企業の行為に関する記述a~cのうち、コンプライアンスにおいて問題となるおそれのある行為だけを全て挙げたものはどれか。
a 新商品の名称を消費者に浸透させるために、誰でも応募ができて、商品名の一部を答えさせるだけの簡単なクイズを新聞や自社ホームページ、雑誌などに広く掲載し、応募者の中から抽選で現金10万円が当たるキャンペーンを実施した。
b 人気のある Web サイトを運営している企業が、広告主から宣伝の依頼があった特定の商品を好意的に評価する記事を、広告であることを表示することなく一般の記事として掲載した。
c フランスをイメージしてデザインしたバッグを国内で製造し、原産国の国名は記載せず、パリの風景写真とフランス国旗だけを印刷したタグを添付して、販売した。
- ア. a, b
- イ. a, b, c
- ウ. a, c
- エ. b, c
【答え】エ
【解説】
コンプライアンスには「法令順守」という意味がありますが、法令だけでなく、社会的規範、モラル、倫理などを守り、公正に業務を行うという意味も含まれています。本問では主に、景品表示法に違反するか否かを問う問題となっています。
各選択肢の解説
a 新商品の名称を消費者に浸透させるために、誰でも応募ができて、商品名の一部を答えさせるだけの簡単なクイズを新聞や自社ホームページ、雑誌などに広く掲載し、応募者の中から抽選で現金10万円が当たるキャンペーンを実施した。
→主に宣伝・広報活動として行われる、商品の購入が不要で、誰でも応募できる懸賞(オープン懸賞)は景品表示法の対象外
→ ❌ 景品表示法違反には当たらない
b 人気のある Web サイトを運営している企業が、広告主から宣伝の依頼があった特定の商品を好意的に評価する記事を、広告であることを表示することなく一般の記事として掲載した。
→いわゆる「ステルスマーケティング」に該当
→ ⭕ 景品表示法における不当表示であり、「広告である旨の明記」がない場合は表示義務違反となる。
c フランスをイメージしてデザインしたバッグを国内で製造し、原産国の国名は記載せず、パリの風景写真とフランス国旗だけを印刷したタグを添付して、販売した。
→実際の製造国を正しく示すことが必要であり、このケースでは原産国誤認表示の可能性が高い
→ ⭕ 消費者に「フランス製」と誤認させるような表示は、景品表示法における不当表示に該当
以上より、正解はエ. b, cとなります。

※本問は具体的な事例を問う問題であり、やや難問です。bのケースが「ステルスマーケティング」、cのケースが「消費者を誤認させる表示」ということがなんとなく分かれば選択肢は「イ」か「エ」に絞れると思います。あとは自分の勘に賭けましょう。