ITパスポート模擬試験~令和7年度【問53】~

内部統制の基本的要素の一つである“IT への対応”に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ア. ITを活用すると業務処理を迅速化でき、不注意によるミスを全て防止できる。
  • イ. 既存の IT の利用者の拡大や、使い方の変更などで組織目標を達成できるのであれば、新たな IT システムの導入や IT システムの更新を強いるものではない。
  • ウ. 全ての業務プロセスを IT で自動化することによって、業務プロセスを大幅に修正することが容易になる。
  • エ. 組織の業務が IT に大きく依存すると、内部統制の目的を達成することが難しくなる。

【答え】イ

【解説】

内部統制の基本的要素

内部統制は以下の6要素から構成されます

  1. 統制環境
  2. リスクの評価と対応
  3. 統制活動
  4. 情報と伝達
  5. モニタリング
  6. ITへの対応

「ITへの対応」とは、組織目標を達成するために予め適切な方針及び手続を定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のITに対し適切に対応することをいいます。「ITへの対応」は他の5要素を効果的に支える手段として重要です。

各選択肢の解説

ア. ITを活用すると業務処理を迅速化でき、不注意によるミスを全て防止できる。

→ITはミスの削減には有効だが、ヒューマンエラーやシステムの不具合を完全には防げない

イ. 既存の IT の利用者の拡大や、使い方の変更などで組織目標を達成できるのであれば、新たな IT システムの導入や IT システムの更新を強いるものではない。

ITは目的達成の手段であり、常に最新である必要はなく、内部統制としてはリスクに応じて合理的なIT利用を求めている

→ ⭕ 最も現実的かつ適切な記述です。

ウ. 全ての業務プロセスを IT で自動化することによって、業務プロセスを大幅に修正することが容易になる。

→自動化は便利だが、逆に変更が難しくなるケースもある(プログラム改修が必要など)ため、常に容易になるとは限らない

エ. 組織の業務が IT に大きく依存すると、内部統制の目的を達成することが難しくなる。

→正しく設計・運用されたITは、内部統制をむしろ強化する手段となる

以上より、正解はイ.となります。

間違えた人はこちらで復習

システム監査2~内部統制~

※少し細かいのでやや難問です。ITへの対応は、「目的達成に必要な範囲で活用すべき」という基本的な考え方が分かっていればOK。