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有形固定資産の売却~減価償却があるケース~

価値の減少を考慮した場合(減価償却があるケース)での固定資産の売却に関する仕訳のやり方について独学でもわかりやすく解説していきます。

重要度★★★★☆ 日商簿記3級無料講座第4章-4のアイキャッチ画像

質問です。100万円で購入した建物を20年後に90万円で売却しました。さて、得したでしょうか?それとも損したでしょうか?

ボキタロー君の顔(普)

100万円のものを90万円で売ったんだから損したにきまってるよ。

果たしてそうでしょうか?購入したときの価値と20年後の価値は同じだと思いますか?

ボキタロー君の顔(普)

たしかに20年後の建物は古くなって価値が落ちてるね。

はい。今回は価値の減少を考慮した場合における有形固定資産の売却について勉強していきましょう。

1.減価償却があるケースの注意点

以前学習した有形固定資産の売却では、減価償却を行わない非償却資産の「土地」を例に挙げて説明しました。

忘れた方はこちら。


「土地」のように減価償却を行わない場合、減価償却累計額がないため(価値が減少しないため)実質的な価値を表す帳簿価額(簿価)が取得原価と一致します。

しかし減価償却があるケース(固定資産の価値が減少するケース)では、購入してまだ間もない新品同様の固定資産と何十年も使用してきた固定資産とではその価値(簿価)が異なるため、売却時点における固定資産の価値の減少分を考慮しなければなりません。

「ちょっと何言ってるか分かりません」と思った方はこちら。


減価償却があるケースでの売却損益

したがって、固定資産を売却する場合は取得時の金額(取得原価)ではなく売却時の価値(簿価)を基準として売却損益を計算すべきことになります。

2.期首に売却した場合の処理

例題1

×6年4月1日に建物(取得原価¥120,000、期首減価償却累計額¥20,000、間接法で記帳)を¥110,000で売却し、代金は当座預金口座に振り込まれた。なお、当期は×7年3月31日で終了する1年間である。

使用する勘定科目

当座預金、建物、建物減価償却累計額、固定資産売却益

ヒント

建物を売却したので、「建物」とこれに係る「建物減価償却累計額」を減額させます。また、簿価と売却価額との差額を固定資産売却損(借方)または固定資産売却益(貸方)で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 110,000 建物 120,000
建物減価償却累計額 20,000 固定資産売却益 10,000

借方】
「当座預金」の増加 当座預金勘定の記入場所

・貸方項目である「建物減価償却累計額」が減少するので、これを借方に記入します。

【貸方
「建物」の減少 建物勘定の記入場所

「固定資産売却益」の増加 固定資産売却益勘定の記入場所

仕訳のイメージ
仕訳のイメージ

取得原価(建物勘定)から減価償却累計額を控除した金額が簿価となります。固定資産売却益は貸借の差額で求めましょう。

簿価¥100,000の建物を¥110,000で売却したので「¥10,000もうけた」ということですね。

3.期中に売却した場合の処理

例題2

×6年6月30日に建物(取得原価¥120,000、期首減価償却累計額¥20,000、間接法で記帳)を¥110,000で売却し、代金は当座預金口座に振り込まれた。建物は残存価額を取得原価の10%、耐用年数を20年とする定額法で償却している。なお、当期は×7年3月31日で終了する1年間である。

使用する勘定科目

当座預金、建物、建物減価償却累計額、減価償却費、固定資産売却益

期中に売却した場合のタイムテーブル

期中に売却した場合は、期首から売却日までの利用期間に対応した価値の減少分を売却時に減価償却費として計上します。

減価償却費の計算方法はこのページが参考になります。


借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 110,000 建物 120,000
建物減価償却累計額 20,000 固定資産売却益 11,350
減価償却費 1,350

減価償却費は、期首(×6年4月1日)~売却日(6月30日)までの3か月間で月割計算します。

¥120,000×0.9×3か月/240か月(20年)=¥1,350

仕訳のイメージ
仕訳のイメージ

取得原価(建物勘定)から減価償却累計額および期首から売却日までの減価償却費を控除した金額が簿価となります。

簿価¥98,650の建物を¥110,000で売却したので「¥11,350もうけた」ということですね。

4.まとめ

ボキタロー君の顔(普)

なるほど。取得原価じゃなくて簿価を基準に考えないといけないんだね。

はい、そうです。売却時点の実質的な価値である簿価を基準として売却損益を計算します。ただ、仕訳上は貸借の差額で計算すればいいだけなのでそれほど難しくないと思います。

ボキタロー君の顔(普)

でも固定資産の売却の仕訳って、減価償却費や減価償却累計額を計算しないといけないから難しいなぁ。

そうですね。初心者の多くが難しいと感じる論点だと思います。

ボキタロー君の顔(普)

何かコツみたいなのはないの?

ポイントは、取得・期首・売却・期末という時系列をきちんと把握するということです。そのためには時間軸(タイムテーブル)を書いて確認する方法が効果的です。

まとめ
  • 固定資産の売却の処理は、取得時の金額(取得原価)ではなく売却時の価値(簿価)を基準として売却損益を計算する。ただし、仕訳上は貸借の差額で計算すればよい。
  • 固定資産の売却時には、その固定資産に係る減価償却累計額も同時に取り崩す(減額する)。
  • 期中売却の場合は、期首~売却日までの期間に応じて減価償却費を月割で計上する。
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