IT サービスに関する指標には, IT サービスが利用できなくなるインシデントの発生間隔の平均時間である MTBSI (Mean Time Between Service Incidents)があり、サービスの中断の発生しにくさを表す。IT サービスにおいて MTBSI の改善を行っている事例として、最も適切なものはどれか。
- ア. インシデント対応事例のデータベースを整備し、分析することによって、サービスの中断から原因究明までの時間の短縮を図る。
- イ. サービスのメニューを増やすことによって、利用者数の増加を図る。
- ウ. サービスを提供しているネットワークの構成を二重化することによって、ネットワークがつながらなくなる障害の低減を図る。
- エ. ヘルプデスクの要員を増やすことによって、サービス利用者からの個々の問合せにおける待ち時間の短縮を図る。
【答え】ウ
【解説】
MTBSI(サービスインシデント間平均時間)は、サービスが利用可能な状態から次のインシデント(中断)が発生するまでの平均時間です。値が大きいほど、インシデントの発生頻度が少ない(=中断しにくい)ことを意味します。
MTBSIを改善する(延ばす)には、インシデントの発生頻度そのものを減らす、システムを安定化させる、などの対策が有効です。
各選択肢の解説
ア. インシデント対応事例のデータベースを整備し、分析することによって、サービスの中断から原因究明までの時間の短縮を図る。
→これはMTRS(サービスが停止してから復旧するまでの平均時間)の改善策であり、MTBSIの改善とは異なります。
イ. サービスのメニューを増やすことによって、利用者数の増加を図る。
→これはサービスの拡充やマーケティング施策であり、MTBSIの改善策にはなりません(サービスのメニューが増えると、逆にMTBSIが短くなる原因にもなります)。
ウ. サービスを提供しているネットワークの構成を二重化することによって、ネットワークがつながらなくなる障害の低減を図る。
→ ⭕ ネットワークの二重化によって障害の発生頻度が減る(冗長化により耐障害性が向上する)ため、インシデントの発生間隔が長くなり、MTBSIが改善されます。
エ. ヘルプデスクの要員を増やすことによって、サービス利用者からの個々の問合せにおける待ち時間の短縮を図る。
→これはASA(Average Speed of Answer:平均応答速度)の改善策であり、MTBSIとは無関係です。
以上より、正解はウ.となります。
※「MTBSI」はシラバスに載っていない用語ですが、システムの信頼性を表す指標である「MTBF(平均故障間隔)」のITサービス版だということが分かれば解答できると思います。

