【第4回】日商簿記3級 試験問題
第1問
配点:3点×15問=45点
問題番号の背景色:青が正解、赤が不正解
下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目はプルダウンの中から最も適当と思われるものを選び、選択すること。なお、商品売買取引は3分法によることとし、消費税については問題中に指示がある場合のみ考慮すること。
1 |
先日、現金の帳簿残高と実際有高を照合したところ、実際有高が¥3,800だけ超過していたので、これを現金過不足としてしたが、決算にあたり、この超過分のうち¥3,200は受取利息の記帳漏れであることが判明した。残額については原因が判明しなかったため、雑損または雑益に振り替える。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金過不足 | 3,800 | 受取利息 | 3,200 |
雑益 | 600 |
過不足判明時には次のような仕訳をしています。「実際有高が¥3,800だけ超過していた」ということは、帳簿の金額が¥3,800少ないということなので、実際の金額に修正するために「現金」を増やします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 3,800 | 現金過不足 | 3,800 |
決算時の仕訳は次のように行います。
①まず、貸方の現金過不足¥3,800をゼロにするため、借方にこれを記入します。現金過不足勘定は決算において、その全額が他の勘定へ振り替えられるため、残高はゼロとなります。
②次に、原因が判明したものを記入します。「¥3,200は受取利息の記帳漏れ」なので、受取利息(収益)¥3,200を貸方に記入します。
③最後に、貸借の差額で雑損または雑益を計算します。本問では貸方に差額が出るので収益の「雑益」となります。
2 |
売掛金¥165,000を現金で回収したときに、誤って貸借を逆に仕訳していたため、これを修正する。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 330,000 | 売掛金 | 330,000 |
頭の中でイメージしにくい人は、次のように考えていくといいでしょう。
①誤った仕訳の逆仕訳をして、誤った仕訳を取り消す
実際には次のような仕訳(誤った仕訳)を行っています。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 165,000 | 現金 | 165,000 |
この逆仕訳をして、誤った仕訳を取り消します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 165,000 | 売掛金 | 165,000 |
②正しい仕訳(あるべき仕訳)を行う
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 165,000 | 売掛金 | 165,000 |
③2つの仕訳を合算
①と②の仕訳を合算したものが解答の訂正仕訳となります。
3 |
得意先に対する売掛金¥150,000のうち、¥80,000は郵便為替証書で受け取り、残額は同社振出の小切手で受け取った。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 150,000 | 売掛金 | 150,000 |
郵便為替証書と他社振出小切手はともに通貨代用証券に当たるため、現金で処理をします。
4 |
仕入先に対する買掛金¥230,000について、同社の承諾を受けたうえで、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録を行った。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 230,000 | 電子記録債務 | 230,000 |
「買掛金」が「電子記録債務」に変わったので、買掛金を減少させ、電子記録債務(負債)を増加させます。
5 |
定期預金¥500,000が満期となり、元本と利息の¥10,000を普通預金口座に振り替えた。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 510,000 | 定期預金 | 500,000 |
受取利息 | 10,000 |
定期預金¥500,000を普通預金へ振り替えるため、まずこれを減少させます。利息の¥10,000は「受取利息」(収益)とし、定期預金の元本と利息の合計(貸方合計)を普通預金とします。
6 |
買掛金¥300,000の支払いのため、約束手形を振り出して仕入先に郵送し、郵送代金の¥300は現金で支払った。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 300,000 | 支払手形 | 300,000 |
通信費 | 300 | 現金 | 300 |
約束手形を振り出したときは「支払手形」(負債)で処理します。また、郵送代金は「通信費」(費用)とします。
7 |
得意先へ商品¥500,000を販売し、送料¥3,000を加えた合計額を掛けとした。また同時に、配送会社へ商品を引き渡し、送料¥3,000は後日支払うこととした。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 503,000 | 売上 | 503,000 |
発送費 | 3,000 | 未払金 | 3,000 |
相手から受け取る対価の額を「売上」とし、指示にある通り送料を加えた合計額を「売掛金」として処理します。
8 |
取引銀行のインターネットバンキングサービスから普通預金口座の入出金明細を参照したところ、次のとおりであった。5月25日の仕訳を示しなさい。なお、5月25日の給与振込額は、所得税の源泉徴収額¥50,000を差し引いた額である。 ![]()
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
給料 | 704,000 | 普通預金 | 655,000 |
支払手数料 | 1,000 | 所得税預り金 | 50,000 |
所得税の源泉徴収額は会社が一時的に預かるお金なので「所得税預り金」(負債)で処理します。
また、「給料」の金額は支給額の総額となります。すなわち、入出金明細における給与振込の金額に所得税の源泉徴収額を加算したものが給料の金額です。
わかりにくい人は、次のように仕訳を2つに分解すると理解しやすいかもしれません。
①給与の支払いに関する仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
給料 | 704,000 | 普通預金 | 654,000 |
所得税預り金 | 50,000 |
②振込手数料に関する仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 1,000 | 普通預金 | 1,000 |
9 |
備品の減価償却(間接法で記帳)は、毎月¥4,000を概算額として4月から2月までの月次決算で計上しているが、減価償却費の年間確定額¥50,000との差額を年次決算において計上する。なお、当社の決算日は×5年3月31日である。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 6,000 | 備品減価償却累計額 | 6,000 |
4月から2月までの月次決算で計上している減価償却費は¥44,000(=¥4,000×11か月)です。年間の確定額が¥50,000なので、両者の差額を決算月において計上します。
10 |
取引先の甲商事から¥800,000を現金で借り入れ、借用証書の代わりに同額の約束手形を振り出した。なお、借入期間は3か月、利息(年利率1.2%)は返済時に支払うこととした。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 800,000 | 手形借入金 | 800,000 |
借用証書の代わりに手形を振り出して借り入れた場合は「手形借入金」(負債)で処理します。
11 |
商品¥200,000(税抜)を売り上げ、消費税¥20,000を含めた合計額のうち¥120,000は現金で受け取り、残額は共通商品券を受け取った。なお、消費税は税抜方式で記帳する。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 120,000 | 売上 | 200,000 |
受取商品券 | 100,000 | 仮受消費税 | 20,000 |
消費税は税抜方式で記帳するため、「売上」は税抜きの金額で計上し、受け取った消費税は「仮受消費税」(負債)とします。
また、受け取った商品券は「受取商品券」で処理します。
12 |
商品¥123,000を注文し、その手付金として¥30,000の小切手を振り出して渡した。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払金 | 30,000 | 当座預金 | 30,000 |
手付金を支払った時は「前払金」(資産)で処理します。
13 |
A社に対する売掛金¥100,000と買掛金¥350,000の決済日となり、A社の承諾を得たうえで両者を相殺処理し、買掛金の超過分は小切手を振り出して支払った。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 350,000 | 売掛金 | 100,000 |
当座預金 | 250,000 |
売掛金と買掛金を相殺処理するため、まずこの両者を減少させ、貸借差額を当座預金から支払うことになります。
14 |
従業員が営業用のICカードから旅費交通費¥5,000および消耗品費¥1,000を支払った。なお、当社ではチャージ(入金)をした時に仮払金として処理し、使用時に適切な勘定に振り替える処理をしている。
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
旅費交通費 | 5,000 | 仮払金 | 6,000 |
消耗品費 | 1,000 |
ICカードにチャージ(入金)をした時には次のような仕訳をしています。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仮払金 | ××× | 現金 | ××× |
使用時には、支払った金額を「仮払金」から「旅費交通費」と「消耗品費」へ振り替えます。
15 |
乙商事株式会社と株式会社甲商店は主たる営業活動として果物の販売を行っており、それぞれ商品発送時に売上、商品受取時に仕入を計上している。そこで次の証ひょうにもとづき、甲商店が代金を振り込んだ時の甲商店側の仕訳を示しなさい。なお、振込手数料は甲商店負担とする。 ![]()
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借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 20,000 | 当座預金 | 20,200 |
支払手数料 | 200 |
当座勘定照合表を見ると、甲商店は当座預金口座から代金を振り込んでいるので、当座預金勘定の減少として処理します。また、振込手数料は甲商店が負担するので、これを「支払手数料」(費用)で処理します。
第2問
(1)以下の資料に基づいて解答欄の勘定に記入しなさい。当期(×8年度)の会計期間は×8年4月1日から×9年3月31日の1年間である。ただし、勘定記入に用いる勘定科目等に関しては、プルダウンから最も適当であると思われるものを選び、選択すること。
【資料】法人税、住民税及び事業税に関する取引
<×8年3月31日> ×7年度の決算において、法人税、住民税及び事業税¥300,000を計上した。この全額を未払法人税等として処理している。
<×8年5月20日> 確定申告を行い、法人税、住民税及び事業税¥300,000を現金で納付した。
<×8年11月20日> 中間申告を行い、法人税、住民税及び事業税¥150,000を現金で納付した。
<×9年3月31日> ×8年度の決算において、税引前当期純利益の30%を法人税、住民税及び事業税として計上した。
【解答上の留意事項】
・出題の便宜上、売上以外の収益は「その他の収益」、仕入および法人税等以外の費用は「その他の費用」としてまとめて表示している。
・日付は採点対象としないため、空欄のままでもよい。
法人税、住民税及び事業税
仮払法人税等
未払法人税等
損益
×9.3/31 | 仕入 | 5,600,000 | ×9.3/31 | 売上 | 9,000,000 |
〃 | その他の費用 | 2,300,000 | 〃 | その他の収益 | 600,000 |
〃 | |||||
〃 | |||||
9,600,000 | 9,600,000 |
青が正解、赤が不正解
※摘要欄と金額の両方合っていれば正解
法人税、住民税及び事業税
×9年3/31 | 諸口 | 510,000 | ×9年3/31 | 損益 | 510,000 |
仮払法人税等
×8年11/20 | 現金 | 150,000 | ×9年3/31 | 法人税、住民税及び事業税 | 150,000 |
未払法人税等
×8年5/20 | 現金 | 300,000 | ×8年4/1 | 前期繰越 | 300,000 |
×9年3/31 | 次期繰越 | 360,000 | ×9年3/31 | 法人税、住民税及び事業税 | 360,000 |
660,000 | 660,000 |
損益
×9.3/31 | 仕入 | 5,600,000 | ×9.3/31 | 売上 | 9,000,000 |
〃 | その他の費用 | 2,300,000 | 〃 | その他の収益 | 600,000 |
〃 | 法人税、住民税及び事業税 | 510,000 | |||
〃 | 繰越利益剰余金 | 1,190,000 | |||
9,600,000 | 9,600,000 |
配点:2点×5箇所=10点
前年度(×8年3月31日)の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
法人税、住民税及び事業税 | 300,000 | 未払法人税等 | 300,000 |
前年度に計上した未払法人税等(負債)は当期に繰り越され、法人税等を納付したときにこれを減少させます。
法人税等を納付したとき(×8年5月20日)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未払法人税等 | 300,000 | 現金 | 300,000 |
中間納付をしたとき(×8年11月20日)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仮払法人税等 | 150,000 | 現金 | 150,000 |
中間納付をしたときは、納付した金額をいったん仮払法人税等(資産)に計上しておきます。
法人税等の計上(×9年3月31日)
まず損益勘定より、税引前当期純利益を計算します。
税引前当期純利益に30%を掛けたものを「法人税、住民税及び事業税」とし、「仮払法人税等」との差額を「未払法人税等」とします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
法人税、住民税及び事業税 | 510,000 | 仮払法人税等 | 150,000 |
未払法人税等 | 360,000 |
決算振替(×9年3月31日)
収益を損益勘定の貸方へ、費用を損益勘定の借方へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売上 | 9,000,000 | 損益 | 9,600,000 |
その他の収益 | 600,000 | ||
損益 | 8,410,000 | 仕入 | 5,600,000 |
その他の費用 | 2,300,000 | ||
法人税、住民税及び事業税 | 510,000 |
最後に、当期純利益(税引後)を「繰越利益剰余金」(純資産)へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
損益 | 1,190,000 | 繰越利益剰余金 | 1,190,000 |
(2)当社(3伝票制を採用)の5月1日における伝票は次のとおりであった。これにもとづいて仕訳日計表を作成し、総勘定元帳(買掛金勘定)および売掛金元帳(甲社)の諸勘定に転記しなさい。ただし、摘要欄の記入項目に関しては、プルダウンから最も適当であると思われるものを選び、選択すること。

仕訳日計表
×3年5月1日
41
借方 | 元丁 | 勘定科目 | 元丁 | 貸方 |
現金 | ||||
当座預金 | ||||
受取手形 | ||||
売掛金 | ||||
支払手形 | ||||
16 | 買掛金 | 16 | ||
売上 | ||||
仕入 | ||||
給料 | ||||
総勘定元帳
買掛金
16
日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
5月1日 | 前月繰越 | ✓ | 210,000 | 貸 | 210,000 | |
〃 | ? | 〃 | ||||
〃 | ? | 〃 | ||||
売掛金元帳
甲社
1
日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
5月1日 | 前月繰越 | ✓ | 130,000 | 借 | 130,000 | |
〃 | ? | 〃 | ||||
〃 | ? | 〃 | ||||
青が正解、赤が不正解
仕訳日計表
×3年5月1日
41
借方 | 元丁 | 勘定科目 | 元丁 | 貸方 |
520,000 | 現金 | 455,000 | ||
当座預金 | 100,000 | |||
45,000 | 受取手形 | |||
55,000 | 売掛金 | 355,000 | ||
105,000 | 支払手形 | 50,000 | ||
140,000 | 16 | 買掛金 | 16 | 60,000 |
売上 | 165,000 | |||
140,000 | 仕入 | |||
180,000 | 給料 | |||
1,185,000 | 1,185,000 |
総勘定元帳
買掛金
16
日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
5月1日 | 前月繰越 | ✓ | 210,000 | 貸 | 210,000 | |
〃 | 仕訳日計表 | 41 | 60,000 | 〃 | 270,000 | |
〃 | 仕訳日計表 | 〃 | 140,000 | 〃 | 130,000 | |
売掛金元帳
甲社
1
日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 貸方 | 借又は貸 | 残高 |
5月1日 | 前月繰越 | ✓ | 130,000 | 借 | 130,000 | |
〃 | 振替伝票 | 303 | 55,000 | 〃 | 185,000 | |
〃 | 入金伝票 | 101 | 150,000 | 〃 | 35,000 | |
配点:2点×5箇所=10点
仕訳日計表の作成問題の基本的な解き方としては、伝票の記入から1つずつ仕訳を起こしていきます。量は多くなりますが、それぞれの仕訳自体はとても簡単なので、面倒くさがらずに丁寧に仕訳をしていきましょう。
仕訳
入金伝票
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 伝票番号 |
---|---|---|---|---|
現金 | 520,000 | 売掛金(甲) | 150,000 | 101 |
売上 | 110,000 | 102 | ||
売掛金(乙) | 160,000 | 103 | ||
当座預金 | 100,000 | 104 |
出金伝票
伝票番号 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
201 | 仕入 | 80,000 | 現金 | 455,000 |
202 | 買掛金 | 90,000 | ||
203 | 給料 | 180,000 | ||
204 | 支払手形 | 105,000 |
振替伝票
伝票番号 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
301 | 仕入 | 60,000 | 買掛金 | 60,000 |
302 | 受取手形 | 45,000 | 売掛金(乙) | 45,000 |
303 | 売掛金(甲) | 55,000 | 売上 | 55,000 |
304 | 買掛金 | 50,000 | 支払手形 | 50,000 |
仕訳日計表の作成
次に仕訳日計表を作成します。上で行った仕訳の勘定科目を丁寧に集計していってください。借方の合計金額は仕訳日計表の借方に、貸方の合計金額は仕訳日計表の貸方に記入します。
総勘定元帳および売掛金元帳への転記

総勘定元帳へは仕訳日計表から合計転記します。また、摘要欄には「仕訳日計表」と記入し、仕丁欄には仕訳日計表のページ数を記入します。一方、売掛金元帳へは各伝票から個別転記します。摘要欄には伝票の種類を記入し、仕丁欄には伝票番号を記入します。
第3問
次の資料にもとづいて、決算整理前残高試算表を完成しなさい。なお、会計期間はx11年4月1日からx12年3月31日までの1年間である。
決算整理前残高試算表
借方 | 勘定科目 | 貸方 |
現金 | ||
当座預金 | ||
受取手形 | ||
売掛金 | ||
繰越商品 | ||
仮払消費税 | ||
建物 | ||
備品 | ||
買掛金 | ||
借入金 | ||
仮受消費税 | 340,000 | |
貸倒引当金 | ||
建物減価償却累計額 | ||
備品減価償却累計額 | ||
資本金 | 1,000,000 | |
繰越利益剰余金 | ||
売上 | ||
受取手数料 | ||
その他の収益 | 250,000 | |
仕入 | ||
租税公課 | ||
支払利息 | ||
1,211,000 | その他の費用 | |
[決算整理事項等]
- 決算にあたり、現金の帳簿残高と実際有高の差額の原因を調査したが判明しなかったため、両者の差額を雑損または雑益に振り替える。
- 当座預金口座が当座借越¥150,000の状態となっているため、適切な勘定へ振り替える。なお、当社では当座借越勘定を用いていない。
- 受取手形及び売掛金の期末残高に対して?%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
- 期首商品棚卸高は¥320,000、期末商品棚卸高は¥?であった。
- 減価償却は次のとおり行う。
・建物:定額法、耐用年数:20年、残存価額:取得原価の10%、取得日:x1年4月1日
・備品:定額法、耐用年数:8年、残存価額:ゼロ、取得日:x4年4月1日
・備品については当年度において当初予定していた耐用年数をむかえるが、来年度以降も使用し続ける予定である。そこで、備忘価額1円を貸借対照表に記載する。
・建物、備品ともに取得日から事業の用に供している。 - 消費税の処理を税抜方式によって行う。
- 収入印紙の未使用額が¥3,000ある。なお、当社では購入時に費用として処理している。
- 手数料の未収分が¥5,000ある。
損益計算書
x11年4月1日からx12年3月31日まで
売上原価 | 2,220,000 | 売上 | ( ? ) | ||
租税公課 | 14,000 | 受取手数料 | 20,000 | ||
貸倒引当金繰入 | 9,000 | その他の収益 | 250,000 | ||
減価償却費 | ( ? ) | ||||
雑損 | 24,000 | ||||
支払利息 | 18,000 | ||||
その他の費用 | 1,211,000 | ||||
当期純利益 | 86,501 | ||||
( ? ) | ( ? ) |
貸借対照表
x12年3月31日
現金 | 430,000 | 買掛金 | 500,000 | |||
受取手形 | 360,000 | 借入金 | 325,000 | |||
貸倒引当金 | △ | 10,800 | 349,200 | 未払消費税 | 120,000 | |
売掛金 | 440,000 | 資本金 | 1,000,000 | |||
貸倒引当金 | △ | 13,200 | 426,800 | 繰越利益剰余金 | 326,501 | |
商品 | 300,000 | |||||
貯蔵品 | 3,000 | |||||
未収収益 | 5,000 | |||||
建物 | 1,500,000 | |||||
減価償却累計額 | △ | ( ? ) | ( ? ) | |||
備品 | 160,000 | |||||
減価償却累計額 | △ | ( ? ) | ( ? ) | |||
2,271,501 | 2,271,501 |
決算整理前残高試算表
借方 | 勘定科目 | 貸方 |
454,000 | 現金 | |
当座預金 | 150,000 | |
360,000 | 受取手形 | |
440,000 | 売掛金 | |
320,000 | 繰越商品 | |
220,000 | 仮払消費税 | |
1,500,000 | 建物 | |
160,000 | 備品 | |
買掛金 | 500,000 | |
借入金 | 175,000 | |
仮受消費税 | 340,000 | |
貸倒引当金 | 15,000 | |
建物減価償却累計額 | 675,000 | |
備品減価償却累計額 | 140,000 | |
資本金 | 1,000,000 | |
繰越利益剰余金 | 240,000 | |
売上 | 3,400,000 | |
受取手数料 | 15,000 | |
その他の収益 | 250,000 | |
2,200,000 | 仕入 | |
17,000 | 租税公課 | |
18,000 | 支払利息 | |
1,211,000 | その他の費用 | |
6,900,000 | 6,900,000 |
配点: 2点 ×1箇所 + 3点×11箇所=35点
損益計算書および貸借対照表からさかのぼって、決算整理前残高試算表を作成する逆進問題です。日商簿記試験でこのような逆進問題が出題される可能性は低いと思いますが、決算についての理解を深めるためにぜひチャレンジしてください。
決算整理事項等1
損益計算書に「雑損¥24,000」があることから、帳簿残高が実際有高よりも¥24,000多かったことが分かります。そこで、帳簿残高を減少させるための仕訳が必要となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
雑損 | 24,000 | 現金 | 24,000 |
決算整理事項等2
当座預金口座が当座借越(貸方残高)の状態となっているため、これを「借入金」へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 150,000 | 借入金 | 150,000 |
決算整理事項等3
損益計算書に「貸倒引当金繰入¥9,000」があることから、この金額だけ貸倒引当金が増加します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 9,000 | 貸倒引当金 | 9,000 |
なお、貸倒引当金の貸借対照表上の表示は次のように一括で控除する形などもあります。どのように表示するかは資料などから判断してください。
受取手形 | 360,000 | |
売掛金 | 440,000 | |
貸倒引当金 | △ 24,000 | 776,000 |
決算整理事項等4
期末商品棚卸高は貸借対照表の「商品」から¥300,000とわかります。
期首商品棚卸高(前T/Bの金額)¥320,000を「繰越商品」から「仕入」に振り替えて、期末商品棚卸高¥300,000を「仕入」から「繰越商品」に振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 320,000 | 繰越商品 | 320,000 |
繰越商品 | 300,000 | 仕入 | 300,000 |
この仕訳後の「仕入」が売上原価を表します。売上原価の金額は損益計算書より¥2,220,000とわかるので、差額で当期商品仕入高(前T/Bの「仕入」)¥2,200,000を求めます。
仕入
期首商品棚卸高 ¥320,000 |
売上原価 (P/L「売上原価」) ¥2,220,000 |
当期商品仕入高 (前T/B「仕入」) ∴¥2,200,000 |
|
期末商品棚卸高 ¥300,000 |
決算整理事項等5
決算整理前残高試算表の減価償却累計額
建物
建物は取得日(使用開始日)から前年度までに10年が経過しているので、前期までの10年分の減価償却費が前T/Bの「建物減価償却累計額」となります。
・減価償却費(1年分):¥1,500,000×0.9÷20年=¥67,500
・前T/Bの「建物減価償却累計額」:¥67,500×10年=¥675,000

備品
備品は取得日(使用開始日)から前年度までに7年が経過しているので、前期までの7年分の減価償却費が前T/Bの「備品減価償却累計額」となります。
・減価償却費(1年分):¥160,000÷8年=¥20,000
・前T/Bの「備品減価償却累計額」:¥20,000×7年=¥140,000

決算整理仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 87,499 | 建物減価償却累計額 | 67,500 |
備品減価償却累計額 | 19,999 |
よって、有形固定資産に関する貸借対照表の表示は次のようになります。
建物 | 1,500,000 | |
減価償却累計額 | △ 742,500 | 757,500 |
備品 | 160,000 | |
減価償却累計額 | △ 159,999 | 1 |
なお、減価償却累計額の貸借対照表上の表示は次のように一括で控除する形などもあります。どのように表示するかは資料などから判断してください。
建物 | 1,500,000 | |
備品 | 160,000 | |
減価償却累計額 | △ 902,499 | 757,501 |
決算整理事項等6
仮払消費税と仮受消費税を相殺し、両者の差額を未払消費税(負債)とします。仮受消費税は前T/Bより¥340,000、未払消費税はB/Sより¥120,000と判明します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仮受消費税 | 340,000 | 仮払消費税 | ? |
未払消費税 | 120,000 |
貸借の差額で、前T/Bの「仮払消費税」は¥220,000であることが分かります。
決算整理事項等7
収入印紙は「租税公課」(費用)で処理します。決算において、収入印紙の未使用額を租税公課から貯蔵品(資産)へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
貯蔵品 | 3,000 | 租税公課 | 3,000 |
決算整理事項等8
手数料の未収分を見越計上し、これを「未収手数料」(資産)として処理します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未収手数料 | 5,000 | 受取手数料 | 5,000 |
繰越利益剰余金
前T/Bの繰越利益剰余金に当期純利益を加算したものが貸借対照表の繰越利益剰余金となります。
売上
売上の金額は損益計算書の貸借差額によって計算します。
受験科目 | 【第4回】3級模擬試験 |
かかった時間 | |
得点 |

※説明も兼ねて本来より少し多めに書いています。
集計漏れや二重計上がないように、解答の記入が終わったら科目や金額の横にチェック(✓)を付けておきましょう。