
前回に続いて今回も問題からいきましょう。次の仕訳を考えてみてください。

はい、できました。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 200 | 売上 | 200 |

残念。今回も不正解です。

ふー危ない。もう少しで間違うとこだった。

だから不正解です。

なんでじゃー!
前払金・前受金とは?
先に商品の受け渡しを行い、代金の支払いや受取りは後日に行う場合は「売掛金」や「買掛金」で処理します。
忘れた方はこのページを参考にしてください。

それとは逆に、先に代金の支払いや受取りを行い、後日に商品の受け渡しを行う場合は前払金勘定および前受金勘定で処理をします。

そして後日、商品の受け渡しを行ったときに「仕入」や「売上」を計上します。
商品を受け取る前にその代金を支払った場合は前払金(まえばらいきん)勘定で処理します。前払金勘定は将来商品を受け取ることができるという権利なので資産となります。
また、商品を引き渡す前にその代金を受け取った場合は前受金(まえうけきん)勘定で処理します。前受金勘定は将来商品を引き渡さなければならないという義務なので負債となります。
商品の代金を前払いしたときの処理
手付金を支払ったときの仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
200 | 200 |
後日、商品を受け取ったときの仕訳

商品を受け取ったときに「仕入」を計上し、すでに支払っている手付金は「仕入」に振り替えます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
1,000 | 200 | ||
800 |
この仕訳は次のように考えるのがコツです。
(貸)
(貸)前払金 200
(貸)前払金 200
(貸)現 金 800
商品の代金を前受けしたときの処理
手付金を受け取ったときの仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
200 | 200 |
後日、商品を引き渡したときの仕訳

商品を引き渡したときに「売上」を計上します。すでに受け取っている手付金は「売上」に振り替えます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
200 | 1,000 | ||
800 |
この仕訳は次のように考えるのがコツです。
(貸)売 上 1,000
(貸)売 上 1,000
(借)現 金 800
(貸)売 上 1,000
まとめ

たしかに商品を渡してないのにお金を受け取っただけで「売上」ってのはおかしいね。

会計では実現が不確実な利益はなるべく計上したくないんです。しかし、代金の受け取りと商品の引き渡しの2つの要件を満たせば、後で利益が取り消されることはほとんどないですよね。

たしかに、何かの事情で商品を渡せなくなる場合もあるだろうからね。だから、代金の受け取りと商品の引き渡しの2つの要件を満たしたときに売上を計上するのか。

はい、そうです。このような考え方を実現主義というのですが、会計の世界ってとても保守的なんですね。
この辺を突き詰めていくと理論的な話になって少し難しくなりますので、とりあえず”手付金”や”内金”などの文言が出てきたら「前払金」「前受金」で処理するということを知っていれば大丈夫です。
- 商品を受け取る前に商品代金を支払ったときは「前払金」で処理する。
- 「前払金」は後日商品を受け取ることができる権利なので資産である。
- 後日、商品を受け取ったときに「前払金」を「仕入」に振り替える。
- 商品を引き渡す前に商品代金を受け取ったときは「前受金」で処理する。
- 「前受金」は後日商品を引き渡す義務なので負債である。
- 後日、商品を引き渡したときに「前受金」を「売上」に振り替える。