特許戦略を策定する上で重要な“特許ポートフォリオ”について述べたものはどれか。
- ア. 企業が保有や出願している特許を、事業への貢献や特許間のシナジー, 今後適用が想定される分野などを分析するためにまとめたもの
- イ. 技術イノベーションが発生した当初は特許出願が多くなる傾向だが、市場に支配的な製品の出現によって工程イノベーションにシフトし、特許出願が減少すること
- ウ. 自社製品のシェアと市場の成長率を軸にしたマトリックスに、市場における自社や競争相手の位置付けを示したもの
- エ. 複数の特許権者同士が、それぞれの保有する特許の実施権を相互に許諾すること
【答え】ア
【解説】
特許ポートフォリオとは、企業が保有・出願する複数の特許を体系的に整理・分析して、事業戦略や競争優位の確保に活用するための枠組みや一覧のことです。技術や事業との関係性、重複、隙間、価値、相互依存性などを可視化することで、特許戦略を強化します。
各選択肢の解説
ア. 企業が保有や出願している特許を、事業への貢献や特許間のシナジー, 今後適用が想定される分野などを分析するためにまとめたもの
→ ⭕ 特許ポートフォリオについての適切な記述です。
イ. 技術イノベーションが発生した当初は特許出願が多くなる傾向だが、市場に支配的な製品の出現によって工程イノベーションにシフトし、特許出願が減少すること
→これは「A-Uモデル」または「ドミナント・デザイン」の説明です。
→特許ポートフォリオではなく、特許出願の時期的傾向を表したもの。
ウ. 自社製品のシェアと市場の成長率を軸にしたマトリックスに、市場における自社や競争相手の位置付けを示したもの
→これは「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」の説明です。
→製品群を分類するものであり、特許戦略とは別分野。
エ. 複数の特許権者同士が、それぞれの保有する特許の実施権を相互に許諾すること
→これは「クロスライセンス(相互ライセンス)」の説明です。
→特許ポートフォリオとは別の概念。
以上より、正解はア.となります。
※「特許ポートフォリオ」はシラバスに載っていない用語です。「消去法+勘」で答えましょう。

