収益の見越しの仕訳方法
収益の見越しに関する基本的な考え方は、前回学習した費用の繰延べと同じです。もし、前回の学習内容をまだ理解しきれていない方は「第6章-10:費用の見越し(未払費用)」でもう一度復習しておいてください。
例題 | ×1年4月1日に¥1,000,000(返済日:×2年3月31日)を現金で貸し付けた。この貸付金に係る利息¥36,000はすべて、返済日に元本とともに受け取る契約である。なお、当期は12月31日に終了する1年間である。 |
---|
貸付時(×1年4月1日)
現金を貸し付けた場合は貸付金勘定で処理をします。貸付金勘定は資産(将来お金を返してもらえる権利)なので、増加すれば借方に記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸付金 | 1,000,000 | 現金 | 1,000,000 |
決算時(×1年12月31日)
決算では、当期に属する受取利息(収益)の金額を月割計算によって未収利息勘定で見越計上します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
未収利息 | 27,000 | 受取利息 | 27,000 |
見越計上する金額は当期に属する9か月分(×1年4月1日~×1年12月31日)なので、¥27,000(=¥36,000÷12か月×9か月分)となります。
決算整理仕訳の結果、当期に属する9か月分(×1年4月1日~×1年12月31日)の¥27,000が当期の収益として見越計上されるわけです。
【タイムテーブル】

なお、未収利息勘定は収益の未収なので資産となります。

※未収収益は、仕訳上は「未収利息」「未収地代」などの具体的な名称を使います。
次期における処理
①翌期首(×2年1月1日)の再振替仕訳
翌期首には、やはり再振替仕訳を行います。前期末に行なった仕訳の逆仕訳です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
受取利息 | 27,000 | 未収利息 | 27,000 |
「未収利息」の前期末残高¥27,000を「受取利息」へ振り替えることにより、×1年度において、すでに見越計上した9か月分の「受取利息」を×2年度の収益から除去します。同時に、未収利息勘定の残高はゼロとなって消えます。
②貸付金の返済日(×2年3月31日)
例題 | ×2年3月31日、貸付金¥1,000,000の返済日となり、利息¥36,000とともに普通預金口座に振り込まれた。 |
---|
貸付金の返済を受けた場合、「貸付金」(資産)を減額するとともに、受け取った利息の全額を「受取利息」(収益)として計上します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 1,036,000 | 貸付金 受取利息 |
1,000,000 36,000 |
利息の受取額は1年分の¥36,000ですが、期首の再振替仕訳によって受取利息勘定の借方に9か月分の¥27,000がすでに計上されているので、受取利息勘定の金額は¥9,000となります。
つまり、×2年度に受け取った1年分の「受取利息」¥36,000が×1年度の¥27,000(9か月分)と×2年度の¥9,000(3か月分)とに期間配分されたことになるわけです。
【勘定記入】

経過勘定項目のまとめ
最後に、ここまで学習してきた損益の繰延べ及び見越しについて簡単にまとめておきたいと思います。
損益の繰延べに使われる勘定を繰延勘定といい、損益の見越しに使われる勘定を見越勘定といいます。そして、この2つを経過勘定項目といい、下のように分類できます。
経 過 勘 定 項 目 |
繰延勘定 | 前払費用 | 一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価 | 資産 |
---|---|---|---|---|
前受収益 | 一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対して支払を受けた対価 | 負債 | ||
見越勘定 | 未払費用 | 一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対して、いまだその対価の支払が終わらないもの | 負債 | |
未収収益 | 一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、すでに提供した役務に対して、いまだその対価の支払を受けていないもの | 資産 |
・スポンサーリンク | |
・関連記事
< 前のページへ | 目 次 | 次のページへ > | ||||