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【貸倒引当金の取崩し】債権が貸し倒れた時の仕訳

債権が貸し倒れた時の処理は貸倒引当金を設定しているかどうか、いつ取得したものかによって処理方法が異なります。今回はそれぞれのケースでの仕訳のやり方について独学でもわかりやすく解説していきます。

重要度★★★☆☆ 日商簿記3級無料講座第6章-3のアイキャッチ画像
ボキタロー君の顔(泣)

前回言ってたとおり猫田商店が倒産しました。売掛金が回収できなくなった。

回収できなくなった売掛金は減額しますが、貸倒引当金を設定しているかどうかによって処理方法が異なります。

ボキタロー君の顔(普)

前回習った通り貸倒引当金は設定してるよ。

貸倒引当金を設定している場合は、まず貸倒引当金を取り崩します。

ボキタロー君の顔(普)

じゃあ、貸倒引当金を全部取り崩せばいいんだね。

いえいえ。必ずしもそういうわけではありません。さらに、前期に取得したものか当期に取得したものかによっても処理が異なります。今回は債権が貸し倒れた時の処理について各ケースごとに見ていきましょう。

1.貸倒引当金を設定していない場合

債権が貸し倒れたときはその債権の金額を減額します。仮にこの債権に対して貸倒引当金がまったく設定されていない場合は、貸し倒れた債権の全額を貸倒損失(かしだおれそんしつ)として処理します。

貸倒損失勘定の記入場所

貸倒損失費用(損益計算書の借方項目)なので、増加(発生)すれば借方に記入します。

例題1

得意先が倒産し、同社に対する売掛金¥200が貸倒れとなった。なお、貸倒引当金は設定していない。

使用する勘定科目

売掛金、貸倒損失

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒損失 200 売掛金 200

借方】
「貸倒損失」の増加 貸倒損失勘定の記入場所

【貸方
「売掛金」の減少 売掛金勘定の記入場所

2.前期取得分の債権が貸し倒れた場合

前期に取得した債権が貸し倒れた場合、「貸し倒れた債権の金額」と「貸倒引当金の残高」の大小関係によって処理方法が異なってきます。

貸倒引当金についてはこちらを参照してください。


「貸倒引当金>貸し倒れた金額」のケース

例題2

得意先が倒産し、同社に対する売掛金¥200が貸倒れとなった。この売掛金はすべて前期に取得したものである。なお、貸倒引当金の残高は¥300である。

前期取得分の債権が貸し倒れた場合

貸し倒れた金額が貸倒引当金残高の範囲内で収まるケースでは、貸し倒れた金額だけ貸倒引当金を取り崩して補填します。

使用する勘定科目

売掛金、貸倒引当金

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金 200 売掛金 200

借方】
貸倒引当金は貸方の項目なので、これを減額するために借方に記入します。

【貸方
「売掛金」の減少 売掛金勘定の記入場所

「貸倒引当金<貸し倒れた金額」のケース

例題3

得意先が倒産し、同社に対する売掛金¥500が貸倒れとなった。この売掛金はすべて前期に取得したものである。なお、貸倒引当金の残高は¥300である。

前期取得分の債権が貸し倒れた場合

貸し倒れた金額が貸倒引当金の残高を上回るケースでは、まず貸倒引当金の残高をすべて取り崩し、貸倒引当金を超過する部分は貸倒損失勘定で処理します。

使用する勘定科目

売掛金、貸倒損失、貸倒引当金

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒引当金 300 売掛金 500
貸倒損失 200

3.当期取得分の債権が貸し倒れた場合

貸倒引当金を取り崩せるケース

貸倒引当金は前期末の売掛金残高に対して設定されたものなので、前期取得分の売掛金が貸し倒れた場合はそれに対応する貸倒引当金を取り崩すことができます。

一方、当期に取得した売掛金に対する貸倒引当金の設定は当期末の決算に行われるので、当期に取得した売掛金に対してはまだ貸倒引当金が設定されていないことになります。

当期取得分の債権が貸し倒れた場合

つまり当期取得分の売掛金に係る貸倒引当金は存在していないことになるので、当期発生分の売掛金が貸し倒れた場合には、貸倒引当金を取り崩すことはできません。

そこで、当期取得分の債権が貸し倒れた場合はその全額を貸倒損失勘定で処理します。

例題4

得意先が倒産し、同社に対する売掛金¥200が貸倒れとなった。この売掛金はすべて当期に取得したものである。なお、貸倒引当金の残高は¥300である。

使用する勘定科目

売掛金、貸倒損失

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸倒損失 200 売掛金 200

貸倒引当金の残高があったとしても、当期取得分の債権が貸し倒れた場合はすべて貸倒損失で処理します。引っかからないようにしましょう。

4.前期に貸し倒れた債権を当期に回収した場合

前期以前に貸倒れとして処理した債権を当期に回収した場合は、償却債権取立益(しょうきゃくさいけんとりたてえき)勘定で処理をします。

償却債権取立益勘定の記入場所

償却債権取立益収益(損益計算書の貸方項目)なので、増加(発生)すれば貸方に記入します。

例題5

前期に貸倒処理した売掛金¥100を現金で回収した。

前期に貸し倒れた債権を当期に回収した場合

前期に貸倒れ処理をしたときにすでに売掛金を減少させているので、当期において回収した際には売掛金を減少させないということに注意してください。

使用する勘定科目

現金、償却債権取立益

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 100 償却債権取立益 100

5.まとめ

ボキタロー君の顔(普)

いろんなパターンがあってややこしいなぁ。

特に当期取得分の債権が貸し倒れた場合の処理は間違いが多いので注意してください。

ボキタロー君の顔(普)

貸倒引当金を減額してしまうっていうミスだね。

はい、そうです。債権が貸し倒れた時の処理を簡単にまとめておきますので、最後に頭を整理しておいてください。

まとめ
  • 債権が貸し倒れた時の仕訳まとめ
    前期取得 貸倒れ金額<貸倒引当金 貸倒引当金を取り崩す
    貸倒れ金額>貸倒引当金 貸倒引当金を超える部分は「貸倒損失」で処理
    当期取得 全額「貸倒損失」で処理
  • 貸倒引当金がまったく設定されていない場合は、前期取得分であってもその全額を貸倒損失として処理する。
  • 前期以前に貸倒れとして処理した債権を当期に回収した場合は、売掛金を減額させずに償却債権取立益勘定(収益)で処理する。