア(¥50,000)を大阪商事へ販売する契約を締結するとともに、先にオフィス用デスクのみを引き渡していたが、本日、オフィス用チェアの引き渡しを行ったため、大阪商事へ請求書を送付した。なお、代金はオフィス用チェアを引き渡した後に請求する契約となっており、オフィス用デスクの引き渡しとオフィス用チェアの引き渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別している。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
売掛金150,000売上50,000
契約資産100,000

オフィス用デスクを引き渡したときには、次のような仕訳をしています。

借方金額貸方金額
契約資産100,000売上100,000

対価の受け取りにはオフィス用チェアの引き渡しという条件が必要であり、この時点ではまだ代金を受け取る権利(法的な代金請求権)がないので、売掛金等は使えません。そこで「契約資産」で処理します。

その後、オフィス用チェアの引き渡しにより代金を請求する権利が生じたため、これを「売掛金」に振り替えます。

MEMO

「オフィス用デスクの引き渡しとオフィス用チェアの引き渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別している」というのは、それぞれ別々に売上を認識するという意味です。

あなたの解答

2 札幌商事に対する買掛金¥2,500,000の支払い時に、同社からの仕入割戻¥300,000が未収入金に含まれていることが判明したため、これを相殺した純額で支払うこととし、普通預金口座から支払った。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
買掛金2,500,000未収入金300,000
普通預金2,200,000

一定期間に一定以上の商品を仕入れた場合に、仕入先からリベート(報奨金)を受け取ることがありますが、これを仕入割戻しといいます。仕入割戻しを受けたときには次のような仕訳をしています。

借方金額貸方金額
未収入金300,000仕入300,000

この未収入金を差し引いた金額を普通預金から支払います。

MEMO

仕入割戻しは「買掛金」から減額する場合もありますが、本問では「未収入金に含まれている」とあることから「未収入金」で処理します。

あなたの解答

3 沖縄商事から、商品¥3,200,000と研究開発専用で使用する測定機器備品¥600,000を、翌月末払いの条件で購入した。これらに対する消費税の税率は10%であり、取引は税抜方式により記帳する。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
仕入3,200,000買掛金3,520,000
研究開発費600,000未払金660,000
仮払消費税380,000

商品の購入額は「仕入」および「買掛金」、研究開発専用で使用する測定機器備品の購入額は「研究開発費」および「未払金」で処理します。

・買掛金:¥3,200,000×1.1=¥3,520,000

・未払金:¥600,000×1.1=¥660,000

・仮払消費税:(¥3,200,000+¥600,000)×1.1=¥380,000

MEMO

税抜方式を採用しているので、「仕入」および「研究開発費」は税抜きの金額で計上し、支払った消費税額は「仮払消費税」とします。

あなたの解答

4 前期に保証書をつけて販売した商品について無償修理の依頼があり、貯蔵品に計上されている修理用部品を使用した分の修理費用合計¥1,150,000が発生した。なお、前期末に計上した商品保証引当金の残高は¥1,000,000であった。借方と貸方に同じ勘定科目が生じる場合は、両者を相殺して仕訳をすること。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
商品保証引当金1,000,000貯蔵品1,150,000
商品保証費150,000

前期に販売した商品について、当期に保証を行った場合はまず「商品保証引当金」を取り崩し、超過する部分は「商品保証費」とします。

また、貯蔵品に計上されている修理用部品を使用しているため、修理費用合計¥1,150,000分の貯蔵品を減少させます。

なお、本問は次のように仕訳をすることも考えられます。

借方金額貸方金額
商品保証費1,150,000貯蔵品1,150,000
商品保証引当金1,000,000商品保証費1,000,000

ただし「借方と貸方に同じ勘定科目が生じる場合は、両者を相殺して仕訳をする」旨の指示があるため、この仕訳を書いた場合は不正解となります。

あなたの解答

5 商品¥300,000をクレジット払いの条件で顧客に販売し、信販会社へのクレジット手数料(税抜き販売代金の4%)を販売時に認識した。なお、消費税の税率は販売代金に対して10%とし、税抜方式で処理するが、クレジット手数料には消費税は課税されない。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
クレジット売掛金318,000売上300,000
支払手数料12,000仮受消費税30,000

この仕訳は、次のように2つに分解して考えるとわかりやすいと思います。

①クレジットによる販売

借方金額貸方金額
クレジット売掛金288,000売上300,000
支払手数料12,000

・支払手数料:¥300,000×4%=¥12,000

②消費税の処理

借方金額貸方金額
クレジット売掛金30,000仮受消費税30,000

・販売代金¥300,000×10%=¥30,000

第2問

(問1)以下の資料にもとづいて、ソフトウェア勘定に記入するとともに、当期の固定資産除却損の金額を答えなさい。なお、当期(×7年4月1日から×8年3月31日までの1年間)のソフトウェア関連の取引は[資料Ⅱ]に記載されており、減価償却の方法は[資料Ⅲ]に記載されている。

【解答にあたっての留意事項】
・日付は採点の対象としないため、記入しなくてもよい。
・英米式決算法によって帳簿を締め切ること。
・翌期の開始記入は不要である。

[資料Ⅰ]前期末(×7年3月31日)の固定資産台帳の内容(取得原価の部分まで)

固定資産台帳

取得年月日用途期末数量耐用年数取得原価
ソフトウェア
 ×1. 4.1システムA110年2,000,000
 ×5.10.1システムB110年3,000,000
[資料Ⅱ]当期のソフトウェアに関する取引

①社内利用目的のソフトウェア(システムC)の開発を外部に依頼し、4回均等分割支払いの条件で契約総額¥4,000,000の全額を未払計上し、3回分をすでに支払っていた。×8年1月1日、このソフトウェアの製作が完成し、使用を開始したため、ソフトウェア勘定に振り替えるとともに、最終回(第4回目)の支払いを普通預金から行った。

②同日(×8年1月1日)、システムC(耐用年数10年)の稼働に伴い、システムAが不要となったため、12月末の帳簿価額にもとづき、除却処理を行った。

[資料Ⅲ]減価償却の方法

ソフトウェアは、定額法(直接法)によって償却する。なお、期中取得分は年間の償却費を月割りで計算すること。

あなたの解答

ソフトウェア

日付 摘要 借方 日付 摘要 借方
固定資産除却損

・青が正解、赤が不正解

(問2)以下の[資料]にもとづいて、損益計算書および貸借対照表(単位:円)の一部に記入しなさい。なお、当期の会計期間は×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間である。

[資料Ⅰ]期首時点で保有している有価証券

銘柄取得原価前期末時価当期末時価保有目的
A社株式¥500,000¥550,000¥540,000その他
B社株式¥300,000¥280,000¥320,000その他
[資料Ⅱ]当期の有価証券に関する取引
①×5年10月1日、売買目的でC社株式500株を¥800で取得し、代金は普通預金口座から支払った。
②×5年11月15日、売買目的でC社株式500株を¥860で取得し、代金は普通預金口座から支払った。
③×5年12月20日、保有するC社株式のうち700株を1株につき¥840で売却し、代金は普通預金口座に振り込まれた。
④×6年2月1日、A社株式の発行済株式の10%を所有していたが、追加で50%を新たに取得し、A社に対する支配を獲得することとなり、代金¥2,500,000を普通預金口座から支払った。
⑤×6年3月31日、決算につき有価証券に関する処理を行う。なお、C社株式の当期末時価は1株¥810である。

[資料Ⅲ]その他
・その他有価証券の評価は全部純資産直入法による。また、税効果会計については考慮しなくてよい。
・払出単価の計算は移動平均法による。
・売買目的有価証券は分記法で記帳すること。

あなたの解答

損益計算書(一部)
×5年4月1日から×6年3月31日

Ⅳ 営業外収益
Ⅴ 営業外費用

貸借対照表(一部)
×6年3月31日

資産の部 ・・・(省略)・・・
Ⅰ流動資産 純資産の部
  有価証券
Ⅱ評価・換算差額等
Ⅱ固定資産  その他有価証券評価差額金
 3.投資その他の資産
  投資有価証券
  関係会社株式

・青が正解、赤が不正解

解答・解説

(問1)

ソフトウェア

日付摘要借方日付摘要借方
×7.4.1前期繰越3,350,000×8.1.1諸口800,000
×8.1.1ソフトウェア仮勘定4,000,000×8.3.31ソフトウェア償却400,000
次期繰越6,150,000
7,350,0007,350,000
固定資産除却損650,000円

(問2)

損益計算書(一部)
×5年4月1日から×6年3月31日

Ⅳ 営業外収益
 有価証券売却益7,000
Ⅴ 営業外費用
 有価証券評価損6,000

貸借対照表(一部)
×6年3月31日

資産の部・・・(省略)・・・
Ⅰ流動資産純資産の部
  有価証券243,000Ⅱ評価・換算差額等
Ⅱ固定資産 その他有価証券評価差額金20,000
 3.投資その他の資産
  投資有価証券320,000
  関係会社株式3,000,000

配点:2点×10か所=20点


(問1)

前期繰越

【システムA】

取得日(×1. 4.1)から前期末(×7.3.31)まで、6年(72か月)経過しているので、残存耐用年数4年(10年ー6年)で計算します。

・期首帳簿価額:¥2,000,000×4年/10年=¥800,000

【システムB】

取得日(×5.10.1)から前期末(×7.3.31)まで、1年6カ月(18か月)経過しているので、残存耐用年数102か月(120か月(10年)ー18か月)で計算します。

・期首帳簿価額:¥3,000,000×102か月/120か月=¥2,550,000

①システムCの取得

借方金額貸方金額
ソフトウェア4,000,000ソフトウェア仮勘定4,000,000
未払金1,000,000普通預金1,000,000

製作途中のソフトウェア製作費は「ソフトウェア仮勘定」で処理をします。

借方金額貸方金額
ソフトウェア仮勘定4,000,000未払金4,000,000
過去に行った仕訳

ソフトウェアが完成し、引き渡しを受けたときに「ソフトウェア仮勘定」から「ソフトウェア」へ振り替えます。また、未払金のうち3回分(¥3,000,000)はすでに支払っているため、残りの¥1,000,000を普通預金から支払います。

②システムAの除却

借方金額貸方金額
ソフトウェア償却150,000ソフトウェア800,000
固定資産除却損650,000

ソフトウェア償却:取得原価¥2,000,000÷耐用年数10年×9か月/12か月=¥150,000

または、簿価¥800,000÷残存耐用年数4年×9か月/12か月=¥150,000

MEMO

ソフトウェア償却は、×7年4月1日(期首)から×7年12月31日までの9カ月で計算します。

ソフトウェアの償却(×8年3月31日)

借方金額貸方金額
ソフトウェア償却400,000ソフトウェア400,000

【システムB】

・¥3,000,000÷10年=¥300,000

【システムC】

¥4,000,000÷10年×3カ月/12か月=¥100,000

MEMO

システムCのソフトウェア償却は、×8年1月1日(取得日)から×8年3月31日(決算日)までの3カ月で計算します。

(問2)

期首時点で保有している有価証券

①前期末

その他有価証券は期末時点の時価で評価し、評価差額は「その他有価証券評価差額金」(純資産)に計上します。したがって、前期末には次の仕訳をしています。

借方金額貸方金額
その他有価証券50,000その他有価証券評価差額金50,000
A社株式
借方金額貸方金額
その他有価証券評価差額金20,000その他有価証券20,000
B社株式

・A社株式:前期末時価¥550,000ー取得原価¥500,000=¥50,000

・B社株式:前期末時価¥280,000ー取得原価¥300,000=△¥20,000

②当期首

翌期首には再振替仕訳を行います。

借方金額貸方金額
その他有価証券評価差額金50,000その他有価証券50,000
A社株式
借方金額貸方金額
その他有価証券20,000その他有価証券評価差額金20,000
B社株式
注意

この再振替仕訳によって、その他有価証券の帳簿価額は取得原価に戻っているという点に注意しましょう。また、その他有価証券評価差額金は相殺されて消えています。

当期の有価証券に関する取引

①×5年10月1日
借方金額貸方金額
売買目的有価証券400,000普通預金400,000

・500株×@¥800=¥400,000

②×5年11月15日
借方金額貸方金額
売買目的有価証券430,000普通預金430,000

・500株×@¥860=¥430,000

③×5年12月20日
借方金額貸方金額
普通預金588,000売買目的有価証券581,000
有価証券売却益7,000

・平均原価:(¥400,000+¥430,000)÷(500株+500株)=@¥830

・売買目的有価証券(簿価):700株×@¥830=¥581,000

・普通預金(売却額):700株×@¥840=¥588,000

④×6年2月1日
借方金額貸方金額
子会社株式3,000,000その他有価証券500,000
普通預金2,500,000

追加取得によってA社株式の保有割合が過半数(60%)となったため、「その他有価証券」を「子会社株式」へ振り替えます。

⑤×6年3月31日

【A社株式(子会社株式)】

子会社株式は取得原価で評価します。したがって、時価評価はしません。

MEMO

「子会社株式」は貸借対照表上「関係会社株式」として表示します。

【B社株式(その他有価証券)】

借方金額貸方金額
その他有価証券20,000その他有価証券評価差額金20,000

・当期末時価¥320,000ー取得原価¥300,000=¥20,000

MEMO

「その他有価証券」は貸借対照表上「投資有価証券」として表示します。

【C社株式(売買目的有価証券)】

売買目的有価証券は期末の時価で評価し、評価差額は当期の損益として処理します。

借方金額貸方金額
有価証券評価損益6,000売買目的有価証券6,000

・帳簿価額:300株×@¥830=¥249,000

・期末時価:300株×@¥810=¥243,000

・評価損益:¥243,000ー¥249,000=△¥6,000(評価損)

MEMO

「売買目的有価証券」は貸借対照表上「有価証券」として表示します。また、「有価証券評価損益」は損益計算書上「有価証券評価損」または「有価証券評価益」として表示します。

第3問

次の資料にもとづいて、精算表を完成させなさい。なお、当社の会計期間は×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間である。また、精算表の修正記入欄は省略している。

[資料Ⅰ]前期末貸借対照表(単位:円)

貸借対照表
×5年3月31日

現金預金431,900買掛金580,000
売掛金900,000未払営業費20,000
売買目的有価証券115,000未払法人税等105,000
繰越商品520,000貸倒引当金27,000
前払利息5,000長期借入金1,000,000
備品300,000備品減価償却累計額108,000
土地3,000,000資本金3,000,000
のれん112,500資本準備金445,000
満期保有目的債券585,600利益準備金285,000
繰越利益剰余金400,000
5,970,0005,970,000

※便宜上、本来の貸借対照表の表示科目ではなく帳簿上の科目で表示しているものがある。

[資料Ⅱ]当期の現金預金勘定の要約

現金預金

前期繰越431,900買掛金の決済2,400,000
売掛金の決済4,860,000有価証券の取得270,000
有価証券の売却120,000保険料の支払240,000
有価証券利息の受取配当金の支払300,000
新株発行による払込営業費の支払1,450,000
法人税等の支払(※)170,000
借入金利息の支払20,000

(※)前期法人税等の未払分¥105,000および当期法人税等の中間申告分¥65,000である。

[資料Ⅲ]当期における期中取引等

1.商品売買
(1)仕入取引及び売上取引はすべて掛けにより行っている。
(2)当期の仕入高は¥2,700,000であり、売上高は¥5,000,000であった。

2.債権債務等
(1)買掛金の決済はすべて当座預金により行っており、当期の決済額は¥2,400,000である。
(2)売掛金の決済はすべて当座預金により行っており、当期の決済額は¥4,860,000である。
(3)売掛金¥30,000(前期発生分¥20,000、当期発生分¥10,000)が貸し倒れた。

3.有価証券
有価証券の状況は以下のとおりである。なお、売買目的有価証券の評価は洗替法により処理している。

銘柄保有目的取得原価前期末時価
A社株式売買目的¥130,000¥115,000
B社株式売買目的¥270,000
C社社債満期保有目的¥576,000¥580,000

(1)A社株式は×5年3月15日に取得したものである。×5年4月15日にA社株式のすべて¥120,000で売却し、売却代金は当座預金に預け入れた。
(2)B社株式は×6年3月1日に取得したものである。
(3)C社社債(額面金額¥600,000、償還日×8年3月31日、年利率2.4%、利払日3月末)は×3年4月1日に取得したものである。なお、取得原価と額面金額との差額は金利の調整と認められるため、償却原価法(定額法)を適用している。また、当期の利息は当座預金に預け入れている。

4.保険料
×5年10月1日に、向こう2年分の保険料として¥240,000を現金で支払った。

5.剰余金の配当
株主総会(×5年6月25日)において、以下の内容が決議された。なお、配当金については後日小切手を振り出して支払っている。
 ・配当金¥300,000(財源は繰越利益剰余金)

6.増資
×6年1月15日に、新株1,000株を@¥800で発行し、当座預金への払い込みを受けた。なお、資本金組入額は会社法規定の最低限度額とする。

[資料Ⅳ]決算整理事項等

1.商品の期末残高は次のとおりである。なお、売上原価の計算は仕入の行で行うこと。また、棚卸減耗損と商品評価損は精算表上は独立の科目として表示すること。
 帳簿棚卸数量:2,000個 原価:@¥240
 実地棚卸数量:1,900個 正味売却価額:@¥220

2.備品は200%定率法(耐用年数10年、残存価額ゼロ)により減価償却を行う。

3.のれんは過去に大阪商事株式会社を取得した際に計上したものであり、発生年度より20年間にわたって定額法により償却する。なお、取得時の大阪商事株式会社の諸資産の帳簿価額は¥2,250,000(時価¥2,350,000)、諸負債の帳簿価額は¥900,000(時価¥900,000)であり、対価として大阪商事株式会社の株主に¥1,600,000を現金で交付している。

4.当期末に保有している有価証券の当期末時価は以下のとおりである。
 B社株式:¥280,000
 C社社債:¥590,000

5.売上債権の期末残高に対して3%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。

6.経過勘定項目
・営業費の未払い:¥25,000
・借入金の利息の前払い:¥5,000
・保険料の前払い:¥?

7.法人税、住民税及び事業税として¥190,000を計上する。

あなたの解答

勘定科目 試算表 損益計算書 貸借対照表
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現金預金
売掛金
売買目的有価証券
繰越商品
仮払法人税等
備品 300,000 300,000
土地 3,000,000 3,000,000
のれん
満期保有目的債券
買掛金
貸倒引当金
長期借入金 1,000,000 1,000,000
備品減価償却累計額
資本金
資本準備金
利益準備金
繰越利益剰余金
売上
有価証券評価損益
有価証券利息
仕入
営業費
保険料
貸倒損失
支払利息
有価証券売却損益
11,654,400 11,654,400
棚卸減耗損
商品評価損
減価償却費
のれん償却
貸倒引当金繰入
未払営業費
前払利息
前払保険料
長期前払保険料
法人税、住民税及び事業税
未払法人税等
当期純利益 428,000 428,000
5,044,200 5,044,200 7,264,700 7,264,700

試験での立ち回りを確認するため、あえて制限時間内に解くのが難しい分量の問題を出題しました。第1問から順番に解くのではなく、早く確実に得点できる問題から手を付け、合格点まで点数を積み上げていく練習も必要です。

なお、管理人が推奨する解答順は「工業簿記(第4問・第5問)→第1問→第2問と第3問(部分点狙い)」です。

MEMO

資格試験の目的は「満点を取ることではなく、合格点を取ることである」ということをもう一度再確認しましょう。

解答・解説

精算表

勘定科目試算表損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方
現金預金1,376,3001,376,300
売掛金1,010,0001,010,000
売買目的有価証券270,000280,000
繰越商品520,000418,000
仮払法人税等65,000
備品300,000300,000
土地3,000,0003,000,000
のれん112,500105,000
満期保有目的債券585,600590,400
買掛金880,000880,000
貸倒引当金7,00030,300
長期借入金1,000,0001,000,000
備品減価償却累計額108,000146,400
資本金3,400,0003,400,000
資本準備金845,000845,000
利益準備金305,000305,000
繰越利益剰余金80,00080,000
売上5,000,0005,000,000
有価証券評価損益15,00025,000
有価証券利息14,40019,200
仕入2,700,0002,740,000
営業費1,430,0001,455,000
保険料240,00060,000
貸倒損失10,00010,000
支払利息25,00020,000
有価証券売却損益10,00010,000
11,654,40011,654,400
棚卸減耗損24,000
商品評価損38,000
減価償却費38,400
のれん償却7,500
貸倒引当金繰入23,300
未払営業費25,000
前払利息5,000
前払保険料120,000
長期前払保険料60,000
法人税、住民税及び事業税190,000
未払法人税等125,000
当期純利益428,000428,000
5,044,2005,044,2007,264,7007,264,700

配点:1点×20か所=合計20点

※損益計算書欄と貸借対照表欄の不要な箇所に記入していると不正解


期首取引

①再振替仕訳

前期末貸借対照表の経過勘定項目について、再振替仕訳を行います。

借方金額貸方金額
支払利息5,000前払利息5,000
未払営業費20,000営業費20,000

②有価証券の洗替

売買目的有価証券の評価は洗替法により処理しているため、前期末に計上した評価差額を振り戻して、帳簿価額を取得原価に戻してやります。

借方金額貸方金額
売買目的有価証券15,000有価証券評価損益15,000

A社株式について、前期末には次のような仕訳をしています。翌期首にはこの逆仕訳を行います。

借方金額貸方金額
有価証券評価損益15,000売買目的有価証券15,000
前期末の仕訳

・前期末時価¥115,000ー取得原価¥130,000=△¥15,000(評価損)

期中取引

1.商品売買

借方金額貸方金額
仕入2,700,000買掛金2,700,000
売掛金5,000,000売上5,000,000

2.債権債務等

借方金額貸方金額
買掛金2,400,000現金預金2,400,000
(1)買掛金の決済
借方金額貸方金額
現金預金4,860,000売掛金4,860,000
(2)売掛金の決済
借方金額貸方金額
貸倒引当金20,000売掛金30,000
貸倒損失10,000
(3)売掛金の貸倒れ

3.有価証券

借方金額貸方金額
現金預金120,000有価証券130,000
有価証券売却損益10,000
(1)A社株式の売却
注意

洗替法を採用しているため、A社株式の帳簿価額は取得原価に戻っている点に注意しましょう。

借方金額貸方金額
有価証券270,000現金預金270,000
(2)B社株式の取得
借方金額貸方金額
現金預金14,400有価証券利息14,400
(3)C社社債の利息の受け取り

・額面金額¥600,000×2.4%=¥14,400

4.保険料

借方金額貸方金額
保険料240,000現金預金240,000

5.剰余金の配当

借方金額貸方金額
繰越利益剰余金320,000利益準備金20,000
未払配当金300,000
決議時

・配当時の資本金¥3,000,000×1/4=¥750,000

・配当時の準備金(資本準備金¥445,000+利益準備金¥285,000)=¥730,000

①利益準備金の積立限度額:¥750,000ー¥730,000=¥20,000

②配当金¥300,000×1/10=¥30,000

MEMO

「①利益準備金の積立限度額」と「②配当金の1/10」のいずれか小さいほうが利益準備金の積立額となります。

借方金額貸方金額
未払配当金300,000現金預金300,000
配当金支払時

6.増資

借方金額貸方金額
現金預金800,000資本金400,000
資本準備金400,000

・払込額:1,000株×@¥800=¥800,000

・資本金組入額:¥800,000×1/2=¥400,000

MEMO

「会社法規定の最低限度額」とは払込額の1/2です。資本金としなかった金額は資本準備金として処理します。

7.その他の現金預金に係る取引

借方金額貸方金額
営業費1,450,000現金預金1,450,000
営業費の支払い
借方金額貸方金額
未払法人税等105,000現金預金170,000
仮払法人税等65,000
法人税等の支払い
借方金額貸方金額
支払利息20,000現金預金20,000
借入金利息の支払い

決算整理前残高試算表

決算整理前残高試算表
×6年3月31日

現金預金1,376,300買掛金880,000
売掛金1,010,000貸倒引当金7,000
売買目的有価証券270,000長期借入金1,000,000
繰越商品520,000備品減価償却累計額108,000
仮払法人税等65,000資本金3,400,000
備品300,000資本準備金845,000
土地3,000,000利益準備金305,000
のれん112,500繰越利益剰余金80,000
満期保有目的債券585,600売上5,000,000
仕入2,700,000有価証券評価損益15,000
営業費1,430,000有価証券利息14,400
保険料240,000
貸倒損失10,000
支払利息25,000
有価証券売却損益10,000
11,654,40011,654,400
注意

営業費と支払利息は、期首の再振替分を加減することを忘れないように注意しましょう。

決算整理前残高試算表の金額を精算表の試算表欄に記入していきます。同時に、決算整理仕訳で変動がなさそうな科目は、この時点で先に損益計算書欄と貸借対照表欄に記入しておきましょう。決算整理仕訳をすべて終えてから損益計算書欄と貸借対照表欄に記入しようとすると、時間が足りなくなる恐れがあります。

決算整理仕訳

1.商品

借方金額貸方金額
仕入520,000繰越商品520,000
繰越商品480,000仕入480,000
棚卸減耗損24,000繰越商品24,000
商品評価損38,000繰越商品38,000

・帳簿棚卸高:帳簿数量2,000個×原価@¥240=¥480,000

・棚卸減耗損:(2,000個ー1,900個)×原価@¥240=¥24,000

・商品評価損:(@¥240ー@¥220)×実地棚卸数量1,900個=¥38,000

MEMO

棚卸減耗損と商品評価損は、ボックス図を書かずに計算できるようになると時間短縮になります。図や式を暗記するのではなく次のように考えましょう。

・棚卸減耗損:商品有高帳上の金額を減らすので、帳簿上の金額(原価)で計算する。

・商品評価損:無くなった商品を評価しても意味がないので、実際に手許にある商品(実地数量)で計算する。

なお、問題文に「棚卸減耗損と商品評価損は精算表上は独立の科目として表示すること」とあるため、棚卸減耗損と商品評価損を「仕入」に振り替える必要はありません。

2.減価償却

借方金額貸方金額
減価償却費38,400備品減価償却累計額38,400

・既存分:(¥300,000ー期首累計額¥108,000)×償却率0.2=¥38,400

・償却率:1÷10年×200%=0.2

3.のれん

借方金額貸方金額
のれん償却7,500のれん7,500

・¥150,000÷20年=¥7,500

大阪商事株式会社を取得した際には次のような仕訳をしています。

借方金額貸方金額
諸資産2,350,000諸負債900,000
のれん150,000現金預金1,600,000
MEMO

被合併会社の諸資産と諸負債は取得時の時価で受け入れます。

4.有価証券

借方金額貸方金額
売買目的有価証券10,000有価証券評価損益10,000
B社株式

・当期末時価¥280,000ー取得原価¥270,000=¥10,000(評価益)

借方金額貸方金額
満期保有目的債券4,800有価証券利息4,800
C社社債

・(額面金額¥600,000ー取得原価¥576,000)×1年/5年(取得日×3年4月1日~償還日×8年3月31日)=¥4,800

【前期末貸借対照表の投資有価証券(満期保有目的債券)】

取得原価¥576,000+¥4,800(×4年3月31日)+¥4,800(×5年3月31日)=¥585,600

5.貸倒引当金

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入23,300貸倒引当金23,300

・売掛金残高¥1,010,000×3%ー¥7,000=¥23,300

6.経過勘定項目

借方金額貸方金額
営業費25,000未払営業費25,000
営業費の未払い
借方金額貸方金額
前払利息5,000支払利息5,000
利息の前払い
借方金額貸方金額
前払保険料120,000保険料180,000
長期前払保険料60,000
保険料の前払い

・前払保険料:¥240,000×12か月(×6年4月1日~×7年3月31日)/24か月=¥120,000

・長期前払保険料:¥240,000×6か月(×7年4月1日~×7年9月30日)/24か月=¥60,000

MEMO

決算日の翌日から1年以内のものは流動資産(前払保険料)とし、1年を超えるものは固定資産(長期前払保険料)とします。

7.法人税等

借方金額貸方金額
法人税、住民税及び事業税190,000仮払法人税等65,000
未払法人税等125,000

第4問(1)

配点:4点×3問=12点

問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解

当社は遠隔地に工場をもつことから、工場会計を独立させている。材料と製品の倉庫は工場に置き、材料の購入の支払いと給与の支払いは本社が行っている。当月の次の取引について、工場での仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。

あなたの解答

1 製品用の素材3,000kg(購入価額¥800/kg)および補修用材料100kg(購入価額¥200/kg)を倉庫に搬入した。なお、購入に際し、本社は、¥20,000の買入手数料を支払っている。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
材料2,440,000本社2,440,000

・素材@¥800×3,000kg+補修用材料@¥200×100kg+付随費用¥20,000=¥2,440,000

MEMO

材料の購入の支払いは本社が行っているため、貸方は「本社」とします。

あなたの解答

2 工場での賃金の消費額を計上した。直接工の作業時間の記録によれば、直接作業時間2,760時間、間接作業時間100時間であった。当工場で適用する予定総平均賃率は¥1,500である。また、間接工については、前月賃金未払高¥200,000、当月賃金支払高¥1,800,000、当月賃金未払高¥150,000であった。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
仕掛品4,140,000賃金6,040,000
製造間接費1,900,000

【直接工賃金】

・直接労務費:@¥1,500×直接作業時間2,760時間=¥4,140,000

・間接労務費:@¥1,500×間接作業時間100時間=¥150,000

【間接工賃金】

・間接労務費:当月支払高¥1,800,000ー前月未払高¥200,000+当月未払高¥150,000=¥1,750,000

MEMO

直接工の直接作業時間分以外はすべて間接労務費となります。

あなたの解答

3 当月に判明した材料の棚卸減耗について、¥90,000を計上した。
借方科目金額貸方科目金額

解答・解説

借方金額貸方金額
製造間接費90,000材料90,000

勘定科目の中に「経費」がないため、経費勘定を経由せずに製造間接費へ振り替えます。

注意

材料の棚卸減耗損は間接経費です。材料費ではないので注意しましょう。

第4問(2)

次の資料にもとづき、以下で示す各問いに答えなさい。

[資料]

1.生産データ

月初仕掛品500個(0.6)
当月投入2,500個
合 計3,000個
正常仕損100個
月末仕掛品600個(0.5)
完成品2,300個

・( )内の数値は加工進捗度を表す。
・材料は工程の始点で投入している。

2.原価データ

直接材料費加工費
月初仕掛品¥500,000¥456,000
当月投入¥2,400,000¥3,256,800
合計¥2,900,000¥3,712,800

3.その他
・月末仕掛品の計算は先入先出法による。
・正常仕損の処理は度外視法による。なお、正常仕損はすべて当月投入分から生じたものとする。
・正常仕損費を月末仕掛品にも負担させるか否かは、月末仕掛品の加工進捗度と仕損の発生点を考慮して判断する。

あなたの解答

(問1)正常仕損が工程の終点で発生しており、正常仕損品に処分価値がない場合、完成品総合原価を計算しなさい。

(問2)正常仕損が工程を通じて平均的に発生しており、正常仕損品に処分価値がない場合、完成品総合原価を計算しなさい。

(問3)正常仕損が工程の60%点で発生しており、正常仕損品には1個あたり@480円の処分価値がある場合、完成品総合原価を計算しなさい。なお、正常仕損品の処分価値は主として材料の価値に依存するものである。

(問4)正常仕損が工程の30%点で発生しており、正常仕損品には1個あたり@480円の処分価値がある場合、完成品総合原価を計算しなさい。なお、正常仕損品の処分価値は主として材料の価値に依存するものである。

(問1)
(問2)
(問3)
(問4)

・青が正解、赤が不正解

解答・解説

(問1)5,629,700円
(問2)5,588,000円
(問3)5,574,800円
(問4)5,552,000円

配点:4点×4か所=16点


(問1)

正常仕損が工程の終点で発生しているため、正常仕損費は完成品のみに負担させます。したがって、まず正常仕損費を負担しない単価で月末仕掛品原価を計算し、貸借差額で完成品原価を求めます。

【直接材料費】

・月末仕掛品原価:¥2,400,000÷2,500個×600個=¥576,000

・完成品原価:(¥500,000+¥2,400,000)ー¥576,000=¥2,324,000

【加工費】

・月末仕掛品原価:¥3,256,800÷2,400個×300個=¥407,100

・完成品原価:(¥456,000+¥3,256,800)ー¥407,100=¥3,305,700

MEMO

正常仕損は工程の終点で発生しているため、正常仕損品の換算量は100%です。

【完成品総合原価】

直接材料費¥2,324,000+加工費¥3,305,700=¥5,629,700

(問2)

正常仕損が工程を通じて平均的に発生しているため、正常仕損費は月末仕掛品と完成品の両者に負担させます。正常仕損を無視して計算することで、自動的に正常仕損費を負担した単価によって月末仕掛品原価を計算することができます。

MEMO

当月投入量(換算量)は貸借差額で求めます。

【直接材料費】

・月末仕掛品原価:¥2,400,000÷2,400個×600個=¥600,000

・完成品原価:(¥500,000+¥2,400,000)ー¥600,000=¥2,300,000

【加工費】

・月末仕掛品原価:¥3,256,800÷2,300個×300個=¥424,800

・完成品原価:(¥456,000+¥3,256,800)ー¥424,800=¥3,288,000

【完成品総合原価】

直接材料費¥2,300,000+加工費¥3,288,000=¥5,588,000

(問3)

「正常仕損の発生点(60%)>月末仕掛品の進捗度(50%)」となっているため、正常仕損費は完成品のみに負担させます。したがって、まず正常仕損費を負担しない単価で月末仕掛品原価を計算し、貸借差額で完成品原価を求めます。

なお、正常仕損品の評価額は完成品総合原価から控除します。

【直接材料費】

・月末仕掛品原価:¥2,400,000÷2,500個×600個=¥576,000

・完成品原価:(¥500,000+¥2,400,000)ー¥576,000=¥2,324,000

【加工費】

・月末仕掛品原価:¥3,256,800÷2,360個×300個=¥414,000

・完成品原価:(¥456,000+¥3,256,800)ー¥414,000=¥3,298,800

MEMO

正常仕損品の換算量は発生点の60%です。

【完成品総合原価】

直接材料費¥2,324,000+加工費¥3,298,800ー正常仕損品評価額¥48,000(@480円×100個)=¥5,574,800

(問4)

「正常仕損の発生点(30%)<月末仕掛品の進捗度(50%)」となっているため、正常仕損費は月末仕掛品と完成品の両者に負担させます。なお、両者負担の場合の正常仕損品評価額は当月投入分から差し引きます。

【直接材料費】

・月末仕掛品原価:¥2,352,000÷2,400個×600個=¥588,000

・完成品原価:(¥500,000+¥2,352,000)ー¥588,000=¥2,264,000

MEMO

「正常仕損品の処分価値は主として材料の価値に依存する」とあるため、材料費の当月投入分から正常仕損品評価額を差し引きます。

¥2,400,000ー正常仕損品評価額¥48,000=¥2,352,000

【加工費】

・月末仕掛品原価:¥3,256,800÷2,300個×300個=¥424,800

・完成品原価:(¥456,000+¥3,256,800)ー¥424,800=¥3,288,000

【完成品総合原価】

直接材料費¥2,264,000+加工費¥3,288,000=¥5,552,000

第5問

当社では、製品Pを製造・販売している。これまで全部原価計算による損益計算書を作成してきたが、販売量と営業利益の関係がわかりにくいため、過去2期分のデータをもとに直接原価計算による損益計算書に作り替えることとした。次の資料にもとづいて、各問いに答えなさい。

[資料]

1.製品P1個あたり全部製造原価

前々期前期
直接材料費?円2,280円
変動加工費400円?円
固定加工費?円?円
合計4,000円3,700円

2.固定加工費は前々期、前期ともに¥1,200,000であった。固定加工費は各期の実際生産量にもとづいて実際配賦している。

3.販売費及び一般管理費(前々期・前期で変化なし)

変動販売費:@¥300/個
固定販売費及び一般管理費:¥?

4.生産・販売状況(期首・期末の仕掛品は存在しない)

前々期前期
期首製品在庫量0個0個
当期製品生産量1,000個1,200個
当期製品販売量1,000個1,000個
期末製品在庫量0個200個

5.全部原価計算による損益計算書(単位:円)

前々期前期
売上高5,000,0005,000,000
売上原価4,000,0003,700,000
 売上総利益1,000,0001,300,000
販売費及び一般管理費900,000900,000
 営業利益100,000400,000

(問1)次の直接原価計算による損益計算書(単位:円)を完成しなさい。

あなたの解答

前々期 前期
売上高 5,000,000 5,000,000
変動費
 貢献利益
固定費
 営業利益

(問2)前期の直接原価計算による損益計算書をもとに、次の①~⑤の金額または数値を答えなさい。

あなたの解答

①損益分岐点の売上高はいくらか。

②60万円の営業利益を達成する売上高はいくらか。

③売上高が何%落ち込むと損益分岐点の売上高に達するか。

④売上高が100万円増加するとき、営業利益はいくら増加するか。

⑤損益分岐点の売上高を50万円引き下げるためには固定費をいくら引き下げる必要があるか。

解答・解説

(問1)

前々期前期
売上高5,000,0005,000,000
変動費3,100,0003,000,000
 貢献利益1,900,0002,000,000
固定費1,800,0001,800,000
 営業利益100,000200,000

(問2)

4,500,000円
6,000,000円
10%
400,000円
200,000円

配点:2点×3か所+1点×6か所=合計12点


直接原価計算による損益計算書を作成するためには、売上原価と販売費及び一般管理費を変動費と固定費に分ける必要があります。

(問1)

【前々期】

売上原価

・固定売上原価:¥1,200,000(固定加工費)

・変動売上原価:¥4,000,000ー¥1,200,000=¥2,800,000

MEMO

前々期は「生産量=販売量」となっているため、固定加工費の発生額と固定売上原価は同額となります。

販売費及び一般管理費

・変動販売費:@¥300×1,000個=¥300,000

・固定販売費及び一般管理費:¥900,000ー¥300,000=¥600,000

【前期】

売上原価

・固定売上原価:¥1,200,000÷1,200個×1,000個=¥1,000,000

・変動売上原価:¥3,700,000ー¥1,000,000=¥2,700,000

販売費及び一般管理費

・変動販売費:@¥300×1,000個=¥300,000

・固定販売費及び一般管理費:¥900,000ー¥300,000=¥600,000

製品P1個あたり全部製造原価

前々期前期
直接材料費(c)2,400円2,280円
変動加工費400円(c)420円
固定加工費(a)1,200円(b)1,000円
合計4,000円3,700円

(a)¥1,200,000÷1,000個=1,200円

(b)¥1,200,000÷1,200個=1,000円

(c)差額

直接原価計算による損益計算書

前々期前期
売上高5,000,0005,000,000
変動費(※1)3,100,000(※2)3,000,000
 貢献利益1,900,0002,000,000
固定費(※3)1,800,000(※3)1,800,000
 営業利益100,000200,000

(※1)変動売上原価¥2,800,000+変動販売費¥300,000 または、

(直接材料費@¥2,400+変動加工費@¥400+変動販売費@¥300)×販売量1,000個

(※2)変動売上原価¥2,700,000+変動販売費¥300,000 または、

(直接材料費@¥2,280+変動加工費@¥420+変動販売費@¥300)×販売量1,000個

(※3)固定加工費¥1,200,000+固定販売費及び一般管理費¥600,000

直接原価計算では固定加工費の実際発生額¥1,200,000をそのまま損益計算書に計上するのに対し、全部原価計算では期末製品にも固定加工費¥200,000が配分されます。そのため、全部原価計算の営業利益に比べて直接原価計算の営業利益は¥200,000だけ小さくなります。

(問2)

①損益分岐点売上高

売上高を「S」とおくと、営業利益は次のように表すことができます。

前期
売上高S
変動費(変動費率)0.6S
 貢献利益(貢献利益率)0.4S
固定費1,800,000
 営業利益0.4Sー1,800,000

損益分岐点売上高は営業利益がゼロとなるときの売上高なので

0.4Sー1,800,000=0

0.4S=1,800,000

S=4,500,000

MEMO

損益分岐点売上高を求める式は「固定費÷貢献利益率」で表すことができます。

②60万円の営業利益を達成する売上高

営業利益を600,000とおいて式を作ると

0.4Sー1,800,000=600,000

0.4S=2,400,000

S=6,000,000

MEMO

目標利益額を達成する売上高を求める式は「(固定費+目標利益額)÷貢献利益率」で表すことができます。

③売上高が何%落ち込むと損益分岐点の売上高に達するか(安全余裕率)

安全余裕率は、現在の売上高(問題では前期の売上高)に対して、どれだけ現在の売上高が損益分岐点売上高を上回っているかの割合のことで、次の式で表せます。

(現在の売上高ー損益分岐点売上高)/現在の売上高

=(5,000,000ー4,500,000)/5,000,000

=0.1(10%)

④売上高が100万円増加したときの営業利益

売上高が100万円増加するときの増加率は20%(1,000,000/5,000,000=0.2)です。売上高が20%増加するのに伴って、変動費も20%増加(3,000,000×1.2=3,6000,000)しますが、固定費は変化しないという点に注意しましょう。

前期
売上高6,000,000
変動費(※1)3,600,000
 貢献利益(※2)2,400,000
固定費1,800,000
 営業利益600,000

(※1)¥6,000,000×変動費率0.6=¥3,600,000

(※2)¥6,000,000×貢献利益率0.4=¥2,400,000

営業利益の増加額:¥600,000ー¥200,000=¥400,000

注意

聞かれているのは「いくら増加するか」です。したがって、営業利益の金額を答えるのではなく、営業利益の増加額を答える必要があります。

【参考】経営レバレッジ係数を使って計算する方法

本問は経営レバレッジ係数を使って計算することもできます。

経営レバレッジ係数:貢献利益¥2,000,000÷営業利益¥200,000=10

MEMO

経営レバレッジ係数は安全余裕率の逆数(1/0.1)で計算することもできます。

売上高の変化率に経営レバレッジ係数をかけたものが営業利益の変化率になるという特徴があります。

・売上高の増加率20%×経営レバレッジ係数10=営業利益の増加率200%

・前期の営業利益¥200,000×200%=営業利益の増加額¥400,000

⑤損益分岐点売上高を50万円引き下げるときの固定費

損益分岐点売上高が¥4,000,000(=¥4,500,000ー¥500,000)のときの固定費を「F」とおいて式を作ります。

¥4,000,000×貢献利益率0.4ーF=営業利益¥0

F=¥1,600,000

引き下げる必要のある固定費:¥1,800,000ー¥1,600,000=¥200,000

注意

聞かれているのは「いくら引き下げる必要があるか」です。したがって、固定費の金額を答えるのではなく、引き下げる必要のある固定費の金額を答える必要があります。

受験科目【第5回】2級模擬試験
かかった時間
得点

管理人の下書用紙(クリックで拡大)

商業簿記

bouquet

工業簿記

bouquet

※説明も兼ねて本来より少し多めに書いています。

集計漏れや二重計上がないように、解答の記入が終わったら科目や金額の横にチェック(✓)を付けておきましょう。

試験を終了する