営業部門の営業員が出張する際の出張旅費の手続に関して、組織間でけん制を日常的に実施している状況の記述として、最も適切なものはどれか。
- ア. 営業員が出張後に経理部門に提出した旅費精算の書類と証票類について、経理担当者が適切な内容であることを審査し、経理課長が承認する。
- イ. 営業員が出張後に旅費の精算を行い、上長が承認を行う。経理部門では承認済みであるので支払を行う。
- ウ. 営業員は出張の事前申請を行って上長の承認を得た後に、切符や宿泊施設の手配を旅行会社に依頼する。
- エ. 会計年度における営業部門の旅費精算の書類と証票類から、監査人がサンプリングして、営業員の処理内容の適切性を確認する。
【答え】ア
【解説】
この問題は「組織間でけん制を日常的に実施している状況」に関するもので、これは職務の分離(職務分掌)による内部けん制の仕組みに該当します。
各選択肢の解説
ア. 営業員が出張後に経理部門に提出した旅費精算の書類と証票類について、経理担当者が適切な内容であることを審査し、経理課長が承認する。
→ ⭕ 適切。営業員(出張者)と、経理担当者(精算を審査する人)が異なる部門で業務を分担しており、「出張する人」「精算内容をチェックする人」「最終的に承認する人」が分かれている。
→このように職務を分離して相互にチェックする体制は、まさに「けん制の仕組み」に合致します。
イ. 営業員が出張後に旅費の精算を行い、上長が承認を行う。経理部門では承認済みであるので支払を行う。
→ ❌ 不適切。精算の承認を営業部門内の上長だけで完結し、経理部門がチェックなしで支払うという流れになっている。
→これではけん制が働かず不正のリスクがあるため、適切ではありません。
ウ. 営業員は出張の事前申請を行って上長の承認を得た後に、切符や宿泊施設の手配を旅行会社に依頼する。
→ ❌ 不適切。出張の事前手続きの話であり、けん制という観点では不十分。
→職務の分離や相互チェックが明記されていないため、「けん制を日常的に実施している」状況としては不適切です。
エ. 会計年度における営業部門の旅費精算の書類と証票類から、監査人がサンプリングして、営業員の処理内容の適切性を確認する。
→ ❌ 不適切。監査人によるサンプリングは、年次監査などの定期的な確認であり、「日常的に」行われているものではない。
→「けん制を日常的に実施している」状況に合致しません。
以上より、正解はア.となります。
